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「忖度力」の不足が組織の問題を生む【F17-6A #8】

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「個性的な創業者の経営チームの作り方をズバズバ聞きたい」【F17-6A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その8)は、各登壇者に経営の失敗談とそこから得た学びをご紹介頂きました。FiNC溝口さんの「組織の問題を生む」原因の解説は必見です。是非御覧ください。

ICCカンファレンス FUKUOKA 2017のプラチナ・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。

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ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 6A
個性的な創業者の経営チームの作り方をズバズバ聞きたい
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)

(スピーカー)
真田 哲弥
KLab株式会社
代表取締役社長 CEO

松本 恭攝
ラクスル株式会社
代表取締役

溝口 勇児
株式会社FiNC
代表取締役社長CEO

吉田 浩一郎
株式会社クラウドワークス
代表取締役社長 CEO

(モデレーター)
嶺井 政人
株式会社マイネット
取締役 副社長

「個性的な創業者の経営チームの作り方をズバズバ聞きたい」の配信済みの記事

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【本編】

嶺井 では時間が押してきたので最後のトピックですね、皆さんの経営における過去の失敗談をぜひ聞かせていただきたいです。

色々なご経験をされている真田さん、色々な失敗のお話もあるかと思うのですが?

市場拡大期はアクセル役だけで突っ走れる

真田 そうですね、僕も過去色々な会社を経営してきましたが、やはり上手くいく時は、始めからチームビルディングができていた時でした。

人生の前半に僕は2社の経営を行いましたが、今GMOの副社長をしている西山という者が、常に副社長で僕のブレーキ役をしてくれました。

車でいうところのブレーキが強力であればアクセルが踏みやすく、飛ばせるということがあります。

嶺井 真田さんはアクセル側ですね?

真田 そうですね。

一番酷かったのは、サイバードという会社ですね。

嶺井 皆さんご存知の会社ですね。

真田 関西にある私立大学、関西学院大学の学生時代の遊び仲間3人で始めてしまいました。

真田、堀、岩井という、3人ともアクセル。(笑)

そして3人とも調子乗り。

3人揃って調子に乗り、盛り上がって「おもろいな、やろうやろう!」と始めてしまいました。

嶺井 でも急成長されましたよね?

真田 そういった組織が強いのは、市場全体が成長している時で、3人一斉にアクセルを踏み皆バラバラに走っても、iモードという急成長軌道に乗っている時は上手くいったんです。

いや酷かったですね。(笑)

嶺井 ほう(笑)

真田 3人で調子に乗ってしまうので、瓦解しました。

嶺井 なるほど。

ブレーキがかかったら止まるという自己認識が重要

真田 ということで、やはり僕は自分がガンガン走りたいタイプですから、今であれば五十嵐といった、きちんと強力にブレーキを踏む人がいる時は、安定します。

市場全体が成長している時は、先程話したように全てがアクセルという状態でもワークする時もあります。

サイバードという会社は、iモードそのものがスタートするより先に作った会社だったので、逆にアクセルタイプの人間が揃っていなければ、怖くてアクセルを踏めなかったはずです。

そのタイミングでアクセル踏める人は少ないです。

だから、まともな人がいたら、あの時アクセルは踏めなかった可能性がありますね。

そういった市場全体が成長している時は良いですが、そうではないタイミングでも、会社を維持継続していくにはやはりチームの役割分担が必要です。

先程けん制の話がありました。けん制はシステムの問題もありますが、最後は自己認識です。

自分はアクセル役で、ブレーキがかかった時は止まらなければならないという、リスペクトや自己認識がなければ、どんなシステムもワークしないんですよね。

嶺井 なるほど。勉強になります。

それでは過去の失敗談を、溝口さんお願いします。

解釈の違いから起こる摩擦が組織の問題を生む

溝口 僕は会社を作ってもうすぐ5年になりますが、前職の中小企業では、従業員100人位の会社の経営を行なっていました。

僕は創業者ではなかったのですが、オーナーとの関係の中で24歳の時からFiNCを創業するまでの3年間、経営を任されていました。

当時は、リーマンショックと、5億円位を投資して新規事業を始めたものの、1年半で全ての投資金額が消えるような業績不振状態のときで、半ば博打のようなものだったのだと思いますが、僕に白羽の矢がたちました。

ただ、後に、100人いた従業員の半分が入れ替わりました。

組織の問題や、資金繰りの問題、経営において苦しい難題は、FiNCを創業してから今日までも相応にありましたが、ただ僕の場合は前職でだいぶ経験をさせてもらいました。

皆さんがおっしゃった施策や、今真田さんがおっしゃられたことにも共通すると思いますが、組織問題の構造はシンプルです。

「解釈の違い」からはじまり、そこから前職での成功体験や過去の経験などからくる何かしらの基準を持って判断をし、それを相手の立場や経験から見える景色を全く想像することなく強く思い込む。

