「ブレる」と「ピボット」は違う – サービス開始後の停滞期に考えるべきこと【SP-DS2 #8】 – INDUSTRY CO-CREATION(ICC)

「ブレる」と「ピボット」は違う – サービス開始後の停滞期に考えるべきこと【SP-DS2 #8】

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これまでに配信した、デザインに関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス TOKYO 2016 より「優れたプロダクトの生み出し方」の記事を再編集して9回シリーズでお届けします。

デザイン特集2(その8)は、プロダクトをローンチした後の停滞期(悲しみの谷)やブレることとピボットの違いなどについてお話しいただきました。ぜひご覧ください。

登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 4B 
「優れたプロダクトの生み出し方」
 
(スピーカー)
佐々木 大輔
freee株式会社
代表取締役
 
鈴木 健
スマートニュース株式会社
代表取締役会長 共同CEO
 
徳生 裕人
グーグル株式会社
製品開発本部長
 
中村 洋基
PARTY
Creative Director / Founder
 
(モデレーター)
赤川 隼一
株式会社ディー・エヌ・エー
モバイルソーシャルインキュベーション事業部 シニアマネジャー

その1はこちらをご覧ください:【新】優れたプロダクト開発の極意を徹底議論!【SP-DS2 #1】
その2はこちらをご覧ください:「あべしひでぶ」北斗の拳流プロダクト開発の極意(スマートニュース鈴木健)【SP-DS2 #2】
その3はこちらをご覧ください:「ミッションをチームで共有する」Google徳生氏が考えるプロダクト開発に大切なこと【SP-DS2 #3】
その4はこちらをご覧ください:衝撃のヒット!「イライラ」→「キラキラ」ポジティブ変換アプリ”しずかったー”の開発秘話【SP-DS2 #4】
その5はこちらをご覧ください:ユーザーは自分が困っている「ペインポイント」に気づけない【SP-DS2 #5】
その6はこちらをご覧ください:完成度をどこまで高めたらプロダクトをリリースすべきか?【SP-DS2 #6】
その7はこちらをご覧ください:「WHY」を柱にすれば、プロダクト開発はブレない【SP-DS2 #7】


赤川 スライドで議論しても正直よく分からないから、早く作ってプロトタイプベースで議論しよう、みたいなのはやっぱり数年のトレンドとしても増えて来ているかなとは思いますね。

ブレる、ブレない問題に関係して、リリース後にも関わるんですけど、ブレてるのかピボットなのかは大きな違いがあるじゃないですか。

スタートアップがフィロソフィーで死んでいくって言われることも良くありますし、こだわりすぎて死ぬ、みたいなケースもあると思っています。

当初予定とは明らかに変えたんだけど、それが良かったっていうものが、もしあれば伺いたいと思います。

ブレとピボットの違い

鈴木 ブレとピボットは明確に違っていまして、ピボットというのは確実にこの方向には未来がないというのが分かって、方向転換しましょうというものですね。

その方向転換の角度が、5度10度のこともあれば、180度はさすがにないかもしれないですけど、120度ぐらいになることもあるわけなので、それは多分事業とかピボットによって違うんでしょうね。

ブレるというのはそうではなくて、向かっていく方向は変えていないにも関わらず、実際に向かおうとしている方向が変わっているのはブレなんですよ。

そもそも向かっていく方向自体を変えるのがピボットなんですよ。

なので、これは明確に違うんですね。だから、ブレちゃいけないんだけれども、ピボットっていうのは、ある種かなり色々なことをやってみたんだけども、方向転換するということなんですよね。

スマートニュースの場合は、Crowsnest(クロウズネスト)というサービスをやって、これはやっぱり自分たちみたいな情報大好き、ニュース大好きという人間が、自分のためにより深くニュースを集めてくるというサービスなんですね。

パーソナライズドニュースリーダーな訳ですよ。自分のためのニュースがどんどん集まってくるというサービスですね。これは大変素晴らしいサービスで、僕も愛用していたんですけども、最近サービスはシャットダウンしてしまったんです。

スマートニュースは、これはディスカバリーなんですよね。自分の知らない世界、自分が今まで知らなかった世界に興味を広げられるメディアにしようということで、ピボットした訳です。

で、何でピボットしたかといったら、本当にユーザーが集まらないというか。半年ぐらい頑張って数万人しかユーザーが集まらないんですよ。

要するに、僕とかニュース大好きな人たちというのは、そういうの大好きなんですけれども、大体人口の1%くらいなんですよ。

グーグルもGoogle Readerをやめちゃいましたよね。多分数千万人とか1千万人とかユーザーがいたと思うんですけれども、10億人ターゲットがいるとする中で、1%なんです。1%くらいの人しか使わないという現実が突きつけられた訳ですよ。

で、お金もない中になけなしのお金で、なぜかSXSW(サウスバイサウスウエスト)に行くという無謀なことをやったんです。その意思決定自体、はっきり言って間違っているんですけど(笑)。

