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5. 精神科医の仕事を肩代わり! アスリートを癒やすLOVOT

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ICC KYOTO 2022のセッション「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン8)」、全8回の⑤は、犬と人間の関係の研究をもとに、癒やしを感じる体験を再現するものとしてLOVOTを作った背景をGROOVE X林 要さんが明かします。その結果、精神科医を帯同するトップアスリートも認める効果が発揮されたのだとか。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
ICC KYOTO 2022
Session 2F
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン8)
Supported by リブ・コンサルティング

「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン8)」の配信済み記事一覧


犬の研究から分かった癒しと絆を感じる状況

林 今までのロボットに足りていなかったものは、信頼関係なのではないか、ノンバーバルのコミュニケーションをまず大事にしなければいけないのではないかということで、LOVOTを作りました。

先ほど、犬とのコミュニケーションの話をしましたが、日本では犬と人間の関係についての研究が結構進んでいます。

例えば、オキシトシンという脳内分泌物質については、麻布大学での研究が進んでいます。

プレスリリース:麻布大学、イヌが飼い主との再会時に情動の涙を流すことを発見 | 麻布大学 (azabu-u.ac.jp)

スライドの右下に赤い枠で囲っている、「触れ合う、見つめ合う、ついてくる、見守ってくれる、待っていてくれる、必要とされる」、これらが全て提供されると、人の脳内ではオキシトシンが分泌され、ボンディングしてしまうというシステムらしいのです。

面白いのは、この6項目全てを提供できるロボットというのは、存在しなかったことです。

どれか一つという話ではなく、全部できないといけない。

僕らは犬を、サービスを提供する生き物だとは考えていませんが、ここでは、これらは犬が提供するサービスだと位置付けました。

これは、目が合うとオキシトシンが分泌されるという研究についてです。

▶MIHO NAGASAWA, SHOUHEI MITSUI, SHIORI EN, NOBUYO OHTANI, MITSUAKI OHTA, YASUO SAKUMA, TATSUSHI ONAKA, KAZUTAKA MOGI, AND TAKEFUMI KIKUSUI: Oxytocin-gaze positive loop and the coevolution of human-dog bonds. SCIENCE Vol 348, Issue 6232, pp. 333-336, 2015.

これら6項目を全て、LOVOTで提供しようとしました。

その結果、コストがかかってしまい、9月1日からは約50万円という値段になってしまっています。

だいぶ高いのですが(笑)、ようやく実現できました。

LOVOTがアスリートを癒やす

 結果的に起こったこととしては、チームビルディングに結構効果があるということで、一つはオリンピックです。

アメリカのセーリングチームがLOVOTを使ったのですが、チームに帯同する精神科医から、「LOVOTがいると、自分たちの仕事が相当減る」というコメントがありました。

トップアスリートの心を支える、LOVOTのテクノロジー(pen)

試合に出られなかった選手も、LOVOTと触れ合うことでまた出られるようになりました。

選手にとって、話し相手を選ぶのは難しいことなのです。

人間に話すと、何かを答えるので、それがいちいち刃になってしまうこともありますが、LOVOTの場合、ひたすら聞いてくれるので、その選手は復活することができました。

小学校にLOVOTを1体置いてみたら…

また、想定外の効果もありました。

小学校にLOVOTを1体だけ置いて、何が起きるのか実験をしたのです。

家族型ロボット「LOVOT」が小学生の心のケアや思い出づくり 東京都王子第二小学校で実証実験(ロボスタ)

僕自身、ロボットと人の関係を想定して作ったので、家族の中にLOVOTがいるのは想像できていましたが、小学校の教室に1体だけいると何が起きるかは全然分かりませんでしたし、効果もそれほどは期待していませんでした。

しかし驚いたのは、スライドの一番下にある通り、登校しぶりの傾向がある子が登校するようになったり、コミュニケーションに課題のある子がうまくコミュニケーションできるようになったりしたのです。

