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「型を破って自分のストーリーを語れ」ICCサミット直前、歴代カタパルト勝者たちが、心を動かすプレゼンテーションの組み立て方を伝授!

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ICCサミット KYOTO 2019では、ピッチコンテスト「カタパルト」が合計7つ開催されました。サミットのプレオープニング・イベントの特別セッションとして、事業の強み、将来性、そしてその事業に懸ける想いを短時間で伝えるにはどうしたらいいのか、カタパルト歴代ウィナーのe-Education三輪さん、エアロネクスト田路さんに解説いただきました。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。


【開催情報】
2019年8月26日
ICCサミット KYOTO 2019 プレオープニング・パーティ+プレゼンテーション講座

<プレゼンテーション講座ゲスト>

三輪 開人
特例認定NPO法人 e-Education
代表理事

田路 圭輔
株式会社エアロネクスト
代表取締役 CEO


ICCサミット KYOTO 2019の開催を1週間後に控えた8月26日、ICCパートナーズオフィスにて、プレオープニングイベントとともに、歴代のカタパルトウィナーたちから「プレゼンテーション講座」が開かれました。

次回京都では、なんと合計7つのカタパルトが開催される予定で、1社7分間の持ち時間で、合計65社がプレゼンテーション(以下プレゼン)を行います。ICCサミットのYoutubeチャンネルには過去のプレゼン動画が公開されていますが、この舞台に立つまでに、プレゼンテーターのみなさんは、数え切れないほどの練習を重ねているに違いありません。

▶過去のICCサミット「スタートアップ・カタパルト」登壇者のプレゼン動画が見られます
Industry Co-Creationチャンネル

スタートアップやベンチャーの起業家は、自分たちの想い、事業を一人でも多くの人たちに伝えて理解されてこそ、その存在価値が認めらます。ただ正しいことをしている、いいことをするだけでは、社会の課題解決のスピードは著しく異なってくるはずです。

世の中をよりよくしたい、課題を解決したいという強い想いをもって起業したのならば、プレゼン力を磨くのは必須ともいえるでしょう。起業とまでいわなくても、自分の考えを伝えて人の心を動かすには、多少なりとも必要なスキルといえます。

開催直前のこの日、その「伝える能力」の高いe-Educationの三輪 開人さん(ICC FUKUOKA 2017 カタパルト・グランプリ)、エアロネクスト 田路圭輔さん(ICC KYOTO 2018 リアルテック・カタパルト優勝)のお二方を迎え、そのプレゼンの練習を担当したICCパートナーズ小林 雅の解説で、そのスキル、そのコツを伝授しました。さっそくその内容をお伝えしていきましょう。

オリィ吉藤さんのプレゼンから学べること

ICC小林「まず最初にご紹介したいプレゼンテーションがあります。非常に素晴らしく、現場で司会していた私も涙してしまい、すぐに言葉が出なかったです。

このプレゼンの素晴らしかったことは、やっていることを正しく伝えていることと、ビジュアルや映像が効果的に使われていることです。真剣にやっているので、言葉の重みも違うし、想いが伝わります。

もしみなさんがプレゼンをするならば、こんなふうにすればどこでも勝てる、そんなプレゼンです。ぜひご覧いただきましょう」

と紹介されたのは、分身ロボットを開発するオリィ研究所吉藤 健太朗さんの動画です。私もこのプレゼンを生で見ていましたが、ほぼ満員だった会場が「体は不自由でも心は自由であり、ロボットはその助けになる」という訴えの切実さに心を揺さぶられているのがわかりました。

実際上映されたのは、Honda Xcelerator 登壇時のプレゼンテーションで内容が少し異なりますが、映像は非公開のため同時期のこちらの吉藤さんの動画をご紹介します。

【亡き友に捧ぐ、感動のプレゼンテーション】オリィ吉藤は、分身ロボット「OriHime」で誰もが社会参加できる世界を目指す(ICC KYOTO 2018)

ICC小林「話すスピード、スライドを展開するスピードも速いですよね。

よく練習のときに「ビジュアルで見せてピッチを早くしよう」と言います。

伝える内容が多いので、なるだけピッチを速くしよう。いまも『セドナに行った』などあったと思うのですが、ビジュアルで見せれば一言で伝わります。7分間で伝達するには、ビジュアルの力は非常に大きいです。

