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ICC FUKUOKA 2025のセッション「「ローカル・コネクテッド」(シーズン2) – ICC地域コミュニティを盛り上げよう!」、全10回の⑤は、「石川」チームの石川樹脂工業 石川 勤さん、secca上町 達也さんが登場。紹介するのは、石川樹脂工業の地元加賀市とseccaのアトリエがある金沢市です。石川さんが、金沢のグルメと加賀市の名所をたっぷり紹介しながら、歴史的資源の活用への思いについて語ります。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。
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【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 6E「ローカル・コネクテッド」(シーズン2) – ICC地域コミュニティを盛り上げよう!
Supported by EVeM
登壇者一覧
(スピーカー)
① 宮崎
村岡 浩司
一平ホールディングス
代表取締役社長
斎藤 潤一
AGRIST
代表取締役CEO
② 京都・丹後
飯尾 彰浩
飯尾醸造
五代目当主 江戸前シャリ研究所 所長
楠 泰彦
クスカ
代表取締役
③ 石川
石川 勤
石川樹脂工業
専務取締役
上町 達也
secca (雪花)
代表取締役
④ 男鹿
岡住 修兵
稲とアガベ
代表取締役
齋藤 翔太
稲とアガベ
取締役CFO
石田 遼
NEWLOCAL
代表取締役
⑤ 長崎
岩下 英樹
リージョナルクリエーション長崎
代表取締役社長
(モデレーター)
荒木 珠里亜
(審査員 = リングサイド席)
朝霧 重治
協同商事(コエドブルワリー)
代表取締役 兼 CEO
東野 華南子
ReBuilding Center JAPAN
代表取締役
東野 唯史
ReBuilding Center JAPAN
代表取締役
岩田 真吾
三星グループ
代表
内田 徹
漆琳堂
代表取締役社長
太田 泰造
錦城護謨
代表取締役社長
門田クニヒコ
五島つばき蒸溜所
代表取締役
川副 隆彦
鍋島虎仙窯
番頭 兼 絵師
木村 祥一郎
木村石鹸工業
代表取締役社長
小林 兼
ファイターズ スポーツ&エンターテイメント
執行役員 開発本部 副本部長
境 美希
Tryfe
代表取締役副社長
笹﨑 浩一
サイボク
代表取締役社長 兼 グループCEO
佐藤 太亮
haccoba -Craft Sake Brewery-
代表
佐別当 隆志
アドレス
代表取締役社長
白井 智子
CHEERS
代表取締役
高橋 大就
一般社団法人東の食の会 専務理事
高本 泰朗
リゲッタ
代表取締役
富山 浩樹
サツドラホールディングス
代表取締役社長CEO
友安 啓則
友安製作所
代表取締役社長
永岡 里菜
おてつたび
代表取締役
中川 敬文
イツノマ
代表取締役CEO
中村 直史
五島列島なかむらただし社
代表 / クリエーティブディレクター
濱田 祐太
ローカルフラッグ
代表取締役
丸谷 篤史
LOOOF
取締役副社長
水沼 樹
諏訪田製作所
宮坂 勝彦
宮坂醸造
社長室室長
和田 智行
OWB
代表取締役
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▶「「ローカル・コネクテッド」(シーズン2) – ICC地域コミュニティを盛り上げよう!」の配信済み記事一覧
伝統をリスペクトし現代のものづくりに励む2人が語る「石川」
石川 石川県の、石川樹脂工業の、石川です。
トリプル石川です、よろしくお願いします。

