5.MRデバイスに関する誤った考え方 −「何ができるか」より「何を解決したいか」 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

5.MRデバイスに関する誤った考え方 −「何ができるか」より「何を解決したいか」

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「未来のテクノロジーが実現する新しいビジネスモデルを徹底議論」9回シリーズ(その5)のテーマは、ミックスド・リアリティ(複合現実)。デバイスで何ができるのかよりも、どのような課題を解決したいかというアプローチから入るのが大事だといいます。最新事例の映像も合わせて、ぜひご覧ください。

ICCサミット FUKUOKA 2018のゴールド・スポンサーとして、日本マイクロソフト様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2018年2月20-22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 2A
未来のテクノロジーが実現する新しいビジネスモデルを徹底議論
Sponsored by 日本マイクロソフト

(スピーカー)

國光 宏尚
株式会社gumi
代表取締役社長(登壇当時)

村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表

横山 直人
フェイスブック ジャパン
執行役員 新規事業開拓 兼 パートナーシップ事業(登壇当時)

(モデレーター)

澤 円
日本マイクロソフト株式会社
マイクロソフトテクノロジーセンター センター長
サイバークライムセンター日本サテライト 責任者(登壇当時)

西脇 資哲
日本マイクロソフト株式会社
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト

「未来のテクノロジーが実現する新しいビジネスモデルを徹底議論」の配信済み記事一覧

連載を最初から読みたい方はこちら

最初の記事
1.マイクロソフト・ナデラCEOが掲げる3つの投資領域

1つ前の記事
4.AIは「創造性」や「知性」を持っているのか?

本編


西脇 ここ(壇上)にヘッドセットがいくつかありますが、本セッションのもう1つのキーワードであるVR、AR、MRなどの話に触れたいと思いますので、もう一度、澤から取り組みについてお話をさせてください。

ミックスド・リアリティ(複合現実)とは何か?

 ミックスド・リアリティ(Mixed Reality:MR)、つまり複合現実の話を少ししたいと思います。

世の中には(私たちが今過ごしている)「物理的現実」があり、その対立軸として「仮想現実」があります。

ミックスド・リアリティというのは、その2つを融合していくという考え方です。

それぞれが1つの現実として存在していて、両者を混ぜることによって、どのような良いことがあるだろうか、という考え方をします。

VR(Virtual Reality)デバイスなどは見た目がキャッチーなので、ついついデバイスでできることやその性能に話が及びがちですが、まずはVRデバイスを活用できそうなアイデアについて整理したいと思います。

この世は、全部3D(三次元)ですよね。

当たり前ですが、ビルであったりとか、人体であったりとか、全部3Dです。

具体的な仕事で考えた場合、例えばビルを建て直そうと思ったら、まず3Dで存在しているビルを見て、どこをどうやって解体していこうか、というように考えます。

あるいはお医者さんであれば、3Dの人体を見て、人体に対して聴診器を当てて、心拍を聴いたりして、次のプロセスに移ります。

このように世の中は3Dで動いているのですが、一方でほとんど全てのビジネスにおいて、次の段階で2D(二次元)を介します。

ビルを建て直すためには、例えば先ほどの次の段階として契約書などを交わしますが、そのような書面は2Dですし、設計図も2Dです。

3D CAD(※)があるではないかと思われるかもしれませんが、CADを見るにしてもやはりディスプレイの中なので、結果的には2Dになります。

▶編集注:CAD(computer-aided design)とは、コンピューター支援により設計を行うこと。ここでは、コンピューター上で設計・製図を行うCADシステムを指し、3D CADとは三次元空間上で3D設計を行えるCADシステムのこと。

CADの情報を共有するにしてもスクリーン同士でしか表示できませんので、やはり2Dになります。

お医者さんも、診断をした後でCTスキャンやレントゲンを撮ったり、あるいはカルテを書いたりしますが、これらも全部2Dすよね。

そして2Dになったものをもう1回、脳内を介して3Dに戻すというプロセスが必ず踏まれています。

私は、この変換には実は「リスク」と「コスト」が生じているのではないかと考えています。

要は、慣れているお医者さんであれば、パッと1枚のレントゲン写真を見て問題を発見できて、例えば手術のような次の処置が瞬間的に正しく思い浮かびますが、そうではない人たちは、診断を迷ったりします。

あるいは、若手のエンジニアの場合は、設計図を見るだけでは足りなくて、さらなる確認のためのプロセスを踏んだり、頭の中で3Dを再構築するためによりたくさんの情報を要するわけです。

