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経営者が実体験を赤裸々に語る「急成長期における組織崩壊と再生について」全6回の③は、あしたのチーム赤羽さんが組織崩壊のときの状況を振り返ります。事業が成長して社員数が倍近くに増え、拠点も全国海外に拡大というときに事業、社内に起こっていたこととは? 事業の迷走、大減収、経営者交代、ありとあらゆるハードシングスからいかに脱却を図っていったのか? ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 プレミアム・スポンサーのあしたのチームにサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICCサミット FUKUOKA 2022
Session 9F
急成長期における組織崩壊と再生について
Sponsored by あしたのチーム
(スピーカー)
赤羽 博行
株式会社あしたのチーム
代表取締役社長CEO
宇佐美 進典
株式会社CARTA HOLDINGS
代表取締役会長兼CEO
土屋 尚史
株式会社グッドパッチ
代表取締役 兼 CEO
吉岡 諒
株式会社ウィルゲート
専務取締役 COO 共同創業者
(モデレーター)
田中 允樹
株式会社リンクアンドモチベーション
MCVカンパニー長
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1.急成長期の組織崩壊を経験したスピーカーが赤裸々に語る!
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2.100人の組織で毎年40人が退職、グッドパッチの組織崩壊
田中 赤羽さん、組織についてどんなことがあったかについてお話し頂けますか?
数字を追い求めた結果、組織崩壊!
赤羽 はい、状況をお話しします。
あしたのチームは、2018年までは2倍成長をしていました。
私が入社した際は1億円だった売上が、3億、7億、14億、25億円と順調に伸びていたので、2018年3月期(2017年度)が調子に乗り始めたタイミングだったのではないかと思います。
最初は5、6支店だったのが、全国に支店をどんどん増やしていき、2018年3月期(2017年度)には12、13支店くらいになっていました。
そして、大きな赤字になっている翌年2019年2月期(2018年度)に向けて、2倍に成長する、つまり50億円を売り上げるためにはどうすればいいかと考えて、事業を行っていたのです。
つまり、数字を作るためにはどうすればいいかと考えるようになり、全国47都道府県に支店を作ればいいのではという方向性になったのです。
田中 当時、社員数はどれくらいだったのでしょうか?
赤羽 120人くらいでしたが、200人規模になりました。
全国47都道府県に支店を作るにあたり、営業拠点だけではなくサテライトオフィスも作ったため、海外も入れて最大65拠点になったからです。
田中 1拠点1人だとしても、65人が必要になりますからね。
赤羽 最大で240人規模になりました。
新しく進出した県では、応募があったら即採用という形で、一気に社員が増えていったのです。
田中 吉岡さんの例と似ていますね、どんどん採用していったと。
赤羽 そうですね。
販路がないのに、先に全国に支店ができたので、人材の採用ができず無人拠点になった支店が30ほどありました。
田中 それは意味がないので、拠点とは言えないのでは…(笑)。
赤羽 意味がなかったので、結果的にはクローズしました。
東京で採用した若者や新卒1年目たちを、突然支店長として全国に赴任させていったので、マネジメントのできない社員が支店長の名刺を持って全国にいたわけです。
急拡大で社員の半分以上が「部下はいないが役職」状態
赤羽 240人規模になった時、福岡空港など、全国の空港に看板を出したり…。
田中 当時ありましたね。
吉岡 駅や空港ですごく見かけました。
赤羽 動画広告を出稿したり、全国にある60のスポーツチームのスポンサーをしたり…、色々な方から「どこのチームを応援しているんだ?」と言われていたのが2019年2月期(2018年度)です(笑)。
そのタイミングで、ベクトル社の子会社になりました。
▶人事評価のあしたのチーム、ベクトルが子会社化 2018年7月19日(日本経済新聞)
前期の決算書を見て、デューデリジェンス(対象企業の調査)をして頂いて仲間入りしたのに、突然大コケしました。
吉岡 いきなりマイナス7億円。
宇佐美 これは、買収した側からすれば、結構しびれますね。
「マジかよ!?」となりますね(笑)。
土屋 これは…。
田中 これは驚きますね。
宇佐美 連結から外したくなりますね(笑)。
赤羽 時価総額1,000億円だった親会社の株価が半分になった責任は、私たちにあるのではないかという状況下で…。
(一同笑)
そんな状態が3期続きました。
組織が急拡大したので、若手がマネージャーになり、社員の半分以上が、「部下はいないが役職についている」状態になったのです。
土屋 役職のインフレですね。
田中 とは言っても、実際は新卒1年目の社員ですよね?
赤羽 新卒1年目、2年目ですね。
田中 マネジメントスキルどころか、ビジネススキルがついていない状態の社員ですよね。
赤羽 「数字を達成すればマネージャー」みたいな感じで、1人で売上を作れるようになって、予算を達成すれば勲章をもらえて支店長になるという時代でした。
宇佐美 ちなみに当時、拠点マネジメントはどうしていたのでしょうか(笑)?
土屋 してないでしょ(笑)。
宇佐美 エリアマネージャーがいたのでしょうか?
