5. 「カルチャーなしでサステナブルに勝ち続ける企業はない」と考える楽天グループが言語化したもの

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勝ち続ける企業の「勝ちぐせ」、ウィニングカルチャーとは? ICC KYOTO 2021のセッション「ウイニングカルチャーについて語り尽くす」は、そんな企業が結集し、自分たちの組織のカルチャーを紹介します。全6回シリーズ(その5)は、楽天Chief Well-being Officer小林正忠さんが「楽天主義」について紹介します。あの巨大な組織で、いかにカルチャーを共有しているのか? 制度が人に与える影響とは? ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 プレミアム・スポンサーのリブ・コンサルティングにサポート頂きました。


【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICCサミット KYOTO 2021
Session 4D
ウイニングカルチャーについて語り尽くす
Supported by リブ・コンサルティング

(スピーカー)

石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事

井手 直行
株式会社ヤッホーブルーイング
代表取締役社長

稲垣 裕介
株式会社ユーザベース
代表取締役 Co-CEO

小林 正忠
楽天グループ株式会社
Co-Founder and Chief Well-being Officer

(モデレーター)

中竹 竜二
株式会社チームボックス
代表取締役

「ウイニングカルチャーについて語り尽くす 」の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. “勝ちぐせ”を持つ組織が結集、ウィニングカルチャーを語る!

1つ前の記事
4. ユーザベースのウィニングカルチャー、挑戦量を最大化させる取り組み

本編

日本を元気にしたい、楽天Chief Well-being Officer小林さん

小林 皆さん、この絵は何を意味するか分かりますか?


小林 正忠
楽天グループ株式会社
Co-Founder and Chief Well-being Officer

1994年慶應義塾大学卒業(SFC1期生)。1997年楽天創業から参画し、ショッピングモール事業責任者として営業本部、大阪支社、マーケティング部門、国際事業等の立ち上げを行う。その過程で、6人の日本人組織が100人、1,000人、10,000人、20,000人に拡大し、70国・地域を超える多国籍の人財を有し、国内19支社/世界30カ国・地域の拠点で事業展開した際に国内外のマネジメント手法の違いを体験。2012年4月米国へ赴任し米州本社社長を務め、2014年9月シンガポールを拠点を移しアジア本社の社長を歴任。グローバルマネジメントを体験した後、2017年末にアジア代表を離れ、現在は人々を幸せにする役割を担う「CWO:チーフウェルビーイングオフィサー」。2001年慶應義塾大学に「正忠奨学金」を創設するなど若者の育成に力を入れている。2011年世界経済フォーラムYoung Global Leadersにも選出。5児(娘3人息子2人)の父。

これは我々の最初のビジネスである楽天市場の元になった、安土桃山時代の楽市・楽座(※)です。

▶編集注:楽市・楽座 – Wikipedia

当時は権利がある人しか商売ができませんでしたが、誰でも商売ができるようにしたものです。

僕らがやろうとしたビジネスは、大都市や大企業だけが繁栄すれば良いのではなく、中小企業であろうが、日本のどの地域で商売をしてもちゃんと成長、成功できることを実現するものでした。

そのために、インターネットというプラットフォームを通じて様々な事業者にビジネスチャンスを提供し、事業が成長、成功すれば、結果的に国が元気になるだろうと考えました。

それは日本のWell-beingで、つまり良い状態の日本を作ろうとしたのです。

ここ何年かでChief Well-being Officerを名乗っているのは、ウェルビーイングの世界的トレンドが来ているからではなく、そもそも1997年に事業を始めた時から、日本を元気にしたいと思っているからです。

それこそ、ヤッホーブルーイングカンパニーができた時、できたばかりの、聞いたこともないふざけた名前(笑)の「よなよなエール」こそ、インターネットで売りたい、と星野リゾートの星野(佳路)社長に電話をしました。

