▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
▶新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
▶ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!
ICC FUKUOKA 2025のセッション「「ローカル・コネクテッド」(シーズン2) – ICC地域コミュニティを盛り上げよう!」、全10回の⑧は、「男鹿」チームへの質問タイムです。産業が立ち上がる機運や地元からの応援はあるのか、移住者の住居問題は?など、次々質問が上がります。地域コミュニティ作りは、教育からアプローチしたいという稲とアガベの岡住 修兵さんの思いを、ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。
▼
【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 6E「ローカル・コネクテッド」(シーズン2) – ICC地域コミュニティを盛り上げよう!
Supported by EVeM
登壇者一覧
(スピーカー)
① 宮崎
村岡 浩司
一平ホールディングス
代表取締役社長
斎藤 潤一
AGRIST
代表取締役CEO
② 京都・丹後
飯尾 彰浩
飯尾醸造
五代目当主 江戸前シャリ研究所 所長
楠 泰彦
クスカ
代表取締役
③ 石川
石川 勤
石川樹脂工業
専務取締役
上町 達也
secca (雪花)
代表取締役
④ 男鹿
岡住 修兵
稲とアガベ
代表取締役
齋藤 翔太
稲とアガベ
取締役CFO
石田 遼
NEWLOCAL
代表取締役
⑤ 長崎
岩下 英樹
リージョナルクリエーション長崎
代表取締役社長
(モデレーター)
荒木 珠里亜
(審査員 = リングサイド席)
朝霧 重治
協同商事(コエドブルワリー)
代表取締役 兼 CEO
東野 華南子
ReBuilding Center JAPAN
代表取締役
東野 唯史
ReBuilding Center JAPAN
代表取締役
岩田 真吾
三星グループ
代表
内田 徹
漆琳堂
代表取締役社長
太田 泰造
錦城護謨
代表取締役社長
門田クニヒコ
五島つばき蒸溜所
代表取締役
川副 隆彦
鍋島虎仙窯
番頭 兼 絵師
木村 祥一郎
木村石鹸工業
代表取締役社長
小林 兼
ファイターズ スポーツ&エンターテイメント
執行役員 開発本部 副本部長
境 美希
Tryfe
代表取締役副社長
笹﨑 浩一
サイボク
代表取締役社長 兼 グループCEO
佐藤 太亮
haccoba -Craft Sake Brewery-
代表
佐別当 隆志
アドレス
代表取締役社長
白井 智子
CHEERS
代表取締役
高橋 大就
一般社団法人東の食の会 専務理事
高本 泰朗
リゲッタ
代表取締役
富山 浩樹
サツドラホールディングス
代表取締役社長CEO
友安 啓則
友安製作所
代表取締役社長
永岡 里菜
おてつたび
代表取締役
中川 敬文
イツノマ
代表取締役CEO
中村 直史
五島列島なかむらただし社
代表 / クリエーティブディレクター
濱田 祐太
ローカルフラッグ
代表取締役
丸谷 篤史
LOOOF
取締役副社長
水沼 樹
諏訪田製作所
宮坂 勝彦
宮坂醸造
社長室室長
和田 智行
OWB
代表取締役
▲
▶「「ローカル・コネクテッド」(シーズン2) – ICC地域コミュニティを盛り上げよう!」の配信済み記事一覧
Q 産業が立ち上がる機運は?
荒木 では皆さん、質問をお願いします。
木村 祥一郎さん(以下、木村) 木村石鹸の木村です。

▼
木村 祥一郎
木村石鹸工業株式会社 代表取締役社長
株式会社みせるばやお 代表取締役
1972年生まれ。1995年大学時代の仲間数名とITベンチャー企業を起ち上げる。以来18年間、商品開発やマーケティングなどを担当。2013年6月家業である木村石鹸工業株式会社へ。2016年9月、4代目社長に就任。石鹸を現代的にデザインした自社ブランド商品を展開。OEM中心の事業モデルから、自社ブランド事業への転換を図る。
▲
3年間であれだけのことをされていてすごいなと思いましたので、今年、絶対に男鹿に行きたいと思っています。
観光客や地元の人が現状をどう捉えているのか、そして、稲とアガベ以外に地元産業や会社が興ろうとしているのかどうかを知りたいです。
A クラフトサケを成長させ街そのものになりたい

