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ICC KYOTO 2022のセッション「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン8)」、全8回の②は、リバネスの井上 浄さんが最新の研究結果を発表。働き方の変化で、オフィスをなくした企業が、Slackで行うコミュニケーションのデータを取ってみたとのこと。その結果わかってきたこととは? ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
ICC KYOTO 2022
Session 2F
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン8)
Supported by リブ・コンサルティング
▶「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン8)」の配信済み記事一覧
株式会社コルクの組織内コミュニケーションを研究
井上 実は前回のシーズン7では、非言語のコミュニケーションの話をさせて頂いたので、そちらもぜひ、書き起こし記事でご覧ください。
▶2.非対面より対面のコミュニケーションが、なぜ良いと感じられるのか
今回は組織内のコミュニケーションを可視化するということを、実際に行ってきました。
実際に行ってきたので、ぜひご紹介したいと思っています。
とある企業、みんな大好きコルクでの…。
村上 とある企業と言いますが、社名、出ていますよね(笑)。
井上 (笑)。
コルクでは、サディこと佐渡島 庸平さんが、「これからはみんなオンラインで仕事をするようになると思うよ、オフィスなくしちゃおう」と言って、本当にオフィスをなくしました。
コミュニケーションをどうとっていけばいいのか。
コロナ禍においても、オフィスがないという状態は、あまり想像できなかったですよね。
でも今、なくなって初めて、失ったもの、得たものを実感しています。
これは2年前の2020年にスタートした研究ですが、いきさつをご説明します。
サディが、リバネスに来て…。
村上 誰かと思えば、浄さんじゃないですか!
ちょっとかっこいいね(笑)。
井上 ちょっとね(笑)。
石川 佐渡島さんの後ろにいるのは、長谷川(寛、通称:ぴろし)さんですね。
井上 そうそう、さすが(笑)!
よくご存知で。
村上 なるほど(笑)。
井上 長谷川さんです、別にラーメン屋の話を聞きに来たわけではありません(笑)。
話を戻すと、オフィスを完全になくすということだったので、「研究しましょう」とご提案しました。
Slackを使って、コミュニケーションをどこまで可視化できるかについての研究です。
組織内コミュニケーションに関する共同研究を開始ということで、リリースも発表しました。
▶リバネスとコルク、slackデータを用いた組織内コミュニケーションに関する共同研究を開始 | リバネス (lne.st)
同期と非同期、それぞれのコミュニケーション
井上 Slackでのコミュニケーションは僕たちもずっと行っていますが、今、社内でSlackをよく活用しているという方はいらっしゃいますか?
(会場で手が挙がる)
そうですよね。
登壇者の皆さんはどうですか?
(深井さんと林さんが挙手)
使いまくっているんですね?
(2人が黙って頷いているので)いや、マイク使いましょうよ(笑)。
(一同笑)
Slack上でのコミュニケーションは、僕も最初はなかなか慣れませんでした。
後で少し触れますが、SNSも含めて、同期、非同期それぞれのコミュニケーションがありますよね。
同期と非同期というのは、例えば、同時に行うミーティングと、メールの違いですね。
昔は、同期と非同期のコミュニケーションは、分かれていたのです。
でもSNSが生まれて、同期か非同期か分からない、ごちゃっとしたコミュニケーションが生まれ、最初に起こるのは、こういうことです。
夜中、ある社員が「ぴろしさん、まだ働いている…」
村上 あー、ありますね。
井上 それで、スポポポッと、メッセージが来るわけですよ。
村上 あの音ね(笑)。
井上 (笑)そうなると、返さなきゃ!と思うので、もう少し仕事をしようという状況になり、結果、一番右のコマにある通り、体調を崩してしまって…となってしまう。
まさに、こういうことあるよね、という事例です。
2020年、まさにオンラインコミュニケーションが始まった頃から、家で働くと、プライベートと仕事の境目がなくなるという問題を抱えていた人がいると思います。
1日のコミュニケーション時間を可視化
井上 そこで、実態として、人がどう活動しているかについて、まず可視化をしました。
これが、1日のコミュニケーション時間を可視化したものです。
色が分かれていますが、対象の人ごとに色を変えています。
横軸は、左から右に向かって、0時から24時までの時間を示しています。
コミュニケーションは活動時間中に行われるので、当然、寝ている時間はコミュニケーション量が減りますが、例えば、緑の人は夜も起きてそうですよね(笑)。
(会場笑)
村上 4時とか5時でも、コミュニケーションしているのですね(笑)。
井上 そうですね。
会社の中でも、まずある特定のグループを対象にして可視化しました。
オフィスをきれいさっぱりなくした時、まず起こる問題は、体調を崩す人が出たり、自分自身の生活のバランスが崩れている人が多くなったりということです。
既に、このような問題にぶつかっている人もいるかもしれません。
これからどういう働き方があり得るかについて考えなければいけない時、まず、この可視化を行うと、現在の状況が非常によく分かります。
自分の活動量について、分かっているようで分かっていない。
可視化されたものを見て初めて、自分がこのタイミングで、こんなに活動していたのかと分かります。
そしてこれを見ながら、自分のリズムを設定しましょうという投げかけをするわけです。
