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「個性的な創業者の経営チームの作り方をズバズバ聞きたい」【F17-6A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その3)は、スタートアップに、創業者よりも年齢が上な「グレーヘアー」の経営メンバーがいることのメリットを議論しました。是非御覧ください。
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017のプラチナ・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 6A
個性的な創業者の経営チームの作り方をズバズバ聞きたい
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)
(スピーカー)
真田 哲弥
KLab株式会社
代表取締役社長 CEO
松本 恭攝
ラクスル株式会社
代表取締役
溝口 勇児
株式会社FiNC
代表取締役社長CEO
吉田 浩一郎
株式会社クラウドワークス
代表取締役社長 CEO
(モデレーター)
嶺井 政人
株式会社マイネット
取締役 副社長
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【前の記事】
【本編】
嶺井 今各社の役員体制をお聞きしましたが、特徴的だなと思ったのはクラウドワークスさんとFiNCさん、経営陣の年齢差がとてもあると思います。
例えばクラウドワークスさんは吉田さんと成田さんの年齢が10歳以上離れていますよね?
吉田 15歳差ですね。
役員は5歳刻みになっていて、私の5歳下が野村、5歳下が佐々木、5歳下が成田ですので、15歳下です。
嶺井 お二人は15歳年の差があり、FiNCさんだと…。
溝口 36歳差ですね。
嶺井 そうですよね、年齢が離れていますが、何か考えがあってこのようにされているのかと思います。
偶然良い人を採用したら年齢差があったのか、年齢差があることによるメリットを考えた上であえてこうしているのか?
お聞かせいただけますか?
溝口さんからお願いします。
経営陣内で年齢差がある理由とは?
溝口 乗松は2年半前にジョインしましたが、結果的に良かったのは、36歳も年齢差があるとお互いライバル心を持たないことですね。
嶺井 親子のような年齢差ですよね。
溝口 そうですね。
僕は結構はっきり物を言うタイプなので乗松や小泉にも全く遠慮はしていません。一方で乗松、小泉に関しても年齢が離れていることもあって、創業者である僕に対して遠慮のない指摘やフィードバックをくれます。ゆえに好きなことを言いたい放題言いあえる良好な関係ができています。
Googleや、SoftBankといった急成長した大きな会社を見ると、いわゆるグレーヘアーと呼ばれる人達が常勤でコミットしています。
ソフトバンクの孫さん(孫正義氏)が、笠井さん(笠井和彦氏:富士銀行副頭取を務めた後に、2000年ソフトバンク取締役に就任し同社の財務戦略を支えた)という富士銀行の副頭取をアサインされて、そこから急成長したという話をよく聞きました。
当時、孫さんが副頭取を連れてきたならば、僕は頭取を連れてこようと思い、周りの人に「頭取を紹介してほしい」と言っていたのですが、「頭取ではないけれど、みずほの常務だった人は紹介できる」という話があり、紹介されたのが乗松でした。
それまで銀行の頭取を含め色々な方にお会いしていたのですが、「この人であれば一緒に働けそう」と思えたのが乗松でした。
嶺井 なるほど。
溝口 そういう意味では、カンです。ビビッときたという感じですかね。
「グレーヘアー」がいるメリット
嶺井 以前お話を伺った時、年齢が上の方、シニアの方は信頼を積み重ねてきているという話が面白いなと思ったのですが、その話を聞かせていただいても良いですか?
溝口 今日お越しの方の中にも、いわゆる一流企業の経営者、時価総額何千億円、何兆円という単位の会社の経営者と仲の良い方も多いかと思います。
企業の規模は自社よりも何百倍、何十倍も開きがありますが、ただ実際にゆっくりお話をしてみると、誤解を恐れずに言えば、頭の回転速度や情報量、当該領域における知見まで何百倍と差があるわけではない。
面白くもないダジャレも言えば、ちょっとした下ネタも言う。つまるところ「同じ人間なんだ」と思うことが多かったわけです。
その中で、冷静に「差は何だろう」と思った時、もっとも大きな差は信頼だと思ったんですね。
嶺井 なるほど。
溝口 例えば孫さんであれば、彼の一言で動く人の数と、お金の金額がものすごく大きいということです。
それができるのは、業績、業歴、数多くの経験等々、ソフトバンク社や孫正義として、今まで積み上げてきた数々の実績があるから。
残念ながら当社や僕を含め、一般的にスタートアップにはそれがないわけです。
嶺井 ないですね。
溝口 それをどうすれば補完できるか?