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石川 勤
石川樹脂工業
専務取締役
石川県加賀市生まれ。 東京大学工学部システム創成学科を卒業後、世界最大の消費財メーカー Procter & Gambleに入社し、約10年間勤務。Finance &Accounting部門に所属し、工場でのコスト管理・原価低減・内部統制、家電分野での営業戦略など数年間の経験後、シンガポールに転勤。アジア全体の消臭剤・台所用洗剤の経営戦略に携わる。その後、帰国し日本CFOの右腕として、日本全体の営業戦略・流通コスト改革・内部統制に従事。 “自分の手で、ものづくりをしたい!”と“中小企業をスタートアップに変える!”と一念発起し、自分の親の会社に後継として現職に就く。食器ブランド”ARAS”など新規事業や営業統括・ロボティクスによる生産性の改革を推進中。大学時代の恩師とCFRPやサステナブル複合材料の共同研究にも従事。
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上町 達也さん(以下、上町) 我々は石川県という、この時期は太陽の光がほとんどささない暗い地域からやってきたので、エネルギーを感じる2つの地域とは対照的な、根暗な世界に皆さんを誘おうと思っています。

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上町 達也
secca inc. (雪花)
代表取締役
1983年 岐阜県可児市生まれ、2006年 金沢美術工芸大学卒業後、株式会社ニコンに入社し、主に新企画製品を担当。2013年 手にした人の心を動かす持続的な価値を目指したものづくりをカタチにし、価値を丁寧に手渡し合えるような世界を取り戻すことを目指し、secca inc.を設立。自社ではデザインの視点でsecca独自の経営を推進しながら、各作品のコンセプトメイキングを主に担当。デザイナーとしてはパートナー企業の経営に寄り添ったデザインコンサルティングから具体的な企画、デザインを担当。
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よろしくお願いします。
私は、ものづくりをしているsecca (雪花)という会社を経営している、上町と申します。
今日はクラフテッド・カタパルトもあって、すごく胃が痛いので、お手柔らかに。
アート、グルメ、伝統工芸が盛ん

石川 だいぶ真面目なトーンでお届けしますので、少し雰囲気が変わりますが、お付き合いいただければと思います。
皆さん、石川県と聞いた時、どんなイメージが浮かびますか?
この時期だと、まず外せないのが雪で、金沢城や兼六園が雪に埋もれると、こんな雅な感じになります。


他にも、金沢21世紀美術館には現代アートの良いインスタレーションがたくさんあり、個人的に結構好きなのは、哲学者である鈴木 大拙(すずき だいせつ)の記念館(鈴木大拙館)です。


思想を深めることもできる、良い雰囲気の場所です。
そして夜には、茶屋街でお寿司や蟹を食べるというのが、一般的な石川県のイメージかなと思います。
▶歴史情緒あふれる「金沢三茶屋街」巡り。食べ歩きや散策を楽しもう(たびらい)



ちなみに、蟹を食べるために石川に来るなら、11~12月しか食べられない「香箱ガニ」がおすすめです。
おでんにするとめちゃくちゃ美味しいので、ぜひその時期に来ていただけると、ここでしか食べられないものに出会えます。
▶金沢おでんの魅力を徹底解説!(金沢旅物語)

今、2月であれば寒ぶりですね。

上町 今がちょうど旬ですね。
石川 日本酒の醸造所もたくさんありますし、茶の湯の文化もあります。


石川県、金沢と聞くと、やはり食が思いつくのではと思います。
他にも、輪島塗り、九谷焼、友禅など伝統工芸も盛んで、これらが、石川や金沢に皆さんがお持ちのイメージだと思います。



石川樹脂工業の地元、加賀市の見どころ
石川 僕の経営する石川樹脂工業は、金沢市ではなく、加賀市にあります。
関西の方には少し馴染みがあるかもしれませんが、温泉郷である、加賀温泉という駅にあります。
では、加賀市と聞くと、どのようなイメージがあるでしょうか?