スライドを使ったプレゼンで重要なことは2つあります。

①写真を多用する、②映像を使って、いかにナレーションするか

映像に頼らず、自分の言葉でナレーションしていくのも大事です。

彼のビジネスは市場規模がそんなに大きくありません。みなさんピッチでよく、市場規模が大きいなどと言いますが、彼の場合は一切それが出てきません。自分の抱えている課題をみんなに伝えていくというのが自分の起業家としてのミッションになっていて、それをまさに伝えています。

するといろんな支持者が出てきたり、メディアに取り上げるられような存在になって、自社のビジネスポテンシャル以上のことができているのではないかと思います。

もともと恵まれた環境でビジネスをやっているわけではないのに、自分の努力によって伝えている。力を振り絞ってやると、結果自分に返ってくる。そんなプレゼンだったのではないかと思います」

オリィ吉藤さんプレゼンからの学び
・スライドを使ったプレゼンは、伝える内容が多いときこそ、ビジュアルを多用しよう
・市場規模にとらわれず、自分のミッションを正しく伝える努力をしよう

解説よりも固有のストーリーを伝える

田路さん「小林さんとは、ちょうど1年前に知り合って、最初に見せたプレゼン用のスライドは技術の説明を中心に構成していました。アドバイスいただいたのは、なぜそれをやりたいのかという思いをしっかり入れることです。

そこから最近すごく大切にしているのは、自分が伝えたいことよりも、みんなが聞きたいことをちゃんと話すということです。

ドローンに対してみんなが持っている印象や疑念を、僕なりに予測して最初に言い当てて聞く人の心を掴んでから展開する、ということに注力できたのが、ICCでのプレゼンでした。

その結果、人生が大きく変わったし、この1年で大きく飛躍できたきっかけにもなりました」

ICC小林「もともとのプレゼンは、ドローンとは何ぞやという解説や、中国でドローンはどうだとかいう内容が多かったですね。練習のときに、わりとみなさんに言うことのひとつに、『誰も一般論は聞きたくない』というのがあります。

解説よりも、あなたのストーリーを聞きたいのです。それを盛り込んだプレゼンをしたほうがいいのです。

前半で心掴まずして、後半はありません。後半にだいたい言いたいことが来るのですが、それを伝えるためには、いかに前半で心を掴むかが大事です。それではこのあと連戦連勝したという、田路さんの1年前のプレゼンを見てみましょう」

エアロネクストは、新発明の重心制御技術で“Drone2.0/次世代ドローン革命”を牽引する(ICC KYOTO 2018)【動画版】

ICC小林「もともとは冒頭のバルーンの映像はなく、ドローンの説明が代わりに入っていました。それもよかったのですが、そもそもなぜ独自の技術である4D GRAVITY®を考えだしたのかという話が面白くて。創業者がもともとは、タワーマンションを空撮で撮るエキスパートだったのです。

その話を出さずしてどうするということで考えたのが、このプレゼン映像の冒頭のストーリーです。すると創業者がどんなことをしていたのかがわかります。

そのメリットは、単に思いつきや市場分析で起業したのではなく、自分の仕事に向き合ってきたことから見つかった事業のアイデアだということがわかります。リアリティがあって、言葉の力が全然違ってきます。同じ事業であっても、これだけで言うことが変わってきます。

次に、コアな技術をいかに解説するかですが、新しいもの、特に動くものに対する説明をテキストで初めてはいけません。映像を見せてから解説したほうがわかりやすくなります」

田路さん「すごく覚えていることがあります。ベンチャーのプレゼンは、ユニークバリュー・プロポジションがどうとか、顧客がどうとかいうことを説明する、『型』があります。でもこのプレゼンは、まったくその型に沿っていません。

小林さんに聞いて思ったのは、そういう型は崩していいのだということ。それでいいんだと思えたことが大きかったです。崩して結果が出たことで自信を深めて、それ以降ずっとベンチャーの型通りでなく、視覚的インパクトを与える、映像中心のプレゼンでやりきって勝てています」

ICC小林「型に依存しているプレゼンはだめですね。自分の人生語らなくてどうするんだ、型の説明をしてどうするのだと、いつもプレゼン練習の最初のころは言います。

エッセンスは型に入っている部分もあるのですが、人生のストーリーを入れていくほうが良いのではないかと思います」

田路さん「型通りだと、次に出てくるものが予想できるので、企業によって違いますが、プレゼンに対して驚きは少なくなります。

型を崩したほうが、7分間集中して見てもらえると思いますし、最後まで後味を残せるようにストーリーを作るほうが大事かなと思います」

エアロネクスト田路さんプレゼンからの学び
・一般論は不要。自分独自のストーリーを語れ
・前半で心掴まずして後半はない
・型通りのプレゼンには驚きがない。思い切って崩すべし

