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2. 対話をすればするほど、チームがばらばらになってしまった理由

ICC FUKUOKA 2024のセッション「組織のコミュニケーションの課題について徹底議論(シーズン2)」、全5回の②は、ラグビー元日本代表、識学の後藤 翔太さんが、自身がプレイ―ヤー側から指導する側になったときに直面した”大失敗”について率直に語ってくださいます。「対話すればするほど、ばらばらになってしまったチーム」とは?  ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは フロンティアコンサルティングです。


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 10C
組織のコミュニケーションの課題について徹底議論(シーズン2)
Sponsored by フロンティアコンサルティング

石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事

井手 直行
ヤッホーブルーイング
代表取締役社長

後藤 翔太
識学
ラグビー元日本代表 /ラグビー解説者/識学マネジメントコンサルタント

松尾 真継
スープストックトーキョー
代表取締役社長(肩書は登壇時当時のものです)

(モデレーター) 

石田 真康
A.T.Kearney
Specialist Director, Global Space Group Leader

「組織のコミュニケーションの課題について徹底議論(シーズン2)」の配信済み記事一覧


早稲田大学、神戸製鋼でラグビー選手として活躍

後藤 改めまして、後藤と申します。よろしくお願いいたします。

早稲田大学では、今は日本ハムファイターズの清宮 幸太郎選手のほうが有名になりましたが、お父さんの清宮 克幸監督のもとで大学日本一になりました。

神戸製鋼のラグビー部では、すごく格好良かった、ひげを生やしていらっしゃった平尾 誠二さんが監督の時にキャプテンを務め、毎日のように昼ご飯を食べながら、なぜ勝てないのかなど話していました。

平尾さんは2016年にがんで亡くなりましたが、平尾さんの追悼ドラマが2023年11月11日に放映されて、平尾さん役を俳優の本木 雅弘さんが務められました。

テレビ朝日ドラマプレミアム『友情』~平尾誠二と山中伸弥 『最後の一年』(テレビ朝日)

ドラマでは、平尾さん役の本木さんと山中教授役の滝藤 賢一さんとのパス交換のシーンがあり、パスの仕草が格好悪ければ、ラグビー人が見たら冷めてしまうということで、テレビ局から依頼があり、、本木さんにパスの演技指導をさせていただきました。

その後、ラグビー日本代表の試合を一緒に観戦させてもらうような経験もさせていただきました。

現役時代はラグビー日本代表にも選んでもらうことができました。、そして、引退後、追手門学院大学で女子ラグビー部を創設するので監督をしてほしいとのオファーがきたので、神戸製鋼を退職しました。

追手門学院は大学日本一になり、兼任していた高校の女子ラグビーチームは2019年に国際大会で優勝し、その後、母校の早稲田大学ラグビー部のコーチをして大学日本一になりました。

ということでこのスライドでは僕の人生の一番良い、キラキラしたところだけを書かせてもらいましたが、ただ、その裏には本当にたくさん失敗がありました。

こちらは、優勝した時の写真です。

ラグビーの解説者としても活動していて、2023年のラグビーワールドカップでは現地に行き、8万人のスタジアムの中で解説させていただいたり、日経に記事を書かせていただいたりしました。

対話すればするほど、ばらばらになってしまったチーム

後藤 では、指導者時代の大失敗をお話しようと思います。

僕もラグビー部でそれなりにできたなと思っていましたし、僕が追手門学院の監督を引き受ける当時は、なでしこジャパンがワールドカップで優勝して、これから女子スポーツが来るみたいな時で、僕もできるかなと思ってやりましたが、本当に全然ダメだったのです。

大学時代は、本当に日本一になりたいと思うメンバーが集まって、日本一になっていました。

神戸製鋼時代も勝てなかったものの、日本一になりたい、日本代表になりたいという選手が集まっていました。

ただ、一人ひとりの考えが異なっていて力が分散して、一人ひとりの組織に対する貢献度が落ちたことによって勝てなかったのかなと思っていました。

異なるチームでの経験ですが、両チームともに主体性があることは間違いなかった。ですので、僕が一番最初に考えたことは、何より主体性、思いを持ってプレーしてほしいということでした。

