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「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン5 )」全8回シリーズの(その1)は、リバネス井上浄さんによるプレゼンテーションからスタートです。人間の行動をドライブする「ワクワク感」をテーマに人間の理解に迫ります。“ワクワク”の意外な語源にも注目です。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 ダイヤモンド・スポンサーのノバセル にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICCサミット FUKUOKA 2021
Session 2C
大人の教養シリーズ
人間を理解するとは何か?(シーズン5)
Supported by ノバセル
(スピーカー)
石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事
井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO
北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員CDO(チーフデータオフィサー)グローバルデータ統括部 ディレクター
福田 真嗣
株式会社メタジェン
代表取締役社長CEO
(モデレーター)
深井 龍之介
株式会社COTEN
代表取締役
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▶「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン5)」の配信済み記事一覧
本編
深井 龍之介さん(以下、深井) 「人間を理解するとは何か?」というテーマで5回目というのが、すごいですね。
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深井 龍之介
株式会社COTEN
代表取締役
新卒で入社した大手電機メーカーの経営企画を2年で退社し独立。新規事業立上コンサルタントとして3年働く。その後福岡でベンチャー企業取締役を2社経験し、株式会社COTENを起業。現在も複数社のスタートアップ・ベンチャー起業の取締役を兼任しながらCOTENの代表を務める。人文学・歴史・社会科学が大好き。3,500年分の世界史情報を体系的に整理し、200~300冊の本を読んで初めてわかるような社会や人間の傾向やパターンを、誰もが抽出できるように世界史の一大データベースを作成するプロジェクトを進行中。また会社の広報活動としてPodcastで「歴史を面白く学ぶCOTEN RADIO」を放送中で2018年末から開始し、2019年にはJapan Podcast Awards大賞とSpotify賞をダブル受賞。Apple Podcast総合ランキング過去最高1位を獲得。
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石川 善樹さん(以下、石川) 4回もやったのにまだ人間を理解できていないということは、面子に問題があるのかもしれません(笑)。
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石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事
予防医学研究者、博士(医学)。1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。公益財団法人Wellbeing for Planet Earth代表理事。「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念工学など。近著は、『フルライフ』(NewsPicks Publishing)、『考え続ける力』(ちくま新書)など。
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(壇上笑)
▶編集注:過去4回の「人間を理解するとは何か?」は以下よりご覧いただけます。
井上 浄さん(以下、井上) 僕らはまだ人間を理解できていない。
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井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO
大学院在学中に理工系大学生・大学院生のみでリバネスを設立。博士課程を修了後、北里大学理学部助教および講師、京都大学大学院医学研究科助教を経て、2015年より慶應義塾大学特任准教授(現任)、2018年より熊本大学薬学部先端薬学教授(現任)、慶應義塾大学薬学部客員教授(現任)に就任・兼務。研究開発を行いながら、大学・研究機関との共同研究事業の立ち上げや研究所設立の支援等に携わる研究者。多くのベンチャー企業の立ち上げにも携わり顧問を務める。株式会社ヒューマノーム研究所取締役、経済産業省「未来の教室」とEdTech研究会委員、NEDO技術委員、株式会社メタジェン技術顧問、株式会社サイディン技術顧問、等兼務。
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深井 深淵なるテーマですからね。
皆さんが今日のために用意した資料を見せていただきましたが、今回も色々な切り口でボリューム盛りだくさんです。
井上 回を重ねるごとにボリュームが増えていく(笑)。
深井 では早速、始めましょう!今回は、浄さんのスライドからです。
井上 はい、僕から投げ込みをさせていただきます。
人間を理解するには「ワクワク」を理解せよ!?
井上 僕は講演などもしていますが、「飛び込め!!」というメッセージを発するものが多いです。
このスライドは自分の過去の講演からピックアップしたものですが、よくよく考えて反省しました。
というのも、容易に「飛び込め!!」だなんて危ないですよね。
でも、人間が何かに飛び込む時のモチベーションを考えたとき、今日の僕のテーマ「ワクワクとは何か」が浮かんできました。
石川 出た、ワクワク。
▶編集注:井上浄さんは、2年前のICCサミット FUKUOKA 2019から“ワクワク”について言及されています。
2年で“チャラ&リアル”結成! 最終日のお楽しみ、シーズン2の「雑談」セッションでワクワク!【ICC FUKUOKA 2019レポート#12】
井上 ここに踏み込むしかないだろう、と!