例えば、「トップダウン」というリーダーシップの形は分かりやすく解釈が別れます。良い見方をすると強いリーダーシップですが、悪い見方をすると独裁となります。

「60度」と言った時も、「角度」と思う人もいれば、「温度」と思う人もいる。

ES(従業員満足)が先かCS(顧客満足)が先かということもそれぞれ解釈が多様です。

こういった固定概念が原因の解釈の違いと、意志決定をしている人や組織の意図や心の中を想像しようとする思考習慣を多くの人は持っていない。ゆえに確認や質問すらせずに一方的に「間違っている」と思い込む。

このような「自分の判断基準が絶対に正しい」と思っているから生じる摩擦が組織の大体の問題なのです。過去、ベンチャーとはフェーズが異なる誰もが羨む優良企業に在籍していた人や相応に成功体験や年齢を重ねた人ほど、この傾向が顕著になります。

シード及びアーリー、新卒の比重が多い、あるいはビジネスモデルがシンプルな会社は一般的に人材が同質化する傾向にあり、こうした問題は起こりづらいわけです。

ただ、組織にダイバーシティーが広がれば広がるほど、このような問題は大きくなります。当社には19カ国位の国籍の方がいて、シニアから若い人まで、女性比率も40%近く、シングルマザーやワーキングマザー、また大企業出身の方から中小企業、コンサルから金融まで、色々な人が入り混じっている。

ですから、我々が気をつけているのは、これをどうやって防ぐか、人事制度及び評価システム、毎週或いは毎月の全体の会議、また社内のあらゆるコミュニケーションツールを使って埋めていくことを意識しています。例えば私達代表3人は、毎日全社員に対してメッセージを綴っていたりします。

この意思決定は、こういう文脈、こういったコンテクスト、こういった意図で行なっているんだということを伝えています。

実際、先程のけん制という話もそうですか、最終的に仕事ができる人はコンパッションや、相手の心を推察する力が高い、あるいは理解が不足している自分に気づきそれを埋めることができる人だと思っています。

それが市場であれば市場、お客様であればお客様、部下であれば部下、上司であれば上司、我々はコンパッション溢れる人材を採用育成するというテーマがあります。

嶺井 ありがとうございます。

では最後に吉田さん、過去の失敗談とそこから活かしていることを教えて下さい。

クラウドワークスの「社長抜き経営合宿」

吉田 先程の経営会議を進行している中で、私自身が正に内省反省の真っ最中です。

「すごい会議」の中で教えられたのは、怒りや悲しみの9割は合意されていない期待によって引き起こされているというようなことです。

結局今、社員や役員から私に対してフィードバックがあることというのは、基本的には過去全て私自身が何らかの合意されていない期待に起因する感情や怒りをぶつけた結果、それが帰ってきているものという訳です。

だから、今まさに失敗について反省している最中といいますか…。

ちょっと暗くなりそうですね。(笑)

嶺井 (笑)

吉田 でも、それを社長が受け止めたということ自体が、役員社員からすると本当に前に進む力になるようです。

嶺井 昨年(2016年)吉田さんがそれを受け止められて、経営会議からもあえて距離をとっていると。

吉田 はい。

昨年(2016年)少し有名になった「社長抜き経営合宿」ですね。

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嶺井 社長抜きの経営合宿。

吉田 成田から「経営合宿がしたいのですが、吉田さん以外のメンバーでやりたいです」と言われました(笑)。

(会場笑)

嶺井 それは言われるとへこみますね。(笑)

吉田 でもそのことを今考えると、成田なりに、両方の合意形成を図るというか、チームを作る上で、あの時考えた彼の最善だったし、私はそれを受け入れて1日合宿が私抜きで行われた訳です。

合宿を通して自分達で話し、自分達で考えたらこうなったということにより、その後実際に経営をしてみて、そこでの成功、失敗が出てきました。

そこから年末年始の「本読み合宿」に向けて対話を行い、自分たちなりに考えて実行した結果、私と話すという形になってきました。

本当にこの1年かけて自分達でやってみる、そして融合し、対話をし、先程も話しました「合意されていない期待によって引き起こされていた怒りや悲しみ」を共有して、ここから未来に向かって頑張っていくんだという圧倒的な目標を掲げています。

Googleでいうところのムーンショットのような目標を、「本当にそれでいいの?」と社長がびっくりするくらい、自分が提示するよりも高い目標を部長や役員自身が掲げ、皆でワクワクしながら追い始めているという状態です。

嶺井 素晴らしい。

吉田 本当にこれは小渕さん(小渕宏二氏、CROOZ株式会社代表取締役社長)に感謝なのですが。

そんな感じで、今事業を行なっています。

嶺井 わかりました。

ありがとうございます。

(続)

続きは 【最終回】創業社長の暴走を止める周りを作るには? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鎌田 さくら

【編集部コメント】

FiNC溝口さんは「コンパッション」と表現されているところ、いま話題の「忖度」でタイトルにしてみました。話題の事件がなければ、ほとんどの方が読めなかったであろう「忖度」、流行語大賞になるのではと勝手にここで予測しておきます。続編もご期待ください。(榎戸)

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