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「愛だよ、愛。愛されるコンテンツ/サービスを創る」8回シリーズ(その7)は、“1億円を自由にサービスを使えたら何をするか”がテーマ。クラシコムの青木耕平さんは「どう損するか」を考える必要があると語ります。その真意とは?ぜひご覧ください。
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ICCサミット FUKUOKA 2018のプラチナム・スポンサーとして、株式会社リクルートマネジメントソリューションズに本セッションをサポート頂きました。
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018 は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2018年2月20日・21日・22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 2F
愛だよ、愛。愛されるコンテンツ/サービスを創る
Supported by 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
(スピーカー)
青木 耕平
株式会社クラシコム
代表取締役
青木 優
株式会社MATCHA
代表取締役
明石 ガクト
ワンメディア株式会社
代表取締役
(モデレーター)
浜田 敬子
BUSINESS INSIDER JAPAN
統括編集長
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▶「愛だよ、愛。愛されるコンテンツ/サービスを創る」の配信済み記事一覧
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最初の記事
1.愛されるコンテンツ/サービスの創り方を徹底議論!
1つ前の記事
6.コンテンツへの愛とビジネスとのバランスをどのように取るのか?
本編
浜田 全然違う観点なのですが、クラシコムの社員の皆さんは18時に帰るんですよね?
コンテンツを作っていると時間がどんどん経ってしまって、私たちもそんなにブラック企業みたいにならないように働こうと言っていますけど、ニュースは夜中にも起きるのでどうしても作業してしまう。
コンテンツを作っているメディアで18時に帰れることはすごく珍しいと思うのですが、どうやってやっているんですか?
なぜ、クラシコムでは6時に退社できるのか?
青木耕 18時までにやれるものだけでやっているということだと思います。
我々でよくあるケースでは、リスケ要求が何の抵抗もなく受け入れられるということですね。
今日出すはずのものが、「ごめんなさい、今日は無理なのですが」と言われて、「ああそうなんだ、以上」みたいな感じです。
もちろんベースラインに色々あって、それは僕たちが早い段階からシステムに対して投資していて、大半の作業が圧倒的に自動化されている状況があります。
さらに、採用で年間1,000人ぐらいから応募があってだいたい上位1.5%ぐらいを採用しているので、基本スペックが非常に高くて、カルチャーフィットもあるので、そもそもその人がリスケ要求しているなら仕方がないでしょうという理解もあります。
浜田 生産性も能力も高い人が言うのですもんね。
青木耕 それでもできないと言っているのに、お前なんでできないんだって言ったって意味がありません。
できないんだねということに結果的になるけど、その前に生産性の高い道具が用意されていて、生産性の高い人を雇っているという前提がまずあります。
もう1つは先ほどの話と我々が違うのは、我々は1日目から利益が出ているんです。
実はかなりお金で投資ができている部分があって、制作費用を相当かけています。
18時に帰れる体制が作れているということで、別に僕らがめちゃくちゃ能力があって、魔法みたいな方法を使っているというよりは、18時まででできないものは諦めていて、そこで最大限になれるようにヒト・モノ・カネをそれなりに積んでいるということです。
浜田 そこの境地まで早く行きたいのですが。
あと15分なので、会場からも質問を受けたいと思います。
愛あるサービスのために1億円を投資するなら?
質問者1 たとえば今キャッシュ(現金)が1億円あって使っていいとなった時に、愛のあるサービスにするために何に投資しますか?
