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5. 「シンガポール」のカネ・子育て・ビジネスの現状

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ICC地域コミュニティを盛り上げる「ローカル・コネクテッド」から着想を得たICC FUKUOKA 2025のセッション「『グローバル・コネクテッド』(シーズン1) – ICCグローバル・コミュニティを盛り上げよう!(120分拡大版)」、全8回の⑤は、シンガポールを紹介するリブライトパートナーズ 蛯原 健さんが登場。 子どもの教育を理由とした移住者も多いシンガポールでのマネー事情やビジネスのメリットをリアルに解説します。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。


【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 2E
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か? (シーズン13)
Supported by EVeM

スピーカー&モデレーター

(スピーカー)

① サンパウロ(ブラジル)
中山 充 
B Venture Capital 
General Partner

② ロサンゼルス(US)
福山 太郎 
Rice Capital 
代表パートナー 

③ シンガポール
蛯原 健 
リブライトパートナーズ 
ファウンディング ゼネラルパートナー

④アフリカ
山田 陽介 
オンリーワントラベル 
CEO

(リングサイド席)

青木 優
MATCHA 
代表取締役社長

大槻 祐依 
FinT 
代表取締役社長

小林 嶺司 
HAKKI AFRICA 
代表取締役

盛田 連司 
ザリビー 
代表取締役

四方 健太郎
Spice Up Singapore Pte Ltd 
Managing Director

(モデレーター)

西井 敏恭
シンクロ 
代表取締役

「「グローバル・コネクテッド」(シーズン1) – ICCグローバル・コミュニティを盛り上げよう!(120分拡大版)」の配信済み記事一覧


西井 では蛯原さん、お願いします。

まずお金の話から、シンガポール在住 蛯原さん

蛯原 はい、天気が良くて治安も良いシンガポールについて、話します。

(一同笑)

最近はインドのことばかり話しているので、インドに住んでいるのねと言われることも多々ありますが、シンガポールに10年ほど住んでいます。

起業家、もしくはアジア進出検討中のスタートアップの方が多いと思うので、なぜシンガポールが良いか、良くないかについて、なるべく生々しい話をしようと思います。

まず、住む理由と働く理由ですが、皆さん、「正直、お金でしょ?」と思っているけれど話さないので、まずはお金のことから話します。

次に、意外と子育てや教育を理由に移住する人もめちゃくちゃ多いので、それについて話した後、最後に本題の仕事に触れます。

2010年当時60円台だった為替が110円台に

蛯原 まずお金については、為替が違います。

私が会社を設立したのは2012年で、その後に移住しましたが、シンガポールに通い始めたのは2010年ころです。

当時、60円台だった為替が、110円台になっています。

1.8倍ほどですよね。

これは日本円で収入を得ている方にとっては、強烈に効きますので、これを前提に話します。

家賃も、2010年を100とすると、1.7倍になっています。

コンドミニアムの更新は2年ごとですが、10%や20%上がるのは当たり前です。

1.7倍の値段をふっかけられたという人もいる状況で、めちゃくちゃ上がっています。

私の息子が通っているインターナショナルスクールの学費です。ウェブサイトに公表されています。

G11、日本でいうと小5で、1人あたり年間、約500万円です。

教材や遠足の費用も入れると、これの1.1~1.2倍くらいになりますね。

学費だけでこれだけかかりますが、塾に行く、家庭教師をつける、クラブ活動などもするとなると、さらに1.何倍になります。あとはご想像にお任せします。

私は2人子供がいるので、この費用×2ということですね。

その代わりということで皆さん、税金の低さに着目しますが、支出も半端ないので、よほど年収が高くない限り、マイナスになります。

税金のためにシンガポールに逃げている、と後ろ指を指されることがありますが、そんなことはなくて、めちゃくちゃ支出しているので、日本に住んだ方が経済的にはよっぽど楽です。

個人の所得税は上限24%なので、日本の半分くらいでしょうか。

24%は一番上の層なので、結構年収が高くても15%ほどだと思います。

会社の法人税は上限17%です。

仕組みがよくできていて、例えば、配偶者の洋服代も経費にするようなことはやってる人はいません。

法人税か個人の所得税のどちらかで、結局税金を取られて同じだからです。

また、キャピタルゲインが0%であることを取り上げられますが、長期保有であること、投資目的ではないことなど制限があり、その制限に引っかかると、税金の対象となります。

相続税はゼロですが、日本人の場合、相続する側とされる側の両方が10年以上日本を離れている場合に限り、ゼロになります。

いきなり、生々しい話をしましたが……。

西井 お金の話はあまりしてもらえないので、具体的で助かります。

めちゃくちゃ分かりやすいです。

シンガポールでの子育てと教育

蛯原 次に、子育てと教育についてですが、皆さん、日本ではヘルパーを使わないようですが、シンガポールでは当たり前に使います。

色々書いていますが、大まかに言って月10万円くらいです。

ダイバーシティ、英語を今回入れた理由は、シンガポールに住めば中国語ができるようになると言われているからです。

あれは嘘です、できるようになりません。

中国語は、死ぬ気で勉強をして、ようやく片言で話せるようになるかどうかというくらいです。

当たり前ですが、日本語を母国語にしている人は言語野がそれほど発達していないので、頑張ってもせいぜい英語くらいで、インド人やヨーロッパ人のように多言語を話せるようにはなりません。

