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4. 営業の仕組み化と属人化を分けて取り組む「ノバセル」

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ICC FUKUOKA 2023のセッション「急成長を実現する『セールス最強組織の仕組みづくり』とは」、全6回の④は、好調な業績を支える、ノバセルの営業組織についての解説です。立ち上げから現在に至るまでの、ターゲットの設定や組織の形の変遷はスタートアップに特に学びの多い内容です。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください

本セッションのオフィシャルサポーターは リブ・コンサルティングです。


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 9C
急成長を実現する「セールス最強組織の仕組みづくり」とは
Supported by リブ・コンサルティング

(スピーカー)

會田 武史
株式会社RevComm
代表取締役

権田 和士
株式会社リブ・コンサルティング
常務取締役COO

田部 正樹
ノバセル株式会社 代表取締役社長 / ラクスル株式会社 取締役CMO

(モデレーター)
加藤 有
株式会社リブ・コンサルティング
取締役

「9C 急成長を実現する「セールス最強組織の仕組みづくり」とは」の配信済み記事一覧


ノバセルの営業組織作りの変遷

田部 売上総利益は、以前は凸凹があったところから、今は良くなってきている状況です。

初期の、売上が10億円くらいになるまでの間は、僕が1人で営業をしていました。

その後、リブ・コンサルティングの定義(Part.1参照)で言う「ソルジャー」を、2、3名雇いました。

僕が全ての営業活動をし、ソルジャーがオペレーションを固めるという体制で、売上が20~30億円規模になりました。

しかし、それでは良くないと考え、僕が一旦営業から引退し、採用をして営業活動を任せることにしました。

売上が下がると思ってはいましたが、途中でやはり大きく下がりました。

思った以上に下がってしまったので、僕は営業に戻ったのですが、その苦労を乗り越えたメンバーが大きく成長したので、ソルジャーからエースになったメンバーと僕のダブル体制で営業ができたので、事業は大きく伸びました。

当時、スタートアップ企業によって大きく売上を伸ばしていましたが、広告を含めた資金調達環境が悪化し、テレビCMのマーケット状況が厳しくなってきたことが原因で、四半期で半分くらいに売上が落ちました。

かなり苦しかったのですが、ターゲットを変更し、大手企業向けにサービスを作り直したり、売り方を変えたりしました。

今は代理店事業とSaaS事業の2つに分けて、それぞれの事業部にトップを置いている体制になっています。

僕が営業に出る、出ないという問題も含め、失敗も多々ありましたが、やはり苦労すれば人間は成長するので、修羅場をくぐり抜けながらメンバーを成長させ、組織を作ってきました。

ということで、我々は3つのスタイルで変遷しました。

当初は完全に「ワンマン型」でしたが、最初はやはりワンマン型が良いと思います。

マーケティングもインサイドセールスもセールスも、1人で全て担当する体制が重要で、それである一定の売上を作ります。

トップが顧客をめちゃくちゃ理解している状態を作り、事業やプロダクトを作っていきます。

その次に我々が取ったスタイルは「機能集権型」で、事業部に対して、機能部としてのマーケティング、インサイドセールス、セールスをそれぞれ配置しました。

メリットは、機能部が強くなってノウハウが貯まり、横展開ができることですが、デメリットは事業部のコミットメントが弱くなることです。

もっと言えば、商談やリード数についてマーケティングが責任を持つことになるので、マーケティングがリードを獲得しなければ事業が伸びないわけですが、それはマーケティングがコミットすべきことだ、となってしまうのです。

そして今は「事業集権型」にしており、各事業部に、マーケティング、インサイドセールス、セールスを配置しています。

このスタイルのデメリットは1つで、人が増えることです。

それぞれメリット、デメリットがありますが、0から1のフェーズでは完全にワンマン型が良いと私は思います。

会社だけではなく、新規事業の立ち上げについても、立ち上げ時期にはワンマン型が良いと思います。

その後、機能を集約して仕組みを作り、できた仕組みを事業にしていくということです。

これらが、我々が得た学びです。

「クライアントパートナー」の役割は属人化する

田部 最後に、アクセンチュアが取り入れている仕組みが良いと思ったので、ご紹介します。

営業を3つに分けています。

まず「クライアントパートナー」とは、僕や一部のシニアメンバーが行っていることですが、営業がクライアントのトップとの関係を持つためのチームです。

個人同士のつながりだと継続しないので、複数のクライアントにおいて、トップとの関係を作るのです。

また、成功したクライアントの事例紹介やセミナー、講演を実施して、リードを作ります。

属人的でも良いので、とにかくリードを獲得するのがクライアントパートナーの役割です。

「エグゼキューションパートナー」は、受注した案件にコミットし、ノウハウをもって横展開をします。

ノウハウがあるので、受注が決まったら、何かあれば彼らに聞けば大丈夫というようなチームです。

そして3つ目が、カスタマーサクセスみたいな役割ですが、プロジェクトを専任として担当する「プロジェクトリーダー」です。

今の課題として、僕らも今後エンタープライズを攻めなければいけないと考えています。

そのためには、「クライアントパートナー」を採用できるか、育成できるかが非常に重要であり、もしできない場合、Salesforceもそうですが、それができるコンサルティング会社と提携をしなければいけません。

