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3.ウェルスナビ柴山が考える「freee」のメガ・ベンチャー化計画

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「メガ・ベンチャーを創るための経営とは何か?」7回シリーズ(その3)は、ウェルスナビ柴山さんが、freeeをメガ・ベンチャーにするには今がチャンスだと言います。その理由とは? 上場後の投資について、ユーグレナ永田さんも自社の例を語ります。ぜひご覧ください。

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)の募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCサミット KYOTO 2017
Session 4A
メガ・ベンチャーを創るための経営とは何か?
Supported by 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

(スピーカー)
佐々木 大輔
freee株式会社
代表取締役CEO

柴山 和久
ウェルスナビ株式会社
代表取締役CEO

永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当

松本 恭攝
ラクスル株式会社
代表取締役社長CEO

(モデレーター)
田中 良和
グリー株式会社
代表取締役会長兼社長

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最初の記事
1.NEXTメガ・ベンチャーとして注目高まる企業のトップが一挙集結!

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2.ラクスル松本が考える「ウェルスナビ」のメガ・ベンチャー化計画

本編


田中 では次は柴山さん、担当企業のfreeeについて、お願いします。

▶編集注:本セッションでは「他人(自分以外の登壇者)の会社をメガ・ベンチャーにするならこうだ」というテーマで、登壇者が互いの会社のメガ・ベンチャー化戦略をプレゼンしています)

ウェルスナビ柴山が「freee」をメガ・ベンチャーにするなら

柴山 私はクラウド会計のfreeeさんを担当します、よろしくお願いします。

まず今すごくいいチャンスではないかと思っていまして、クラウド会計を出している大手の競合の会社が3社ぐらいあると思います。

1社は上場済みで、もう1社は未だ上場していないと思いますが、上場されるじゃないですか。

▶編集注:当セッションの3週間後、クラウド会計ソフト「MFクラウドシリーズ」を展開する株式会社マネーフォワードが東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場しました。

そうするとおそらく私が佐々木さんだったら、ここは一気に広告宣伝費を投下するチャンスかと思います。

当然上場すると予実管理(予算実績管理)が厳しくなって、いろいろな制約がかかります。

その制約がかかってでも上場するというのは1つの経営判断です。

逆に未上場であり続けるならば、上場企業としての制約がないなかで、どれだけ自由にアクセルを踏み込めるのかを試す絶好の機会なのではないかなと思います。

つまり競合関係を考えた時に競合の制約条件が明確に見えているわけですから、戦略を組みやすくなってくるタイミングなのかなと思っています。

ウェルスナビ株式会社 代表取締役CEO 柴山 和久氏

ユニットエコノミクスは、freeeさんのなかでも相当計算されて、いろいろな施策を打たれていると思います。

相手方がついてこられなくなる可能性もあるという前提で、これまでとはどういうふうに選択が変わるのかというのを、私だったら社内で試算し、最終的には経営判断をします。

場合によってはもう一度資金調達をしていくことも考えるかなと思っています。

あとはプロダクト面で言うと、もう少しオープンにされても良いのではないかなと思います。

これは私の印象なので間違っているかもしれないのですが、なんとなく自前主義で作っていらっしゃるのではないかという印象を受けています。

ウェルスナビでもfreeeさんを金融機関の基幹会計システムとして採用させていただいていますが、労務システムやクラウド会計システム、給与計算等いろいろなバックオフィスのソフトウェアが(他社にも)あります。

一人のユーザーとしては個別にいいものを選びたいので、全部をfreeeさんにしようという必然性を正直あまり感じない。

どちらかと言うとオープンになって、いろいろな良いサービスを使って、最終的にはクラウド会計がfreeeさんのところで一元化されていくという、オープンなプラットフォーム作りを思考してもいいのかなと思っています。

最後に連携戦略として、これはできるかどうかわからないのですが、私だったら国とか金融機関ともっとつなげたいと思っています。

というのも、確定申告とか本当は必要ないのではないかと思うわけです。

たとえば私たち(ウェルスナビ)でしたら、クラウド会計のfreeeさんに全部情報があるのに、なんで税務署にもう一回申告しないといけないのか。

どちらかというと、クラウド会計さんのIDとパスワードを税務署に渡して全部見てくださいとお願いしたいくらいです。

青色申告というのがありますけど、その上のゴールド申告みたいなものを作ってもらって、そうしたら税務調査とかをしなくても全部見られるようにする。

それぐらいガラス張りにやっていく経営スタイルもありなのではないかと思っていまして、当然政府もそういう方向を目指すべきだと思います。

そういう意味でのインフラ作りをしていただくと、企業経営をしていくなかで一番困るペインポイントを取り除けます。

まさに佐々木さんがおっしゃっていた社会の在り方自体が変わっていくことが、より早く実現するのではないかと思っています。

と、言いたい放題言ってしまいました。

株式上場すると投資に踏み込めなくなるのか?