動画再生回数55万、e-Education三輪さんのプレゼン

ICC小林「三輪さんには、プレゼンがもともと上手だったことから、出ませんか?と声をかけました。でも話がワンパターン! だから違うものにしようという提案をしました」

三輪さん「(笑)田路さんの話に重ねると、NPOにもプレゼンの型があって、すごくミクロな話をします。それが我々にとっては非常に大事だと言われていたのですが、同じく小林さんに言われて、一番変わったのが、逆に数字を増やしたことです。それですごく型から外れて、プレゼンが変わったと思います」

ICC小林「1社のプレゼンが12分間だった時代の映像ですが、見てみましょう」

大絶賛された感動のプレゼンテーション「e-Education」 (ICC FUKUOKA 2017 カタパルト・グランプリ)

ICC小林「三輪さんのプレゼンを解説すると、まず非常につかみがうまい。東進ハイスクールの林修先生の弟子だったというのがリアリティを生みます。自分はこういうところで学んだという創業のリアリティがあります。

前半パートは、林先生のような先生がバングラデシュにもいることを言い、たった一人の合格者から何百人へと増えていくというサクセスストーリーです。

中盤にも躍進のストーリーがあり、さまざまな受賞で駆け上がっていきます。ここまではきれいなストーリーです。

しかしテロ事件が起こり、教育の意味とは何だろうかという原点に帰ります。生き方とか教育だけではないところに入っていき、現在はそれを一生懸命やっている。就業支援にも力を入れるようになり、100人以上のバングラデシュの若者が、日本で就業するようになっていく。

原体験でもともとの事業が変わっていくときは、それに合わせてプレゼンも変えていかなければなりません」

三輪さん「パブリック・ナラティブ、またはコミュニティオーガナイジング(※)という言葉をご存知の方はいますか? ハーバード大学ケネディスクールの先生のマーシャル・ガンツ博士が提唱されているのですが、この3つのフレームについて、私はいつも確認しています。

引用:コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン

▶編集注:3つのフレームについても解説。
コミュニティ・オーガナイジングとは(Community Organizing JAPAN)

『ストーリー・オブ・セルフ』『ストーリー・オブ・ナウ』『ストーリー・オブ・アス』の3つなのですが、特に私は『ストーリー・オブ・アス』、共有する価値と経験についてよく確認をしています。

小林さんにお誘いいただいて、カタパルトに登壇するときに『何が共通言語になのだろうか』というところを考えました。

プレゼンの最後で、『バングラデシュに進出したい企業のみなさん、声をかけてください』と入れたのも、直前のギリギリまで『ストーリー・オブ・アス』を考えていたからです。何が私たちにとって共通言語なのか。何が私たちにとって大事な物語になりうるのかは、今もすごく意識をしています。

おそらく次のカタパルトで登壇される方がこの会場にも、たくさんいらっしゃると思います。(5〜6人の手が挙がる)

すでにプレゼンもだいぶ組み立てられていると思うのですが、最後に加えられる部分があるとしたら、何が私たちにとっていい物語なのか。それが一人でなくて、『私たち』になった瞬間に、プレゼンは価値のあるものだと言い切れます。

誰ととどんな物語を共有したいのかを最後に伝えられれば、誰かの心が動き、行動につながるプレゼンになるのではと思います」

▶三輪さんがプレゼンテーションについてまとめた記事。準備、スライド作成、本番など実践的な学びが多いので、ぜひご覧ください。
心を動かすプレゼンテーションをするために実践してきたこと(トジョウエンジン)

e-Education三輪さんプレゼンからの学び
・業界特有の「型」より、異質に思えるものがインパクトを生むことがある
・聴衆を巻き込める「私たちの大事な物語」を探せ

伝える情報量が少ないときのプレゼンはどうするか?