青木耕 利益がある程度出ているという状況を前提にすると、その1億円は要らない1億円というか、どう損してお客さんに見せるかということだと思います。
「どう損をするか」というのはすごく重要なことで考えていて、人は損をしている人を見る時に感動するからです。
つまり得してそうな人を見て感動する人はあまりいなくて、たとえばオリンピックがあんなに感動するのは、大半の選手がそんなに頑張ってもそんなに得しないからじゃないですか。
あれが出るだけですごくお金が儲かる、金メダル取れる人はそうかもしれないけれど、取れない人を含めて出場しただけで全員1人5,000万円ずつもらっているとなると、全然感動しなくなると思います。
1円も儲からないのにあんなに頑張っているという姿が美しくて、コンテンツ性が高いと考えた時に、企業としてどのように収益の中から上手に損することを見つけるかは大事だと思います。
ニコニコ超会議はまさにそうで、すごく上手に損をして、見せているからこそ、コンテンツとして素晴らしく見えます。
僕がまず考えるのは、お客さんが喜ぶことで僕らが損して見えることは何だろうかという問いをまず立てると思います。
その時に僕らが今まで色々考えてまだやっていないことがあるとすれば、たとえば、僕らは今月間で(売上高が)2億円ぐらいのビジネスをしているので、通販だったら毎月2,000万円ぐらい広告費にかけてもいいところが1円も広告費がかかっていない点でしょうか。
だとすれば月に200万円赤字を許す、お客さんしか来られないカフェみたいなものを全国に10店舗作ったらどうなるだろうと思います。
それは損をしているのですが、一方ではニュースバリューもあるし、広告みたいな形で機能するのであれば十分ペイするのではないかと考えて、要するに見かけとしてはあいつら狂ってるな、損しているなと思われて、裏側では辻褄が合っている何かを一生懸命考えると思います。
動画産業に貢献したい
明石 耕平さんが言ったことは、いわば投資じゃないですか。
上手に損する、将来的に返ってくるものに使うということだと思うのですが、僕はちょうどまさに去年の年末に資金調達したから現預金が数億円あります。
▶参考: ONE MEDIAがB Dash Ventures、グリーから総額約3.5億円の資金調達を実施(PR TIMES)
僕らはきちんと利益が出るモデルになっているから上手に損しないといけません。
耕平さんが言ったことは自分たちのユーザーに対するロイヤリティを高めることなのですが、メディアビジネスの場合、そこでフォロワーを買いますというのはすごくダサいことの1つだと思っています。
そうではなくて、僕は動画をやっているから動画産業というものに対してきちんと貢献しなければいけません。
Netflixはハリウッドで非常に愛されているんです。
Netflixは一見ハリウッド的な産業の敵だと思われてしまうのですが、彼らにハリウッドのクリエイターたちが協力して色々作品を出しているのは、Netflixは他のSVODよりもクリエイターへの支払いが良いからなんです。
映像を作るコミュニティに対する貢献度が高い。
そういうことをしなければいけないと思っています。
MATCHAの読者にプレミアムな体験をしてもらいたい
青木優 自分たちもやるとしたら場所・空間づくりだろうなと思っています。
外国の人が日本に来る際の体験を良くするというのがメディアの価値だと考えているので、接点を作りたいというのがまず一番にあります。
浅草にオフィスがあるのですが、歩いて2、3分で浅草寺があり、またゲストハウスも近いのでその辺りでユーザーヒアリングしています。
実際自分たちでオフィス以外に場所を持っていないので、新たな場所を持てたらなというところで、MATCHAの社員が毎日のように海外の人と会って、ここをこうしたら良いよねという話し合いができたらいいなというのが1つ目です。
あとは弊社は株主として星野リゾートに支援頂いているのですが、星野リゾートは全国に37ヵ所あって、その全てでそれぞれ1部屋ずつもらっても良いかなと思っています。
そこを買ってしまって好きなようにできるという状態にして、MATCHAがあるからこそ、そこに行くという状態を作ることができたら良いなと思います。
浜田 MATCHAの読者プレミアムな体験にするということですね。
青木優 そうですね。
(続)
次の記事を読みたい方はこちら
続きは 8.メディアビジネスの規模と収益の関係性について徹底議論【終】 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/戸田 秀成/浅郷 浩子/本田 隼輝/尾形 佳靖
【編集部コメント】
私はバイオテクノロジーや医療ITに興味があるので、1億円あったらその分野での展開を目指す日本の皆さんと世界中のバイオ・医療産業トレンドを取材・体験するツアーを企画して、その様子をレポートできたら面白いなと思いました!(尾形)
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