岡住 僕は男鹿市長(菅原 広二市長)と友達で、男鹿にお客様が来た際、当日の依頼だったとしても会ってくれます。
先日、お客様が市長に「この街の産業は何ですか」と質問したところ、市長は「うーん…ない!」と言いました。
それくらいの街です(笑)。本当に、産業はないです。
生き残る術があるとすれば観光業ですが、特異なものがあるわけではなく、ドライブで終わってしまいます。
観光客は250万人いますが、泊まりは10万泊のみなので、そのギャップを埋めるのが僕たちのチャレンジの一つです。
あとは、酒ですね。例えば獺祭や黒霧島など、酒は街そのものです。
僕は、酒にはそういう力があると思っています。
僕らがクラフトサケをきちんと成長させ、街そのものになりたいというビジョンを持っており、そのビジョンはICCのおかげで育まれています。
齋藤 翔太 先ほど、ENEOSの保養所の話をしました。
男鹿の歴史を少し話すと、もともとは石油の街だったのです。
最盛期には飲食店が70店舗以上ありましたが、今は10店舗以下です。
男鹿で最も古い金持ちは材木商で、彼らの家がENEOSの社宅保養所になりました。
実は、あそこで昭和天皇がご静養したこともあり、男鹿で初めて水洗トイレが導入された場所でもあります。
そんな由緒ある立派な建物なのに現在は全く活用されていないため、何とかできないかと考えています。
Q 地元からの応援は?
木村 地元の人たちは、皆さんを応援しているのでしょうか?
A 応援の声しか聞こえてこない

齋藤 翔太 行くところまで行ってしまった状態から、我々が再興しようと頑張っているので、ほぼ応援の声しか聞こえてこないです。
当然、反対意見もあるのでしょうが、我々の耳には入ってこないです。
身近にいる方から行政の方まで、地元の方々の応援があるからこそ、ここまで頑張ってこられたという感じです。
木村 ありがとうございます。
Q 移住者の住居問題は?

石川 加賀市も比較的似たような境遇なので、男鹿もすごいなと思いました。
クラフトサケなどの魅力も手伝って、男鹿に人がどんどん移住されているようですが、加賀の場合、新しく来た人が住んで良い場所があまりないです。
賃貸も整備されていないため、いきなり持ち家となるとハードルが高いです。
稲とアガベの吸引力があることは前提にしても、それ以外にどういう取り組みをしているのでしょうか?
A 行政は空き家の活用を望むが……
岡住 住む場所の問題には、まさに今、直面しています。
男鹿に来たいと言う人がいますが、住む場所を探すのが本当に大変です。
齋藤さんが今、提案を…。
齋藤 翔太 積水ハウスなどとつながって良い制度を教えてもらったので、移住のための住宅に関して、国の補助金や市の過疎債を使うような提案を市にしていますが、ここは、普段応援してくれている人たちとも噛み合わない部分です。
やはり行政は、新築はしたがらないのです。
空き家や既存の建物を使ってほしい、という意見です。
でも、「自分が住みたいと思えない家に人を住ませるのはおかしい」という話を行政にしているところです。
男鹿では20数年間、新築アパートは建っていないのです。
今年度、予算化を目論んでいましたが、課題として残っています。
岡住 ちなみに、皆さんがアパートのオーナーになっていただければ、僕たちが頑張って埋めるので、多分、儲かります(笑)。
よろしくお願いします。
Q 地元企業とのCo-Creationは?
内田 徹さん 漆琳堂の内田と申します。