みやじ豚 宮治さん「三輪さんのプレゼンがすごすぎてびびっています。それと同時に、自分のプレゼンに詰め込む内容が少なすぎるのではと心配しています。少ない情報量でも伝わるスタイルを教えてください」

ICC小林「テレビCMのように、30秒で伝えるスタイルと同じです。

伝えたい情報、ストーリーを決めて、そこにあてはまるビジュアルを考えていくといいですね」

三輪さん「私のプレゼンは12分だったのですが、田路さんのは本当に7分なのか?と思える情報量の多さでしたね」

ICC小林「田路さんのプレゼンは際立ってうまいですよね。効果的にビジュアルが入っています」

三輪さん「私の場合は、言葉で伝えられない部分を写真や別の手段にしたりしていました。話し方にしても、言葉でうまく伝えられない部分を早口にしたりして、熱量が伝わったのではないかと思います」

ICC小林「言葉で伝えられることは逆に少なかったりしますよね」

田路さん「人は映像を見せられると、つい追ってしまうものです。そこにいいタイミングで言葉が乗ると、一番印象が作れると思います。

ベースはビジュアル、BGMっぽく言葉が乗るというイメージでしょうか」

ICC小林「『僕の豚肉はおいしい』と言葉で言ったところで、伝わる人、伝わらない人がいます。やはりじゅうじゅう焼いている、おいしそうに食べている、という絵がないと難しい。

自分のプロダクトの特徴をいかに伝えるか。言葉にしたときに、他の人はまったく意味がわからないことが多いのです。

『優れている』『ベネフィットがある』といわれても、そのベネフィットとは一体何なのか。それを具体的に明確に伝えなければいけません。BtoBならばそれがチャートになるかもしれません」

田路さん「説明が長くなるともったいないですよね。エアロネクストはモノがあるので、それを見せて強調して、言葉をシンプルにします」

この質問からのプレゼンの学び
・言葉で伝えられることは少ない。テキスト量が少ないことを恐れず、ビジュアルを効果的に使おう
・プロダクトの特徴を、できるだけ具体的に明確にせよ

伝えたいことが多すぎるとき、どう取捨選択するか?

住友生命 藤本さん「伝えたいことより、聞きたいことを伝えるのが大事とおっしゃっていましたが、伝えたいことがありすぎて、捨てるのが難しいときがあります。そういうときの整理のポイントは?」

田路さん「先程の自分の発言を補足すると、聞き手が聞きたいことを話すのは前半だけにしています。つかみのところですね。

このプレゼンの場合は、世の中的にドローンがいまいち盛り上がらないと思われている、という想定で始めました。そこそこ盛り上がっているふうだけど、産業的に盛り上がっていないというイメージがあると想定したのです。

そこでなぜドローンは来ていないのかというところを伝えてつかんで、ある一つの発明にたどり着いたと言います。そこから少し間があるのですが、4D GRAVITY®という我々の発明、一番重要な話をします。そして最後は伝えたいことを押しまくります。そういう観点で組み立てました」

三輪さん「プレゼンは、1割どころか数%しか頭に残らないと言われます。あえて1個だけでも、どれだけ重要かが伝われば、残り4つは放っておくぐらいでいいと思います」

ICC小林「僕に言ってくれれば、捨てるべきものは一発でわかりますよ! あとは、言う順番を入れ替えるだけでも変わりますね」

田路さん「僕は小林さんに入れ替えてもらいました!」

ICC小林「僕はその人のビジネスに対して素人じゃないですか。素人なりに理解しながらプレゼンをしようとしてみると、なぜここにこれがないんだということに気がつきます。

言いたいことには因果関係があります。これを言えば全部言えるとか、入れ替えると前置きが省略できて時間が短縮できるとか、いろいろあります」

三輪さん「そういうアドバイスを、小林さんに何度もしていただいています。さきほど田路さんと話して盛り上がったのですが、小林さんからアドバイスをもらうのが、プレゼンが上達する一番の方法ではないかと思います」

田路さん「本当に、小林さんのプレゼンの話をいつ聞けるかで、ベンチャーの成長が変わってきます。たしか去年の今頃、8月に小林さんにお会いしたのです。

じつはリアルテック・カタパルトの前に、深センで行われた国際ピッチ大会の日本予選に出て、そこで小林さんに教わったプレゼンで優勝して、中国進出につながっています。

あのタイミングでICCに出会っていなければ、それもありませんでした。本当にどのタイミングで出会うか、プレゼンストーリーのアドバイスをもらえるかによって変わってくるので、なるべく早く出会ったほうがいいと思います」

ICC小林「ターゲットが求めているものはこれだ、と言っても、皆さん結構ファジーだったりします。

僕はそれを具体的にフィードバックすることを得意としていて、話す順番、何から話すのか、なぜやっているのかを指摘できます」

この質問からのプレゼンの学び
・「相手が聞きたいこと」で聴衆の心を掴む
・話す順番を入れ替えるだけで印象、プレゼンのボリュームも変わる
・客観的な視点のフィードバックで、プレゼンの精度は上がる

