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5.アジア13カ国18拠点、AnyMind十河さんが語る、多国展開で重要なポイント

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ICC KYOTO 2022のセッション「ITスタートアップにおけるグローバル展開のケーススタディ」、全6回の⑤は、AnyMindの十河 宏輔さんが、なぜシンガポールからスタートしたかから語ります。現在13カ国18拠点で事業を展開するときの、開発、採用、経営人材の獲得、M&Aなど、具体的な知見を共有いただきます。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターはネットプロテクションズです。


【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 3D
ITスタートアップにおけるグローバル展開のケーススタディ
Sponsored by ネットプロテクションズ

角元 友樹
恩沛科技股份有限公司(NP Taiwan, Inc.)
董事長/總経理

久保 恒太
Ubie株式会社
代表取締役 エンジニア

十河 宏輔
AnyMind Group株式会社
代表取締役CEO

中島 克彦
株式会社ビービット
取締役副社長

(モデレーター)

井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
パートナー

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創業6年で13カ国・地域に18拠点のAnyMind十河さん

十河 よろしくお願いします。

我々AnyMindは2016年に創業した会社で、実はシンガポールからスタートしました。

「なぜシンガポールだったの?」とよく聞かれます。

僕は昔からいずれ起業したいと思っていたのですが、前職はサイバーエージェントグループ企業の東南アジア拠点の立ち上げをしており、その時、起業するなら間違いなく東南アジアだと思ったのです。

2016年、そしてそれ以前を振り返ると、東南アジア市場にはチャンスがめちゃくちゃありました。

日々、新しいビルが建っていて、レストランや飲食業もまだまだ伸ばせると思いましたし、オポチュニティだらけでした。

そのオポチュニティをしっかり獲得したいと思い、東南アジア全域を攻めるために、シンガポールで創業したのです。

創業以来、海外展開を続けており、今13カ国・地域に18拠点を設けていて、社員数は1,000名を超えてきています。

ビジネスに関して詳細は割愛しますが、ブランド企業向けに、EC・D2C領域を中心に、EC、生産、マーケティング、物流といった、バリューチェーンを一気通貫で支援するサービスを提供しています。

これを、「ブランドコマース事業」と呼んでいます。

もう一つ、オンラインメディアやクリエイター(YouTuberなど)の成長に関わるプロセスを支援する、「パートナーグロース事業」も提供しており、2つの事業を行っています。

ターゲットが40億人いる魅力的な東南アジア

十河 創業以来プロダクトを作り続けており、特に、グローバルプラットフォームについてお話しさせていただきます。

ECのマネジメントプラットフォームや、ものづくりのための生産プラットフォーム、そして創業以来提供している、インフルエンサーやデジタルマーケティングのマーケティングプラットフォームなどです。

それぞれ、ブランドのバリューチェーンの工程ごとにソフトウェアを用意して、企業に提供しています。

シンガポールからスタートしましたが、シンガポールオフィスはあくまでヘッドクォーターとして、ファイナンス機能として活用予定だったので、タイ、インドネシア、ベトナムと一気に東南アジアの3つの市場に展開しました。

幸いにもうまくいったので、その後、中華圏への進出、そして直近ではインド市場への投資もしながら攻め続けています。

なぜグローバル展開かと言うと、東南アジアについては、やはり人口という観点で圧倒的にメリットがあるからです。

今、ほぼアジア全域で展開していますが、対象となる人口は40億人です。

自分で言うのは恐縮ですが、僕らは一応急成長しており、まだまだ伸びしろしかないと思っています。

この大きなタームで事業をしっかり成長させていきたいと思っています。

地域別の売上ポートフォリオは意識をしています。

海外から始めたので、もともと海外売上が100%でしたが、コロナ禍の影響も若干あって経営陣も日本市場に時間を使うことが増え、この2年間で日本の売上がかなり伸びてきました。

ただ、中長期的には東南アジアやインドからの売上比率が高くならないといけないという話を、グローバルのマネジメントチームとしています。

我々はまだ創業から6年の未熟な会社ではありますが、シンガポールからスタートしていることもあり、それなりに知見が貯まってきているかなと思います。

僕は、チームジャパンとして話を盛り上げたいと思っているので、少しでも皆さんの参考になるといいなと思います。

一気にグローバル展開するには統一のプラットフォームを

十河 まず開発に関して、ローカライズしたプロダクトを作るという選択肢もあると思いますが、一気にグローバル展開をするにあたって重要だと僕が思っているのは、グローバルでワンプラットフォームを開発するということです。