赤羽 そうですね、部長という名前でエリアマネージャーがいて、20代の部長も含め6人で全国を管理していました。
それがさらにインフレして、6人の執行役員が管理することになりました。
これが、組織拡大の過程で一番の失敗だったと思っています。
田中 とにかく業績拡大、つまり数字を追い求めてしまったのが一つ、そして確証のないまま拠点を作ってしまい、実質1年目の若手に安易に預けてしまった、という3つのパンチがあったということでしょうか。
赤羽 そんなところですね。
そして広げすぎた風呂敷をたたむのもまた、大変でした。
田中 2020年、2021年はコロナ禍でしたよね。
赤羽 コロナ禍は完全に言い訳でしかないので、コロナ禍には関係なく、構造的に赤字が垂れ流される状況が目の前にあったのです。
私が社長を引き受けたのが、2021年2月期(2020年度)の第3クオーターが終わった時のことで、創業者からバトンを渡されたのですが、青天の霹靂でした。
ミッションを達成しないと私の首が飛ぶという期がこの2月(2022年)で終わりますが、何とかV字回復を達成できました。
田中 これはすごいですよね。
土屋 しびれますね。
2021年2月期(2020年度)には離職率が30%超え
赤羽 従業員数は出していませんが、エンゲージメントスコアについてお話しします。2022年2月期(2021年度)で61%です。
▶エンゲージメント経営(MOTIVATION CLOUD)…エンゲージメントスコアの解説など
以前事業が成長していた時は60%を超えていましたが、どんどんスコアは下がっていきました。
離職率はもともと高かったのですが、2021年2月期(2021年度)には36%を超えているので、田中さんもサーベイ対象人数が減ったと思われたのではないでしょうか。
田中 当時の記憶だと、確か200人弱から、一気に100人程度に減ったのですよね。
赤羽 そうですね。
それくらい社員も減りましたが、何とか形にして、乗り越えつつあるという状況です。
田中 なるほど。
宇佐美 こうやって見ると、離職率30%なんて、僕は経験したことがないですよ(笑)。
最大でも20%くらいでした。
土屋 ……宇佐美さん、まだまだですね。
(一同笑)
宇佐美 30%なんて、普通にあるのですか!?(笑)
赤羽 グラフの下に注釈で、「離職率は、中途採用の1年以内の離職で算出」と書いています。
ですから、対象を全社員にすると、離職率はもう少し高いのです。
吉岡 若干低くして、この水準ですか?
赤羽 そうです。
田中 でも実際のところ、離職したというよりも、辞めてもらったケースも多かったのではないでしょうか?
赤羽 そうですね。65拠点まで広げたものを、今は8支店にしていますので。
田中 約50拠点をなくしたということですね。
赤羽 それくらいの構造改革を行いました。
田中 赤字も出ていて、トップラインも頭打ちになったので、事業も人も絞るという意思決定をされたということですね。
赤羽 そうです。
事業を引き継ぎ、組織文化を180度変更
土屋 経営トップに創業者がいたところから、準備なしのバトンタッチというのは、通常の感覚だと、相当やばい感じだと思うのですが、赤羽さんはその時どういうメンタリティだったのでしょうか?
赤羽 とはいえ、私は2014年に参画をして、常勤取締役としてNo.2のポジションにいました。
私はもともとエンジニアなので、システムの内製化も含め、当時No.2として、CFO、COO、CTOの仕事をしていました。
ですから、事業そのものを引き継げる準備ができていましたし、その覚悟もあったのです。
それまでの過程でも、「自分ならこうするのに」や「こうすれば絶対に良くなる」という確証みたいなものもあったので、去年(2021年)一気にビジョン、ミッション、バリューを変え、組織の文化を180度変えて、真逆の会社に振り切ったのです。
▶あしたのチーム ビジョン・ミッション・バリュー(あしたのチーム)
これはしてはいけないという点も含め、近くで見ていたからこそ分かっていたこともありました。
田中 前任者と真逆のことを大事にして、舵を取ったということですね。
赤羽 勿論、良いところは残しつつも、変えました。
例えば、組織の作り方を変えたり、自社サービス(あしたのクラウド®)である人事制度を見直したり、人事の昇降格基準を見直したり、ですね。
拠点をクローズしていくので、そこにいたほぼ全員を降格することになりますし、執行役員制度を廃止して全員を降格しました。
当然ですが、デモチベートする社員も、降格なんて恥ずかしいからと辞める社員もたくさんいました。
2021年だけでも、会社が潰れそうな瞬間が2回ほどあったので、できることを全てやらないといけないと思っていました。
数カ月先には資金がショートするだろうという状態を想定しながら、経営をしていたのです。
土屋 上場企業の子会社なのに、数カ月先には資金がショートするかもしれないと思いながら経営するのは、すごく嫌じゃなかったですか(笑)?
赤羽 すごく嫌なのですが、デット(借入や社債発行)で資金調達はできないですし、エクイティ(新株発行を伴う資金調達)なども追加投資できる状況ではなかったので、自社の自浄作用でV字回復をしない限り、脱せられないと思っていました。
ちょっと重たい空気になりましたが…。
田中 いえ、大丈夫ですよ。皆さん、笑うところは笑ってくださいね。
(続)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸
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