ICC KYOTO 2024のセッション「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン12)」、全5回の最終回は、五島列島なかむらただし社 中村 直史さんが突然立ち上がり、会場の参加者に生きるとは何かを問います。戸惑いながらも答える参加者の言葉を集め、中村さんが創ったのは即興の歌。それを会場全員が声を合わせ歌うカオスな結末を、最後までぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは エッグフォワード です。
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【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 2F
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン12)
Supported by エッグフォワード
石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事
井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役社長 CCO
嶋 浩一郎
博報堂 執行役員/博報堂ケトル クリエイティブディレクター
中村 直史
株式会社五島列島なかむらただし社
代表 / クリエーティブディレクター
(モデレーター)
村上 臣
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▶「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン12)」の配信済み記事一覧
この10分間を必死に生きてみたい、中村 直史さん
村上 最後に(中村)直史さんにお話を頂きましょう。
中村 皆さんからのエンパシーをもらう最後の10分間にしたいので……お願いします。
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中村 直史
株式会社五島列島なかむらただし社
代表/クリエーティブディレクター
五島列島福江島出身。筑波大学卒業。 カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校修士課程修了。2000年電通入社。以来コピーライターとして多数の広告コミュニケーションに携わる。独立後「五島列島なかむらただし社」設立。 これまでの仕事に、RIZAP「結果にコミットする」シリーズ/エビオス錠「弱るもんか!」キャンペーン/Finetoday資生堂発足プロジェクト/YAMAP「地球とつながるよろこび」/五島つばき蒸溜所「西の果て、祈りの島より。GOTOGIN」/ ICCスタンダード など。
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本当にお願いします。
村上 (笑)
井上 コンパッションをね。
中村 もう、今のエンパシーの話で既に泣きそうになってしまいました。
エンパシーをください、お願いします。
今回、「生きるとは何か?」がテーマですが、これについてはもう十分考えたと僕は思ったのです。
僕は、このセッションに参加するのは今日で4回目なのです。
今まで何について考えたかちょっと振り返ってみたのですが、初めて参加したシーズン9のお題は、「自分とは何か?」でした。
その時、自分と言えば個体である自分のことを指すけれど、そうではなくて、他者や土地と一体になった、大きな意味での自分の「いのち」があるはずで、それを生きるのが自分を生きることではないかと、話させてもらいました。
▶2. コピーライター中村 直史さんは「自分とは何か」について考えない(ICC FUKUOKA 2023)
次のシーズン10のテーマは「他者とは?」で、僕はコピーライターという言葉を扱う商売をしていることもあり、他者からもらって自分の中に染み付いてしまった色々な言葉たちを生きることが、生きることではないかと話しました。
よく考えてみれば、自分で作り出した言葉はひとつもなく、誰かにもらったものですよね。
▶4. 「他者の言葉」を生きてみることが、他者を理解しようとすること(ICC KYOTO 2023)
そして前回のシーズン11は「老いとは?」でした。
僕が尊敬する立川談志という落語家の話を持ち出し、情けないことも恥も全部さらけ出して生きることが、老いが教えてくれることではないかと話しました。
▶5. 生きて 苦しんで 生き恥をさらすことも含めてこそ人間である(ICC FUKUOKA 2024)
こうして振り返ってみると、本当によく考えてきたので、生きるとは?を定義できると思ったのです。
今、僕が話したことをまとめると、僕にとっての「生きる」の定義とは、「他者の言葉をもらって、人と場とつながり、自分をさらけだしてそれを生ききること。」だなと思いました。
もう決めます、僕にとっての「生きる」の定義はこれなのです。
というわけで、僕の「生きる」の定義を今ここで実践します!ここで、この10分間を必死に「生きて」みたいと思います。
村上 会場の照明を少し明るくしてもらえますか。
分断を越え、会場の皆さんとつながり合いたい
中村 僕は、この壇上と客席の境界線をはさんで、登壇者が話して、来場した皆さんが学んでいるというこの構図も嫌なのです。(と、席を立ち上がる)
この分断を越えて……
石川 分断を!?
中村 先ほど嶋さんが言った、臆病ながらも、つながり合うポイントを何とか探したい。
村上 「同じ」を見つけるのですね。
中村 「同じ」を見つけたいのです。
井上 会場は不安そうな感じに見えますが(笑)。
中村 まずは他者からの言葉が欲しいので、会場の皆さん、ぜひ言葉をください。
あなたにとって、生きるとは何ですか?
石川 これは、シャウトしてもらえばいいのでしょうか?
中村 何でもいいです。
「生きるって、素晴らしい」でも「生きるって、喜び」でも、何でもいいです。
藤本さん、どうですか。
藤本さん 生きるとは、よく死ぬこと。
中村 村上さん、「生きるって、よく死ぬ」と書いてください。
赤木さん、どうですか。
村上 先生みたいですね(笑)。
赤木さん 生きるとは、意味を見つけること。
中村 いいですね! 石井さんが手を挙げたので、石井さん。
石井さん 生きるとは、語り合うこと。
回答者1 生きるとは、意味がないことを考えること。
石川 赤木さんへの反論が来ましたね(笑)。
回答者2 生きるとは、残すこと。
中村 いいですね、後世に残すこと。
回答者3 生きるとは、叫ぶこと。
中村 いいじゃないですか。
井上 歌うこと、もありましたからね。
中村 踊る、もいいですね。他にはないですか?
回答者4 生きるとは、遊ぶこと。
中村 いいですね。
村上 「生きるとは、食べること」という意見は出ないのですね。
中村 では、それも入れておいてください。ありがとうございます。
こうして、ぱぱっとみんなで出し合うだけでも、これだけあります。
しかも、それぞれが、いいじゃないですか。
みんなで合唱、「生きる教」が誕生!?