▼
内田 徹
漆琳堂
代表取締役社長
福井県鯖江市出身。1793年(寛政5年)創業の漆琳堂八代当主。大学卒業後、七代続く塗師屋家業に就き、祖父、父に漆器づくりの下地と塗りを習う。2012年越前漆器産地史上最年少で伝統工芸士となる。2019年漆琳堂代表に就く。2020年自社ブランド「RIN&CO.」2021年に「漆琳堂」を発表。福井県、国立法人福井大学と産学官で原料である漆を研究し、これまでの概念に囚われないカラフルで耐熱性・耐久性に優れた漆器商品を開発する。同連携により経済産業省ものづくり企業300社に選定される。漆塗りの技術を継承しながら、若手職人の育成や地域の産業観光にも取り組む。2022年一般社団法人SOE代表理事に就任し、福井県の伝統工芸などのものづくりを主体とした産業観光事業にも取り組んでいる。
▲
僕たちはもともと地元に住んでいる側なので、岡住さんとは立場が逆です。
地元に新しく人が来て、協業して何かを作るというのが、僕たちの街では起こっています。
地元の人との協業、地元企業を取り上げるような動きなどがあるのか、教えてください。
A ようやくそのステージに上がった
岡住 正直に言うと、産業自体がないので、Co-Creationが結構難しい部分があります。
ただ、地元出身の建設会社の方が、男鹿を盛り上げている稲とアガベを応援したいと言ってくれて、僕たちが建物を作る時は言い値で受けてくれるような関係になってきたというのが、最大の変化でしょうか。
僕らは、これからだと思っています。
最初は、「あいつら、大丈夫か?」と僕たちの勢いに懐疑的になっている人もいましたが、ここまで来ると、地元の経営者が集まる際にも「本当によくやってるね」という雰囲気になり、手伝うよと声をかけてくれる割合が、今年は格段に増えました。
ですから、これからだと思っており、ようやくそのステージに上がったと思っています。
齋藤 翔太 ちなみに、僕のところにはまだ「大丈夫?」という人も来ます(笑)。
(会場笑)
でもここまで来ると、我々の事業がなくなると困る状態だと思うので、応援してもらえると思っています。
あと、やはりお酒を作っているので、地元の飲食店とは、イベントなどで協力はしやすいですね。
今でも残っている店舗は、どこも美味しくて良いお店なので、皆さんをご案内したいと思います。
荒木 私も移住後、お店に行って稲とアガベの名前を出すと、「本当に頑張っているから、こっちも頑張らないと」と、地元の方から話しかけられる感じです。
齋藤 翔太 遼さんもたまに男鹿に来ますが、外の人としてどう見ていますか?
石田 通常、ここまで目立つようになると地元から批判されると思うのですが、男鹿は特殊で、なぜかされていません。

飲食店で、稲とアガベと仕事をしていると言うとサービスしてもらえるくらいなので、宗教みたいな感じです(笑)。
(会場笑)
ただ、そうは言っても、男鹿の人たちも働いています。
農業や漁業、石油産業など、男鹿の既存産業と距離が離れすぎていて、ハブができていないと思っています。
どこまで行っても、稲とアガベだけでいろいろなことをするのは無理なので、連携をもっとしないといけないなと今日学びました。
Q 岡住さんの考えるコミュニティ作りとは?

