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ICC FUKUOKA 2023のセッション「急成長を実現する『セールス最強組織の仕組みづくり』とは」、全6回の③は、ノバセルの田部 正樹さんが登場。田部さんといえばマーケティングのセッションに数多く登壇いただいていますが、その戦略は営業戦略と通じるといいます。なるほど!と腹落ちする解説をぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは リブ・コンサルティングです。
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【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 9C
急成長を実現する「セールス最強組織の仕組みづくり」とは
Supported by リブ・コンサルティング
(スピーカー)
會田 武史
株式会社RevComm
代表取締役
権田 和士
株式会社リブ・コンサルティング
常務取締役COO
田部 正樹
ノバセル株式会社 代表取締役社長 / ラクスル株式会社 取締役CMO
(モデレーター)
加藤 有
株式会社リブ・コンサルティング
取締役
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▶「9C 急成長を実現する「セールス最強組織の仕組みづくり」とは」の配信済み記事一覧
「初めてのテレビCM」をターゲットにした「ノバセル」
田部 我々はラクスルという会社をベースに、成功のノウハウを、ノバセルとして販売してきました。
ノバセル自体は、2018年にスタートしました。
売っているものはノウハウを詰め込んだサービスで、これまでは運用型テレビCMです。
通常のテレビCMは、認知獲得やブランディングが大きな目的でしたが、効果を可視化できないのが顧客のペインポイントであり、実際にラクスルも実践してきたので、それを解決すべきだと考えました。
ノバセルのSaaS商品は月額50〜60万円ですが、CMの単価は数千万円と、比較的高額です。
マーケティングSaaSの難しいところ、怖いところは、生産性が上がる、上がらないは問題ではなく、売上が上がらなければ切られてしまうところです。
ですから茨の道なわけですが、そこを選んで事業を行っています。
サービスは運用型テレビCMで、SaaSは4の分析のみですが、1 企画、2 制作、3 放映、4 分析とワンストップでサービス提供することもあります。
後者の場合、営業の難易度も単価もめちゃくちゃ上がります。
SaaSだけだと、ACV(年間契約額)が年間600万円ほどですが、1~4まで全てを提供する場合は10億円規模になることもあります。
開示している業績ですが、グロスベースで、4年で売上が約67億円、粗利が約11億円です。
SaaSは四半期売上が6,300万円なので、ARR(年間経常収益)が3億円規模です。
ポイントは、我々は最初、とにかくICCサミットなどに参加し、スタートアップ向けに「初めてのテレビCMはノバセル」と訴求してきました。
會田さんの話(前Part参照)とも共通しますが、最初に局地戦で勝つことがすごく重要だと思います。
我々も、全ての顧客を獲得することは到底無理だったので、市場も小さそうで、誰も取り組みたがらない「初めてのテレビCM」という領域を狙い、結果、事業が立ち上がりました。
最初は、我々のトップが企業トップに営業をして案件を取り、事業を作ってきたのですが、今は仕組み化が必要なフェーズです。
マーケティングセールスにおける重要ポイント
田部 會田さんの行っている「The Model」型や仕組み化、可視化はめちゃくちゃ重要だと思っており、我々はその面で課題を感じています。
一方、僕からは今日、マーケティングと営業が似ている、営業戦略=マーケティング戦略であるという話ができればと思います。
僕がマーケティングをしてきていることもあり、マーケティングと営業を一体化させる取り組みを行っているので、今日お話しするテーマは、「マーケティングセールス」です。
そもそもマーケティングとは、「商品を売るのではなく売れるようにする仕事」であると言われています。
顧客に選ばれる必然を作るのがマーケティングですが、それはセールスにおいても同じです。
毎回、「御社のサービスが顧客に選ばれる理由を理解していますか?」という重要な問いをします。
マーケティングにおいて、それが分かっているかどうかが重要ですが、セールスにおいてもそうです。
これが一貫しておらず、営業活動において各セールスが違う理由を顧客に説明するという状況がざらにあります。
ですから、マーケティングとセールスが一体となり、自社サービスが顧客に選ばれる理由を理解しなければいけません。
そして、現在の商品やサービス内容で獲得できる顧客を狙っているのか、つまり「自社サービスが市場を獲りきったときの市場規模を明確に理解していますか?」というのが、2つ目の問いです。
また、これが結構重要だと思いますが、顧客視点で正しく競合を設定しているかどうかです。
僕らの競合は、分かりやすく考えれば電通や博報堂ですが、顧客視点で捉えると、そもそも広告はやめて営業や他のことにお金をかけた方が良いのではないかという考えが、最重要の競合となります。
