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「技術シーズの事業化のケーススタディ 「エクスビジョン & ユーグレナ」」【KT16-1B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その3)は、ユーグレナの知財戦略などについてCFOの永田さんにお話頂きました。ぜひ御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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2016年9月8日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC TECH」
TECH Session 1B
技術シーズの事業化のケーススタディ 「エクスビジョン & ユーグレナ」
(スピーカー)
永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当
リアルテックファンド 代表
森本 作也
エクスビジョン
COO
(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社 代表取締役
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【前の記事】
【本編】
小林 ありがとうございました。
森本さんのプレゼンテーションへ移る前に、永田さんがお時間の都合上帰られてしまうかもしれません。
これだけは聞いておきたいという質問のある人はいらっしゃいますか?
杉江さんに伺いましょうか?
杉江 ご無沙汰しております。WHILL CEOの杉江でございます。
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杉江 理
WHILL Inc
CEO
1982年生まれ静岡県浜松市出身。日産自動車開発本部を経て、一年間中国南京にて日本語教師に従事。その後2年間世界各地(パプアニューギニア、ラオス、ウズベキスタン、ボリビア)に滞在し新規プロダクト開発に携わる。2012年 WHILL Inc 設立。世界経済フォーラム(ダボス会議)GSC33歳以下日本代表。
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永田さんには以前、ファンドを立ち上げられたということで早速コンタクトをしまして、資金調達……できなかったという経緯があり、それ以来なのですが(笑)。
小林 それは「リアルテック」でなかったということで。
杉江 そうですね、リアルテックでないということで(笑)。
永田 違うんですよ、経済産業省認定ファンドになったことで、日本の会社にしか投資できなくなってしまったんですよ。
小林 なるほど!
出雲さんと永田さんの意見が合わない時はどうする?
杉江 それはさておき。
出雲さんと永田さんがそれぞれの役割をかなり明確に分けていて、しかもかなり振り切ってやっているのではないかと私は思っています。
今回のように、カチッとした永田さんが押さえるところを押さえて、出雲さんがどんどん飛び上がっていくと。
その時の関係性は、恐らくお互いこういうものだと思ってやっているのだと想像しますが、ギクシャクすることとか、方向性がかみ合わなくなるようなことはあるのでしょうか?
小林 いきなりドロドロネタが出ましたね(笑)。
ドロドロしてない、ミドリムシみたいにきれいな関係だと聞いたのですが、お願いします。
永田 昨日ちょうどパーティが終わった後に2人で、「餃子の王将」で仕事のミーティングをずっとしていたのですが、その時にもひとつありましたね。
どちらかというと、外からくる案件に多いですが、一方がやってもいいかなと思うことに対して、他方がだめだと考えるようなケースはよく起こります。
内部のリソース状況であるとか、世の中からどのような評判を受けることになるのかなど、そういう観点から私は見ていて、出雲はどちらかというと、とにかく前に進むこと、飛躍することは全部やろうと発想なので、そういった関係性はあると思います。
その一方で、会社全体のコンセンサスとして、これはやると決めていることに対しては、私の方がアグレッシブであることが多いです。
私はそれが責任だと思っているので。
バイオ燃料のプロジェクトですが、赤字になることが分かっている50億円のプラントを造ろうという時に一番推進したのは恐らく私です。
財務の立場からは止めるはずのところですが、我々が一番向いている先は社会なので、そこが一致しているということは非常に大きいと思っています。
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小林 もう一問くらい聞いてから、森本さんのお話に移りたいと思いますが、いかがですか?
