”現代の帝国”Amazonに学ぶ、変化の激しい時代に対応する構造 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

9. ”現代の帝国”Amazonに学ぶ、変化の激しい時代に対応する構造【終】

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「歴史から学ぶ『帝国の作り方』(シーズン2) 」全9回シリーズの最終回は、自ら変革できる企業の構造の話を受けて、昨今叫ばれているDXの難しさについて北川さんが問題提起します。Amazonの驚くべき組織・システム構造とは? 時間いっぱいまで内容ぎっしりの議論が続きます。最後までぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 プレミアム・スポンサーのリブ・コンサルティング様にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICCサミット FUKUOKA 2021
Session 6A
歴史から学ぶ「帝国の作り方」(シーズン2)

Supported by
リブ・コンサルティング

(メイン・スピーカー)

深井 龍之介
株式会社COTEN
代表取締役

(スピーカー)

宇佐美 進典
株式会社CARTA HOLDINGS 代表取締役会長 / 株式会社VOYAGE GROUP 代表取締役社長兼CEO

奥野 慎太郎
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
マネージング パートナー

北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員CDO(チーフデータオフィサー)グローバルデータ統括部 ディレクター

山内 宏隆
株式会社HAiK
代表取締役社長

(モデレーター)

琴坂 将広
慶應義塾大学
准教授(SFC・総合政策)

「歴史から学ぶ『帝国の作り方』(シーズン2) 」の配信済み記事一覧


連載を最初から読みたい方はこちら

最初の記事
1.シーズン2は「生き残る帝国」から、事業やビジネスに活かせる学びを徹底議論

1つ前の記事
8. 自ら作った構造をいかに打ち破るか。「変えられる組織」への設計が企業の成長を促す

本編

企業のDXを阻む、最も大きな課題

楽天 常務執行役員CDO(チーフデータオフィサー)グローバルデータ統括部 ディレクター 北川 拓也さん

北川 最後に、DXの時代において、我々が一番気にすべき構造についてお話しします。

これは、テクノロジー企業は認識していることですが、社会的な認識がまだまだ弱いと思っています。

特にテクノロジー企業において、システム構造は人材を殺すことがあります。

残念ながら、20年以上続いている会社はどこも、非常に複雑なシステムによって、このスライドの絵のようになっています。

残念ながら、弊社も同様です。

「プロジェクトAはプロジェクトBに関わるので、Aの修正はBに合わせて遅らせなければいけない」ことになり、小さな改善がそのほかの色々な部分に依存してしまうのです。

結果、小さな改善も実施が1年後になってしまうということが容易に起こるわけです。

すると、採用においては、依存関係を調節する人、つまり何でも屋が必要になりますが、外部から新しく入ってくる人は依存関係を理解するのに時間がかかるので、内部人材が常にボトルネックになり、外部をうまく活用できなくなる、または、外部の方を採用できなくなってしまいます。

結果、役割分化や定義ができなくなって、本当に優秀なプロダクトマネージャーやエンジニアが実力を発揮できず、生産性が見えづらくなり、高い給与を渡せなくなります。

そして、これらが繰り返されます。

20年以上システムを使っている会社ではおそらく、こういった直せない構造が存在していると思います。

琴坂 残念ですね。

北川 これが今、DXを阻んでいる最も大きな課題なのです。

人をクビにできない文化とシステムの構造が相まって、どうにもならない日本企業が大量に出ているというのが今の状況です。

DXが、アメリカ式企業だと進みやすく日本企業だと進みにくいのは、今説明した構造と文化の違いが関わっています。

生産性が上がりきらずに、日本人の競争力が下がっているのはこういう理由であり、DXがなぜ死ぬほど難しいかという背景です。

「疎結合」の構造を作ったAmazon

北川 再びAmazonの話になりますが、さすがジェフ・ベゾスだという話なのですが、彼は極めて早い段階で、システムを「疎結合」で作らなければいけないと唱えていました。

各組織が独立して各機能を改善できる形式にすることで、人を活かす組織、テクノロジーにしようとしたのです。

これは英断で、なぜならソフトウェアの構造は、組織構造に倣うと言われています。

ですから、ソフトウェア構造と組織構造を同値(同等)化して作らなければいけません。

つまり、ソフトウェア構造の話をしているようで、実は組織構造の話をしているのです。

つまり、経営の話をしているのです。

琴坂 なるほどね。

北川 ですから、経営意思決定として、これができない企業は、DXが非常にやりづらくなります。

そしてこれは、デジタル庁の方々が十分に消化しきれていない、本質的な課題だと思います。

この構造問題を解かないとDXは無理ですよという話をしました。

琴坂 実際に関連していて、我々が議論した帝国の成長メカニズムは、変化を起こせる、内包できる仕組みを作るということでした。

それに対するテクノロジー企業の答えは、「大きく複雑なシステム構造」ではなく、「疎結合の構造」を創業の初期段階から作っていかなければいけないということですね。

素晴らしいですね!