佐々木 ありがとうございます。

一点目の今がチャンスではないか、投資をもっと踏み込めというところは、いろいろ試算してというお話があったんですが、柴山さんだったらどんな試算をしてどういう意思決定をしたいなと思いますか?

写真左から、freee株式会社 代表取締役CEO 佐々木 大輔氏、ウェルスナビ 柴山氏

柴山 やはりユニットエコノミクスが回るかどうかだと思います。

回ったとしても、自分たちが広告を打つと他社さんも広告を打つので、だんだん上がっていくわけですよね。

そうするとCPR(※)が上がっていくので、LTV(※)の回収期間が延びていって、本当に事業として成立するのかということになると思います。

▶編集注:CPR(Cost Per Response/Return)は、見込み顧客からの1件のレスポンス(問合せや資料請求等)にかかった広告宣伝費のこと。LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、1人の顧客が取引期間に企業等にもたらす利益(価値)のこと。

もしも、自分たちが踏み込んでも相手方が一定以上踏み込めないということが成り立つとすると、その計算の前提が変わるはずなんですよね。

そうすると今までできなかったことが、できてくるのではないかなと思っています。

佐々木 なるほど。

やはり上場すると踏み込めないものなんですかね?

一般的に意見を聞いてみたいなと思いまして。

柴山 それは上場した永田さんに聞いてみてもいいですか?

永田 (ユーグレナ社は)踏み込みまくりです。

株式会社ユーグレナ 取締役 財務・経営戦略担当 永田 暁彦氏

踏み込んで株価が下がらなかったら、応援されているってことですよね?

「短期収益は関係ない」と宣言するのが一番だと思っています。

赤字で上場する会社もありますが、IPOできる条件が揃っていることは必須だと思います。

IPOした後の説明責任は、短期で語るか長期で語るのか、戦略で語るのかそれぞれあります。

でも、間違いなく投資をし続けても支持されている会社があるので、エクスキューズはないと思います。

投資をしたほうがいいと思わせるIRをやるのが、全ての解なのではないかなと僕は考えています。

柴山 そうすると、そこも相手のIR戦略次第ということですので、より複雑な方程式になってきます。

佐々木 なるほど。

おっしゃるとおり、僕たちはあえて未上場の期間を長く取って、しっかり事業投資しようというふうに思っている会社です。

そこは柴山さんに言っていただいた形で、ある意味僕たちのビジネスにとってチャンスだなと捉えています。

API連携のマーケティング、政府との連携

freee株式会社 代表取締役CEO 佐々木 大輔氏

佐々木 二つ目の、もう少しオープンな思想でやったらどうかという点について、実はこれは僕たちも反省しています。

どういう意味かと言うと、僕たちは唯一会計ソフトとしてAPI(Application Programming Interface)を公開していて、かなりオープンな思想でやってきました。

ただ、そこの部分のマーケティングを全然やってきませんでした。

今すごく反省していて、しっかりやっていきたいと考えています。

あとは会計ソフトだけではなくて、人事労務ソフトと合わせてERP(Enterprise Resources Planning:基幹系情報システム)という形でやっていくので、ERPとしてのオープンなAPIの在り方とは何なんだというのを、これからどんどん投資をしていきたいと思っているところです。

▶参考:「クラウド会計ソフト freee」が米「Slack」とAPI連携 同社とのAPI連携は日本の会計業界では初の事例(freee)
freeeがLINE、三菱UFJ銀行らから約65億円の追加増資  累積資金調達が161億円に  スモールビジネスを強く育てる「プラットフォーム」への進化を目指す(freee)

ありがとうございます。非常にいいポイントを頂いたなと思いました。

田中 続いて佐々木さんから、ユーグレナさんにどうぞ。

佐々木 はい、僕の担当はユーグレナさんです。

(続)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/浅郷 浩子/尾形 佳靖

【編集部コメント】

フリーランス時代、役所関係の面倒で煩雑な手続きを一気通貫で解決してほしいと何度思ったことか。柴山さんのおっしゃる連携戦略のところ、まさにその通り!と思いました。(浅郷)

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