セールスフォース・ドットコム冨田さん「プロダクトをプレゼンするにあたって、想いは当然あるのですが、感動するストーリーがあるわけでもなく、聞き手に対して利害関係のほうが大きい場合があります。そういう場合に、どうプレゼンすれば応援してもらえばいいのでしょうか」

三輪さん「バリューとエクスペリエンスを、プレゼンターと聞き手が共有できるもの、という軸で考えてみたらどうでしょうか。どちらが”私たちの物語”になるか、という軸で考えてみるわけです。これについてはインターネットで見られる文献で、先程のマーシャル・ガンツ先生が解説(※)されています。

Public-Narrative-Collective-Action-and-Power.pdf
PDFの10~14枚目のPublic Narrative: Story of Self—Story of Us—Story of Now の解説部分に詳しい

たとえばスタートアップではどんな状態で苦しいのかなど、ご自身が経験されたものがあるからこそ出せる経験で押すのもいいし、利害関係があっても価値のあるものならば、それで押せばいい。価値なのか経験なのか、それはプレゼンの方向性の判断軸として使えるのではないかと思います」

田路さん「まずはなぜご自身がなぜ、そのプロダクトを作る会社に入ろうと思ったのかというのを話されるといいのではないでしょうか。それ以上の説得力はないと思います」

この質問からのプレゼンの学び
・観客と共有できるものの軸として、価値と経験のいずれかを考える
・聞き手に利害関係のあるプロダクトでも、自分との結びつきを語れ

プレ・オープニングパーティも盛り上がりました!

プレゼン講座が終わったあとは、「ともに産業を創ろう!」で乾杯して、9月2日から開催されるICCサミットKYOTO 2019のプレ・オープニングパーティが始まりました。

まずは登壇が終わったばかりの三輪さんに、感想を聞きました。

三輪さん「プレゼンは、私自身も改善中、研鑽中なので、まだみなさんと議論したいことはありますね」

三輪さんのプレゼンといえば、緊張を見せない落ち着いた佇まいや、美声も心に残ります。声の準備ふくめ、練習はどんなふうに行い、準備をしているのでしょうか。

三輪さん「いえ、ずっと緊張しっぱなしですが、練習に勝るものはないと思っています。ですから、言葉が詰まっても、次に言いたいことがスラスラ出るように練習してから臨むようにしています。

当日朝のリハーサル前にも練習しますし、時間があるとき自分の動画を見て、音や言い方の癖をチェックするようにしています。

喉は起きてすぐに全開にならないので、マスクをして寝るのは当然なのですが、本番2時間3時間前には起きて、一番いい声が出るようにします」

次回、カタパルト登壇者たちの意気込み

熱心に聴講されていたスタートアップ・カタパルト登壇者の方々にも、感想をうかがってみました。

RevComm會田 武史さん「話すスピードが速かったとしても、動画、ビジュアルを交えれば伝わるというのと、エモーションの部分をしっかり伝えるということが学びでした。

プレゼンでは単純明快なロジックの部分と曖昧模糊としたエモーショナルな部分の両方が必要ですが、今のところエモさがないので、盛り込まないといけないなと思いました。資料に盛り込むというより、表情だったり伝え方かと思いますので、当日しっかりやろうと思います」

忙しい合間を縫って、毎朝、毎晩のように、ICCアーカイブやICCアカデミーに来ていただいている會田さん。プレゼンの練習はしているのですか?とうかがうと、

會田さん「優先順位的には、ピッチの優勝よりも、事業をしっかり作るほうが一番です。毎日、毎回違った相手に事業を説明しているので、毎日が本番の気分です」

勉強熱心で硬派な會田さんに、当日どんなエモさが加わるのか楽しみです。

会場内に、シルタスの小原 一樹さんを発見。学生時代のアルバイト先で一緒だった櫻内さんを、運営ボランティアスタッフの中に見つけて話し込んでいます。

小原さん「準備がすべてだというけれど、自分の今までの人生、一切練習をしないことをポリシーにしてきました。

1回しゃべったことのあることは、熱量が消えるというか、ライブ感がないと思ってしまうんです。だから、もちろん頭の中でイメージするけれど、今感じたことを全力でしゃべることがいいと思っています。

でも今日講座を聞いてしまうと、練習しろって言うし……まだ練習はしていないけど……。でも、今週は金曜日まで、違うピッチコンテストの本番を入れているので、練習というより本番!毎日忙しいな〜!」

独特の間合いでユーモラスに話してくださった小原さんですが、「絶対勝ちたい!もし負けたら……練習する!」と小原さんなりの闘志を見せてくれました。

参加者として期待していることは?