ここで、セッションの残り時間はあと1分となりました。

数百年の歴史は、75分では語れませんね(笑)。

最後に、自分の帝国、会社や組織を永続させるにはどうすれば良いかについて、皆さんから一言ずつ頂きましょう。

帝国になるステップを経ることが大事

CARTA HOLDINGS 代表取締役会長 / VOYAGE GROUP 代表取締役社長兼CEO 宇佐美 進典さん(写真中央)

宇佐美 今日は帝国をテーマにしていますが、都市国家から始まり、王国になり、帝国になるというプロセスを考えると、それぞれの段階でまだやるべきことがあると思います。

まず、帝国になるステップを経ることが大事だと思います。

そして、深井さんがおっしゃるように、システムや権力構造は常に腐敗することを前提として、それらを切り替える組織文化や仕組みを導入するのが大事ではないでしょうか。

SDGsは弱者が生き残るために出てきた思想

HAiK 代表取締役社長 山内 宏隆さん(写真中央)

山内 シーズン1と同じ意見になりますが、帝国は思想+軍事力だと僕は思っています。

特に思想で、弱者ほど思想が大事だと思います。

今日出てきた「国民国家」も、ルソーの『社会契約論』から出たというか、王権神授説(王権は神から授かったもので不可侵、民は絶対服従とする)に反対する形で、弱者が自分を守るために作ったものです。

▶編集注:ルソーは『社会契約論』で、自然状態から社会の成立原理を明らかにして、人民主権など民主主義理論に基づく社会契約説を説いた。

そしてその約100年後にマルクスが共産主義、『資本論』を唱えました。

今はその100年後であり、弱者が生き残るために出てきた思想がSDGsだと僕は思っています。

ですから、SDGsに賭けてみるのがいいかもしれません。

琴坂 深いですね、ありがとうございます。

会社経営の鍵は思想の普遍的な言語化

ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン マネージング パートナー 奥野 慎太郎さん

奥野 最初の深井さんの話は勉強になり、それだけでもお腹いっぱいです。

宇佐美さんのおっしゃる通り、自社が帝国かどうかという自覚から始まるべきですよね。

ほとんどのスタートアップは都市国家ですし、創業者の力が弱くなると国民国家になり、もっと組織化していくと帝国です。

自分たちがどの段階にいるのか、そして海洋型か大陸型かの自覚からでしょうが、最終的には、山内さんのおっしゃる通り、思想だと思います。

何のために会社を経営しているのか、何のために一緒に働いているのかを普遍的に言語化し、徹底することが、持続させるための大きなキーではないでしょうか。

もしそれが陳腐化してきた時、どうやって自分で革新できるか。

そして革新できなかった場合は、つぶれるしかないのだろうということを今日は学びました。

オーナーシップを拡大する経営を目指す

北川 内部から変革する文化を作らなければいけないというお話ですが、やはり、各経営陣や各社員が、自分の会社を自分ごとだと思えるオーナーシップがキーだと思います。

その文化を作ることができれば、今の経営陣がいなくなっても、後を継いで変革させながら永続させてくれる人が出てくると思います。

ですから、オーナーシップを拡大する経営を目指したいと思います。

琴坂 ありがとうございます。

では、メイン・スピーカーの深井さん、お願いします。

世界史上、変化が最も激しい時代にいかに対応するか

COTEN 代表取締役 深井 龍之介さん

深井 今日は色々な意見を聞けて、色々と考えながら話をしていました。

これからは、世界史上、外的要因の変化が最も激しい時代に突入します。

その中で、帝国をどう定義するかが課題になると思います。

例えば、名前は同じだけれど、社員が全員入れ替わった時、同じ会社とするのかどうか。

シーズン1でも言いましたが(※) 、「創っては壊し、創っては壊し」というサイクルを早めるとうまくいくのではないかと考えています。

▶編集注:シーズン1の結びで、昔は500年単位で変わっていたものが15~30年単位で変わっていく現代では、スタートアップを経営する時には、3~5年の短いスパンで考えたらよいのではないかと言及。
10.「帝国からの学び」を発表! 大好評につきシーズン2も決定!

社名は同じでもいいですが、創った子会社を独立させて、全く違う構造で創り、育てることで多様性に対応していくイメージです。

子どもを産む感じなのか、分身する感じなのかちょっと分かりませんが、構造を破壊するのは、防衛反応を出させないようにするということなので、相当難しいと思いますね。

琴坂 絶えず変化するサイクルを作って、永続を目指すということですね。

ありがとうございます。

これほどマニアックなセッションを最後までお聞き頂きまして、ありがとうございました。

スピーカーの皆さんに拍手をお願いします、ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成/大塚 幸美/p>

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