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ICC KYOTO 2022のセッション「ITスタートアップにおけるグローバル展開のケーススタディ」、全6回の②は、引き続きネットプロテクションズの台湾事業について。2022年9月当時で2,400社以上のECサイトに導入されていますが、台湾TOP10のうちの5社にも導入と順調に成長しているその裏で、どんな課題を克服してきたのか、組織やサービスの要となったものについて語ります。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはネットプロテクションズです。
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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 3D
ITスタートアップにおけるグローバル展開のケーススタディ
Sponsored by ネットプロテクションズ
(スピーカー)
角元 友樹
恩沛科技股份有限公司(NP Taiwan, Inc.)
董事長/總経理
久保 恒太
Ubie株式会社
代表取締役 エンジニア
十河 宏輔
AnyMind Group株式会社
代表取締役CEO
中島 克彦
株式会社ビービット
取締役副社長
(モデレーター)
井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
パートナー
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▶「ITスタートアップにおけるグローバル展開のケーススタディ」の配信済み記事一覧
台湾向け後払い決済サービス『AFTEE』
角元 台湾で展開する「AFTEE(アフティー)」のサービスについても簡単に紹介します。
ネットショッピングの決済で後払いを選んだ場合、SMS認証をするだけで、特に何の登録をする必要もなく、すぐに決済ができ、後でコンビニや銀行、電子マネーなど様々な方法で支払うことができます。
分割払いも選択可能で、決済時、お好きな回数を24回まで選べます。
手数料、毎月の支払い額もその場で確認した上で、決済ができます。
スマホアプリもご用意しており、アプリ上で自由に、決済後に分割払いに変更したり、分割回数を変更したり、分割払いをキャンセルしたりすることもできます。
台湾では現在、2,400社以上のECサイトに導入されていますが、台湾TOP10のうちの5社にも導入されています。
取扱高は倍以上で成長しており、ユーザー数も70万人を突破、今年度中には100万人に到達する見込みです。
台湾の人口は2,300万人ほどなので、それなりに広がりつつあると思っています。
台湾の未払いリスクは実際どうなのかとよく聞かれるのですが、今、そこに一番力を入れて改善を進めており、未払率も1%程度に下げることができています。
これは、単純に審査を厳しくしているのではありません。
与信通過率も改善されて高くなってきているので、精度が上がってきているということが分かると思います。
現在、30名ほどの組織で運営しています。
日本の組織と同じく、フラットで、自立・分散・協調型の組織を目指しているので、それが競争力の源泉になっていると感じています。
色々な商材、規模のECサイトに導入されて、そこでリスクがきちんとコントロールされ、決済されるたびに利益がきちんと出るビジネスができており、これをどんどん拡大しているという事業フェーズです。
最近では、現地の有力企業との深い提携も進めており、より拡大を加速しようとしています。
組織体制、意思決定体制、プロダクトが成功の要
角元 総括として、台湾で苦労してきた点をまとめました。
難しかったことは3つあります。
そもそも、BNPLが存在していない、営業ネットワークもない台湾で、ルートを開拓していかなければいけなかったこと。
そして、リスクコントロールが日本に比べて難しい国において、簡単に使えて、高い通過率を維持しながら低い未払率を実現しなければいけなかったこと。
最後に、日本よりも1%以上低い加盟店手数料が市場の相場である中で、ユーザーのニーズが強かった分割払いで収益を上げることで、ビジネスを成立させなければいけなかったこと。
これらは、苦労しながらも乗り越えられたことだと思います。
まだまだ道半ばではありますが、乗り越えられた要因は、組織体制と意思決定体制、プロダクトだと思っています。
強い意志を持った駐在員が派遣され、現地の優秀な人材をうまく採用し、コラボレーションをしたというのが、組織体制です。
我々のチーム、つまり駐在員が、どの国で、どんなサービスを提供するかという海外展開の戦略を描いて、展開をしました。
現地の優秀な人材を採用した後も、我々の組織、事業の思想を持ちつつ、対話をして現地のやり方を吸収しながら展開してきたのが良かったのだろうと思います。
あと、細かい点ですが、ポテンシャルのあるインターン生を育てて正社員につなげるという仕組みもうまくいっており、これが今、組織の幹になっていると思います。
プロダクトについては、お伝えした通り(前Part参照)現地で、自分たちで作っていますので、日々迅速に改善できているのが大きな成功要因だと思います。
また、組織やプロダクトに関する意思決定については、現地に権限移譲されているのも大きかったと思います。
ベトナムを起点に東南アジアへの展開を目指す
角元 最後に、台湾以外のアジアへの展開を少し紹介します。
最近は東南アジアでも、BNPL市場に参入している企業が増えています。
東南アジアのポテンシャルは非常に大きく、もともと進出を目指していた市場なので、我々も注目をしています。
アジアでは、色々な規制やEC市場状況、競合状況を鑑み、台湾に続いて東南アジア1カ国目としてベトナムに拠点を立ち上げました。
ベトナムで収益性とスケーラビリティの高いビジネスが出来次第、色々なプレイヤーと組みながら、東南アジア全体に一気に広げたいと思って進めています。
簡単でしたが、以上です。ありがとうございます。
若手駐在員に権限委譲する企業文化
井上 ありがとうございます。
成功要因に、若手の駐在員とあり、まさに台湾進出時の角元さんだと思いますが、なぜその仕事をしようと思ったのでしょうか?
