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4.「競争意識」と「連帯“表彰”」で現場のモチベーションを高める

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『「ローカル」×「リアル」の攻略〜プラットフォーマーへの一手〜』全7回シリーズ(その4)は、地方でのサービス展開や生産・製造を現地パートナー企業に任せる際の品質管理やマネジメントについて。そこで大事になるのは、働く方々の仕事へのモチベーションですが、オイシックス・ラ・大地が移動スーパー「とくし丸」の事業で採用している“連帯表彰”の仕組みが大変ユニークです。ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2019 ゴールド・スポンサーのプライムアシスタンス様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2019年9月3〜5日
ICCサミット KYOTO 2019
Session 7D
「ローカル」×「リアル」の攻略〜プラットフォーマーへの一手〜
Sponsored by プライムアシスタンス

(スピーカー)

川鍋 一朗
株式会社Mobility Technologies
代表取締役会長

髙島 宏平
オイシックス・ラ・大地株式会社
代表取締役社長

德岡 宏行
株式会社プライムアシスタンス
代表取締役社長

松本 恭攝
ラクスル株式会社
代表取締役社長CEO

(モデレーター)

占部 伸一郎
コーポレイトディレクション
パートナー

『「ローカル」×「リアル」の攻略〜プラットフォーマーへの一手〜』の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. ITビジネスで地方のリアル・ビジネスにどう食い込むか? プラットフォーマー4社が徹底議論!

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3. ビジネスの多地域展開、その第一歩は「それまでの実績」と「出会い」で決まる

本編

農家に対して「良いトマト」の定義をきちんと伝える

松本 今の話に関連して皆さんに聞きたいのですが、地方でのサービスや生産をパートナーに任せているわけじゃないですか。

そうすると、品質管理に相当差が生まれてきますよね。

特にサービスの規模が拡大するにつれて、とんでもないことをするところが出始めるものです。

その品質管理の部分にどのように向かっていますか?

オイシックス・ラ・大地株式会社 代表取締役社長 髙島 宏平さん

髙島 野菜で「品質」といった場合、トマトが潰れていない、ちゃんとしているという意味の品質と、トマトがおいしい、クオリティが高いという意味の品質の2つがあります。

最初に気づいたのですが、オイシックスのトマト農家はほぼ全員「おれのトマトが日本一だ」と言うんですね。

理由を聞くと、「だってこんなに頑張っているんだから」と。自分以外のところのトマトを食べたことがない人ばかりなのです。

そこで、「おれが日本一だ」というトマト農家の人たちを集めてブラインドでテイスティングをして、どのトマトが一番おいしいかを挙げてもらいました。

すると、みんな自分のところ以外のトマトを、それもバラバラに指すのです。

レタス農家さんを集めてやっても同様でした。

「いいトマトとは何か?」「いいレタスとは何?」が、農家さんの中で定義できていなかったのです。

ですから最初にやったことは、先ほどの後者の意味での「品質」の定義づけです。

お客さまのフィードバックを聞きながら、どういう味、サイズ、歯ごたえを作るのが良いとされるのかを見える化して、「この状態のレタスを作れば、僕らは高く買いますよ」と提示していきました。

占部 それは数値化はされているのですか? 糖度や水分含有量などで定義できそうな気もしますが。

髙島 作物によって数値化できるもの・できないものがあります。トマトなどは比較的しやすいです。

松本 実際の合格・不合格は、マイスターが各農家の全野菜を食べて決めているのですか。

髙島 バイヤーがやっています。特に、味的に駄目というのはかなり厳しくやっています。

あと、お客さまから品質へのクレームがどれくらい来たらイエローカード、どれくらい来たらレッドカードと決まっていて、それで実際にレッドカードになる農家もあります。

松本 うちもオイシックスが、2週間に1回届いています。

占部 うちもです。

川鍋 うちもです。

髙島 やりにくいですね(笑)。

松本 本当に味がぶれなくて、おいしいですよね。

髙島 ありがとうございます。

占部 Mobility Technologiesではいかがですか?