高橋 革命のフロンティア、福島県浜通りからやってきました高橋です。
▼
高橋 大就
一般社団法人東の食の会 専務理事/ NoMAラボ 代表
1999年に外務省入省。日米安全保障問題や日米通商問題を担当した後、2008年にMcKinsey & Companyに転職。 2011年6月、一般社団法人東の食の会を立ち上げ事務局代表に就任。その後、並行してオイシックス株式会社執行役員(海外担当)に就任。東の食の会では「サヴァ缶」などのヒット商品や多くのヒーロー農家・漁師を生み出すと同時に、オイシックスにて日本の食の輸出事業を展開。 2021年4月、全町避難からの復興を進める福島県浪江町に移住。 現在、東の食の会にて福島の食のブランドづくりや「なみえ星降る農園」の運営を行うと同時に、NoMAラボにて住民主体のまちづくりに取り組み、更に、人と馬と自然とが共生する自律分散型コミュニティ「驫(ノーマ)の谷」を立ち上げた。
▲
稲とアガベの皆さんは僕らと同じ東北でチャレンジをされていて、改めて、素晴らしいし誇らしいと思いました。同志だと思っています。
街づくりには、産業作りとコミュニティ作りがあると思っています。
産業作りはチャレンジで、伸るか反るかの勝負をしていると思います。
コミュニティはそういう人たちだけでは作れないですし、社会の大半の人はチャレンジをしない、したがらない人であり、チャレンジする人だけのコミュニティだと広がっていきません。
そういう意味で、岡住さんの考えるコミュニティ作りについて、教えてください。
A 教育から取り組み始めたい
岡住 考える隙や時間のない3年間を過ごしてきて、先頭を突っ走ることで、脱落する人もいる一方、ついていきたいと思ってくれる人が1人でも2人でも増えればいいという勝負をしてきたのが、正直なところです。
置いていかれた人もたくさんいると思います。
ただ、秋田県内には、それにもうまく対応している、五城目町という自治体があります。
丑田 香澄さんという方が経営する、教育や福祉の分野で、本当の幸せと何かを街で一体となって追求している団体(一般社団法人ドチャベンジャーズ)があります。
▶「やってみたい」が叶う町 秋田県五城目町に学ぶ地域コミュニティの力(nomlog)
そこと連携をすることで、ヒントを頂きたいと思っています。
具体的には、教育から取り組み始めたいと考えています。
先ほど話したように、「こんな街、出て行け」と言われて子どもたちが育つのは非常にもったいないと思いますし、外から入ってきてもらって、地域の人と交流してもらう留学のようなプログラムも作りつつ、地域の底上げをしたいです。
正直、難しいです。
とは言え、仲間がすごく増えている実感はあり、市役所などどこへ行っても、皆さん協力的です。
市役所と侃侃諤諤とやり取りされている方も多いかもしれませんが、男鹿では皆さん、プラスアルファの仕事をしてくれますので、突っ走ることで見えてきた部分があると思っています。
荒木 ありがとうございます。
残り時間が少なくなってきたので、1人ずつコメントをいただいて締めたいと思います。
男鹿に来て皆さんの力を貸してほしい

石田 今日プレゼンされた地域は、行ったところも多いですし、どこも行ってみたいと思いましたが、今行くなら男鹿だと思いますね。
今すごく変わっているので、来年だとまた状況が違うと思います。
1つ選ぶとしたら、男鹿だと思います。
よろしくお願いします。
齋藤 翔太 皆さんとワークショップをするのがすごく楽しみです。
今、かなりの量の空き物件情報が集まってきており、情報量も豊富で、物件のアテンドもできます。
資金調達も含めて一緒に考えますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
岡住 とにかく、来てください。
本当にもう、それだけです。
皆さんの力が本当に必要です。
課題しかない街です。
皆さんの力でこの場所をより良くしていくことが、世界の未来を作っていくと思っていますので、ぜひ、力を貸してください。
お願いします。
荒木 男鹿チーム、ありがとうございました。
私も男鹿に住んでいるので、どこまで話すべきかと思いながらでしたが、素晴らしいプレゼンテーションありがとうございました。
これまでの歴史や文化、産業をどうつないでいくかの話とは対照的な、何もなくなってしまったところでどう作り上げるか、ないからこそどう盛り上げるかという話で、すごく面白かったと思います。
(続)
本セッション記事一覧
- 「宮崎」「京都・丹後」「石川」「男鹿」「 長崎」が地域を超えた「コネクト」を生み出すシーズン2!
- 天孫降臨伝説の地「宮崎」が目指す、支え合う九州共創コミュニティ
- 生きる意味を再考できる、「京都・丹後」の「意味のないもの」巡り
- 「見どころはあるが泊まってもらえない町」という課題をどう解決するか
- 事業を地域のアップデートにどうつなげる?アート、グルメ、伝統工芸が盛んな「石川・加賀」
- 歴史と文化、テクノロジーを活用した地域の未来を議論する合宿ワークショップ
- お酒をメディアとして、町を未来に残す挑戦を続けるチーム「男鹿」
- 産業のない町で、最初は「あいつら、大丈夫か?」だった
- 新たなランドマーク「長崎スタジアムシティ」を軸に堪能する「長崎」の魅力
- シーズン2の優勝は「男鹿」に決定! 地域の未来をともに考えていこう!【終】
▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
▶新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
▶ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!
編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成