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3. ビジネスの多地域展開、その第一歩は「それまでの実績」と「出会い」で決まる

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『「ローカル」×「リアル」の攻略〜プラットフォーマーへの一手〜』全7回シリーズ(その3)は、ITを武器にしたローカル×リアル・ビジネスの成否を分けるポイントについて。印刷・物流・広告の三事業で全国展開するラクスルの松本さんは、その第一歩として「実績」と「出会い」の重要性を解説します。どのような実績を、どのような相手に知ってもらう必要があるのか。ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2019 ゴールド・スポンサーのプライムアシスタンス様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2019年9月3〜5日
ICCサミット KYOTO 2019
Session 7D
「ローカル」×「リアル」の攻略〜プラットフォーマーへの一手〜
Sponsored by プライムアシスタンス

(スピーカー)

川鍋 一朗
株式会社Mobility Technologies
代表取締役会長

髙島 宏平
オイシックス・ラ・大地株式会社
代表取締役社長

德岡 宏行
株式会社プライムアシスタンス
代表取締役社長

松本 恭攝
ラクスル株式会社
代表取締役社長CEO

(モデレーター)

占部 伸一郎
コーポレイトディレクション
パートナー

『「ローカル」×「リアル」の攻略〜プラットフォーマーへの一手〜』の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. ITビジネスで地方のリアル・ビジネスにどう食い込むか? プラットフォーマー4社が徹底議論!

1つ前の記事
2.「スーツと革靴で畑に飛び込み、農家さんにネットの未来を語った」オイシックス・ラ・大地 髙島さん

本編

「実績」が地方進出における合理的判断を可能にする

松本 ネット印刷の立ち上げ時は、髙島さんと同じでとにかく印刷会社を北から南まで100社以上回って、ひたすら飲み続けて、共感をしてくれた会社とスタートしました。

3年くらい、ひたすら印刷会社を回っていました。

それが良かったかどうかは分かりませんが、たぶん最初はそれしかないと思うのです。

戦略をもって動こうにも、信じられる要素が何もない我々を信じてくれる理由があるとすれば「なんかこいつ、良さそうだ」とか、「なんかこいつ、かわいそうだから助けてやろう」くらいしかありません。

ラクスル株式会社 代表取締役社長CEO 松本 恭攝さん

しかしながら、会社のブランドが一度できてしまえば話は全く別です。

ラクスルが大きくなって、じゃあ運送を始める、広告を始めるとなった際の状況は、何も持ってないベンチャーがスタートするのとは大きく違います。

ただ共通して言えるのは、「今のままではまずい」とか「何か変えていこう」と思っている創業者、もしくは2代目、3代目で親と違う何かをしたいと思っている経営者が、最初に話に乗ってくれる傾向があるということです。

実績が一定程度できると、ずっと向かい風しか吹いていなかった風向きが突然変わって、風が止み始める瞬間があります。

止み始める瞬間からは、「ここはマーケットが大きいよね」とか「このエリアをまず攻めよう」とか、どこに行くかを結構合理的に選べるし、追い風になれば後は自動的に勝手に増えていったりします。

最初の向かい風のときは、とにかく助けてくれる最初の1人を見つけることに尽きます。

それが地方か都心かはあまり関係がなくて、割と都心であるケースが多いかもしれないですね。

占部 都心のほうが問題意識が高い人が多いということですか。それとも偶然ですか。

松本 都心の人の方が会う頻度が高いとか、人数が多いとか、それもあると思います。

いずれにしても、そこが形づくられてから、全国展開を考えていくという感じですね。

地方のパートナーといかに出会い、寄り添うか

株式会社Mobility Technologies 代表取締役会長 川鍋 一朗さん

川鍋 印刷も農業もタクシーも、地方の中小企業はオーナー企業が多いですよね。

ですから、オーナーに気に入られるか否かが全てだなと思っています。

論理性はほぼ無いですが、10人回れば2~3人はなんとなくそういう可能性のある人に出会えます。

そんな感じではないですか?

