「くしまアオイファーム」は、さつまいも農家の課題に取り組み、世界に日本の美味しさを届ける(ICC FUKUOKA 2022) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

「くしまアオイファーム」は、さつまいも農家の課題に取り組み、世界に日本の美味しさを届ける(ICC FUKUOKA 2022)

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ICC FUKUOKA 2022 CRAFTED CATAPULTに登壇いただいた、くしまアオイファーム 奈良迫 洋介さんのプレゼンテーション動画【「くしまアオイファーム」は、さつまいも農家の課題に取り組み、世界に日本の美味しさを届ける】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022プラチナ・スポンサーのMakuakeにサポートいただきました。

【速報】竹のお箸を、もういちど日本の食卓へ。伝統と竹林を守り続ける「ヤマチク」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2022)


【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICC FUKUOKA 2022
Session 8A
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake

奈良迫 洋介
株式会社くしまアオイファーム
代表取締役社長

1982年生まれ、鹿児島県出身。高校卒業後、美容師見習いを経てワーキングホリデーでニュージーランドへ。帰国後、鹿児島大学に入学し2010年3月に卒業。同年4月からインドの現地企業で翻訳業務のプロジェクトマネージャーを務める。2012年7月からは東京の貿易商社にて経営管理および食品の輸出業務に従事。他部門への異動内示をきっかけに「さつまいも愛」から台湾で見つけたくしまアオイファームへの転職を決意。2016年1月入社、同年9月から2017年3月までは現地生産の可能性を探るためベトナムに滞在。帰国後は、金融機関や投資家を相手にさらなる成長のための資金調達に奮闘。2018年1月実施の社長内定総選挙で当選。2020年9月より現職。2018年10月より2020年3月まで宮崎大学農学部に設置した共同研究講座「MIYADA TAIYO Aoifarm Lab」において特別助手を務める。世界最大の農業者ネットワークを持つ国際農業奨学金制度「Nuffield」の日本事務局の理事も務める。


奈良迫 洋介さん 私たちくしまアオイファームは、宮崎県串間市で約40ヘクタール、東京ドーム8.5個分の畑で、青果用のさつまいもを栽培しています。

自社生産だけでなく、日本全国200を超える契約農家と協力企業からも仕入れており、年間の取扱量は約8,000トンです。

「さつまいも愛」から、くしまアオイファームに入社

株式会社くしまアオイファームの奈良迫と申します。

前職は、商社でさつまいもの輸出に携わっておりました。

しかし、まったく異なる部署への異動の内示をきっかけに、くしまアオイファームに転職し、社内の社長内定総選挙を経て、今に至ります。

「強い農業」を実現するため、さつまいもに特化し従来にないスタイルで世界に挑む(ソニー銀行)

高品質・多品種のさつまいもを年間を通して供給

くしまアオイファームの現在の特徴は、生産や出荷はとにかく現場力を強化しながら、青果用として流通している多くの品種を取り扱い、ITを活用しトレーサビリティを実現しながら、1年間、安定して高品質なさつまいもをお届けできることです。

収穫後のさつまいもをキュアリングして貯蔵

それでは、ここで、さつまいもの収穫後の「キュアリング(※) 」と貯蔵の様子を、動画でご覧いただきたいと思います。

▶編集注:収穫時などに傷ついたさつまいもなどを、高温多湿条件下において傷口にコルク層を形成させ、腐敗を防ぐ方法。

収穫直後のさつまいもを、高い温度と湿度の環境に一定期間置く「キュアリング」と呼ばれる処理をすることで、さつまいもの表面に薄い膜を作り、長持ちするようにします。

キュアリング後は、温度と湿度を管理された貯蔵庫の中で貯蔵していきます。

さつまいも流通の不透明性に疑問

私たちの経営理念です。

くしまアオイファームは、農協の一組合員であった、池田 誠(現・代表取締役会長/CEO)が2013年に設立した農業法人です。

第5章 さつまいも一筋,「モテる大人」が農業を変える―宮崎県串間市 株式会社くしまアオイファーム 2019.9(企業診断ニュース)

設立のきっかけは、販売の市場依存、組織の硬直化など色々ありましたが、一番大きな理由は流通の不透明性でした。

さつまいも500gkg当たり農家の手取りが50円なのに、海外では700円で販売されている。

当時、輸送コストや腐敗率についてはよく分かっておりませんでしたが、それでも何かがおかしい。「このままでは国内のさつまいも農家は生きていけない。自分で作ったさつまいもは、自分で売る」、そうした決意で作ったのが、くしまアオイファームです。