それで日本を元気にしよう、日本の良い状態を作りたいと思っていたのです。

カルチャーなしでサステナブルに勝ち続ける企業はない

小林 90年代の日本は元気がなくなってきていたので、何とかしようというのが始まりでした。

Chief Well-being Officerと名乗る前から日本のWell-beingを考えていたということです。

コーポレートカルチャー部門というものをわざわざ立ち上げている組織は、上場企業ではあまりないと思います。

この部門を立ち上げたのは、コーポレートカルチャーは、経営にとって極めて大事だからです。

カルチャーなしでサステイナブルに勝ち続ける企業はないと思います。

2年、3年だけ売り上げや利益を伸ばすのは正直、誰にでもできると思っています。

しかしそれを5年、10年、15年続けようと思った時、カルチャーなしには絶対に実現できないと私は思っています。

それを誰よりも信じているのが、楽天グループの創業者、三木谷(浩史)です。

だからこそ彼は、「それは先週聞いたんだけどな」と社員から思われても、初めて話すくらいのテンションで、頻繁にコーポレートカルチャーの重要性について語りかけています。

そのコーポレートカルチャー部門を率いているのが私で、大きく、ウェルネス部、エンプロイーエンゲージメント部、サステナビリティ部の3つに分けています。

個人のウェルビーイング、組織のウェルビーイング、社会のウェルビーイングとあります。

従業員、そしてその家族など、まずは人のウェルビーイングが大前提として大事ですが、会社が元気でいるためには組織のウェルビーイングが大事です。

我々の価値観に基づいて運営されていれば、組織はウェルビーイングであると言えます。

でも楽天だけがウェルビーイングでもサステイナブルではないので、社会全体のウェルビーイングを考えようということで、個人、組織、社会という3つのレイヤーで、それぞれのウェルビーイングを目指しています。

組織のウェルビーイングを達成するための楽天主義とは

小林 組織のウェルビーイングを達成するために、「楽天主義」という価値観を置いており、これは成功の5つのコンセプトとブランドコンセプトの2つに分かれます。

成功の5つのコンセプトは、創業期から言い続けていることを、創業から2年経った後に言語化したものです。

楽天の社員として、これら5つを実現するプロのビジネスパーソンになろう、と肝に銘じるべきものです。

この考えに則って行動をして、楽天らしい成功を収める仲間であろうという、どちらかと言えば個人に寄った内容になっています。

スライドの右にあるブランドコンセプトについて、説明します。

2005年、楽天はTBSの株式の19%を取得し、マスメディアを変えることで国を変えようとしました。

というのも、放送免許を持っている人たちが、国のために、国民のためにメディアを正しく活用すべきだと考えていたからです。

当時はテクノロジーも活用していなかったし、当時のメディアのビジネスモデルは既にアメリカでは崩壊していたので、違うことをすべきだという考えからの行動でしたが、結果的に、総スカンをくらいました。

つまり、マスメディアを敵に回してしまったのです。

そもそも気づくのが遅いと思いますが、テレビや新聞も含め、マスメディアの皆さんが、「インターネットプレイヤーが一番の競合だ」と気づかれたんです。

その際、経済学者だった三木谷の父親(三木谷良一さん)が三木谷に手紙で、「何か大きな変革を起こそうとする時は、大義名分を掲げることが大事であり、それに対して品性高潔であれ」と言ったのです。