それをどうにかスキップできないかなということで、我々は「ホログラフィック」を用いることで解決できるのではないかと考えています。

▶参考:Microsoft がホログラフィック テクノロジーに命を吹き込む | HoloLens

もう1つの考え方をご説明したいと思います。

絶対に変わらないパラメーターというものが2つあります。

それは、「距離」と「時間」というパラメーターです。

テクノロジーというのは、基本的にこの2つのパラメーターを仮想的に変えるものです。

これは昔からずっと続いていることですが、こういったデバイスでは「距離」と「時間」を仮想的に変えることを皆さんに体感として提供できるもの、という風に考えています。

その一例として、マイクロソフトの「HoloLens(ホロレンズ)」が挙げられます。

「何ができるか」より「何を解決したいか」

 先ほども言ったように、私たちは「デバイスに何ができるのか」というアプローチから入りがちですが、これははっきり言って間違いです。

それよりも大事なことは、「どのような課題を解決したいのか」というアイデアです。

そうしたアイデアがないと、結局、デバイスの性能やスペックに振り回されることになります。

こういった革新的なテクノロジーが出てくると、どうしてもそちらに頭が行きがちです。

我々のもう1つの悪い癖は、(デバイスを提供する)ベンダー企業がそれを言いたがることです。

ベンダーがスペックの話から入りたがるのでそれに耳を傾けすぎてしまう、それはいかがなものかと思います。

そうではなくて、どうやって「共感」していくのかが肝要です。

「こういうことができるんです」、「こんな未来を作りたいよね」、ということを示して、それに対する共感をいかにして作っていくのかというのが、我々のベンダーとしての責務です。

テクノロジーを使ってビジネスを作っていく側の人たちも、このことを心得ておかないといけない時代になってくると思います。

これ(HoloLens)もある意味プラットフォームということです。

こういった革新が、どのように自分たちの生活ないしはビジネスに対してプラスになっていくのか、そしてそれによってマーケットやユーザー、あるいはそれこそ、自分の会社の人たちの共感をどのように得ていくのか、これが新しいチャレンジになるのではないかと思います。

ここまで話したところで、西脇に一旦バトンタッチします。

ミックスド・リアリティの最新事例

日本マイクロソフト株式会社 コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト 西脇 資哲氏

西脇 澤から、物理世界と仮想世界の間にMR(ミックスド・リアリティ)があるという話がありました。

それがどういうものか、ごく簡単に説明したいと思います。

現実と仮想の「干渉」の話です。

マイクロソフト製品ではありませんが、私もよくARKit(Apple社が提供する、ARアプリ開発のためのフレームワーク)を使ってiPhoneでプログラミングをします。

そのARKitで現実と仮想の干渉を非常に分かりやすく作っているプログラマーがいまして、ここで紹介させていただきます。

机は現実で、机の上の三体は仮想物です。

そして、物理現実と仮想現実が干渉している状態がどういう状態かと言うと、三体とも机の位置にピタッとくっついていて、影が机の上に映っていますね。

カメラとモーションセンサーで水平面を取ってきて、その水平面に仮想物を描画すれば、こういうことができます。

このようなものは、当たり前にゲームで使われるようになると思います。

ところが、(本格的に行おうと思うと)いよいよ3Dデプスカメラ(※)を導入しないと難しいよねという話になってきています。

▶編集注:3Dデプスカメラとは、深度(Depth)センサーを内蔵し、物体の奥行き情報を取得できるカメラのこと。デプスカメラとも。

要は、非常にCPUを使うんですね。

このくらいの(ヘッドマウント型の大きさの)筐体だと、どういうことができるのかご紹介したいと思います。

この物体は机の上に載っています。

そして床に落ちます。

平面を認識しているからで、これくらいはARKitでもできます。

ところが、ここから先が重要です。

棚の奥の向こう側に、仮想物(イヌ)が、物理(棚)に隠れているんですよ。

これはSLAM(※)をしないとできないんです。

▶編集注:SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)とは、各種センサーから取得した情報から、自己位置推定と地図作成を同時に行うこと。 (KDDI株式会社

物理と仮想の干渉を示す他の例をご紹介します。

こちらの映像です。

椅子は物理、積み木は仮想です。

座面を認識するので、このように、椅子の上に仮想の積み木を積み重ねることができます

肘掛も、背もたれも認識します。

これは難しいことではなく、ARKitとデプスカメラを少し加工すればできます。

重要なのは、この椅子を引き抜いたらどうなるか、つまり「物理」の側に変化が起きたらどうなるかということです。

物理的なモノがなくなるわけですから、仮想物は当然、下の床面を認識して落ちないといけません。

そして映像の最後には、ご覧のように物理の変化に応じて仮想物の積み木がしっかりと落ちます。

現実と仮想の干渉は、ここまで来ているわけです。

VRが、VRとして単に見るものに留まらず、現実の世界に入り込んできているのです。

これに対して、澤が先ほど申し上げたように「どのように共感を生み出していくか」という段階になってきています。

考え方自体は新しくなく元々あるものながらそれが現実になってきたということを踏まえて、ここからまた議論を深めていきたいと思います。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 6.新たなデバイスにあわせてUI/UXを再定義しよう をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/浅郷 浩子/尾形 佳靖/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

私はまだMRデバイスの実物に触れたことがないのですが、VRと違って自分が見ている世界に仮想物が投影されるというのは、もはやSFの世界ですね。次回は、VRやMRが普及した時代のビジネスについてのディスカッションです。ぜひご覧ください!(尾形)

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンス「Industry Co-Creation サミット/ICCサミット」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。