(客席から) ほうじ茶。
▶︎加賀棒茶とは?ほうじ茶との違いを丸八製茶場に聞いてみた!(ほっと石川 旅ねっと)
石川 おお、素晴らしい、よくご存知ですね。ありがとうございます。
ほうじ茶を入れていないのですが、僕の地元の加賀市の魅力について、もう少しお伝えします。
実は、魯山人の庵があります。

また、魯山人寓居跡の前に温泉寺という寺があり、そこは、日本語のあいうえおの発祥の地です。


平安時代後期に、温泉寺の住職がサンスクリット語をベースに、五十音を並べ替えたという逸話が残っており、あいうえおの五十音順は加賀市の山代から生まれたということです。
▶霊方山薬王院温泉寺 – 明覚 – 「あいうえお五十音図」の創始者(石川県加賀市)
隣接する小松市も含め、石切場が多いところで、石を掘った那谷寺(なたでら)や、日本を代表するオーナーが多く、明治時代初期に日本で一番裕福だったとされる地域も残っています。
▶北前船主屋敷蔵六園Webサイトにようこそ(蔵六園)


僕の実家近くには、樹齢がなんと2400年の栢野大杉(かやのおおすぎ)があり、これは屋久島の大杉よりも少しだけ若いくらいです。
▶栢野の大杉(加賀温泉郷)

さらに、弊社の裏には6世紀後半から7世紀末に築かれた古墳群が残っており、豊富な古代史、一向一揆の舞台であること、加賀百万石の繁栄などから、歴史のある土地だと思っています。
▶法皇山横穴古墳(加賀温泉郷)


歴史的資源の使いこなし方を考えたい
石川 僕は、AIや生成AIがめちゃくちゃ好きです。
今週はGrock 3のアップデートがあるのに、ICCに参加しているので試せないのがちょっとストレスなくらいです。
そんな僕が最近確信を持って言えることは、歴史はめちゃくちゃ熱いということです。
というのも、AIができないことは、2つあると思っています。
まず、AIは過去を作れないので、歴史は作れません。
AIの技術がもっと進めば、今後ものづくりもしていくでしょうが、土地は作れません。
ですから、歴史と土地が紐づいた地域の魅力は存在します。
そこに、AIなど最新のテクノロジーを組み込むことが、今後のビジネスにおいて結構大事だと思います。
AIにできないこととAIにできることを組み合わせるにあたり、歴史と土地がキーワードだと思います。
しかし、振り返ってみて、歴史的資源の使いこなし方がうまくアップデートされていないことが課題ではないかと考えます。

加賀市についても、歴史的資源がたくさんあるのに誰も知りません。
何なら、加賀市民ですら知りません。
ですから、使いこなし方をアップデートすることが、今回の旅の目的です。
旅の詳細については、後半、上町さんから話してもらいます。
割れない、一生ものの器「ARAS」
石川 これは弊社の全景です。

まず、割れない器の紹介をさせてください。

弊社のARASは、2020年に新規事業として生まれました。

▶「石川樹脂工業」は、1,000回落としても割れない食器「ARAS」を通して樹脂の可能性を世の中に拡げていく(ICC FUKUOKA 2024)
コロナ禍だったので、デジタルマーケティングに振り切るしかない状況で、今もデジタルマーケティング中心です。
seccaとも協力し、動画コンテンツにも力を入れています。

D2Cですごく成長しており、今年は20億円に到達見込みです。

ありがたいことに工場のキャパがパンパンで、1年前から新商品を作ろうと計画していても生産キャパの問題でできず、Co-Creationを止めてしまっています。
伝統産業を「歴史」としてリスペクト
石川 なぜARASを立ち上げたかの文脈がとても重要です。
僕の曽祖父は漆器の木地の職人でした。
時代が変わって、樹脂胎漆器になりましたが、その漆器という概念を再度取り払って、クリエイティブとテクロノジーでアップデートしたのがARASです。

ARASはseccaのクリエイティブとのコラボレーションで、作る工程とD2Cのテクノロジーをアップデートして生まれました。

ARASを作る前に上町さんと、樹脂の器はあり得るのかなど散々議論した結果、最終的な結論として、我々の祖業は器であること、自分自身が器が好きなこと、食文化の街にいること、seccaも食文化のビジネスをしていることを鑑み、歴史に重きを置いて、コアの要素に取り組むという決断をしました。