結局のところ属人的なものになりますが、やはり、大手顧客を獲得している企業には、クライアントパートナーが何人かいて、彼らが顧客間を渡り歩いているのです。

「エグゼキューションパートナー」と「プロジェクトリーダー」は重要ですが、彼らが何人増えようと、売上は非連続には増えません。

仕組み化や見える化ももちろんですが、「クライアントパートナー」レベルの人材の育成や採用が、今の我々の経営課題だと思っています。

彼らを採用するためのインセンティブ設計、評価制度などの一部作り直しを今、始めています。

ですから課題として、大手エンタープライズにコンサルティングセールスができるトップセールスが欲しいなと思っています。

権田 募集中ということですね(笑)。

田部 募集中です。

結局はこの仕組みに落ち着くのだなと感じているので、仕組み化する部分と属人的になる部分を分け、属人的になる部分にもきちんと取り組むことが、我々の業界においてはめちゃくちゃ重要だと思います。

権田 これに関しては、我々も全く同じ認識を持っています。

我々も、スタートアップ、中小企業、エンタープライズ、それぞれのお手伝いをしています。

この図に則ると、中小企業では、プロジェクトリーダーとして手伝えば、プロジェクトは回っていきます。

スタートアップでは、プロジェクトリーダーとエグゼキューションパートナーの2役でのサポートが必要で、エンタープライズでは3役全てでのサポートが必要になります。

コンサルティング業界では、アカウントオーナー、プロジェクトマネージャー、プロジェクトリーダーと分けています。

外資コンサルティング会社では、20人に1人くらいの割合で、パートナーと呼ばれるポジションがありますが、アカウントオーナーの役割を担っていますね。

田部 外資コンサルティング会社の営業体制は、めちゃくちゃ勉強になります。

もう、仕上がっていますよね。

あれだけ頭の良い人が、仕組み化をしながら仕上げていった先で、クライアントのパートナーは属人的であるという結論を出すのですよね。

権田 そうですね(笑)。

田部 それが一つの学びだと思っています。

だからこそ僕も、クライアントパートナーは仕組み化しようとはせず、ある程度は自分で行う部分を残しつつ、時間はかかるけれど採用と育成にチャレンジしています。

「クライアントパートナー」層の特徴

権田 クライアントパートナーの層は、タレントたちです。

タレントたちを標準化するのではなく、彼らがうまく動くために周囲をモデル化しているということですね。

田部 それもそうですし、スタートアップでは出せないような給料をもらっている人たちですから、どういうインセンティブ設計をして獲得するかも考えないといけないと思います。

あくまで、我々の業界での話ではありますが。

會田 採用と評価制度をどうするかは、難しいですよね。

ともすれば、彼らはゴルフをしていたり、銀座に行っていたりと、僕とは全然合わない、田部さんとも合わないような人たちです。

田部 いや、僕とは合いますね。

會田 (笑)採用時は、自ら見極めるのでしょうか?

田部 そうですね。

クラウドワークスの吉田(浩一郎)さんもおっしゃっていましたが、スタートアップ、ベンチャーに入社する人は、大企業っぽいことが嫌いですよね。

情緒的な営業が嫌いで、リーンに、合理的に働きたいからスタートアップに入社する人がすごく多いのです。

「エグゼキューションパートナー」と「プロジェクトリーダー」の人材はそういう人たちが多いですが、僕らが持っていなかったのは「クライアントパートナー」の人材であり、このような人材は、スタートアップ領域には来ないのです。

例えばキーエンスがそうですが、結局のところ、超大手企業ではオペレーションエクセレンス(※) が……そこに向き合っていかなくてはいけませんし、スタートアップでは捨ててきたと思われているものが、エンタープライズとビジネスをする上での壁になっているのではないかという意見もあります。

▶編集注:オペレーションエクセレンスとは、企業がその価値創造のための事業活動の業務改善プロセス、オペレーションを高めることで競争上の優位性にまでなっていること。

合理と情理の、情理も受け入れていかなければいけないのではないかと思います。

合理だけで経営をしていると、限界が見えてしまうと最近感じています。

権田 特に、エンタープライズを攻めようとすると、そうなりますよね。

「クライアントパートナー」については、年収のレンジが全然違いますよね。

田部 ゴルフしかしていない人たちかもしれませんが、めちゃくちゃ案件を取れる上位の人がいますよね。

(一同笑)

仕組みにするというよりも、そういう人たちも大事にしていかないといけないのではないかと思います。

その先に、何か見えるものがあるかもしれません。

會田 間違いないですね、カルチャーは難しいですね。

田部 難しいですね。

マーケティングとセールスを一緒に考える

権田 田部さんは、諸々を極力、上流で解決しようとする発想を持っていますよね。

できればプロダクトやマーケティングで解決し、残りをセールスで解決しようという発想を持っているのかなと思いましたが、全体におけるセールスの位置づけについては、どう捉えていますか?

田部 トップラインを作るのが目的であれば、マーケティングもセールスもインサイドセールスも、顧客のニーズを理解して顧客の課題を解決するという意味で、ほぼ同じ仕事だと思っています。

権田 連動させて考えているのですね。

田部 はい。

理想としては、あまり機能分化させずに、マーケティングとセールスは一緒に考えた方がいいと思います。

インサイドセールス、フィールドセールスと分けられれば理想ですが、我々のプロダクトにおいてはストーリーが重要なので、一体化させた方が良いと思います。

一体化させると、そのうちの何人かが、クライアントパートナーの仕事が出来るようになるのではないかと考えています。

會田 間違いないですね。

我々のマーケティングチームも、MiiTelの商談内容をめちゃくちゃ見て、一次情報を取りに行っています。

お客様が抱えているペインをもとに、タグラインやクリエイティブを作るPDCAを回しています。

権田 「The Model」型と言いながらも、横にいるチームのことをかなり見ながら仕事をしているということですね。

會田 そうですね。工数がかかりますが、とにかく一次情報を取っています。

加藤 ありがとうございます。では最後に権田さん、プレゼンをお願いできますか。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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