離職率20%以上から「働きがいのある会社」1位に! VOYAGE GROUPが実践したモチベーション開発【K16-4A #3】 – INDUSTRY CO-CREATION

離職率20%以上から「働きがいのある会社」1位に! VOYAGE GROUPが実践したモチベーション開発【K16-4A #3】

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「ハイ・モチベーション組織の構築」【K16-4A】のセッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その3)は、VOYAGE GROUP宇佐美さんやfreee佐々木さんに、「どういったモチベーションの源泉を駆動力とした組織開発をしているか?」についてお話し頂きました。是非御覧ください。

ICCカンファンレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級の招待制カンファレンスです。次回ICCカンファレンス FUKUOKA 2017は2017年2月21〜23日 福岡市での開催を予定しております。

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登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 4A
「ハイ・モチベーション組織の構築」
(スピーカー)
宇佐美 進典
株式会社VOYAGE GROUP
代表取締役社長兼CEO
佐々木 大輔
freee 株式会社
代表取締役
佐藤 光紀
株式会社セプテーニ・ホールディングス
代表取締役社長
曽山 哲人
株式会社サイバーエージェント
執行役員 人事統括本部長
(モデレーター)
麻野 耕司
株式会社リンクアンドモチベーション
執行役員

その1はこちらをご覧ください:組織のモチベーションを高める難易度と重要性が高まっている(リンクアンドモチベーション麻野)【K16-4A #1】
その2はこちらをご覧ください:「ハイ・モチベーション組織の創り方」”働きがいのある会社”の取り組み【K16-4A #2】


麻野 ありがとうございます。

それでは、本題に入っていきたいと思います。

それほど沢山の質問を準備している訳ではありませんので、もしお互いに聞かれたいことなどがありましたら、インタラクティブにディスカッションを盛り上げて頂ければと思います。

モチベーションの源泉とは何か?

まず、社員のモチベーションを上げるために最も大切なことは何でしょうか。

モチベーションという言葉はかなり広義ですので、私なりに定義をする場合、「テンション」、つまり「気分」と対比すると少し分かり易いかなと思いました。

一方で、「モチベーション」には必ず何らかの対象があります。

そういう意味では、「社員のモチベーションを上げるために最も大切なことは何か?」という問いは厳密に言うと成り立ちません。モチベーションの対象は様々ですからね。

例えば、Aという仕事に対するモチベーションは高いけれども、Bという仕事に対するモチベーションは低いということもある訳です。

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経営者としては、社員が自分の会社で働くということに対してのモチベーションや、その先のコミットメントを得ていくことなどが大切なのかなと思っています。

「モチベーション」を「働きがい」という風に言い換えてもいいかと思います。

(編集注:リンクアンドモチベーション麻野さんは2016年3月24日のICCカンファレンス TOKYO 2016で行った特別対談「高いモチベーションで働く組織の秘訣は何か?」の中で以下のように説明しています。

モチベーションは、対象に対する自分の優先順位とかエネルギーのことです。仕事へのモチベーションは低いけれど、プライベートへのモチベーションは高いという場合はありますよね。

組織で仕事をするということに対するモチベーションの源泉は、「4P」と呼ばれる4要素で構成されてると言われています。

1つ目は「Philosophy(理念・目的)」、2つ目は「Profession(仕事・事業)」、3つ目が「People(人材・風土)」、4つ目が 「Privilege(特権・待遇)」。

大学生になってサークル選びをするとします。どこのサークルに入るかというのは、どのサークルに最もモチベーションを感じるかという話なんですね、そこに入るわけですから。

「私はバレーボールが好きだから、バレーボールサークルに入ろう」というのは、「Profession」に魅力を感じているということですね。

次にバレーボールサークルでも日本一を目指しているところと和気あいあいとやっているところがあって、「私は和気あいあいとやる方がいいな」というのは 「Philosophy」ですね。何を目指しているか。

同じ和気あいあいとやってるバレーボールサークルでも、「このサークルの人の方が、あのサークルの人たちよりも肌が合うな」というのは「People」ですね。

最後に、「でもこちらのサークルの方が就職に有利だな」となるのが「Privilege」ですよね。

モチベーションというのはこの4つの要素で変わりますよね。

会社によってどこでバインディングして(束ねて)いるかは別なわけですよ。

(引用 終わり)

ご登壇者には、それぞれの会社で、社員がどんなモチベーションで働いているのか、社員にどんな働きがいを持ってもらうように意識をデザインしているのか、などについて伺ってみたいと思います。

宇佐美さん、2010年に色々と見直された際には、こんな組織にしようとか、こんなことを大切にしようといったことを考えられたと思いますので、そのあたりの話をお聞かせいただけますか?