その上で、新技術や他業界のネットワーク、知り合いの力を借りて作り上げました。
ARASは、単に割れない器なだけではありません。
もちろん、お客様にとっては割れない美しい器として受け入れられていますが、その背景には歴史があり、新しいテクノロジー、新しい人の新しい発想によって、伝統がアップデートされた良い例だと自信をもって言えます。

今後に向けて、もっと良い例になっていきたいと思っています。
ひつじサミット尾州へ参加
石川 ただ、地域という文脈で避けて通れない課題として、人口問題があります。
加賀市も、20年後には人口が半分になる予定です。

ものづくりは、人と時間が必要な産業ですので、地域自体が良くなっていかなくてはいけません。
前回のコネクテッドで、ARASは事業として成り立ってきたが、地域に何のアップデートももたらしていないことに気づき、それが強い衝撃でした。

それで、慌てて前回のコネクテッドで岩田 真吾さんがプレゼンしたひつじサミット尾州に参加し、今着ているジャケットを買いました(笑)。

ひつじサミットも、良い意味ですごくショックで、勉強になりました。
事業を地域のアップデートにつなげるという課題をともに考える旅にしたい
石川 実際の我々の課題として、ARASは地域内での認知度が低いことがまずあります。

宮崎や丹後の話を聞いて羨ましいと思ったのは、他の地域の方とも結構つながってアップデートしていたことです。
僕らはできていないですし、この場に来たのも僕と上町さんだけ、つまり、普段から一緒に事業を行っているメンバーだけです。
他にメンバーがいないのは、大きな課題だと思っています。
また、そもそもARASがあることが地域のアップデートにつながっていないので、これらの課題を解決することを、皆さんと一緒に考える旅にしたいと思っています。
最近、僕に経営を任せているからか、僕の父は地域に関することにすごく取り組んでいます。
全然会社にもいなかったので何をしているのだろうと思っていたら、彼はずっとトレイルランの誘致をしていました。

トレイルランは、結構ハードな山も登る、24時間マラソンのようなものです。
トレイルランのトップの大会がフランスのシャモニーで開催されますが、金沢の地形が、どうやらシャモニーにすごく似ているらしいです。
▶︎UTMB
その土地の利を活かし、国際大会のアジア予選の会場として誘致をしているようです。
温泉宿を含めて街全体で取り組んでおり、10億円近い経済効果が見込めます。
上町 AIでも計算していましたよね。
石川 はい、AIで計算したら、3〜5億円くらいという効果になりました。
新しいことをしようとすると、加賀市や地元の人たちからの反発が起こります。
彼らをどう巻き込むかが、考えるべき課題だと上町さんと考えています。

(続)
本セッション記事一覧
- 「宮崎」「京都・丹後」「石川」「男鹿」「 長崎」が地域を超えた「コネクト」を生み出すシーズン2!
- 天孫降臨伝説の地「宮崎」が目指す、支え合う九州共創コミュニティ
- 生きる意味を再考できる、「京都・丹後」の「意味のないもの」巡り
- 「見どころはあるが泊まってもらえない町」という課題をどう解決するか
- 事業を地域のアップデートにどうつなげる?アート、グルメ、伝統工芸が盛んな「石川・加賀」
- 歴史と文化、テクノロジーを活用した地域の未来を議論する合宿ワークショップ
- お酒をメディアとして、町を未来に残す挑戦を続けるチーム「男鹿」
- 産業のない町で、最初は「あいつら、大丈夫か?」だった
- 新たなランドマーク「長崎スタジアムシティ」を軸に堪能する「長崎」の魅力
- シーズン2の優勝は「男鹿」に決定! 地域の未来をともに考えていこう!【終】
▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成