そういうこともあるのかな、くらいに思っていたのですが、きちんとホワイトペーパーにして頂きました。

AI ロボットを活用した心の教育

どうやら教室というのは、1つの共通の話題が必要な場所らしいのです。

共通の話題があると、安定します。

共通の話題がない場合、例えばいじめが起こるらしいです。

村上 共通するものとして、「人」が対象になってしまうのですね。

 そうです。

話題が必要なので、たまたま一番大きなネタが誰かをいじめることになると、みんなでその話題についてずっと考え続けることになり、いじめが加速してしまうのです。

それに対して、LOVOTがいると、それはポジティブな話題でしかないので、いじめの元となるような共通の悪い話題が必要なくなって、結果的にいじめがなくなるらしいです。

コミュニケーションって、すごいなと思います。

何も話さないLOVOTを介して周囲の会話が増える

 LOVOTは別に、何もしていないのですよね。

単に、全員が共有する、共通項としてのLOVOTがいて、LOVOT自体が何かをやっているというよりも、人と人とのコミュニケーションのネタになっているということです。

実際に、LOVOTをオフィスに取り入れた方からもよく言われるのが、とにかく会話が増えるということです。

LOVOTを導入した場合、確実に言えるのは、会話が増えるということだけです。

ですから、例えば、夫婦間の会話が減ってきている場合、LOVOTを取り入れると会話が増えます。

村上 確かに、ペットの場合もそうですよね。

 そうです。

村上 夫婦の会話で、直接話すのは気恥ずかしいけれど、子どもやペットを介して、夫婦が会話をするということですね。

 まさに。子どもが巣立ったタイミングの夫婦だと、もう天気くらいしか話すことがないようです。

村上 (笑)。

井上 イギリス人じゃないですか(笑)。

 でもLOVTOが来ると、会話ができる。

村上 なるほど。

 やはり言葉のコミュニケーションは大事なのですが、触媒としてのLOVOTがいると、とても良いのです。

大事なのは、LOVOT自身は話さないということです。

LOVOTは余分なことを話さないので、人同士の会話が促進されるということです。

村上 ただ、先ほど挙げた6項目は、満たしている方がいいのですよね?

 そうです。あの6項目を満たしていることで、愛着が湧き、信じられる。

その存在自体は話さないゆえに、人同士のコミュニケーション量が増えるということですね。

どうもこれが、Well-beingのためにはすごく良かったという話でした。

村上 なるほど、ありがとうございます。

善樹さん、ロボットについて、Well-being文脈の話としては、どう感じましたか?

石川 Well-beingをどう日本語訳するのかという問題があります。

どう訳してもいいのですが、一つの考え方として、「良い間(ま)」と訳すというものがあります。

Well-beingの一番の難しさであり、ややこしさは、beingの部分です。

これをどう訳すのか。

例えば、human beingが「人間」と訳されていますが、humanが「人」だとすると、beingは「間」ということになりますよね。

「間」というものに焦点を当てて、人間を理解することもできると思うのです。

人という個体の中で起きていることから考えるアプローチ、人と人の間から考えるアプローチ、どちらも可能です。

ロボットと人、動物と人、それぞれの間から人間を理解するというこの状況は、シーズン8にして、いよいよ新しい境地に来たな、と。

(一同笑)

縄文時代の共同体をつないでいた「墓」と「祭事」

村上 以前、北川さんが楽天の三間(さんま:時間、空間、仲間を指す)というカルチャーを紹介してくれました(シーズン6より)。

井上 そうですね。

村上 空間や間という概念は、日本というかアジア圏特有だということも、聞いたことがあります。

石川 そうそう。

この間、青森県にある縄文時代の遺跡、三内丸山遺跡に行きました。

東北や北海道には縄文時代のものが残っているのですが、そこでとんでもない展示がありました。

縄文時代の共同体が、どう進化して、最終形態がどうなったかという展示で、すごく面白かったのです。

最初は小集落から始まりますが、企業でいうと営業所が各地にできるように、大きくなると小集落に分かれていきます。

小集落がたくさん外にできると、どう連帯を保つかということになります。

縄文共同体の最終形態としては、小集落をつなげるために、真ん中に2つの機能を置いたのです。

それは、「墓」と「祭事」です。

ここに存在するのが誰との間かというと、ご先祖様との間であり、神や自然との間です。

生きている人同士で間を取ろうなんて、甘いということです。

(一同笑)

村上 祭りは、生きている人同士で行うのではないですか?