ご所属とお名前をお願いします。
ユーグレナの「特許化しない」知財戦略
丸山 内田・鮫島法律事務所の丸山と申します。よろしくお願い致します。
御社の知財戦略に関してですが、一番基礎となるミドリムシの製造方法については特許を取らず公開しないというお話が非常に面白かったです。
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【(その1)での永田さんプレゼンより】
永田 ミドリムシの大量培養に関しては、我々はパテント(特許)を取っていません。
なぜかというと、料理のレシピのようなものなので、どのように培養するかを記載すると、他の国の人が日本で培養したミドリムシを持ち帰って、リバースエンジニアリングできてしまいますので、特許化しないという戦略を取っています。
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逆に御社で戦略的にアプリケーションなどについては特許を取ったりしているのかなど、戦略的にどのように考えていらっしゃるのか教えてください。
また、秘密にするというのは結構大変なことだと思うのですが、その辺で苦労されたお話、工夫されたお話などがありましたらお聞かせください。
永田 弊社は、社員がまだ10人くらいの時から社内弁理士を置いていました。
ベンチャーとしては結構珍しいのではないかと思います。
知財については3つに分けて考えており、ひとつは、製造特許ですね。そして用途特許、後は設備自体の特許です。
この3つに分けて考えています。
設備自体は物によっては取っていく、用途特許は全部取っていくという方針です。
例えば、3年後にミドリムシを作れるようになった人が出てきたとしてもいいように、「用途」として押さえている部分を広げていくということは積極的にやっています。
しかし、製造特許を取るよりは、どちらかというと「ミドリムシ」イコール「ユーグレナ」というイメージ戦略など、そういうことを中心に実施していくということを考えています。
その方が、全体的に期待値が高いと考えています。
そしてコカ・コーラもそうですが、マーケットというのは1社独占よりも、2社、3社いた方が拡大するというのは歴史が証明しているので、その中で有利なポジションを取るための戦略を中心に考えています。
プール清掃スタッフにもストックオプションを出す
永田 製造特許を守るための手段ですが、ほとんどレシピなんですよね。
ですので、どのタイミングでどの鍋を使って、どう切って、どの塩を入れるか、というような話が非常に重要なので、まず工程を複数に分けて、それに携わる人を全て分離しています。
Aさんは野菜しか切らない、Bさんは塩しか振らない、Cさんは鍋を覗くことだけ、というように工程ごとに分けています。
小林 なんだかラーメン屋みたいですね(笑)。
永田 本当にそうなんです。
麺を切れるのは10年目から、というような話です(笑)。
それに加え、地元企業の中における我々の存在意義を高めるよう努めていて、今弊社は石垣島で多くの人を雇用しているんですね。
設備を掃除するスタッフにまでストックオプションを出していて、全員で価値を守るということに非常にこだわっています。
▶ 八重山殖産株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
小林 素晴らしいですね。(内田・鮫島法律事務所の)鮫島先生、今までのところでコメントをいただけますか?
鮫島 定石通りで素晴らしいと思います。
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鮫島 正洋
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
代表パートナー弁護士・弁理士
東京工業大学金属工学科卒業。藤倉電線㈱(現 ㈱フジクラ)にてエンジニア(電線材料の開発)、92年弁理士登録後、日本アイ・ビー・エム㈱にて知的財産業務を経て99年弁護士登録。2004年内田・鮫島法律事務所を設立、現在に至る。弁護士業の傍ら、知財戦略、知財マネジメント、知財政策など多方面に向けた発言を行い、その貢献に対して2012年知財功労賞受賞。著書;「新・特許戦略ハンドブック」(商事法務2006)〔編著〕、「技術法務のススメ」(日本加除出版2014)〔共著〕、「知財戦略のススメ コモディティ化する時代に競争優位を築く」(日経BP2016)〔共著〕など。「下町ロケット」に登場する神谷弁護士のモデル。
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小林 ほめられました!
ちなみに特許数はどのくらいあるのでしょうか?ジャンルでいうとどのくらいの分布になりますか?
永田 特許数はまだそれほどなく4つ、5つくらいですね。
申請は結構出していますが。
小林 わかりました、ありがとうございます。
次のセッションでも知財の話が出てきますので、ご関心をお持ちの方はぜひ参加してください。
それでは、ありがとうございました。
続いて森本さんに聞いてみたいと思います。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鈴木ファストアーベント 理恵
続きは 東大発ベンチャー「エクスビジョン」の高速画像処理に秘められた可能性 をご覧ください。
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【編集部コメント】
島社会の不文律が、ユーグレナの秘伝のレシピを守っている面もあるんですね。続編からは、東大発ベンチャー「エクスビジョン」の話題へと移っていきます。ぜひご覧ください。(横井)
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