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リーダーは「仮面をつけていない自分」を見つけることが大切(石川善樹)【K17-5A #10】

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「リーダーのもっとも大切な仕事とは何か?」【K17-5A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その10)では、参加者からの質問を受け付け、会社全体の「個性」をどうやって作るのか?といった議論をしました。ぜひ御覧ください。

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ICCカンファレンス KYOTO 2017のダイヤモンド・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。

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【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 5A
リーダーのもっとも大切な仕事とは何か?
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)

(スピーカー)

石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者

奥野 慎太郎
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
マネージング ディレクター (日本代表)

永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当

山口 文洋
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
代表取締役社長

(モデレーター)

琴坂 将広
慶應義塾大学
准教授

「リーダーのもっとも大切な仕事とは何か?」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】リーダーのもっとも大切な仕事とは何か?【K17-5A #1】

1つ前の記事
経営者になる人は自分の「リーダーシップの旅」に出ろ【K17-5A #9】

本編

琴坂 ここで会場からもぜひ質問を受けていきたいのですが、かなり激しい議論が交わされた中で、いかがでしょうか。

ご質問がある方は、所属、お名前をおっしゃっていただいた後で、ぜひ質問をしてください。

質問者1 貴重なお話ありがとうございました。

ヤマシタコーポレーションの山下と申します。

リーダーシップは先天的なものか否かというお話、そして非常に過酷な場所にポテンシャル人材を置いて、その人が成長できるかによってリーダーシップが発揮できるかどうかが決まるというお話をいただいたと思います。

自分の境遇も少し変わっていまして、25歳の時に父が交通事故で亡くなり、社員2,000人の会社の社長に急になったのですが、そういった境遇の人はなかなかいないですし、そこに耐えられる人と潰れてしまう人とで結構分かれると思っています。

自分自身でもよく分からずここまできてしまったので、そういった人を見極める方法というのがもしあれば、今後のためにぜひ教えていただきたいのですが、アドバイスをお願いします。

琴坂 つまりリーダーとしての才能を持つような人を見極める方法ということでしょうか。

質問者1 社員を潰れないようにしたくて、潰れそうな時はある程度手を差し伸べるのか、1度別のポジションに移すのであればそのタイミングをどのように図っているのか、などがあると思います。

事前に選定して拾ってあげるタイミング、もしくはまだもう少し頑張れと言ってあげるようなタイミングを、皆さんはどのように考えられているのか、ぜひ教えていただきたいなと思い、質問させていただきました。

よろしくお願いします。

リーダーに大事なのは、苦労を乗り越えているか

琴坂 どうでしょうか。

石川 山口さんがおっしゃっていた、ポテンシャルをどう見極めるかという話に近いんですかね。

山口 そうですね。僕も、永田さんと一緒で、32歳までリーダーになったこと、人をまとめる先頭に立ったことがなかったので、それまで自分はフォローワ―だと思っていたんです。

こんな自分でもなれるんだと。

ただ僕は、少年期、青年期、までのポテンシャルの中で、大事なことは、実は輝かしいトラックレコードではないと考えています。

そこまでに経験した出自的なもの、片親だったとか、貧乏だったとか、家が倒産したというような外的な環境要因や、何かに挑戦して、死にたいくらいの失敗や挫折を経験した、もしくは失恋をしたというような内的要因なのか、つまりハングリーなところから、何度も立ち上がってくるというか。

石川 若い時に苦労を乗り越えているということですかね。

リクルートの採用面談で聞く質問とは?

山口 そう、苦労を乗り越えているかどうか。

ですから、リクルートの新卒や中途の面談では、会社に入って何やりたいかなどという将来のことは全然聞かないんですよ。

これまで一番夢中になってやったことの中で、特に失敗や挫折があったら、そのエピソードを聞かせてください、と問うのが一番なんですよ。

石川 それをどう乗り越えたのかという点が問われると。

山口 少年期、青年期にどれだけ負荷に耐えて過ごしてきたかですね。

そのような感じです。

いきなり社員2,000人の会社の社長になるというのはかなりの修羅場ですよね。

どこまでいい具合のアスピレーションというか、ストレッチした修羅場に置くかというのは方法論としてあるかと思います。

石川 山下さんが、リクルートに来たら採用されますね。

山口 もう採用ですよ、すぐに採用です。

質問者1 その時はよろしくお願いします(笑)。

石川 いつでもリクルートに!