今の時点で埋められるもの、コントローラブルなものは何か?
自分自身が業績、業歴、実績を積み上げるのに時間がかかるのであれば、それを今日に至るまでに沢山積み上げてきた人が社内にいれば、つまり信頼を得られるのであれば、成長を加速することができると考えました。
それはすごく上手くいっていると思います。
「グレーヘアー」がワークするための条件とは
真田 弊社はネット系の会社なので、ネット系の用語を使いますし、会社のシステムはほぼ全てオンラインで行なっているので、その方のスキルが合わず使いこなせませんでした。
そもそも何をしているのか理解が難しかったのかもしれません。
吉田 弊社にもグレーヘアーの向井という者がいます。
リクルートの子会社で社長をしていた方で、弊社の常勤監査役になっていただいているのですが、彼は非常にワークしています。
時には私の意見ですら、他の経営陣から「吉田さんの主観(一意見)ですよね?」と言われることもあります。
そういう時、向井が上から「ここは社員の成長をしっかり全員で100%コミットメントするべきだ」と言うと、皆「はい」と聞き入れます。
重要なことをはっきり言ってくれるというという点で、弊社ではグレーヘアーがワークしているなと思います。
常勤監査役がそれをするのかという問題はありますが(笑)。
嶺井 各社色んな事例があるんですね。ありがとうございます。
クラウドワークス成田さんが抜擢された理由
嶺井 年齢差の部分で吉田さんにお聞きしたいのですが。
先程、吉田さんと成田さんの年齢は15歳差があるというお話がありましたが、創業直後とはいえ、創業メンバーではない成田さんを大抜擢したのはどういったお考えからですか?
吉田 私は1社目にメーカーに就職し、大企業で働いていたのですが、今まで働いてきて本当に年功序列は意味がないなと心の底から思っているということが一つです。
もう一つは、私が学生時代から演劇に携わり、役者と演出をしてきて思うのは、「華がある人の成長を阻害することなく、その花が咲くように、どう場所を用意し続けるか」ということです。
私はバレエが好きなのですが、昔バレエ・リュスというロシアのバレエ劇団があり、セルゲイ・ディアギレフという人物がいたのですが、彼のイメージです。
▶編集注:セルゲイ・ディアギレフは、ロシアの芸術プロデューサー。バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)の創設者として名高く、数多くのバレエダンサーや振付家を育成するとともに、当時の名だたる作曲家に歴史に残るバレエ音楽の傑作を依嘱した(出所:Wikipedia)
ニジンスキーというバレエダンサーがいたのですが、彼はそのバレエダンサーが輝くよう尽力しました。
成田を見ると、ニジンスキー同様やはり華があるんですよね。
成田が「やろう」と言うと、皆がついていくというパワーがあります。
ですから年齢に関わらず彼がどんどん活躍できるようにするべきだと思いました。
年功序列制度の中で過去に私自身が受けた苦い経験から、勤続年数や年齢に応じて評価を決めるのは意味がないという感覚があるので、成田にプラットフォーム事業を任せました。
さらに、エンタープライズモデルの立ち上げは、上場時の成長モデルだった訳ですがこれも彼に任せました。
新規事業を成田さんに任せきったワケ
吉田 この立ち上げ時、私はエンタープライズの数字に関わらないという約束がありました。
なぜかというと、私が数字を上げて上場した場合、組織化ができないので、再現性がなく上場後非常に苦しくなると考えていました。
成田が中心に立ち上げ、数字が達成できるのであれば上場を目指す。
それが無理なのであれば、つまり私が立ち上げをするのであれば、上場は延期しようというルールで取り組んだ所、成田が本当に立ち上げきりました。
嶺井 素晴らしいですね。
吉田 彼は、働いていた経験が学生の時に少しはあったようですが、基本的には普通に就職をしていないにも関わらず、大企業向けのモデルを立ち上げたということです。
そういう意味では、彼自体にフィールドを作り、彼がそこでどんどん変化し成長した。
嶺井 花開いたということですね。
吉田 はい、そんな感じです。
嶺井 なるほど、ありがとうございます。面白いですね。
(続)
続きは 経営チームを一枚岩にするユニークな施策を徹底議論! をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鎌田 さくら
【編集部コメント】
Googleのエリック・シュミット、Facebookのシェリル・サンドバーグ等、創業者よりも年上の経営者を迎え入れるというのは、ある意味確立された経営のピースのような気がしますね。続編もご期待ください!(榎戸)
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