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「採用が強い会社は何を実践しているのか?」6回シリーズ(その2)では、採用力の高い会社に共通する要素を深堀りします。「社長に時間を使っていただかないと、いい人材は採れません」と話すのは、ヘッドハンターとして数々のベンチャー採用支援に携わるキープレイヤーズの高野さん。その心とは? ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。
本ッションは、ICCサミット FUKUOKA 2018 プラチナ・スポンサーのビズリーチ様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2018年2月20-22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 8A
採用が強い会社は何を実践しているのか?
Supported by ビズリーチ
(スピーカー)
島田 亨
株式会社 USEN-NEXT HOLDINGS
取締役副社長COO
高野 秀敏
株式会社キープレイヤーズ
代表取締役
多田 洋祐
株式会社ビズリーチ
取締役
(モデレーター)
堀 新一郎
YJキャピタル株式会社
代表取締役
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1つ前の記事
1.「圧倒的に採用が強いのはリクルート」USEN-NEXT島田亨さんが語る“採用に強い会社の共通点”とは
本編
堀 今いくつかキーワードが出てきたと思います。
高野さんのお話では、1つとしてプロダクトが強いという話がありました。
また、会社として採用にどれだけコミットしているか、という話もありました。
多田さんからも同様のお話がありましたが、特に外資系企業については営業活動としての採用という話もありました。
そして、島田さんからはキャッシュを生み出しているかどうかというお話がありました。
正直どれも大事だと思いますが、これらの中から共通項のようなもの、すなわち「これが強い会社は長い期間良い採用ができている」というのはあるものでしょうか?
高野さんから見て、いかがですか?
社長の「面接への時間の割き方」で分かる採用コミットメント
高野 やはり、社長がコミットしてくれるのが一番大事だと思います。
社長に時間を使っていただかないと、いい人材は採れません。
堀 せっかくなので、ここはより突っ込んでお聞きしたいと思います。
今日会場にいらっしゃった方は、皆さん「自分はそれなりにコミットしてやっている」と自負しているかと思いますが、第三者的な、それこそ企業に人材を紹介するヘッドハンターというお立場から見て、そのコミットの度合いもさまざまかなと思います。
実際に、どういった点にコミットメントの違いが表れるものでしょうか?
高野 社長は皆さん忙しいので、まず面接の調整ができないことが多いですよね。
堀 スケジュールがそもそも決まらないと。
高野 はい。そこを、土日とか夜遅くとかでもいいので、なんとしてでも調整して欲しいです。
こちらとしても、社長の皆さんに時間を使っていただくわけですから、もちろん良い方を選んでいます。
お忙しい中でちょっとでも会ってくれる会社さんは、本当にありがたいと思いますよね。
堀 島田さんは、インテリジェンスでは共同創業者の宇野康秀さんと一緒にお仕事してきたと思いますが、その頃はやはり相当採用に時間を使ってらっしゃったのですか?
島田 相当時間を使いましたね。
(写真左)株式会社 USEN-NEXT HOLDINGS 取締役副社長COO 島田 亨さん
創業者は4人ですが、まだインテリジェンスが20人とか30人ぐらいの時に、宇野さんも含めた役員4人は、中途にしても新卒にしても「本当に口説かなければいけない」と思う人材に、1週間に10人ぐらいずつ会っていたはずです。
毎週、それも夜です。夜面談をしてから、会社に帰ってさらに仕事をしていました。
こう言うと、ブラックそのものですが(笑)。
高野 それで朝も早いんですよね。島田さんは夜が遅く、朝が早いんです。
島田 趣味が無いからね(笑)。
ただそれが出来たのも、しつこいようですが、その当時のインテリジェンスは借り入れもほとんどなく、売上はたかだか10億円くらいでしたが利益では4億円ほど出していて、そしてそれを採用活動費にちゃんと当てられていたからです。
堀 一方で、最近のスタートアップで創業初期から黒字を出してキャッシュフローが良いところはなかなかないと思います。
そうした中でも、人員は拡大しなくてはいけないというところが島田さんの投資先でもたくさんあるのではないかと思いますが……。
島田 そもそも、それは間違いだと思っています。
まずはキャッシュフローで投資をする、キャッシュで人を採るということが前提なのですが、最近は「まず、どこからお金を調達するか」というところから始まる会社が多いです。
全然話が変わってしまいますが、それはちょっと違うなと思っています。
ただ最近は、本当にキャッシュを集められる状態になったので、採用戦略をうまくやったところが伸びる、ということも実際としてありますよね。
堀 実際にはいかがでしょうか、高野さん。
キャッシュフロー無きスタートアップの採用戦略とは?
堀 スタートアップでもキャッシュフローができる前から、ヘッドハンターやビズリーチを使って採用しているところもあると思いますが。
(写真左)YJキャピタル株式会社 代表取締役 堀 新一郎さん
高野 ここ数年で潮目が変わりましたね。
昔は、儲かっている会社さんから人材紹介の依頼をいただいていました。
しかし数年前ぐらいから、スタートアップの調達金額が一桁大きくなったので、調達が決まる前から弊社に声がかかって「スカウトしてほしい」という依頼がくるという、今はもうそういう流れになっています。
堀 今は調達額が5,000万円や1,000万円ぐらいからすぐにヘッドハンターを使い始めるのですか?