とはいえ、農協出荷を止めて独自に販売しようと思っても思ったようには売れず、時には不当としか思えない圧力も受けましたが、、そうした圧力をバネに、必死にあがき続けました。

小ぶりのさつまいもへの需要

平日の昼は畑作業、夜は出荷作業、週末は催事という忙しい毎日、そんな中、ある催事に参加した時のこと。

販売している小さなさつまいも(小芋)を見たおばあちゃんが、「これぐらいの大きさが私にはちょうどいいのよね」と一言。

当時、小芋は、収穫の手間がかかるわりに高く売れず、畑に放置されるのが一般的でした。

そのおばあちゃんの一言に小芋の可能性を感じ、近隣の農家にも小芋を収穫するよう依頼、小芋を武器に積極的な営業を開始しました。

海外で小芋が売れると聞いたことがあったので、県内の商社がシンガポールへの輸出を開始するという記事を見て、すぐにその商社に電話し小芋の輸出を開始しました。

さつまいもの輸出が日本一の規模に

最初は少量でしたが、次第に小芋が足りなくなり、小芋の出現率を意図的に高める「小畝密植栽培」を確立、出荷量を増やし、さらに香港や台湾など出荷先も増やしていきました。

海外輸出の課題は現在もありますが、現地にも頻繁に足を運び、課題を少しずつ改善、気がつけば日本からの輸出、日本一の規模になり、「平成28年度 輸出に取り組む優良事業者表彰」においては、農林水産大臣賞を受賞するまでになりました。

現在も事業は成長を続けており、会社設立時からの売上は35倍、雇用人数も25倍まで規模を拡大しております。

しかし、当然ながら、課題はまだまだたくさんあります。

現在、解決に向けて取り組んでいる課題を2つご紹介いたします。

課題① サツマイモ基腐病

1つ目は、特に南九州で猛威を振るっている、「サツマイモ基腐病」です。

▶編集注:サツマイモ基腐病とは、糸状菌(Diaporthe destruens、旧名Plenodomus destruens)によって引き起こされ、発症すると、葉が変色して生育不良になり、根元が黒変して腐敗する病害のこと。2018年11月に日本で初めて発生が報告された(ニッポンジーンを参照)。

現在も解決策は見出せておらず、この病気の影響により、収量減・収入減となり、離農が増加しています。

串間市は、ある意味、「サツマイモ基腐病」の先進地であり、私どもは植え付け時期、品種、農業資材、作り方、農薬など様々な組み合わせで、独自に「サツマイモ基腐病」対策試験を実施、結果を広く公表しています。

今回のICC FUKUOKA 2022「フード & ドリンク アワード」でも提供させていただいております「ひなたスイート」、これが現時点において「サツマイモ基腐病」に対、最も抵抗性を有していると考えており、私どもは今期、自社40ヘクタールすべて「ひなたスイート」を作付けします。

これぞ究極の食体験プログラム! フード &ドリンク アワードの展示を全紹介【ICC FUKUOKA 2022レポート】

同時に、契約農家に対しても、「ひなたスイート」への全面切り換えを推奨しています。

また、宮崎大学農学部とも共同研究を行っており、こちらでも新品種の開発を進めております。

くしまアオイファームとの共同研究講座を設置(宮崎大学)

課題② 腐敗したサツマイモのリサイクル法

2つ目は、商品価値を失ったさつまいものリサイクルです。

さつまいもは青果物で腐敗は避けられず、腐敗したさつまいもは捨てざるを得ないのですが、これを何とかして有効活用できないかと試行錯誤しております。

エネルギーとして活用できないか、家畜の餌にできないか等々、色々と取り組みましたが、なかなかうまくいかず、現在は「イモ炭」の可能性を探っております。

脱炭素が叫ばれる昨今、バイオ炭(※) の農地貯留や日用品としての活用など、「イモ炭」は大きな可能性を秘めていると感じています。

▶編集注:バイオ炭とは、生物資源を材料とした、生物の活性化および環境の改善に効果のある炭化物のこと(日本バイオ炭普及会を参照)。

世界一美味しい日本のさつまいもを世界中に届ける

世界中でさつまいもを食べましたが、日本のさつまいもが間違いなく一番美味しい。

「この、美味しい日本のさつまいもを、国内においても海外においても生活になくてはならないものにしたい」

そうした思いから、くしまアオイファームモデルの海外輸出、

具体的には、アフリカでの現地生産から始めたいと考えております。

こうした色々なキャラクターも作って参りましたが、おおよそ農業法人の枠に留まらない取組みをして参りました。

これからは、さつまいもの時代です。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/中村 瑠李子

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