北川 拓也さん(以下、北川) 我々はワクワクしすぎて、ワクワクが何かをあまり理解していないですからね(笑)。
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北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員CDO(チーフデータオフィサー)グローバルデータ統括部 ディレクター
ハーバード大学で数学と物理学を専攻し、同大学院物理学科博士課程を修了。物性物理の理論物理学者として、『Science』、『Nature Physics』、『Physical Review Letters』などの学術雑誌へ20本以上の論文を出版。その後、楽天でデータサイエンスの組織を立ち上げ、現在は、CDO(チーフデータオフィサー)としてグループ全体のAI・データ戦略の構築と実行を担い、日本だけでなく、アメリカやインド、フランス、シンガポールを含む海外拠点の組織も統括。データに関しては、収集から管理、データサイエンスに関連したプロダクト開発、コンサルティング、プロダクトのセールスまで、あらゆる価値の創造に貢献している。現在、消費者及び人間行動の理解を目指して科学的なアプローチを加速化させること、さらに、消費者のより深い理解を基にした新たなビジネスの創造に注力している。楽天データマーケティング株式会社では2017年より取締役を兼任。データ基盤作りや科学的な理解に基づく顧客体験の提供、広告事業の立ち上げ、データによるビジネスイノベーションなどを推進している。
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井上 ワクワクしている人は、ワクワクが何かをあまり考えません。
「飛び込め」というのは危ないし、ちょっと言いすぎたと反省したので、今回は研究データも併せて、「ワクワクとは何か」についてお話しします。
今までのセッションでは、「みんなちがって、みんないい。だって人間だもの」という、出たのか出ていないのか分からないような結論になっていました。
▶「みんなちがって、みんないい」を科学する〜湯野浜ヒューマノームの事例( ICC KYOTO 2019)
そこで今回は、ワクワクを掘り下げていきたいと思います。
「ワクワク」の定義と意外な語源
井上 広辞苑によれば、ワクワクとは「期待・喜びなどで心がはずみ、興奮気味で落ち着かないさま」とあります。
そしてさらに調べていくと、何とWikipediaに「ワクワク島」というものがあるという記述がありました。
北川 『ワンピース』に出てきそうですね(笑)。
井上 このページによると、地図の左端に「ワークワーク」と書かれていて、ワクワクの語源は「倭国(日本の古名)」に由来する説がある、ということなんです。
石川 「倭国倭国(わこくわこく)」が、「ワクワク」になったということですね。
写真左から、Well-being for Planet Earth 石川さん、リバネス井上さん
北川 つまり日本は、ワクワクの国ということですか?
井上 そうかも。歴史書には「黄金に富み、犬の鎖や猿の首輪や衣服まで、黄金でてきている」と書かれていて……。
石川 黄金の国ですね。
井上 そう、まさにジパングですよ!
このように、ワクワクは日本が原点ではないかと思わせる、色々な説があります。
また、このワクワク島には「ワクワクの木」があって…。
北川 やっぱり『ワンピース』の世界じゃないですか(笑)。
井上 そのワクワクの木には、人間の形をした実がなる。そしてその実が熟すると「ワークワーク」と啼くとされています。
本当かどうかは分かりませんが、そんな木がワクワク島にあって、そこには黄金があると言われています。
ワクワク感こそが、人間を突き動かす動力源
井上 次に語源由来辞典というもので調べてみると、「ワクワクは、水などが地中から出て来るさまや、物事が急に現れるさまを意味する『湧く(わく)』から生まれた言葉と考えられる」とあります。
北川 こっちの方が分かりやすいですね。
井上 つまりワクワクとは、興味が湧くなどの感情が生じる様子を表した言葉ではないか、ということです。
なるほどと感じると思いますが、僕には1つ、この説明の中で見逃せないポイントがあります。
それは「心の中から外へ激しく現れる感情」という部分です。
確かに僕たちは、それが何かをよく考えないままに“内側から出てくる何か”に突き動かされて行動を起こしています。
ですからワクワク感というのは、動力源なのではないかと。
水や火、熱と同じ部類です。人間が動く機械だとしたら、その動力源がワクワクなのではないかと僕は思うのです。
北川 なるほど。
石川 人はお金で動いていると思っていましたが、違うんですか(笑)?
井上 違います(笑)、中から動いているんです!
大人のワクワク感は「しめしめワクワク」?
井上 そしてこうなると我々は早速、ワクワクを解析するために研究を始めるわけです。
実はワクワクについて調べるため、3年前から社会心理学者と一緒にアンケート集計などを実施してきました。研究対象は高校生です。
高校生は、子どもから大人になっていく段階です。
子どもの方が、たくさんのワクワクを持っている気がしますよね。
今日この場に参加されている方々は、「まるで、少年少女のようだ」と言われたことがありませんか?
福田 真嗣さん(以下、福田) 浄さんは、よく言われますよね(笑)。
井上 子どもより子どもだと言われます(笑)。
北川 僕は先日、山を登っていて、パキスタン人に「何歳? 高校生?」と聞かれました。
実際、そう見えるみたいですね。
井上 それはキャッキャしているからでしょ?
北川 そうそう(笑)。
井上 でも一般的には、大人になるとワクワクがなくなるらしいのです。
今日は話せませんが、大人になると違うワクワクが生まれます。
先日パーソル研究所の井上(亮太郎)さんと話していたのですが、大人になってから出てくるワクワクは「しめしめワクワク」だという話になりました。
「これは儲かるかもしれんな、しめしめ」というワクワクです。
北川 悪そう(笑)。
石川 やっぱり、お金の話ね。
井上 そうそう(笑)。
北川 でもお金って、外から来るものですよね?
井上 そう、「しめしめワクワク」はワクワクの亜種なんです。
でも、ICCサミットに参加されている方々は少年少女のようなピュアなワクワクを持たれている。
それこそが、皆さんの動力源だと思っています。
北川 以前あった、「青春と白秋」の話ですね。
▶人間の理解における「FACTFULNESS」とは? 変わりゆく“常識”をアップデートせよ(ICC FUKUOKA 2019)
井上 そう、まさにそれにつながってくるのです!
少年少女の持つワクワクは折れにくいですが、しめしめワクワクは簡単に折れてしまいます。
このしめしめワクワクについては、また別の機会にお話ししたいと思います。
(続)
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続きは 2. ビジョン・ミッションより「謎」を掲げよ をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸
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