中村 ここに「生きるって」を足して……
よし、すみません、恥をさらします。
ではここから、手拍子をもらってもいいですか?
皆さんからもらったこれらの言葉を歌詞として、僕が今から歌います!
(会場から手拍子)
僕のゴールイメージは、最後にみんなで大合唱することです。
これから僕が2回ほど繰り返して歌いますので、その後は皆さん、合唱をお願いします。
石川 生きるとは、歌うことですからね(笑)。
中村 そうです、歌うことをここで実践したい、つながり合いたい。
石川 カオスな光景ですが……。
井上 生きるって、こういうことですよ。
中村 生きるって、よく死ぬこと♪ 生きるって、叫ぶこと♪ 生きるって、遊ぶこと♪ 生きるって、語り合い♪
はい、皆さん、歌って!
会場 生きるって、よく死ぬこと~♪ 生きるって、叫ぶこと~♪ 生きるって、遊ぶこと~♪ 生きるって、語り合い~♪
中村 はい、皆さん、立って!!
会場 (大合唱)生きるって、よく死ぬこと~♪ 生きるって、叫ぶこと~♪ 生きるって、遊ぶこと~♪ 生きるって、語り合い~♪
中村 ありがとうございます! 皆さん、本当にありがとうございます!
石川 今日は行きましたね!
村上 最後のスライド、このまとめが大事ですね。
石川 皆さん、この部屋で今起きたことは、外では他言無用ですよ!
(会場笑)
次回のセッションがなくなりますから(笑)。
村上 紳士協定によるオフレコセッションに(笑)。
井上 興奮冷めやらぬ中ですが(笑)。
石川 「生きる教」が誕生しましたね(笑)。
村上 これ、書き起こし記事はどうなるのでしょうか(笑)?
井上 音声ですからね(笑)。
村上 会場に来ないとだめですね。
中村 だから、アーカイブ記事は読んじゃだめなんですよ! 来なきゃだめなんですよ。
村上 確かに。
中村 生きることについての話を聞いて、メモを取って学ぶのもいいですが……生きるとは、生きることですから!
石川 もう、中村さんがコピーライターとは思えない発言(笑)。
村上 (笑)
石川 でも気持ちは伝わる(笑)。
井上 歌った後だからか、なぜか入ってくる(笑)。
中村 「生きる」とは動詞ですから、なるべく、ちゃんと動詞でありたい、と思ったんです。
石川 (笑)
中村 まさか今日、善樹さんが、「生きることは歌うことだ」と言うなんて…あそこで僕は、泣きそうになりました!
石川 泣きそうになった(笑)。
村上 コネクションがね。
中村 善樹さんの資料は事前に見てなかったから、まさかと思った。
村上 ちなみに、会場の皆さん、このセッションでは他の登壇者の資料は、当日までお互い見ないのです。
発表の順番も、僕の中では事前に決めているのですが、ライブ感を大事にしたいので、登壇者には本番30分前に控え室で伝えます。
直前でセッションの流れを発表するので、みんな「え?」となる。
中村 それで、嶋さんのエンパシーの話を聞いた後は、もう立ち上がることができないとさえ思いました。申し合わせたわけじゃないのに、なぜか、つながっているなと。
流れが来ているな、と思いまして。
井上 いやいや、コピーライターの真骨頂を見ましたね。
村上 そしてコンパッションですよ。
石川 というわけで皆さん、中村さんをよろしくお願いします(笑)。
(会場壇上爆笑)
中村 やりきりました、ありがとうございました!
皆さん、最高です、最高でした!
一体感が生まれたところで、本日のおさらい
村上 今回は確変が起こりましたね。
ちょっとマンネリ化してきたかなと思いつつ、すごい確変が起きましたね。
これは、直史さんが勇気を持って、さらけ出したからだと思います。
中村 さらけ出そう!
村上 自己開示が大事ですね。
石川 でも今回、中村さんをよく理解できた気がする(笑)。
村上 色々な話をしましたが、まとめると、自己を出していくことが大事であり、生きるとは歌うことであり、同じものを見つけようと。
先ほども、無理矢理にでも共有したら、最後には一体感が生まれましたよね。
石川 「歌ったよね、あの時」ということで、もう生涯、僕らは仲間ですからね。
村上 「ICCであの時、歌ったよね」と。
石川 (笑)
井上 この後のセッションも、最後には歌うのではという気持ちになりかねない。
村上 ですから皆さん、生きるとは歌うことであり、同じを見つけて仲間を増やしていくと、VERY VERY HAPPY PEOPLEになると。
そして、僕はこの最後のスライドの、最後の言葉が好きです。
動詞でありたい、と。
生きるとは動詞である。
皆さんも、これからも残された時間を一生懸命、動詞として生きていただければと思います。
石川 このセッションが生きることができるかどうかは…。
村上 ……皆さんのアンケート次第でございます!
井上 毎回、このリマインドも忘れないね(笑)。
村上 ということで、少しでも楽しかった、満足したと思っていただけたなら、ぜひアンケートで…。
中村 歌わされたという苦情が来るかもしれない(笑)。
村上 苦情も大歓迎でございますが……。
石川 それも生きることだ(笑)!
村上 それも生きることですね。
私にメッセージで、ダイレクトフィードバックを頂いても構いません。
ただ、アンケートだけは、くれぐれもよろしくお願いいたします。
奇跡的に、ほぼ時間通りに終わりました。これにてセッションはお開きにしたいと思います。
皆さん、ありがとうございました。
登壇者の皆さんも、ありがとうございました。
(終)
編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成