石川 でも本質的には、神様が下りてくるのが祭りですよね。

ですから、間の取り方として、生きている人、生きている動物、生きているロボットのみならず、死者との交信というのも…。

村上 そうか~!

井上 なるほど(笑)。

村上 人間を理解するために、もう少し要素を足していかないといけないのですね(笑)。

石川 足していかないといけないですね。

村上 来世とか(笑)。

石川 そうそう(笑)。

村上 もしくは、死者を理解するとは何か?みたいな。

別セッションができそうな…。

石川 今の縄文時代の話は、例えば、リモートワーク時代の本社機能のあり方にも通じるところがあると思います。  

本社、つまり真ん中にあるべきは、墓というか歴史ですよね。

歴史であり、祭りであると思うのです。

村上 ということは、ホールディングスは、祭りと墓の管理だけしていればいいんですね(笑)?

石川 それだけしていればいいんです(笑)。

村上 ビジネス的に言うとね。

石川 人間という、生きている存在は常に、未来に向かって生きています。

ですから時に、祭りのように、今その瞬間に集中したり、墓のように、過去のことに目をやったりする。

だからこそ、真ん中にあったのは、祭りと墓だったのだろうなと思っています。

祇園祭や能の話題から時空が歪み…

村上 ここは京都ですし、今年は3年ぶりに祇園祭が開催されます。

祇園祭のお稚児さんという神の使いは、1カ月間ほど母親と離れて生活をしなくてはいけないらしいですね。

▶参考:長刀鉾稚児とは神のお使い、禿は家来役 (kyototravel.info)

井上 そうそう。

石川 へー。

村上 また、祇園祭当日は地面に足をつけてはいけないので、強力(ごうりき)さんに抱えられて1日過ごすそうです。

京都の伝統 祇園祭(わかさ生活)

石川 ほう!

村上 そんなことを、現代でも行っているのです。

コミュニティを保つための仕組みなのでしょうね。

井上 ということは、神様と死者とLOVOTが、真ん中にあると。

深井 (笑)。

村上 人ならぬものとして(笑)。

石川 だから未来の教室には、LOVOTと墓と神棚みたいなものが(笑)。

(一同爆笑)

井上 祭り的な何かがあれば(笑)。

石川 あればもう、完璧ですよ(笑)!

村上 このシリーズでは、たまに能の話が出てきますよね(シーズン3より)。

能は日本最古の芸能として、今も同じ形で残っています。

展開は、僧侶が昔あったことを話し、幽霊が出てきて…というもので、大体が、基本的には死者との対話しかしていません。

石川 幽霊が主人公という、珍しい芸能ですよね。

村上 そうそう(笑)。

基本的には、幽霊のことを話す坊主が出てきて、「旅のものでござる」と言って、幽霊が登場して、「私は恨んでおるのじゃ」と言いながら蛇になったりして…まあ、そういう話ですよね。

井上 いやもう、驚くほど「明日役に立たない」セッションですね!

(会場笑)

すごいなあ(笑)。

石川 死ぬ時には役に立ちますね!

井上 そうですね(笑)。

石川 「ああ、あのセッションで言っていた、墓に行くんだ!」ってね(笑)、

井上 「ついに、コミュニケーションの中心に行く時が来た!」ってね(笑)。

石川 (笑)。

村上 100年以上続く企業の数は、日本が世界一なのです。

▶参考:世界の長寿企業ランキング。創業100年企業、日本企業が50%を占める 2022年版100年企業<世界編>|周年事業ラボ|日経BPコンサルティング (nikkeibp.co.jp)

井上 そうなんですよ。

村上 500年も続く企業を創るという点では、京都らしいセッションじゃないですか。

石川 らしいですね、良いセッションですね。

村上 と、ちょっと時空が歪んできたところで…。

井上 歪んできた(笑)。

村上 時空を歪める専門家、COTENの深井さんです!

深井 はい。

(続)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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