まず広告費 vs. 人件費という前提があり、広告費の中にテレビとウェブの戦いがあり、そのテレビの中において、他の代理店との戦いになるのです。
仕事ができる営業は、この競合意識を明確に持っているので、お客様の課題を抽出し、正しい競合を設定してソリューションが提供できるのです。
「差別化」が成功の確率を上げる
田部 マーケティングで重要なのは、ブランドやプロダクトの力、価格、あとPOD(Point of Difference)と言われますが、差別化ですね。
POP(Point of Parity)は競合品にも備わっている当たり前の特徴で、必要最低条件です。
セールスもマーケティングも、必要最低条件を満たすことを前提として、結局、他社との違いを作ることが成功の確率を上げることになります。
そもそもプロダクトが独自性を持っていて、誰が売っても差別化されているものであれば、営業効率は高いと思いますが、競合も増えていく中で、必ずしもそうとはならないです。
どうすれば差別化ポイントを作れるのかということであり、製品そのものにそれがあれば良いですし、なければ営業面で作っていかなければいけないですし、そこにもなければ、売り方で差別化する必要があります。
つまり、他社との違いをどう作ることがめちゃくちゃ重要だと思っていますし、仕事ができる営業は、これができているのではないかと思います。
もちろん、負けることもありますが、価格比較をされるのではなく、他社とは違うポジションを取れているので、勝てる時は必然的に勝ちます。
それが、欲しい顧客をどんどん獲得できる状況を作ります。
マーケティングにおいてはPODが非常に重要と言われていますが、セールスにおいても、これを意識した方が良いと思います。
競合が嫌がることを提案すべき
田部 次に、重要だと言われる顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3C分析ですが、単純にスポットでコンサルに聞いて、競合が行っている施策をまとめるのは、ほとんど意味がないです。
セールスにおいても、3C分析は重要だと思います。
顧客が何を求めているかというインサイトを導き出すのもそうですし、世の中のトレンドをきちんと理解することが必要です。
仕事ができる営業は、企業のIR資料は当然見ていますし、さらに業界レポートも見ていて業界に詳しいので、顧客のニーズを掴むのです。
競合分析については、競合がされたら嫌なことを見つけるべきです。
競合も提案をしていますから、自社が何をすれば競合が一番嫌がるかを考えて実行すべきですが、結局、似たような提案で少しだけクオリティが高いという状況になることが多いと思います。
仕事ができる営業は競合が一番嫌がることを見つけて提案し、自社の分析をして、伸びしろを見つけていきます。
マーケティングにおいてもセールスにおいても、自社の都合で競合分析をしてしまうのが、顧客理解において駄目だということを、今日はメッセージとして強く発信したいです。
上位顧客20%を深く理解せよ
田部 また、これは色々なところで伝えていますが、売上の80%を占める20%の顧客ニーズを掴むことが重要です。
會田さんの話にも通じますが、顧客ターゲットを絞ることがめちゃくちゃ重要です。
それがなかなか難しいのですが、分解していくと、売上の大半は全体の2~3割の顧客によって作られていることが多いので、絞り込むべきです。
B2Bの会社では、売上上位に来る顧客を毎月並べて見た方がいいです。
その上で、なぜ彼らから選ばれるのか、どの業界に属しているのかを理解します。
上位顧客20%を理解していれば、営業戦略は立てられると思うのですが、意外と残りの80%が気になってしまうと思います。
その80%に労力をかけていることも多いのですが、そうなると売上は上がりませんよね。
マーケティングではコアなカスタマーが一番重要だと言われますが、セールスにおいても全く同じですので、マーケティングとセールスが一体化していくことがめちゃくちゃ重要なのではないかと思います。
顧客心理を理解し深追いしない
田部 あと、顧客の心理を理解することがセールスにおいても重要だと思っており、僕はこれを「インサイトセールス」と呼んでいます。
例えば、知らない人に突然花を渡すと、ストーカーだと思われますが、大事な人に彼、彼女が欲しかったものをサプライズで渡すと喜んでもらえますよね。
メルマガでも、求めていない人に突然送っても、うざったいと思われるだけです。
でも、求めている人に対して、営業をしたり、メールを送ったりすることは良いことです。
最近、名刺交換をすると、メルマガが来るようになる企業がありますよね。
これらは、うざったいになってしまいます。
でも、求めているタイミングで、適切な提案をされれば、当然嬉しいです。
結局、お客様のニーズを理解していれば、セールスも良くなるのではないかと思います。
仕事ができる営業は、捨てることができる営業だと思います。
2割の顧客を理解し、残り8割を捨てる。
もっと言えば、仕事ができる営業は、「この顧客、この企業は獲得できない」と思った時に深追いをしていません。
逆に、仕事ができない営業は、絶対に獲得できない顧客に対してもめちゃくちゃ頑張っているのです。
それを見極めさせることも重要だと思います。
(続)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美