VOYAGE GROUPのモチベーションの源泉

宇佐美 先ほどのスライドにもありましたように、2010年に、会社の中を丸ごと入れ替えるということを行いました。

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ここに「働きやすさ」「成長機会」「熱い仲間」とありますが、実はこれ、僕が会社を作るときに重視していた考え方を、左から順番に3つ挙げたものです。

VOYAGE GROUPは、元々、自分が新卒だったら働きたい会社にしていこうという思いで作りました。

一番最初の頃というのは、働きやすさ、といういわゆる環境要因、つまり、オープンさであったり、フラットさであったり、そういった組織にしていきたいと考え、それを実践していきました。

でも、それだけだと組織としては物足りないので、会社の中で、個人としてもどんどん成長していけるような成長機会も作っていこうとするようになりました。このような取り組みによって会社としては成長していったのですけれども、ある一定のところで限界が見えてきました。

そこで3つ目の要素を考えていく中で、自分にとって誰と働くかということがすごく大事だと思い、アツイ仲間をどう集めていくのかという採用の部分にこだわりを持ってやっていこうということ決めて、これらの3つの要素をどんどん積み上げていった結果、組織の様々な見直しにつながったように思います。

麻野 ありがとうございます。

お話を伺っていて、「自己成長」「仲間」「組織」といった、「人」寄りなところでの共感性が強いのが特徴的だと感じました。

事業のところが含まれていないのだなと思ったのですが、そのあたりについては、どのように考えられていますか?

宇佐美 我々が最初に立ち上げたサービスが、「MyID」という懸賞サイトなんですよね。

正直、懸賞サイトを魅力的に伝えるのはすごく難しかったんですよ。

freeeさんのように、スモールビジネスを元気にするといった非常にビジョナリーな事業であればよいのですが、初期の頃、我々の取り組んでいた懸賞サイトというメディアは、売上や利益は伸びる半面、なかなかビジョナリーには語りにくい部分がありました。

本来であれば事業やプロダクトのビジョンなどを、採用時や社内でメッセージとして伝えられる方が良いのですが、なかなかそれをやりにくい状況であったたため逆にそうではないところに振り切って、こういうところ(「人寄り」なビジョン)を対外的に打ち出しています。社内的にも同じようにしています。

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麻野 会社というのは、大きく分けると、特定の事業のミッションを成功させるのだという「事業・ミッションドリブン」のモチベーションを持っている会社と、こういう組織でやるのが好きなんだ、といった「組織ドリブン」で動いていく会社とがあると思います。

それに関して、実際に経営される中でメリットやデメリットを感じられることはありますか?

例えば、採用の時に「事業ドリブン」の会社は強いなといったことなどがもしあれば、伺ってみたいと思います。

「事業開発会社」

宇佐美 事業ミッションで経営されている会社は、非常に羨ましいですね。やはり強いなと思います。

とはいえ一方で、会社の規模も大きくなり、事業のバリエーションも増え、ある意味ポートフォリオ経営になってくると、単一事業のビジョンだけでは会社全体を現すのがとても難しくなってしまうですよね。

そういう状況の中、自分たちの事業内容を見直していた2010年頃に、「事業開発会社」というキーワードを見つけたんです。その際に参考になったのが、総合商社という存在でした。

商社は中小企業の集まりだという風にも言われますが、特に新卒採用時に「どこに行くの?」「商社!」といった会話で分かるくらいに、「商社」というワードが認知されていますよね。

同様に、我々もサービスや事業の内容などを説明するよりも、「事業開発会社」という言葉を作ろうと思ったのです。

それを新しい名称として広げていけば、世の中の皆さんからも認知されていくのではないかと考え、事業というよりは、「組織ドリブン」の方に寄っていったという経緯です。

麻野 敢えて事業で惹きつけない企業の強さというのもあるな、という感じはします。

サイバーエージェントさんにも何となくそんな印象があります。

記事でも拝見したことがありますが、仮にサイバーエージェントが全く違う事業、例えばラーメン屋をすることになったとしても成功します、みたいな。

曽山 うどん屋です。

麻野 うどん屋でした、すみません(笑)。

(会場笑)