高野 その傾向はあると思います。
でもやはり1億円未満の調達金額ではすぐになくなってしまうので、先ほどの島田さんのお話ではないですが、ビジネスそのものが儲かる状態になっていないと不安で紹介しにくくなる、という傾向はないとは言えません。
やはり3億円以上は調達していただいた方が、こちらとしてもプッシュしやすいというのはありますね。
堀 ヘッドハンターさんを使う場合は、そうかもしれないですね。
そうは言っても会社は大きくしなくてはいけないわけですし、ビズリーチも最初は二人から始まっているわけですよね。
南さん(ビズリーチ代表取締役社長、南壮一郎さん)はどうやって人を増やして来たのでしょうか?
多田 僕は「お金がないから採用ができない」というのは完全な言い訳だと思っています。
私が採用担当としてビズリーチに入社した2012年、社員がまだ30人の頃は人材紹介サービスは使えませんでした。
しかし、自社サービスであるビズリーチを活用できていない状況だったので、僕がビズリーチを使ってリクルーティングするところから始まりました。
入社から半年で、社員紹介とビズリーチ経由で40人の正社員を採用しました。
ビズリーチは自分たちのプロダクトなのでちょっとずるいかもしれないですが、それでも、大半が社員紹介で採用し、お金はほとんど使っていませんでした。
そして現在でも、社員紹介数のトップは南ですし、2番は僕です。
しかも南は、ビズリーチを創業するまでの知り合いは1人も入れていません。
ビズリーチが始まってから声をかけたり、会ったりした人だけに入社してもらっています。
やはり、とにかくトップが動いて連れて来るということをやり続ける。
それだけだと思っています。
私は当時自分の会社をやっていたのですが、その会社を辞めることにして退職メールを関係者の方々に送ったら、最初に返信が来たのが南でした。
「お茶しよう」と言って。
このように常にアンテナを張って、良い人がいたら一番に声をかける、ということが大事かなと思います。
採用に強い会社は「自分たちより優秀な人材」を求めている
多田 真面目な話をすると、リクルートさんがやっていたように「自分たちより優秀な人を採用する」ということです。
南はもう、それしか言わないですね。むしろそれだけです。
島田 インテリジェンスでも、実際に会って話をして、明らかに自分よりも頭が良いし、コミュニケーション能力の高い人をどんどん採りにいっていましたね。
堀 インテリジェンスの時は、それを宇野さんが全員に言うのですか、それとも全員がその共通認識で動くのですか?
島田 全員に言っていたかどうかの記憶はないですが、共通認識があったので、どこかのタイミングで言っていたのだと思います。
また、採用だけではなくマネジメントにおいても「自分より優秀な部下を使えないマネージャーはダメだ」という共通認識がありました。
ビジネス本などに杓子定規的に書いてあることですが、本気でそういうことを言っていたと思います。
堀 逆に言うと、当時のインテリジェンスの採用基準はそこにあったのですか?
島田 明確な採用基準ではないですけども、優秀な人を見るとつい惚れてしまうみたいなDNAはありますよね。
それこそ藤田さん(現サイバーエージェント代表取締役社長 藤田晋さん)の新卒の時の最初の面接は僕がやりましたが、一発で惚れましたからね。
堀 なるほど。
自分より優秀な人だったら時間をかけても採りに行く、というのは確かに色々な企業で見聞きしますよね。
例えば孫さんがニケシュ・アローラ(元ソフトバンクグループ代表取締役副社長兼ヤフー取締役会長)を引っ張ってくる時も、数年かかっています。
私の投資先で電動車椅子を開発しているWHILLという会社の杉江社長も、五宝さんというCFOを引っ張ってくるのに2年ぐらい口説き続けていました。
ちなみに多田さんは、カフェで南さんとお会いになって即決だったのですか?
ビズリーチ南社長は、いかにして多田さんを口説いたか?
多田 このエピソードは面白いので、お話しさせていただきます。
僕はその頃2回目の起業をしたところで、その状態で南と会いました。
南は最初、ビズリーチを“草野球”ならぬ“草ベンチャー”という言い方をして「とりあえず外部でもいいから関わってくれ」というスタンスでした。
そこで、当時は業務委託契約で週1回やらせていただく、というところから入りました。
半年ぐらいして、僕も自分の事業をやりたかったので「業務委託をもう辞めます」と断りに行こうと思って連絡しました。
すると南はもう察していたようで、日曜日の夜6時に会うことになりました。
そして僕がいくら断っても「多田さん、一緒にやろうよ」と何度も言うんです。
そこまで言われたのだからと僕もその晩寝ずに考えて、翌日の夜7時にもう一度ビズリーチのオフィスに行きました。
そして多分南は、前日の僕の様子から「多田は来ないな」と思っていたのでしょう。
入った瞬間に僕は何も言ってないのに「うちの他の役員に会ってなかったよね。竹内と村田を呼んでくるから待ってて」と出ていって、テクノロジーのトップの竹内真と、LUXA(ルクサ)の社長(当時)をやっている村田聡を呼んできました。
堀 動物的な勘があったのでしょうね。
多田 そして村田が来て1時間話して、その後竹内が来ました。
僕は竹内と話して「やっぱりテクノロジーがある会社で学ぶことは、僕の人生にとって良いな」と思ったし、口説かれたのもありがたかったので、そこで翻意して「南さんを呼んできてください」と言いました。
すると南がやってきて、僕と握手しました。
そうやって僕は口説かれました。
当時、南とは経験が異なる創業メンバーたちがとても優秀だと思ったので、それが何なのかが分かりたくてビズリーチに入った感がありますね。
そういうことを本当に地道にやり続けていて、「いい人がいれば本気で口説きに行く」ということを徹底的にやっているのです。
(続)
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/戸田 秀成
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