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ICCサミット FUKUOKA 2020「組織のWell-beingとは何か?(シーズン3)」のセッション書き起こし記事を全9回シリーズでお届けします。(その1)は、恒例となった会場の“Well-being度調査”と、石川善樹さんによるイントロダクションです。石川さんが発見した「Well-being」の探求の仕方とは? ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プラチナ・スポンサーのリブ・コンサルティング様にサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2020年2月18〜20日
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 5F
組織のWell-beingとは何か?(シーズン3/90分拡大版)
Supported by リブ・コンサルティング
(スピーカー)
石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
梅原 一嘉
佐竹食品株式会社/株式会社U&S
代表取締役社長
福田 真嗣
株式会社メタジェン
代表取締役社長CEO
松井 しのぶ
株式会社ユーザベース
執行役員 Chief People & Administrative Officer
山崎 大祐
株式会社マザーハウス
代表取締役副社長
(モデレーター)
小林 正忠
楽天株式会社
Co-Founder and Chief Well-being Officer
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▶「組織のWell-beingとは何か?(シーズン3)」の配信済み記事一覧
本編
小林 正忠さん(以下、正忠) 皆さん、こんばんは!
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小林 正忠
楽天株式会社
Co-Founder and Chief Well-being Officer
1994年慶應義塾大学卒業(SFC1期生)。1997年楽天創業から参画し、ショッピングモール事業責任者として営業本部、大阪支社、マーケティング部門、国際事業等の立ち上げを行う過程で、6人の日本人組織が100人、1,000人、10,000人、20,000人に拡大し、80ヶ国を超える多国籍の人財を有し、国内19支社/海外24ヶ国60都市に拠点を展開した際のマネジメントの手法の違いを体験。2012年4月米国へ赴任し米州本社社長を務め、2014年9月シンガポールへ移住しアジア本社社長を歴任。グローバルマネジメントを体験した後、2017年末にアジア代表を離れ、現在は人々を幸せにする役割を担う「CWO:チーフウェルビーイングオフィサー」。2001年慶應義塾大学に「正忠奨学金」を創設するなど若者の育成に力を入れている。2011年世界経済フォーラムYoung Global Leadersにも選出。慶應義塾大学SFC特別招聘教授。5児(息子2人娘3人)の父。
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本セッションは、ICC FUKUOKA 2019、ICC KYOTO 2019に続く、「組織のWell-being」シリーズのシーズン3です!
▶シーズン1
▶シーズン2
石川 善樹さん(以下、石川) すごいですね。好評だから続いているんですよね。
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石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
予防医学研究者、博士(医学)。1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。公益財団法人Wellbeing for Planet Earth代表理事。「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念工学など。近著は、『フルライフ』(NewsPicks Publishing)、『考え続ける力』(ちくま新書)など。
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正忠 そうですね。もしくは、このトピックは外せないという時代の要請ですね。
私はちょうど1年前のシーズン1に登壇させていただいたのですが、そのとき参加された方はどのぐらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
ありがとうございます。シーズン2を聴きに来られた方は?
(さらに多い挙手)
おお!ありがとうございます。
シーズン1、シーズン2は、日本ラグビーフットボール協会ならびにチームボックスの中竹竜二さんがモデレーターをされましたが、今日は僕が進めていきたいと思います。
会場に集まった人たちのWell-being度は?
正忠 シーズン2の冒頭で、中竹さんは会場の皆さんのWell-beingの度合いを測りました。
▶人気シリーズ第2弾!皆さん「組織のWell-being」できていますか!?(ICC KYOTO 2019)
今回も、「今自分はWell-being、100%です!」という方は天井に向けて真っすぐ、「50%かな?」という方は正面に向けて、「全然だめだ」という方は、床に向けて真っすぐに手を伸ばしてみてください。
石川 手の角度で決めるんですね(笑)。
正忠 皆さんの今のWell-beingの度合いはどうでしょうか? どうぞ!