監督の僕1人とラグビーをやったことのない2人の選手とで始めたのですが、とにかく選手たちと色々対話をして、主体性を持ってやってもらえるように頑張ってきました。

毎日毎日楽しい練習をしたり、ゲーム性を持ったりと色々やりました。

でも結果として、僕がとにかく対話をしまくり、どうやりたいかと聞きすぎるので、選手は当然自分に合わせてくれるものだというふうに多分思ってしまったのです。

選手たちにとってみれば、僕は自分たちを楽しませてくれる存在、そういうふうに思ってしまったのだろうなと思うのです。

それによって、対話すればするほど、気を遣えば遣うほど、ばらばらになってしまったところがありました。

マネジメント理論「識学」との出会い

後藤 その中で、僕は偶然「識学」という理論に出会います。

識学という会社の(安藤 広大)社長が、僕が大学1年生の時のラグビー部の4年生の先輩で、チーム運営について話を聞きました。

識学・安藤広大社長の原点は「清宮イズム」 早稲田ラグビーで学んだ組織運営(4 years.)

このスライドのような流れで、しっかり組織の仕組み、要はチームの理念全体を整えた上で一人ひとりと対話していかないと、枠がないのに話をしても意味がないよと言われました。

昨日井手さんともお話しして、ご自身の考え方でチームを作っていく中で、辞めていく方もいらっしゃったようですが、枠組みや考え方をしっかり示した上で、コミュニケーションを取っていく必要があります。

コミュニケーションにおいては、対話をしていくことはもちろん大事だと思いますが、前提をそろえていくことが重要です。

この組織はどういうところに向かう組織なのかという前提条件を揃えない状態で話をしても永遠に意見が食い違います。その作業が抜け落ちていたことが僕の一番の失敗だったのかなと思います。

僕は大学の女子ラグビーチームへプロとして行って立ち上げたのですが、チームが何のために存在しているのか、どういうことをするのが自分たちラグビー部のプレイヤーの行動規範になってくるのかを、実際に一つ一つ示し直しました。

優秀な選手が辞めた直後に日本一になった理由

後藤 それに合わない選手が辞めたこともありました。

辞めた選手は本当に能力が高く、身長160cmぐらいですが、ベンチプレスは80kgぐらい挙げ、50mは6秒台、ボールを持ったらビュンビュン走りました。

ただ、嫌なことがあるとすぐに不機嫌な顔をしてメンバーにあたっていたので、僕は一定の方針のもとでやっているから、それに合わせてほしいと伝えました。

それに対して、じゃあ私辞めますけどいいんですか? 私が辞めたらチームが勝てなくなりますよという感じで言ってきたのですが、僕は覚悟を持ってわかったと言って、彼女は移籍しました。

そうしたら、彼女が辞めた直後の大会で日本一になりました。

1人のトップ選手がいて、その選手が思いどおりに振る舞い、プレーする、逆に言うと組織のルールや理念を守らないことが、いかに他のメンバーに悪影響を与えていたのかよくわかりました。

その人が許されるのに、なぜ私たちがちゃんとやらないといけないんだみたいになって、一人ひとりの組織へのロイヤリティーが落ちていたのではないかと思います。そういうところをピシッと整えていくことで組織のメンバーが力を発揮できる状態になったのではないかと思います。

個人の価値観やマイルールみたいなものがあると思いますが、自分の価値観が組織よりも優先される状態が続くと、自分のルールが優先されるので、組織に必要なコミュニケーションがそれぞれの価値観、マイルールによってブロックされると思うのです。

組織ルールが優先されている状態では、組織の判断基準のもとで会話しようとなり、より深いコミュニケーションが可能になってくるのではないかと思います。

そういったコミュニケーションを繰り返していって、一人ひとりと深く話をすることができたなと思います。

スライドも多くなったので、僕の話はこのあたりで。

石田 ありがとうございます。

聞きたいことがありすぎて、どうしようかというぐらいですが、色々頷いたりされていたお三方、もしよろしければお話しください。

(続)

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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