どのように関わっていったのでしょうか?
角元 ちょうど入社4年目のタイミングでしたが、当時は他の事業を担当していたので、自分の仕事量の10%くらいを費やすくらいのレベルから始めました。
純粋に、海外展開が楽しそう、刺激だと思ったのと、ゼロから何かを作りたいという気持ちがすごくありました。
また、我々が強みとしている後払いサービスが、ASEANで成功できるだろうというイメージも持っていましたので、展開したいと思って立ち上げましたね。
井上 もともと、台湾や海外事業に関するバックグラウンドは持っていたのでしょうか?
角元 いえ、2回フィリピンに留学に行ったくらいで(笑)、バックグラウンドは全然なかったですね。
井上 今日、会場には(柴田 紳)社長もいらっしゃると思います。
現地への権限委譲とサポートとありましたが、4年目の若手に任せたのは、角元さんが戦って勝ち取ったものなのか、もともと会社がそういうカルチャーだったのか、どうでしょう?
角元 そもそも、個人個人の思いを実現することが社員のモチベーションを高めてパフォーマンスが向上するというカルチャーが、組織の思想の中にありました。
4年間、色々取り組んできた中で、信頼を得ていたというのもあると思います。
井上 ありがとうございます。
他の皆さん、質問はありますか?
プロダクトをローカライズした理由は?
十河 宏輔さん(以下、十河) プロダクトを、グローバル統一のものにするのか、ローカライズするのかという点で、質問です。
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十河 宏輔
AnyMind Group
代表取締役CEO
1987年香川県生まれ、35歳。
2016年AnyMind Group(旧AdAsia Holdings Pte. Ltd.)を創業。横断的なデータ活用を軸に、商品開発、生産、EC、物流、マーケティングまで、ブランドビジネス全体を一気通貫でDXする事業をアジア13市場17拠点で展開する同社の成長を牽引している。
エンデバー・アントレプレナー、Forbes JAPAN誌「日本の起業家ランキング2022」TOP10への選出など、国内外で複数の表彰歴を持つ。前職の株式会社マイクロアドでは最年少取締役としてアジア全域におけるビジネス拡大に貢献した。
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ネットプロテクションズでは、台湾独自の開発チームを作って、日本とは分けて権限委譲をし、別のプラットフォームとして開発されていますよね。
角元 そうですね。
十河 おそらく議論はあったと思いますが、なぜグローバル統一のプロダクトにしなかったか、教えてもらえますか?
角元 まず、ネットプロテクションズは、立ち上げて20年の会社です。
後払いサービスの事業はかなり時間をかけて作ってきて、大きなものになっていましたし、ローンチ当時の日本と今の台湾では展開するにあたり、環境もかなり違いますので、イメージしていた、成功するであろうプロダクトのモデルが違いました。
グローバル展開する上で、スピードを重視したかったですし、与信モデルも国ごとにかなり大きく違うと思ったので、共通する部分よりも違う部分の方が大きいと思いました。
かつ、現地に合わせたいと思ったので、最終的には現地で作ることになりましたね。
十河 ちなみに、台湾だとエンジニアがある程度採用できると思いますが、東南アジアに展開するにあたり、台湾チームが東南アジアのプロダクトを開発するのか、それとも東南アジア各国でエンジニアチームを新たに採用するのでしょうか?
角元 最終的な結論は出ていませんが、今のところは国ごとに開発チームを作り、それぞれの国でプロダクトを作っていこうとしていますね。
台湾は今作っていますし、ベトナムは駐在員にエンジニアもいて、また、エンジニアを採用しやすい環境なので、現地で採用をしていたこともあり、ベトナムで作ろうとしています。
日本、台湾、ベトナムで作れれば、どこを変えて、どこを共通にすればいいかが見えてくると思うので、そのタイミングで共通部分とローカライズ部分を分けて、開発体制を整えたいと考えています。
十河 ありがとうございます。
井上 ありがとうございます。
では続いて、Ubie、久保さんにバトンタッチをお願いします。
(続)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