…そちらの方々は、かなり低めですね。
(会場笑)
石川 時間も時間ですしね。
▶編集注:本セッションは、ICCサミットのセッション枠で一番遅い時間帯(18:00〜)で行われました。
正忠 50%を下回っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ありがとうございます。手をおろしていただいて結構です。
シーズン2でもそうでしたが、今から時間をとりますので「なぜ今この角度なのか?」をお隣りの方と2人1組で話してみてください。我々も話しましょう。
では、皆さん……
(会場の会話が盛り上がって話がやまない)
……僕は今、すごく安心しました。
先ほど皆さんの挙手の角度を拝見して、結構お疲れの方もおられるのかなと心配しましたが、こんなに盛り上がっているので、まだまだ大丈夫ですね。
それでは皆さん、お隣りの方のWell-beingの度合いも分かったところで、改めてシーズン3を始めさせていただきます。よろしくお願いします!
(会場拍手)
まずは、(石川)善樹さんにイントロダクションをお願いします。
石川 最近の僕の発見も踏まえて、今からすごくいい話をします(笑)。
正忠 本当に、これは新しいです。
僕は善樹さんとずっと一緒に財団(※) もやって色々とWell-beingの話をしているのに、今日のスライドを見た時、正直僕には内容が分かりませんでした(笑)。
▶公益財団法⼈ Well-being for Planet Earth(旧称LIFULL財団)
そのくらい新しくて、面白いお話です。
働き方の変化で「チームリーダー」がより重要な時代に
石川 皆さんは何かしらの「組織」に関わられていると思います。
組織のエンゲージメントを高めていくにあたって、これまで2つの視点がありました。
一つは、採用にあたって「個人の資質」を重視したり、1on1でフィードバックしたりするミクロの視点です。
もう一つは、「組織の文化」をどうつくるのかというマクロの視点です。
さらに最近、この「文化」と「個人の資質」をつくるために重要なものとして、中央にある「チーム」が注目されています。
これは必ずしも、組織図上のチームやそのリーダーに限りません。
最近では部署を横断したチームがつくられたり、プロジェクト型と言われ、外部の人とチームがつくられたりもしています。
組織図上ではなく、実際の日々の仕事におけるリーダーが、実はとても重要とされています。
つまり、チームリーダーがどう振る舞うのかが大事なのです。
正忠 それによってチームメンバーのWell-beingが高まったり、組織全体に大きな影響があったりするということですか?
石川 そうです。「文化」や「個人の資質」ではありません。
正忠 おっ、そこまで言い切ってしまうのですね。
石川 いいすぎました(笑)でも昨今はやはり色々な人達と仕事をする機会が増え、プロジェクト型の仕事が多くなってきていますので、とにかくプロジェクトリーダーが重要です。
チームリーダーにこそ、Well-beingが求められている
石川 そのプロジェクトリーダーの度合い、あるいは役職の高さとは結局どういうことなのか。
それを「新人」から「経営幹部」までのグラデーションで表すと、おそらくこんな感じだと思います。
本セッションのテーマであるWell-beingの反対側には、Well-doingがあります。
このWell-doingとは、「きちんとやる」ことです。
目的があって、役割と責任を果たすことがWell-doingで、若いうちはそれがすごく求められます。
一方、役職が上がりリーダーの立場になるほど、「自分は何者か?」を示す人間力が求められるようになります。
「自分はどうあるのか」というのは、まさにWell-beingです。
正忠 間違いないですね。
石川 一方で、新入社員や入社3年目までぐらいの人には、Well-beingよりもまず先にWell-doingが求められるように思います。
正忠 Well-beingとWell-doingのバランスでいうと、新入社員には圧倒的にWell-doingが求められるということですね。
石川 はい。逆に言うと、役職が上になればなるほど、プレイイングマネージャーのように自分が全部やるのではなく人間力で引っ張っていかなければなりません。
では、改めて「Well-beingとは何か?」の結論を言ってしまいますよ。
Well-beingは“Feeling happy / Thinking good”ではない