でも盛大に失敗した訳ですよね。諦めがついた訳ですよ、これはほぼダメだ、と。で、行きの飛行機で行くときには、もうこれがダメだったらこのプロジェクトは止めようと言っていた訳ですよ。

どうしても帰りの飛行機で、浜本階生が止めたくないと言うんで、じゃあ続けよう、その代わりピボットはしようという話になった訳です。

そういう意味で言うと、ピボットするというのは、もうダメだというのが分かってピボットする訳ですね。

だから、それはもう違う方向にしようっていう風に、仕切りなおすということなんです。

ブレるというのは、方向性自体は決まっているんだけど、そっちに行っていないことがブレるということなんで、明確に違うと思います。

赤川 なるほど。やり切っているかどうかということですね。

スマートニュースもfreeeも順調に立ち上がったと、グーグルも多くのプロジェクトは立ち上がっていったと思うんですけど、とはいえ、停滞する時期、リリース後に1回止まったな、とか成長角度がゆるくなってきたな、という時期があったんじゃないかと思います。

そのときに、何を見て何を変えてその局面を打開したのか。リリース後の最初の谷をどう越えたかっていうところも、聞かせて頂きたいと思います。

「悲しみの谷」を乗り越える

中村 「悲しみの谷」ですね。

赤川 悲しみの谷っていうのは…Yコンビネーター曰く、プロダクトを出したらTechChrunchとかで取り上げられて話題にはなるけど、話題にしてる人たちは実際のターゲットユーザでないのですぐ離脱して、谷に落ちる、と。そこからどうやって上っていくかっていうところが、一番実は重要かなと思っていまして、停滞期を乗り越えたときの話をお三方に伺いたいなと思います。

鈴木 では、僕からいきます。厳密な意味での横ばいになるような停滞期というのはなかったんですけれども、炎上というのがありまして。結構炎上したんですよね。

赤川 ありましたね。

鈴木 そうすると、リリースした直後には、多数のブロガーの方がスマートニュース素晴らしいとか書いてくれていたんですけど、炎上したとたん、書かなくなるんですよね。

だから、そういう意味で言うと、ちゃんとスマートニュースがビジョンを持って取り組んでるんだ、と。これはたしかにメディアという世界にとって、ある種のディスラプトという風に解釈されることかもしれないけど、我々自身はちゃんと信念を持って、メディアの事業というものを応援しようと思ってやっているんだということを、伝えていくということを根気強くやりました。

それは、僕が、というかは、そこ(参加者席)に座っている藤村がやったんですけれども、おかげでだんだん信頼を獲得することが出来て、そうするとメディアの方々にも記事を書いてもらえるようになったというのはありましたね。

だから、そういう意味で言うと、ちょっと谷の種類が普通と違って、悲しみの谷ではなくて、苦しみの谷というか炎上したと話ですね。

赤川 有難うございます。佐々木さんどうですか?

佐々木 優秀なCOOを採用するということですかね(笑)。1つは、やっぱりプロダクトだけじゃないというのはあると思うんで、しっかりマーケティングをしておきましょう、というのはやっぱりあったと思います。

そこでユーザーを増やしつつ、やっていったのは、しっかり最初は、ユーザーから来る改善要望を、全部は答えられないですけど、これは重要だなと思ったのは、しっかりやっていって、少し自分たちのやりたいことが出来ていなくても、それを最初の段階で優先させるというのを、結構しっかりやりましたね。

そうすると、ファンみたいな層が出来てくるんですよね。「僕が育てたんだ」と言える人たちが出てくるので、やっぱりそういった人たちに、最初の1年くらいはすごく支えられたなと思いますね。

赤川 苦しい時期にこそ、よりユーザーに向き合う。

佐々木 ユーザーに向き合う。

赤川 どういう向き合い方をされたんですか?

佐々木 それこそ、「こういうところはクソだ」と言って下さる人に、しっかり直して「直しました」と返すということですね。

やっぱりその後はすごくファンになってくれるし、実はもうすでに直す計画になっていたものだったとしても、そういうところを見つけて、言われたので直しましたと一言いうだけで、ずいぶんファンになってくれる訳ですね。

そういうことは、最初のユーザーがそんなにいないからこそ出来るし、まめにやっていました。

そこに更に、チャットでカスタマーサポートするというのをやり始めて、これがすごく評価が高くてですね。

更にまたそのファンの人たちがファンになるというか、ファンになるきっかけになったな~と思います。

赤川 地道なユーザーコミュニケーションが大切ということですね。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/藤田 温乃

続きは 【最終回】世の中を変えるのはプロダクトである をご覧ください。

【編集部コメント】

続編(その9)では、会場からの質問を受け付け、プロダクト撤退の判断やサービス提供中の挫折等についてお話しいただきました。最後に、プロダクト開発に携わるすべての人に熱いメッセージを頂きました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンフ ァレンス「Industry Co-Creation(ICC) カンファレンス」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。