活動する時間と活動しない時間、同期する時間と非同期でいる時間を、自分で設定してもらいました。
その結果、状況が良くなったことを示すグラフがこちらです。
グラフ内、薄い青色の線が、仕事量です。
2022年7月から評価系として使っているWevoxでは、ワークライフバランスの値が非常に低くなりました。
そこで、働く時間を自分でしっかり決めましょうという「コルクリズム」を2022年10月以降に導入しました。
結果、Slackのコミュニケーションから分かったのは、コルクリズムを導入することで、これだけワークライフバランスの値が改善したということです。
同期、非同期のコミュニケーション
井上 結論として言いたいのは、自分を客観視できているかという点について、データの威力はとても大きいということです。
電話や会議などで、口頭で話した内容は空中に消えていきますよね。
しかし今や、データ化し、さらに蓄積できるようになっていることを考えると、これからのコミュニケーションは、いかに蓄積する形を作るかが結構重要なのです。
オンライン会議でも、話したことが議事録としてデータ化されるようになってきていますよね。
そういうふうにデータをしっかり蓄積していけば、後で解析できるのです。
コルクの場合、コミュニケーションはSlack上もしくはZoomのどちらかで行っているということだったので、まずSlackのデータを蓄積し、同期・非同期コミュニケーションをしっかり使い分けるためにコルクリズムを導入すると、非常に良い結果が得られたということです。
コミュニケーションについても、会社に行って話すコミュニケーションは勿論ありますが、SNS上のやりとりのうち、非同期コミュニケーションのあり方を考えなければいけないと思っています。
もともと非同期で良いのに、既読なのに返事が来なかったら…。
村上 あの、既読を通知する機能が良くないと思うんですよね。
井上 (笑)。
村上 既読の通知がオフにできるプラットフォームでは、オフにしています。相手のためにも。
井上 そうですね、だからコミュニケーションのあり方として、同期で話したいことと非同期で話したいことは違うかもしれないです。
時間のある時に見てもらえばいいと思っている場合もあれば、記録として残す目的のコミュニケーションもあると思います。
そんな中で突然、Slackで同期コミュニケーションが始まるのです。
勿論、同期コミュニケーションで良いと思っている場合は、どんどんやりとりをして、その場で決められるので、すごく力を発揮します。
また、すごいなと思うのが、ある程度自分でコントロールしていかないと、コミュニケーションのあり方が変わってきてしまうということです。
一番重要なのは、自分を客観視することです。
そして、自分のリズムを決めて、同期、非同期のコミュニケーションをしっかり使い分けることができると、非常に心地良く、日常の仕事ができるのではないかと思います。
Slackで長文のメッセージが来たら、すぐ読みますか?
井上 もう1つ、分かったことがあります。
少し読みにくいですが、一番左のイラストでは、文章が長いですよね。
皆さん、Slackで長文のメッセージが来た時、どうしていますか?
無視する人?
(会場で手が挙がる)
ね(笑)。
僕もそのタイプなんですよ(笑)。後で読もうと思ってしまう。
多分、送り手は思いをこめた文章だし読んで返事が欲しいと思っているのでしょうが、受け手としては、同期コミュニケーションでパッパッとやりとりをしている最中に長文が来ると、「いやいや、これは、今は読めんぞ…」となりますよね。
そういう時、ありますよね?
この後話しますが、データから、コミュニケーションのハブになる人のことも分かってきました。
ハブになる人が、長文ではなく短文で、ターンテイクを増やすと、日常会話に近くなるのです。
「最近、あれどう?」「こうです」「あっちはどうなっている?」「こうです」「じゃあ、こっちは?」「じゃあこうしよう」という感じです。
3回クエスチョンマークが出てきていますが、3つのクエスチョンマークを一気に、長文の中に入れると、「うん、後にしようかな」となりますよね(笑)。
村上 何を聞かれているのか、分からなくなりますよね。
井上 そう(笑)。
このようにslackで同期していくには、ターンテイクを増やしていくことが重要です。
Slack上の文章が長いか短いかは、テキストで解析できちゃいます。
短い文で、やりとりが多い、つまり流量が多くなる傾向をどんどん作っていくと、スライドの一番右にあるように、「平均文字数が減ると、組織状態のスコアが上がる」のです。
コミュニケーションが円滑になるということですね。
この要素が、同期、非同期のコミュニケーションにおいて重要で、同期コミュニケーションでは、長文をやめることがとても重要だということが、データから分かったのです。
コミュニケーションのハブとなる人を可視化
井上 先ほども触れましたが、コミュ二ケーションのハブについてです。
これはヒートマップと言って、誰から誰にコミュニケーションが発生したかを示したグラフで、やりとりが多いほど、色が濃くなっています。
Slackの全メンバー間のやりとりのデータを解析して、このようなヒートマップを作ります。
このグラフの場合、コミュニケーションのハブになっていそうなのが…。
村上 この辺り?
井上 そう、その縦のラインとか、この横のラインです。
一番上の人が、色々な人と広くたくさん会話をしており、Slackのコミュニケーションのハブになる人が見えてきます。
後ほど予告を出しますが、このデータから“あの”解析もできるのではないかと思います。
このように研究が進んでいます。
僕は、このコミュニケーションハブになる方が、長文でメッセージを送るようなことをしていると、おそらく、組織内のコミュニケーションはうまくいっていないのではないかと思います。
(続)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