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リーダーがすべきでない事は何か?【K17-5A #7】

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「リーダーのもっとも大切な仕事とは何か?」【K17-5A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その7)では、リーダーが「すべきでないこと」についてユーグレナ永田さんとベイン奥野さんに語っていただきました。石川善樹さんの話も必見です!是非御覧ください。

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ICCカンファレンス KYOTO 2017のダイヤモンド・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。

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【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 5A
リーダーのもっとも大切な仕事とは何か?
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)

(スピーカー)

石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者

奥野 慎太郎
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
マネージング ディレクター (日本代表)

永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当

山口 文洋
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
代表取締役社長

(モデレーター)

琴坂 将広
慶應義塾大学
准教授

「リーダーのもっとも大切な仕事とは何か?」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】リーダーのもっとも大切な仕事とは何か?【K17-5A #1】

1つ前の記事
敵をも巻き込んで社会を変えるリーダーシップ論(リクルート山口)【K17-5A #6】

本編

琴坂 少し角度を変えた質問の仕方をしてみたいと思います。

これまで大切な仕事は何かという聞き方をしてきましたが、逆にリーダーとしてしてはいけないこと、するべきではない仕事は何かと問われたら、どのようなものを思い浮かべますか?

石川 それは不倫とかそういうことではなくてですよね(笑)。

(会場笑)

琴坂 多分それは人として、いけないことかと(笑)。

「リーダーとして」に限定してお願いします。

石川 分かりませんよ!

国によっては多夫多妻制ですから、国王も含め、不倫という概念がないところもありますし。

まあそれは置いておいて、リーダーは何をしてはいけないのか?ですね。

琴坂 そうです。すべきではない仕事は何でしょうか。

リーダーはゴールへ自分で蹴らない

永田 僕は1つこれだなと思ったことがあり、それは「(自分で)ゴールを決めない」ということです。決めないというか、手柄を取らない、Get Goalしないという意味ですね。

自分のリーダーシップに関してはそう思っています。

自分自身が経営者、またはリーダーとして成長したなと思ったタイミングがあったのですが、それは自己のレピュテーション、社会的レピュテーションを気にしなくなった時だったんですね。

琴坂 手柄を(自分で)取りにいこうとしないと。

永田 そう、手柄を取らないということです。人はつい、これは自分がやったことだと言いたくなるんですよね。

琴坂 確かに。

永田 僕は組織が勝っていることで、自らが満たされる状況にいかに持っていくかということが非常に重要なことだなと思っています。

それは、つまり自分ではない誰かが点を決めているという状態なのですが、リーダーシップを取っているチームのメンバー以外がその役を担うようになるというのは、極めて大切なことです。

それが全体最適につながるのではないかと思っています。

例えば、僕は一応CFOではありますが、CFO勉強会というのが周りで開かれているのですけど、行きません。

琴坂 行かないのですか?

永田 僕よりも年長の、管理を担当している部長がCFOとして、ユーグレナの顔として参加します。

バイオ燃料事業は僕が責任者ですが、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のとてもイベント性の高い発表がある時にも、その部長を出席させます。

「これは私たちがやっていることです」と、どのように言わせてあげられるかを考えています。

報酬の面でもそうですが、やはり自らはパブリックというか、公の存在であって、個別の事象に関して点を取りにいかないかということが、リーダーとして自分でやらないようにしている仕事かなと思います。

琴坂 逆にいうと、スタッフの皆さんをエンパワーするというか、チームのメンバーに光を当てていく仕事になるということですよね。

永田 そうですね。とにかく個人の勝利ではなくて、組織の勝利に満足感を得られるような仕事ぶりをリーダーとしていかに行うかということが大切だと思っています。

琴坂 なるほど。奥野さん、山口さんはどうでしょうか。

他人をジャッジしていくと脳が壊れる

石川 僕は予防医学を研究していますが、最近、面白い研究結果が出ました。

なぜCEOと呼ばれる人たちというのは、性格が破綻している人が多いのだろうかと疑問に思った人がいます。調べたところ、人というのは面白くて、権力を行使し始めると、脳が壊れていくんだそうです。

どこが一番壊れるかというと、ミラーリングという、この人は何を思っているのかな、何を感じているのかなというように、人の気持ちや考えを読んだりすることが権力を行使すれば行使するほど、できなくなるというような結果が出たんですね。

琴坂 逆の因果ではなくて、つまり既にその部分が壊れている人が権力を行使するのではなくて、権力を行使すると壊れるのですか?