石川 これには勘違いも多く、Well-beingを“Feeling happy”だと思っている人が多いようです。
正忠 なるほど。
石川 Well-beingとは、“Feeling happy”や“Thinking good”のようなことではありません。
Beingは「本質」という意味ですから、Well-beingは「自分の良い本質」つまり「いい意味での自分らしさ」のことです。
この「いい意味での自分らしさ」を発揮できている状態が、Well-beingであると言えます。
さて、自分を持っていないリーダーに「あなたは何がしたいのか?」と問われることほどつらいことはありません。
部下ならこう思うでしょう。
「で、あなたは何がしたいのか?」と。
(会場笑)
正忠 そうですね。自分らしさに気づけていなかったり、自分自身が何をやりたいかはっきりしていない上司に、「あなたは何がしたいのか?」と言われても困ります。
石川 困ると思うのです。
最近1on1ミーティングが流行っていますが、まず、それをする側が「自分」を持たなければ意味がありません。
そうしないと結局、“Well-doing”のための1on1ミーティングになってしまうからです。
正忠 1on1ミーティングのはずだったのに、いつの間にか達成できていない数字のことを言われている、というようなことが起きかねませんね。
Well-beingの本質は「自分は何がしたいのか?」である
石川 では結局、Well-beingとは何なのか?
Well-beingを別の言葉で表現すると、“Lead”です。
つまり「◯◯◯に満ち溢れた人生を、自らリードすることができる状態」こそがWell-beingなのです。
そのためには「自分は◯◯◯に満ち溢れた人生を送るんだ!」と言ったときの◯◯◯が何なのかを端的な言葉で認識している必要があります。
気をつけなければいけないのは、「人を幸せにする」は“結果”なので◯◯◯には当てはまりません。
「人を幸せにするために、1億円借金しますか?」と聞かれたら、多分しないと思います。
正忠 確かに。
石川 やはりそれはしたくないことだし、あくまでも主語は「私が」でなければなりません。
自分が何かをした結果、偶然人や社会に影響を与えることもありますが、まず「自分は何がしたいのか?」を考えることがWell-beingの本質です。
それがすなわち、自分自身をリードするということです。
正忠 その答えは、かなり自問自答して自分を掘り下げていかないと、出てこないですね。
石川 そうなのです。
でも自分すらリードできない人間が、人や社会をリードできるわけがありません。
正忠 まさに今朝もこのICCで開催されていた、Yahoo!アカデミア学長の伊藤羊一さんの“Lead the self”ですよね。
▶内省と対話から、リーダーシップを強化する!Yahoo!アカデミア 伊藤 羊一学長による人気プログラムに31人がチャレンジ【ICCアカデミーレポート】
石川 僕も、“Lead the self”という言葉自体は知っていたつもりでした。
でも、この自分にとっての「◯◯◯」が何なのか、自分が何をしたいのかを本当に腹落ちするまで分かるにはどうすればいいのかと。
正忠 善樹さん自身も、「掘り下げなくては」と思っていたのですね?
石川 そうです。どうやったら掘り下げられるのか。
石川さんが発見した「Well-being」の探求の仕方とは?
石川 繰り返しますが、Well-beingとはリーダーシップのことです。
先ほども申し上げたように、Feeling happyやThinking goodのことではありません。
正忠 組織のリーダーシップではなく、セルフ・リーダーシップのことですね?
石川 そうです。セルフ・リーダーシップに尽きると思います。
そして僕は、その探求の仕方を長い間探していました。
正忠 普通は分からないですからね。
石川 現代においては、自分は何がしたいのかが分からない人も多いと思います。
でも、僕はその探求の仕方を知ることができました!
発表します。よろしいですか?
正忠 皆さん、心の準備はいいですか?
(続)
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/小林 弘美/戸田 秀成
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