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7. COTEN深井の主張「今は人間の考え方が数十年に一度変わる時代」

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ICC KYOTO 2022のセッション「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン8)」、全8回の⑦は、引き続きCOTEN深井さん。⑥での技術革新が今の世界でどんな状態であるかを語ります。現代は「人生で複数のOS更新」がかかる時代とのこと、あなたはアップデートできていますか? ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
ICC KYOTO 2022
Session 2F
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン8)
Supported by リブ・コンサルティング

「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン8)」の配信済み記事一覧


コミュニケーション技術の変革で人間の思想も変わる

深井 さらに言うと、当然、社会が変われば人間の考え方も変わります。

スライドは、ルイ16世(1754~1793)の時代から考え方が変わって、フランス革命が起こって国民国家になったことを示しています。

コミュニケーション技術が変革すると、人間の基本的な思想も変わるということが、過去からの歴史をずっと追っていくと分かります。

スライドの右が、基本的な考え方が変わった瞬間で、真ん中が、それぞれの考え方がどれだけ続いたかです。

僕は今日、これを言いたかったのですが、考え方が変わる間隔が、どんどん短くなっているのです。

村上 めちゃくちゃ早く変わるようになっていますね。

深井 コミュニケーションの技術がどんどん発達すると、基本的な考え方が変わる間隔も短くなるということです。

上から4つ目の黒くなっているところが、先ほど触れた(前Part参照)、停滞した時期です。

一旦社会が破壊されてしまった、つまり、ゲルマン人や遊牧騎馬民族に漢帝国とローマ帝国が破壊されると、そこで停滞し、リセットされるので、間隔が長くなっています。

しかしそこから現代の世界に向かっては、どんどん短くなっていったのです。

中世では700年くらいかかっていましたが、直近では30年ほどで変化が起こっています。

つまり、この現象と、コミュニケーション技術の変革の間には関連性があるという主張をしています。

イーロン・マスクら起業家が世界を変える時代に

深井 そしてその発展は、どんどん加速していきます。

いつの時代も激動の時代でしたが、人間の基本的な考え方の更新が数十年に一度起こる時代に生きているのは、僕たちだけです。

そのOSの更新時期に重大な変化が起きますが、その変化とは、端的に言うと、公共性の高いサービスを担うプレイヤーが変わることです。

キリスト教会から諸侯に、ローマ帝国からゲルマン人に変わったのと同様、社会の考え方が変わった時に、誰が公共性の高いサービスを担うかが変わります。

コミュニケーション技術が変われば、社会の形が変わり、考え方が変わり、結果、公共性の高いサービスを担うプレイヤーが変わるということです。

そしてまさに今、それが起こっていると考えています。

今まで国民国家、つまり行政が行っていたサービスを、イーロン・マスクや起業家などが担うという現象が起こっており、これはコミュニケーション技術の変化と関連性があるという仮説を、僕は立てています。

また、企業が民主主義の領域にも侵食していると、僕は思っています。

TwitterなどのSNSを通じて、イーロン・マスクなどが、「こういうことをするぞ!」と発信し、それを行って世界が変わるということが、少しずつ起こっています。

本来、国が発信しそうなことをイーロン・マスクが発信し、国よりもイーロン・マスクに実行してほしいと考える人がTwitter上で賛同し、実際に彼が行って、世界が変わっています。

この現象は、中世においてキリスト教会からヘンリー8世に、またはルイ16世からフランスの国民国家政府に権力の中心が移行した時の流れと、高い類似性を持っていると思います。

公共サービスの担い手が変わる時は、新しい担い手への、民衆からの支持が必須ですが、それが現在、実際にSNSで起こっているということです。

国民国家が行うべきことを株式会社が担っていく

深井 そういった巻き取り(代わって引き取ること)が過去に何回も起こったのですが、今起こっていることは、僕には、国民国家が行うべきことを株式会社が巻き取っているように見えます。

そしてその最初のきっかけは、スマートフォンの登場により、個人個人がインターネットに接続されたことだと思います。

……伝わったかな(笑)?

村上 伝わっています!

深井 大丈夫かな(笑)?

村上 伝わっています、はい。

石川 これまでWell-beingを担保していたのは国でしたが、株式会社も取り組むということで、住友生命がスポンサーの、Well-being産業が今後どう興るかというテーマのセッション が、ちょうどこの後ありますね。

【一挙公開】Well-being産業の今後(全6回)

深井 キリスト教会の権威を使わずに国民を統治した、エリザベス1世のような感じですね。

村上 Web3も、そんな文脈で語られることが多いかと思います。

それから、Centralizedや、DAOによる独自コミュニティと独自通貨などですね。

▶参考:NFTで注目のDAO(ダオ)、Defi(ディファイ)って何? – マネーイズム (all-senmonka.jp)

税が持つ役割を、暗号資産やブロックチェーンが担うかもしれないというリバタリアン(自由至上主義者)的な発想も考えられます。

石川 日本の歴史でいえば、共同体の支配ではない形で、幕府が国民を統治するようになり、政府が生まれて…。

深井 明治政府ですね。

スライドにあるように、投票、税の徴収、公共サービスの提供という3つの機能を擬似的に巻き取っている企業が、おそらく次の時代にスーパーパワーを持つだろうというのが僕の仮説です。

投票というのはつまり、SNS上で支持を、倫理的に得られる状態を指しています。

税の代替というのは、例えばAmazonのようなプラットフォーム上で物を買おうとすると、自動的にお金が落ちるという仕組みを持っている状態です。

かつ、公共性の高いものを提供している状態。

これら3つが揃うと、スマートフォンの登場によって変化した現代社会の次の社会において、スーパープレイヤーになるのではないかと考えています。

石川 それが、幕府、政府に続き、「何府」になるのか、ということですね。

深井 そうですね、何になるのでしょうね。

村上 そこはやっぱり「府」なんだ(笑)。

石川 「府」ですよ。

村上 ここは京都府ですよ(笑)。

石川 京都「府」ですよね!

京都府と呼ばれるかもしれないですね(笑)。

村上 前シーズンでWeb3に触れましたが、Web3は今、ガバナンストークンやブロックチェーン、またはPlay to Earnのようなゲームに寄ったものを中心として、語られています。

ただ、この切り口で説明をするとなると、意外とやばいと思いました。

例えば、投票については、トークンを持っている人がコミュニティの意思決定をできるようになるかもしれないですし、税金については、ブロックチェーンのいわゆる「ガス代問題」は実質、税金だと思います。

今のWeb3を新たな視点から見られたという点で、すごく面白いと思いました。

ありがとうございます。

深井 ありがとうございます。

(続)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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