石川 そう、壊れていくんです。

今までは、その因果がどちらか分かっていなかったのですが、その研究によると、権力を行使することによって、壊れていくと。

権力を行使するというのは、もう少し分かり易く言うと、人を区別する、ジャッジするということだと思うんですね。「あいつは使える」、「使えない」など。

僕は大学で部活(ラクロス)をやっていたのですが、ソノダくんという同級生がいて、おとなしい子だったのですが、彼が4年間の部活生活で、1度だけ激怒したことがあるんです。

大学4年生の秋だったのですが、ソノダくんが「人をジャッジするんじゃない!」と怒ったんですね。

僕らは最上級生として、こいつはプレーが上手くて使えるな、使えないなというような会話をしていたんですね。あいつはデキる、デキない、というような感じで。

その、人をジャッジするという姿勢を、ソノダくんに滅茶苦茶怒られたんですね。

それを機に、これはもう、人として生きていくうえで、そういうことは絶対にやめようと思ったんです。ジャッジしていくと、チームが壊れると。

あれだけジャッジしないと言っていたソノダくんは、いま裁判官になって、「ジャッジ」しているんですけどね!

(会場爆笑)

どういうことやねん!と思うんですけれども。

一同 (笑)

石川 一応オチを付けておきました!次の方どうぞ!

奥野 固有名詞が出た辺りから、何かそんなオチになるんじゃないかなと予感していました(笑)。

琴坂 (笑)気を取り直して奥野さん、どうぞ。

リーダーは人に好かれようとすべきでない

奥野 人に点を取ってもらうというか、花を持たせるというか、永田さんがおっしゃっていることはその通りだと思います。

それに非常に関係すると思うのですが、好かれようとしないとことが大事だと思います。

最初にリーダーの定義とは何かという提起もありましたが、リーダー、企業経営者、特に我々がお客様として接することの多い大企業の経営者は、やはり寂しいんですよね。

ほとんどの場合、それまでは基本的にサラリーマンとして働いてきて、先輩、上司、部下がいて、彼らやお客様と飲みに行ったりだとか、仲間がいました。それが、突然独りきりになり、株主からは詰められ、社内からは話を聞いてくれないと言われ……。

石川 家に帰っても怒られたり(笑)。

奥野 そう、家に帰っても怒られるし、子どもも口をきいてくれなくて、といろいろなことがありますよね。

基本寂しいんですよね。

琴坂 リーダーは寂しいと。

奥野 そこの中で、少しいい顔をしたくなりがちなのですが、そこで誰かにポイントを稼ごうとし始めると、少し良くないかなと。

もちろん、ステークホルダー・マネジメントと矛盾しない範囲でやらないといけませんが。

琴坂 なぜ好かれようとすると駄目なのでしょうか。

奥野 やはりエゴが出るからでしょうね。

自分が好かれるためにこうすればいいというパーソナル・アジェンダと、会社の発展だとかチームのためにすべき行動は、矛盾することがあると思います。

琴坂 なるほど、つまり好かれようとするのは自分のためであろうということですね。

奥野 そうです、会社が好かれるのではなくて、「私個人」が好かれたいという意識が働いてしまうのです。

たとえばタフな意思決定が求められる場合に、自分の任期があと2年しかないのであれば、決めなければいいですよね。決めると嫌われるわけですから。

琴坂 自分のレピュテーションを優先したらそうなりますね。

奥野 自分が嫌われないようにするためには、たとえそれが正しいことであったとしても、まあ待ちますよね。

そのような判断が働くので、嫌われないようにということはあまり考えるべきではないというのが1つあるかと思います。

琴坂 それは逆にいうと、無私であれというか、組織全体の目標であったり、社会全体の目標のために自分を捧げろというメッセージでもあるわけですよね。

奥野 そうですね。

経営のシステムを言い訳にするな

奥野 もう1つは、それとも非常に密接に関係すると思うのですが、もちろん公序良俗に反しない範囲においてですが、ルールだとか、コーポレートカレンダーのようなものに過度に縛られ過ぎないようにすることだと考えています。

何月になったら予算を作って、何月になったらこういうことをやってというようなことに縛られ過ぎると、それを言い訳にして、こうこうこうだから今これをやらなくてはいけないでしょ、という話になり、また人のせいにし始めます。

あまりそこに囚われ過ぎないようにしたいと。

それを変えられる人というのはリーダーしかいません。サラリーマンはこれを変えられませんから。

琴坂 つまりそれは、システムを言い訳にしないということですね。

奥野 システムを言い訳にしません。たとえば月に1回しか経営会議がないとして、次回は2週間後の月曜日だとします。

過ぎてしまったのだから次の会議を待ちなさいというのではなく、「今日案件があるのだったら、俺が今日決めてやる」と言えるのはリーダーだけですよね。

琴坂 確かに。

奥野 そういう意味で、月次のカレンダーや週次のカレンダーに縛られ過ぎないようにしたいと。

正しいと思うことであれば、今日それを自分が決めることによって嫌われたとしても、実行できるかどうかが試金石になるかと思います。

そこでカレンダーを言い訳にしないということです。

琴坂 確かにそうですね。

琴坂 今の話を踏まえて、山口さんはどうでしょうか。

(続)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

「リーダーがすべきこと」と「すべきでないこと」の二つの面から議論というセッション全体の設計ってすごい面白いですね。自分も議論をモデレートする立場になった時に使いたい手法です。(横井)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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