曽山 藤田が言ったのはうどん屋です(笑)。

(編集注:藤田晋「仮にサイバーエージェントがまったく違う事業をすることになったとして、たとえそれがうどん屋であっても何であっても、我々の組織をもってすれば、きっと成功すると思う。」)

麻野 それが確かにそうだと思ったのは、例えば「スマホシフト」をされる時に、広告事業のメンバーをガサッとスマートフォン事業に異動されたことがありましたよね。

普通の会社だと、「今までせっかく広告にこだわってやってきたのに」となって、かなりの社員が辞めると思うんですよね。

それが、ああいう風にできる強さというのはあると思うのですが、何か意識されて取り組まれていることや、考えていらっしゃることなどはあるのですか?

サイバーエージェントの組織の強さの秘密

曽山 藤田が意識しているのは、自らが皆の前で率直に語るということです。

例えば、2011年当時1,200億円の全売上高のうち、5パーセントの60億円しかスマートフォン関連の売上がありませんでした。

それが、スマホにシフトすると舵を切った結果、現在は約9割がスマートフォン関連の売上になっているのですが、スマホシフトをするなかで広告部門550人の内、150人がスマートフォンサービス立ち上げのために新規事業に異動した時期もあるんですよね。

広告事業は創業から続く事業であり、業界トップであるという自負で取り組んでいました。

新規事業への異動は、会社が注力する分野でチャレンジできるので嬉しいという人もいた一方で、やはり広告事業で頑張りたいから異動は嫌だという人もいた中、その時にすごく大事にしたのは、トップの藤田自らが皆の前で率直に語るということでした。

藤田が、広告事業中心の会社から脱却する必要があるという現状を直接伝えて、その代わりここに投資するので力を貸してくれと言いました。

広告部門は150人減ることになり、一人あたりが担当するクライアントが増えるのではないかといった不安がすごく大きかったので、顧客数を絞るという戦略をとるといったことも直接社員に説明しました。

麻野 藤田さんも言うし、サイバーエージェントのために一肌脱ごうという社員も多かったのですね。

曽山 その後も、メンバーには幹部が丁寧に対応しました。

結果的に、その理由での退職はゼロだったので、上手くいったと思っています。

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宇佐美さんに一つお伺いしてもよろしいですか?

2010年に変革をされましたが、きっかけになった大きな出来事が何かあったのですか?

宇佐美 あのタイミングで業績が悪化するというのが明らかになって、その結果、2010年、2011年に離職率が20パーセントに達したのです。

ですので、ある意味色々なことを変えざるを得ないタイミングだったというのがあります。

曽山 なるほど。

弊社では、退職率がすごく高かった時に、業績が今一つ伸びなくて、それで人事にテコ入れをするぞということがありました。そういう転換点に使うということも、結果的にはあったという感じですね。

麻野 なるほど。ありがとうございます。

事業/ミッションドリブンの会社と、組織ドリブンの会社とでは、組織ドリブンの会社の方が、社員はどんな事業にでもモチベーションを対応させやすいような気がします。

ただ、先ほど曽山さんが仰ったように、コミュニケーションには相当投資をしていかないと、モチベーションを維持させにくい部分があるのかなと思いますね。

逆に事業/ミッションドリブンの会社は、この事業に共感しているのだったらグダグダ言わずにやろうね、というやり方もできるのかなという印象も持ちました。

佐々木さんからも、モチベーションを高める上でどのようなことを大切にされているかをお話頂けますでしょうか。

ムーブメント型の組織の構築

佐々木 先ほど申し上げたように、僕たちは会社として「ムーブメント」でありたいと思っていて、世の中を変えたいということに関して、皆が強い繋がりを持っていることが一番重要だと思っています。

それをどうやって盛り上げていくのかと言えば、毎週行う全社ミーティングでは、なるべく僕から、なぜ皆でこういうことをやっているのかについて話すようにしています。

毎週その話はしないかもしれないけれども、そのエッセンスを積極的に散りばめるようにしていますし、自分自身が本当にそれを信じていることがすごく大事だと思っています。

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実は、僕は28歳の時に4回目の転職でGoogleに入っているんです。