日本からシンガポールに移住して中国語をマスターした子どもは、私の知る限り1人か2人です。

そのうちの1人は、ローカルの学校に通っていました。

ローカルの学校の学費はインターナショナルスクールの10分の1で、中国語で教育を受けます。

ローカルの学校に子どもを入れたという人は、その方を入れて2人くらいしか知りません。

そういう場合は子どもも中国語ができるようになりますが、多くの場合は頑張って英語だけです。

英語すら片言レベルの人も多いので、それなりに努力しなければ習得はできません。

やはり一番大きいのはダイバーシティですね。

ICCに参加する方の中には、子どもを日本のインターナショナルスクールに通わせている方も多いと思いますが、日本人が多く、外国人もアジア人が多いと思います。

シンガポールの場合はいろいろな国から来ているので、より多様な環境です。

最後に書いたボーディングとは、子どもをシンガポールから、アメリカ、イギリス、スイスに行かせることで、そういう人が最近増えています。

私も子どものボーディングのため、先々週ロンドンに行ってきました。

シンガポールを経てから、さらに他の国で教育を受けさせる人も多いということです。

シンガポールでビジネスをしやすい理由

蛯原 最後に本題、仕事についてです。

ここからは、今まで話したことも全てひっくるめて、やはりシンガポールが良いので、シンガポールを拠点に起業をしたり、アジアビジネスの開発をしたりしたい、という方向けの話です。

仕事面でシンガポールが良い理由は、この4つだと私は思います。

まず、地理的に広域ハブであること。

そして、金融ハブであること。

それから、ハイテク都市であること。

最後に、日本企業との連携という意味では、オープンイノベーション都市であることです。

私の友人のシンガポールに住んでいる日本人のうち、ほとんどは1年の半分をシンガポールにいるかいないかです。

広域ハブなので、周辺の東南アジア諸国やインドに行っており、シンガポールではなかなか会えません。

ちなみに、スライドの右下にある通り、シンガポールは小さすぎて地図だと見えないので、半分ジョークで、レッドドットと表現することがありますが、私は、東南アジアのデラウェア州と呼んでいます。

例えば私は今、ベトナムの会社との取引を進めていますが、その会社も、登記はシンガポールです。

アメリカでのデラウェア州登記(※)のような位置付けですね。

▶編集注:1900年代初頭から独自の会社法と裁判制度により、法人の設立に最適な州として知られ、アメリカ上場企業の50%、フォーチュン500企業の64%、会社数で100万社に及ぶ企業が設立準拠地ないし本社を置く。

あと、シンガポールは金融ハブだからです。

しかし一方で、東南アジアの最大市場はインドネシアです。

アーリーステージのスタートアップの皆さんに聞かれると、インドネシア一択だと答えます。

東南アジアという国はなく、各国はバラバラなので、TAMが大きく、東南アジアのGDPの3分の1を占めるインドネシア一択ですね。

次に、フライト数が多い、かつ、直通の乗り入れ国が多いという点は、私のように1年の半分以上は飛行機移動する人にとっては圧倒的なメリットだと思っています。

福岡はすごく良いところだと思いますが、市長に昨日、福岡から直通便で行ける国はどこか聞いたところ、3、4か国しかなかったので、それだとお話にならないので是非増やしてほしいと伝えました。

シンガポールからは、大抵の国に直通便がありますし、イギリスのロンドンへのフライトは1日4便あります。

また、市街から空港まで近く、タクシーだと25分前後で行けます。

私の場合、飛行機を降りて家のリビングまで23分でした。

シンガポールは、在住者の場合、入国も出国もパスポートの提出が不要で顔認証になりました。

ただ、うっかりパスポートを忘れると、行った先の国に入れないので気をつけてください(笑)。

(会場笑)

フライト時間も魅力です。

私はシンガポールをベースに、インドと日本の間でほぼ毎月反復横跳びをしている感じですが、それぞれ6時間くらいですね。

バンガロール(現ベンガルール)だと、シンガポールから3時間半ほどです。

日本から9時間半かけて行くのは、この歳になると辛いので、インドと日本の中間地点に住むのがちょうど良いです。

あと、時差が大事です。

今はほとんどコールで済ますと思いますが、我々はAIではないので、コールをするにも時差があるわけです。

毎日、早朝や、家族と食卓を囲みたい晩御飯時にコールが入るのは辛いですよね。

アジアで事業開発をする時にシンガポールを拠点にする最大の理由は、時差だと思っています。

シンガポールとインドの時差は2.5時間で、シンガポールと日本の時差は1時間なので、日本とインドの時差が3.5時間で、それだと楽勝です。

人によっては、3.5時間だと時差ボケを感じるかもしれないようです。

時差を理由に住むべきなのは、シンガポールとハワイだと私は思っています。

アメリカとの仕事が多い人にとっては、シンガポールはあまり良くないですが、ハワイだと、アメリカと日本を何とかカバーできると思います。

私の場合、その意味でアメリカは捨てていますが、イギリスはカバー可能です。

西井 シンガポールとロンドンの時差はどれくらいですか?

蛯原 7時間です。

(続)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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