地方パートナーの「現場スタッフ」の意識を高めるには

株式会社Mobility Technologies 代表取締役会長 川鍋 一朗さん

川鍋 Mobility Technologiesにおける品質は、第一に「アプリで呼んだタクシーがしっかり来るか」です。

その次は、「来たタクシーがちゃんとしているか」ですが、これは日々涙を流しながらやっています。

地方のタクシー会社オーナー、現場の運行管理者、乗務員と3層ありますが、3層目へ訴求する手段がなかなかありません。

オーナークラスに対しては、私が地方に伺うたびに一緒に食事をさせていただきます。

昨日も6人のオーナーと会いました。

一方、現場に対してはメールで、メールが届かない所はFAXで、2週間に一度「JapanTaxi通信」を送っています。

それを社内に掲示してもらって、現場の人に読んでもらうという超コテコテなことをやっています。

占部 タクシー業界の場合、たぶんオーナーさんもきちんと現場をグリップできていないというか、個人事業主的に動いているようなところもありますよね。

川鍋 そうですね。正直に言えばオーナーの意思次第ですが、そこをどのように変えてゆくかに日々苦労しています。

例えばあるタクシー会社さんの配車率、つまり100本配車をお願いした際に応じてくれる率は45%くらいです。

実際にはもっと配車率を上げていただきたいのですが、実は少し前まではもっと低くて、20%くらいでした。

配車件数としては前年比160%とかなので、社長さんとしても「うちは頑張りましたよ」とお腹いっぱい気味なのです。

「もう少し上目指してください」と、この間も飲んでお願いしたのですけれども……。

占部 やはり飲みは多いですか。

川鍋 飲みは多いです。私がこうやって京都に来ているのに、お世話になっている京都のタクシー会社さんに会わないのはありえません。

占部 「来ているのに、顔出さんのか」と。

川鍋 Facebookに投稿されてしまいます(笑)。

「競争意識」と「連帯表彰」でモチベーションを高める

髙島 個人事業主ということで思い出しましたが、移動スーパーのとくし丸は今500人くらいのドライバーがいて、みんな個人事業主です。

提携しているスーパーが約130店あるので、1社スーパーあたり平均して4台走っています。多いところでは、1社で30台以上走らせています。

もともと買収した会社がやっていたことですが、500台の毎日の売上報告をメールで送っており、月に1回はランキングにして、1位のドライバーとその月の平均日販がいくらだったかを、500人全員にメールで送っています。

それで、平均日販が9万円を超えたときに、僕から全員に記念品を贈って、いい意味での連帯責任みたいなことをやりました。

あとはウェブ掲示板を用意して、1日で20万円くらい売る人が何をやっているのかノウハウを書いてもらうんです。

川鍋 それは、スマホサイトを作って、みんなスマホで見るのですか?

髙島 そうです。例えば、どういう陳列をしたかなどを撮影して載せます。

川鍋 そのツールは御社の中で回しているのですか。

髙島 回しているというか、普通のものを用意しているだけですね。

川鍋 外部の人はもちろん見られないですよね。

髙島 見られません。

川鍋 パスワードでログインして、という感じですね?

占部 すごく具体的に聞いていますね(笑)。

川鍋 いやいや、こういう取り組みは意外と難しいのです。

例えば、タクシーの営業所の現場ではそういうものが毎日貼り出されます。

最初のうちは競争意識が芽生えて効果がありますが、やがて上位の人と下位の人が定着します。

その日の営業が終わるころになると、営業所の電話が鳴って、今トップ10いくらみたいな話と、ワースト10いくらという話になります。

それで何が起こるかというと、すごくやる気のある人が「何とかトップ10に入るぞ」という気持ちになってくれる一方で、下位のほうは「ワースト10に入らないぞ」と目線が下向きになってしまいがちなのです。

そこをどんどん耕して、上へ上へと持っていくのが難しいのです。

髙島 僕らの場合は会社を超えて共有しているので、新しく入った会社がいきなり上位に来たりするのが刺激になっています。

川鍋 なるほど。

占部 プライムアシスタンスではいかがでしょうか?

「売るのは技術ではなくサービス」の価値観を徹底

株式会社プライムアシスタンス 代表取締役社長 德岡 宏行さん(中央)

德岡 ロードサービスの品質管理としては、まず「仕事の価値観を変えよう」というところを徹底しました。

レッカーの仕事などは、「技術を売ること」にこだわる人が多かったんですね。

それに対して我々は、「サービスを売るんでしょう?」と徹底して問いかけました。

まず服装をきれいにしましょう。ドロドロの服装は絶対に許せないし、臭いも駄目。そして言葉遣いです。

それから、今までは困っているお客さまのところに駆けつけるときも水1本も提供していなかったところに「ペットボトルの水を持っていきましょう」「雨が降っていたら傘を持っていきましょう」と。

そういうお客さまに寄り添ったサービスをする会社に変わらないと、我々との取引はできないという価値観をずいぶん徹底していきました。

占部 それは実際やっているかどうか、モニタリングなどはしているのですか。

德岡 常にお客さまからのアンケートをフィードバックしています。

あと、トラブルがあると必ず苦情が来ますので、そういったもので評価しています。

(続)

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続きは 5. レガシー産業への新規事業進出で「業界経験者」を採用するメリット・デメリット をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/小林 弘美/SNOWLIGHT/戸田 秀成

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