ICCサミットに参加いただく方にも、今回期待していることをうかがいました。オフィス開催のイベントに数多く起こしいただいている住友生命 新規ビジネス企画部長の藤本 宏樹さん。どのセッションを一番楽しみにしていますか?

藤本さん「全部期待しています! イノベーションのためには自分がジャンプしないといけないですが、そのための勇気や背中を押してくれることが、ここにはあると思います。

ジャンプをどうしたらできるのか、そのために何をしないといけないのかを、教えてくれるというより、感じさせてくれる。この人達の背中を見ろ、背中から語ることを学べ、という感じです。

自分とはまったく異業界からのほうが、学びは大きいと思っています」

全日程ご参加いただく予定ですが、ご多忙のなか3日間出席いただくのは大変ではないのでしょうか。

藤本さん「いや、むしろこっちのほうが大事です。ここでの経験は得難い。だからイベントにもこんなに来ているのです。

スタートアップの人たちと僕らが、どういうチャンスを作れるかが大切だと思っています。そうでないと大企業って、来るだけ迷惑じゃないですか。この人達にどれだけ貢献できるかが大事だと思っています。僕らは学ばせてもらっている感が強いです」

プレゼン講座に登壇してくださった田路さんにも感想をうかがいました。

田路さん「ピッチの型でいえば、実はシリコンバレーとか、海外のほうが型が強かったりします。フレームワークが強いんですよね。

ICCのカタパルトが、フレームワークを壊すのにチャレンジしているベンチャーピッチだと思っていて、それをきっかけに日本のベンチャーピッチが変わろうとしています。ICCの功績は大きいと思っています。

なぜ型にはまったプレゼンになるのかというと、もともとの目的が資金調達だからです。投資家はフレームワークでものを考えます。

でも投資家も変わってきていて、以前は事業内容より、儲かるか儲からないかだけだったのが、もっと深いところを理解するようになってきています。

プレゼンを事業内容にフォーカスを合わせ直したのが、ICCだと思います。IPO100億よりも、グローバルで通用できるビジネスとか、1,000億ユニコーンという話までレベルアップできたのは、ICCの功績が大きいです。

ICCサミットというイベントは何を変えたかというと、ピッチ自体を再発明したイベントだと思います。

理屈でも論理でもなく、気持ちが動くピッチの大会。

だから、あなたは、それをなぜ、というところをプレゼンしないと、つかみにすらならないし、みんながそれを期待しています。

『なぜ』が腹落ちしないと、次が来ないです。そして今は『何をやるか』でなく、『誰がやるか』になっています。完全に人にフォーカスがきています」

田路さんコメントからのプレゼンの学び
・あなたは、なぜ、それをやるのかを最大限に表現することで、人の心が動く

優勝経験者かつ第一線で活躍する人こそが言える、田路さんからこれから登壇する方たちへ、力強いメッセージをいただきました。

以上の内容は、ICCサミット KYOTO 2019開催前にお話しいただいた内容ですので、ご了承ください。

当日は7つのカタパルトで登壇者たちが、魂を込めたプレゼンを行いました。そのなかでも「スタートアップ・カタパルト」で、準優勝に輝いたガラパゴスの中平 健太さんが、登壇までの体験記を公開しています。こちらも学びの多い内容なので、ぜひご覧ください。

ICCスタートアップカタパルトで準優勝するためにやったこと(note)

各カタパルトの結果速報や登壇者の詳細については、以下の記事をご確認ください。以上、浅郷がお送りしました。

【速報】医療・ヘルスケア系が躍進!夜間往診サービス「ファストドクター」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2019)

【速報】“細胞エンジニアリング“で医療を変革、セルファイバがリアルテック・カタパルト優勝!!(ICC KYOTO 2019)

【速報】“美味しさ“と”知財“で世界を驚かす農業を!「日本農業」がカタパルト・グランプリ優勝!!(ICC KYOTO2019)

【速報】“KYUSHU”の魅力を農業資源×伝統技術で世界へ「一平ホールディングス」が第2回 CRAFTED カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2019)

【初開催!モビリティ&ロボティクス・カタパルト】登壇企業8社をご紹介!(ICC KYOTO 2019)

【初開催!アグリ&フード・カタパルト】登壇企業8社をご紹介!(ICC KYOTO 2019)

【初開催!メディカル&ヘルスケア・カタパルト】登壇企業8社をご紹介!(ICC KYOTO 2019)

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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