「何の後ろめたさも感じず、自分たちだけが儲かればいいという考えではなく、世の中のことを本当に考えているのだということを述べよ」

また、「そのためには用意周到でなければいけない。色々な壁や声があると思うが、決めたのなら信念不抜で進め」とも言いました。

その4つのキーワードと、「それらをワンチームでやろう」という意味で三木谷が一致団結を加え、2005年に出来上がったのがブランドコンセプトです。

ブランドコンセプトはどちらかと言えば、企業としてあるべき姿、なりたい姿という内容ですね。

この2つを楽天主義として、徹底して伝えているのが、コーポレートカルチャーチームです。

楽天のカルチャーを共有する仕組み・言葉

小林 今回お題を頂いたので、楽天においてカルチャーっぽいところを整理してみたのが、こちらです。

左は制度・仕組み系で、右はマインド系です。

この表は今回、初めてこのセッションのために作りました。

中竹 これは分かりやすいですね。

小林 左から、一つずつ説明しますね。

楽天主義については1つ前のスライドで話しましたが、価値観を共有し、仕組みを明文化して研修に埋め込む制度を作りました。

毎週月曜の朝8時から行っている「朝会」は、創業からずっと続けているもので、仕組みとなっています。

経営合宿は3カ月に1回、世界中の役員と行っていますし、年に1回、役員で谷川岳に登っています。

制度、仕組みと一言で言っても、ウイークリー、マンスリー、クオータリーなど、埋め込み方は色々あると思います。

日々の業務で使っている名札は、なかなか難しいですが徹底しようとしています。

日本人は小さな頃から「名札」をつけていますが、外国の会社だと、「幼稚園児じゃあるまいし、なぜ名札が必要なんだ」と年収数千万円を受け取っている人には怒られます。

ヤッホーブルーイングでもある「ニックネーム」制度は、基本的にファーストネームで、三木谷を「Mickey」と呼びます。

昨日の朝も、一般社員が「Good morning, Mickey.」と声をかけて質問をしていました。誰も三木谷さんとは呼ばないですし、カルチャーとして形成されています。

自分たちで「掃除」もします。

「因数分解/KPI/日報」というのは、大きな目標を掲げつつも、必ず要素を分解することがカルチャーとして根付いていますし、それを因数分解と呼んでいます。

「因数分解」という言葉は、中学校の授業以来ほとんど使っていないと思います(笑)。

「因数分解」をし、KPIとして設定し、それらをアワリーベース、デイリーベースで確認していきます。

「楽天賞」は楽天主義を体現している社員を表彰する制度で、これを導入することで、どういう行動や結果が会社のカルチャーに合っていて評価されるのか、全社にとって分かりやすくする仕組みです。

「One Brand」は、ナイキの戦略に近いと思いますが、買収した色々な会社や事業部門に「楽天」という名前をつけるようにしています。

良い悪いは別にして、One Brandにすることが楽天のカルチャーであることを、全員が理解しています。

そして、コーポレートカルチャー部門を作ったことも仕組みの一つですね。

一方、右のマインド系について説明します。

世の中を元気にしようという意味の「Empowerment」や、絶対にやりきるという意味の「Get things done!」

別に英語で言う必要はないのですが、三木谷がずっと英語を使うので、英語が苦手な日本人社員も「Get things done!」だけは「やりきるやつですよね」と、意味が分かっています。

最後の0.5%を踏み込めば成果が全く変わってくる、という「三木谷曲線」。

「Devil is in the details」は、神は細部に宿るという意味で、徹底的に細かいところを見るということもカルチャーとして根付いています。「徹底力」というのもそうですね。

「考えるために行動する」というのは、例えば3カ月も戦略のために時間を使うのではなく、「まずは行動せよ、動くと何か違うことが見つかる」という考え方です。

そして「Make mistakes early」は、早く失敗しろということで、行動を促す、まずはやってみようという考え方ですね。

これらが全社員に、当たり前のように仕組みとして埋め込まれた結果、マインドが共有されているという点に、当社のカルチャーが見られると思いました。

中竹 ありがとうございます。

最後のスライド、このセッションのために作って頂いたということですが、非常に分かりやすいですね。

僕や善樹さんはアドバイザーとして、時々楽天を訪れますが、当然のようにニックネームで呼び合いますし、掃除をしているし。

名札は、最初は結構びっくりしました。

小林 そうですね、名札がないと建物に入れないことになっています。

石川 名札は左胸につけないといけないのですよね。

小林 そうです、ストラップにつけると叱られます。

(会場笑)

全員同じ場所につけるというルールで、つける位置は、右胸ではなく左胸です。

これも仕組みですね、徹底することでセキュリティリスクもコストも下がります。

怪しい人が社内を歩いているというのは、おかしい状態なのです。

2005年に情報漏洩の事件があったのですが、うちはそもそもモノではなく情報を売って売上利益を立てている会社なので、どの会社よりも情報に対してセンシティブでなければいけない。

ですから、システムセキュリティも、ネットワークセキュリティも、人的セキュリティも高める必要があるという考えから、ガードマンを置き、位置も含めて名札をつけることを徹底するようになりました。

中竹 組織文化という文脈から言うと、制度は見えるものなので非常に大事ですが、それを通じて人の行動が変わっていくのです。

行動が変わるとまた制度に戻ってくるので、この行ったり来たりが相当重要なわけです。

しかし放っておくと、このスライドの右側、つまりマインド系には取り組まなくなるのです。

(続)

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続きは 6. カルチャーが浸透すれば行動が変わる。小さな成功体験を積み重ね、“勝ちぐせ”のある組織を作ろう!【終】 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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