学生時代にはベンチャー企業でインターンをして、会社の中で寝るみたいな生活をしていまして、それも含めると5社目になります。

結構な頻度で転職をしているんですよね。

自分はなぜ転職したのか、なぜ前の会社を辞めて新しい挑戦をしようと思ったのかということを振り返って考えてみると、先ほどの宇佐美さんのお話にも似ているところがあって、一つには、自分のやっていることの意味について考えたからというのがあります。

それは、もしかすると社会全体に対する意味でもよいかもしれないし、会社に対する意味でも何でもよいのですけれども、「これに取り組む意味があるのか?」という本質を見失ってしまうと、やはり面白くなくなってしまいます。

そして、自分が成長していないというのは、やはり一番ダメですね。さらに、信頼できる仲間というか、熱い仲間と盛り上がれないと上手くいかないですよね。

ただ、これら3つというのは、結局「ムーブメント」を起こしていく上ではすごく必要な要素だと思います。そういった「ムーブメント」でありたいというのと、たまたま自分の今まで思ってきた、こういう時に自分はやる気がなくなってしまうよねというのが噛み合って出てきたコンセプトなのかなと思っています。

その「ムーブメント型の組織」を作っていくためには、やはりこの「意味」のようなものを皆が感じながら働けることが大事だということですね。

曽山 そうですね。

佐々木 僕たちはOKR(Objective and Key Result)の運用をしているのですが、だから会社のミッション自体も大事なのですけれども、要は、会社のOKRはこうでチームのOKRはこうだという、その中で個人のOKRがこうだというのを結びつけて考えるようにしているんですよね。

そうすると、チームのメンバー一人ひとりが、これは今やろうとしている会社のこういうところに結びついているのだと理解することができます。

弊社ではマネージャーのことを「ジャーマネ」と呼んでいるのですが、その結びつきの理解を促してメンバーのパフォーマンスを最大化させるのが、「ジャーマネ」のミッションだと考えています。

「ジャーマネ」のミッションとして、チームメンバー一人ひとりのやるべきこと、ミッションが何かについてコミュニケーションするということがありますが、それが徹底されていると思っています。

麻野 社員のモチベーションを高めるという意味では、「ジャーマネ」が意味やミッションについて語るというのはすごく大事ですよね。

マネージャーがモチベーション高く働く社員を育てるヒントとして、僕達はよくイソップ寓話の「3人のレンガ職人」の話をするのです。

レンガ職人が3人います。

1人目のレンガ職人に「あなたは何をしているのですか?」と聞くと、「私はレンガを積んでいます(仕事を行動レベルで捉えている)」と言いました。

2人目のレンガ職人は、「私はレンガを積んで教会を作っています(仕事を目的のレベルで捉えている)」と言いました。

3人目のレンガ職人は、「私はレンガを積んで素晴らしい教会を作って、皆が幸せに暮らせるように働いています(仕事を意義のレベルで捉えている)」と言いました。

当然、3人目のレンガ職人が、最もモチベーション高く仕事をしていますよね。

誰もが意味のある仕事をしたいと思うのですが、例え会社のミッションに共感して入社してきたとしても、日常の業務の中で埋没してしまうことがあります。

それをマネージャーの皆さんに語らせたり、仕組みとして、OKRの中で社員に意識させるといったことをされているのですね。

佐々木 そうですね。だからチーム毎にもミッションをしっかり立てています。

やはり、モチベーションの高いチームは、チームの意義を説明することができるような、すごくしっかりしたマテリアルを持っていたりします。

こういうことを、もっと力を入れてやっていきたいなと思っていますね。

麻野 なるほど。ありがとうございます。

「ムーブメント型の組織」は、ミッションや意味でドリブンさせていくということなんですね。

(続)

続きは 「マネーボールをヒントにした」セプテーニHDが取り組むAI型人事システムの構築 をご覧ください。

【編集部コメント】

続編(その4)ではセプテーニHD佐藤さんに、「マネーボール」をヒントにしたという、AIを活用した人事システムについてお話し頂きました。是非ご期待ください。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンフ ァレンス「Industry Co-Creation(ICC) カンファレンス」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。