セールスマーケティングについては、B2Bなのでローカライズが必要ですが、プロダクトまでローカライズするのは難易度がかなり高いですし、時間とコストがかかります。

ですから、最初からグローバル展開をするのであれば、グローバルで通用するプロダクトを作るという意思決定も必要なのではないかと思います。

開発拠点は、東京、バンガロール、バンコク、ホーチミンの4拠点に置いています。

各国にはビジネスのマネジメントチームがいますが、仲介役としてグローバルのプロダクトマネージャーチームがおり、このチームがニーズをしっかりすくい上げ、エンジニアと連携してプロダクトを作っていきます。

4つのエンジニア拠点を置いて良かったのは、エンジニア採用における圧倒的なアドバンテージが得られたことです。

英語が話せれば出身や国籍は問わずに採用しているので、プロダクト開発チームのメンバーが一番、多様です。

また、4拠点あるので、優秀なエンジニアに対しては、採用時、どの拠点を選んで働いてもいいと話しています。

特に、東欧系の方々も増えているのですが、暖かいところで働きたいという方も多いですし、東京で働けるなら是非転職したいという方もいます。

ですので、4カ国に拠点を置いたからこそ、採用強化ができていると思っています。

ローカルの経営チーム作りでM&Aを活用

十河 2つ目が、中島さんのおっしゃる通り、経営チームのグローバル化です。

国ごとの優先順位という論点もあるかもしれませんが、ある程度、多様性のあるグローバルチームになるべきだと思います。

我々の場合、日本人もいますが、ビジネス側、テック側共に、様々な国籍を持つ方が集まっています。

後のスライドでもお話ししますが、ローカルの経営チームを作っていくことが重要です。

Jasonさんのようなスーパー人材(前Part参照)をいきなり採用できるケースもあるかもしれませんが、我々の場合、通常の採用だと難しいので、M&Aを活用して、社長や経営陣を採用する戦略を採っています。

創業以来、グローバルで戦っていく上で、経営人材の獲得がすごく重要だと認識していたので、これまで合計7社をM&Aしています。

基本的には、Acqui-hire目的(企業買収プロセスを通じた経営人材の獲得が目的)なので、経営者や社長を採用しています。

会社としては、オーガニックグロースとM&Aのインオーガニックグロース(※) のバランスを鑑みながら、各国の経営人材をしっかり獲得していくことを意識して進めています。

▶編集注:既存の経営資源を利用して成長を実現することをオーガニックグロース、他社との提携や他社の買収などを通じて成長を行うことをインオーガニックグロースと呼ぶ(MUFG参照)。

井上 買収後、買収した会社をバリューアップするプラットフォームや仕組みがAnyMindにあるからこそ、再現可能だということですね。

十河 プロダクトは自社で100%開発しているので、我々はどちらかと言えば、同じ業界内でもノンテックの会社を買収しているのです。

例えば、インフルエンサーマーケティングなどを行う、オペレーションドリブンの会社があったとします。

タイやベトナムにおいて、ある程度利益を出しながらしっかりと経営できているがテックのケーパビリティは持っていない会社であれば、我々のプラットフォームを活用することで、より生産性が上がり、顧客への価値提供も大きくなるのです。

ですから、僕らと買収先のPMI(M&A後の統合プロセス)が明確なのです。

それもあって、今のところは比較的うまくいっているのだと思います。

井上 かつ、「人材を採用するための買収」という考え方を持っているということですね。

十河 おっしゃる通りです。

プラットフォームはグローバルで統一ですが、そのプラットフォームに入ってくるデータはローカルチームが獲得していく必要があります。

ものづくりのプラットフォームですと、工場の開拓がすごく重要ですので、ベトナムやタイ、台湾、中国などで工場開拓をしっかりしなければいけません。

それは、ローカルのBiz Dev(事業開発)チームが行うのです。

マーケティング分野に関しては、各国のインフルエンサー獲得が非常に重要なので、ローカルチームがしっかり取り組みます。

パブリッシャー事業も同様で、各国のネットワークが必要なので、ローカルチームがしっかり取り組みます。

井上 ありがとうございました。

(続)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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