松本 本当にそうですね。

印刷事業では鹿児島、新潟、愛媛に主要なパートナー企業がいますが、そのエリアが良かったからというより、その会社のオーナーとの出会いがあったからです。

髙島 人ですよね。

川鍋 松本さんは、3年間はある意味地方回りというか芽が出ない時期があって、それをやるしかなかったというお話でした。

Mobility Technologiesは、ある意味すごく恵まれたところからスタートしています。

日本交通はうちの祖父の代からやっていますし、「新しいことをやります」と言うと「川鍋さんがやるなら、とりあえず乗っておくか」と言ってくれるタクシー会社さんが全国で3分の1くらいいました。

ところが、例えば社員数も少ない本当に小さいタクシー会社の苦労に自分たちが向き合えているかと問われると、大丈夫かな? と思うこともあります。

ある意味、多くのタクシー会社では、そこまで現場としっかり会話をしなくても、「JapanTaxi」アプリの導入も卒なくこなしてくれます。

タクシー会社が乗務員さんに「アプリを使ってください」と言って、それに対して乗務員さんが「フリックってなんや」と言っても、運行管理者の方が「フリックというのはこうやって、こうやって」と頑張ってくれるんです。

そうした泥臭いことを自分たちの手であまりせずにロケットスタートしたので、タクシー会社から出発しているベンチャーですが、意外と社員がタクシー会社の気持ちに寄り添えてないのではと思うことがたまにあり、それは自分の反省点です。

突出した成功事例を見せつける

写真左から、髙島さん、德岡さん、松本さん、占部さん

髙島 松本さんが話されたような向かい風がいきなり追い風になるタイミングではないのですが、凪みたいなときが僕らにもありました。

弊社と取引している農家さんが、他の農家さんから「おまえら、あれ(オイシックス)は詐欺だからやめとけ」と言われている時代がありました。

先ほどの鹿児島の印刷会社の話もすごくいい話だなと思っていて、要は取引先から大成功する一社が出てくることが大きく局面を変えるのです。

メジャーリーグに挑戦した野茂英雄投手やサッカーの中田英寿選手のように、突出した成功事例をつくることが、最初はすごく重要だと思います。

松本 新しいことを始めるかどうかは、どの業界でも「横」をすごく見ますよね。

我々が一番恐れるのは、「あいつら(ラクスル)と付き合っているなんて、おまえは反逆者か」みたいなプレッシャーを、パートナー企業が受けてしまうことです。

これは、自分たちが嫌われることよりも辛いことです。

髙島 僕のときは、ルッコラの農家さんがベンツに乗り始めて、家が大きくなって“ルッコラ御殿”が建ったことが、周囲への影響として結構大きかったですね。

「あいつ、あそこまでいったんだ」という感じでした。

占部 それは偶然の成功例なのか、もしくは意図的にスターをつくりにいったのですか。

髙島 つくりにもいきますし、あと川鍋さんの話とも関係がありますが、逆風の中でやってくれる人の中に、ある意味僕ら以上に未来を信じてコミットしてくれる人がいるんですよね。

そうした人たちに時に励まされながら、一緒にやっていって成功事例をつくるのです。

松本 うちは、上場がすごく大きかったですね。

一番大きく変わったのは、印刷業界とか物流業界、広告業界からの見え方、つまりブランドの部分です。

川鍋さんがおっしゃったようなことを我々も非常に大事にしていて、要は「この人たちが良いと言うなら良いのだろう」という心理をいかに作り出すかです。

地方に限らず、オールドエコノミー全般を変えていこうとすると、それがすごく大事です。

地方パートナーの「力量の差」をいかに見極めるか

株式会社プライムアシスタンス 代表取締役社長 德岡 宏行さん(中央)

德岡 弊社の場合は保険のお客さまが全国津々浦々いらっしゃるので、地域展開を順次という必要はありませんでした。

その代わり、一斉にネットワークをつくるために人海戦術で半年かけて全国のパートナー企業を回ったのですが、そこで一番悩んだのはレベルの差が相当あるということです。

どのようにパートナーを選別して、どうやってお客さまに満足いただけるようなサービスを提供するか、そこに一番の力がかかりました。

そこから、皆さんがおっしゃっているようにキーとなる地域のパートナー企業をしっかり押さえて、システムとカスタマーサクセスを徹底してやってきました。

占部 全て自前で全国展開しているのではなく、パートナーがいるんですよね。

德岡 もちろんです。

占部 そうすると「俺たちはレッカーのためにやっているんであって、民泊の駆け付けなんてやりたくない」という会社もあるのではないでしょうか。

德岡 そうですね。

「システムなんか俺たち知らないし、やらないよ」とか「儲からなそうなビジネスだ。それなら警察やJAFと組んだほうがいい」とか、色々な考え方があるので、そこはもう賛同いただける会社と一緒にやっていくという形です。

松本 今の話に関連して皆さんに聞きたいのですが、地方でのサービスや生産をパートナーに任せているわけじゃないですか。

そうすると、品質管理に相当差が生まれてきますよね。

特にサービスの規模が拡大するにつれて、とんでもないことをするところが出始めるものです。

その品質管理の部分にどのように向かっていますか?

(続)

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続きは 4.「競争意識」と「連帯“表彰”」で現場のモチベーションを高める をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/小林 弘美/SNOWLIGHT/戸田 秀成

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