質問者1 ありがとうございました。

琴坂 他の質問はいかがでしょうか。

では、ぜひ後ろの方。

質問者2 面白い話をありがとうございました。

NPO法人 e-Educationの三輪と申します。


三輪 開人
特定非営利法人e-Education
代表理事

1986年生まれ。早稲田大学在学中に税所篤快と共にNPO、e-Educationの前身を設立。バングラデシュの貧しい高校生に映像教育を提供し、大学受験を支援した。1年目から合格者を輩出し「途上国版ドラゴン桜」と呼ばれる。大学卒業後はJICA(国際協力機構)で東南アジア・大洋州の教育案件を担当しながら、NGOの海外事業総括を担当。2013年10月にJICAを退職してe-Educationの活動に専念。14年7月に同団体の代表理事へ就任。これまでに途上国14カ国8000名の中高生に映像授業を届けてきた。2016年、アメリカの経済誌「Forbes」が選ぶアジアを牽引する若手リーダー「Forbes 30 under 30 in Asia」に選出される。

私も実は創業者から経営を継ぐ立場になったのですが、その時に「個」として大事にすべき部分と、いわゆる経営者の役割というところで、非常に悩み、今も悩み続けているような部分があります。

山口さんから信念を持つことという話がありましたが、これはどちらかというと個寄りの話なのかなと思う一方で、永田さんがおっしゃるファンクションのお話は、もしかしたらその次のリーダーへも継承されるものなのかなと思いました。

そこで、お二人が考える個としての、もしくはファンクションとしてのリーダーというところのバランスのとり方について、もし意識されていることなどがあれば、ぜひ教えていただきたいです。

琴坂 どうでしょうか?

会社として1つの「個」を出したい

山口 ちょっと話がそれますが、僕は実はインセンティブとか、モチベートというような言葉が嫌いなんですね。

本当に最高の企業であるとするならば、たとえばリクルートの場合は労働集約な会社だったりもするので、どれだけ人的生産性を最大化するかが問われます。

その人的生産性の最大化というのは、一人ひとりの内発的動機を高めてそれを維持し続けるというような、やりたいという気持ちが高まったところで一丸となっている状態だと思うんですね。

だから僕は、人をモチベートするのではなく、シンクロさせようと思っているんです。

自分の事業や会社を語る時にも、「私はこうしたい」という一人称で語りながらも、その一人称の裏に、経営陣、もしくはメンバーの思いが常にシンクロしているという状態をどこまで作れるかなと思っています。

ですから絶対に、従業員全員と年に1、2回、自分たちのビジョンを各々の言葉で千何百人で語り合う場や、3ヶ月に1回、丸1日かけて、経営陣と軌道修正してもう1度自分たちの目線を合わせる場、シンクロさせる場というものを非常に大事にしています。

言い換えれば、会社としての1つの個を出せるような、組織活性であるとか、組織マネジメントにとても力を割いています。

社員全員に共通のフィロソフィーを持ってもらう

永田 まさに同じような話ですが、多分「個」というものに付随している日本語は「性格」かもしれませんが、ファンクション、組織に紐づいているのは、「カルチャー」や「文化」なのかもしれませんね。

弊社には創業メンバーを中心として4人の役員がいるのですが、部長クラスは80%が上場後に入った人たちなんですね。

そうなると、皆がそれぞれに、いろいろな成功体験を持ってやってくるわけです。

取締役会に部長全員が参加していますが、やはりそこで、いかにファンクションをカルチャーたらしめるかというのは、やはり意識の共有化しかないなと思っています。

たとえば、会議の場のみんなの雰囲気がAでいいのではないかという時に、役員が異口同音でBだと言うことがあるんですね。

その連続性によって、現場のメンバーも段々、意思決定時にAよりもBへと変わっていくという経験をしているので、そのようにファンクションとしてBを選択するカルチャーになっていれば、たとえ2割が入れ替わっても、その人たちも影響を受けてやはりBに変わっていくのだろうと思います。

そのような組織としての対応というのは、まさにカルチャー作り、共通したフィロソフィーを持つとか、言葉にしなくても分かりあえるものをいかに作っていくかということが一番重要だと考えています。

リーダーシップを日本語に訳すなら「役者」

石川 少しいいですか?

今の三輪さんのお話を伺っていて、創業者でじゃなくて継いだ立場なので、経営者という仮面と、そうでない自分の個としての仮面と、ある意味役者のようにいろいろな仮面が実はあるのだけれども、そのギャップに苦しんでいるということなのかなと少し思ったんですね。

もし、僕がリーダーというものを日本語に訳していいと言われたならば、多分「役者」と訳すると思います。

その場その場で求められるリーダーシップは大いに異なりますから、いろいろな仮面をつけないといけないと思うんですね。

最近、特にヨーロッパですね、ヨーロッパの経営者は、役者にリーダーシップを学ぶことが多いそうです。

何を学ぶかというと、役の演じ方ではないんです。

リーダーというのは、いろいろな仮面をつける必要があるから、「仮面をつけていない自分」というものを見つけることが大事だと。

それがあると常にそこに立ち戻れるから、また新しい仮面がつけられると。

どう演じるかではなくて、演じていない自分は何なのかということを、ヨーロッパの経営者は最近役者に学んでいるらしいんですよね。

琴坂 なるほど。

質問者2 ありがとうございました。

琴坂 もう時間になってきてしまいました。ものすごい勢いでしたからね。

石川 今日はもう続けて行っちゃいましょう。

琴坂 では最後、もう1人質問をどうぞ。

(続)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

リクルートの新卒採用面接を受けたことがありますが、確かに将来何をしたいかは全然聞かれなかったですね。夢中になったことや乗り越えた逆境について質問された覚えがあります。(横井)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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