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4. 日本人は「弱い刺激を好む」文化圏。20世紀はなぜアメリカの時代だったのか

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ICC KYOTO 2022のセッション「Well-being産業の今後」、全6回の④は、Well-being研究の概観について、石川 善樹さんがレクチャー。それによると、 世界をざっくりと4つの文化圏に分類したとき、アメリカ・北欧・日本・中東に分けられるといいます。アメリカに始まった20世紀、現在は北欧を経て日本に向かっている時代なのだとか。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2022 プレミアム・スポンサーの住友生命保険にサポート頂きました。

「Well-being産業の今後」の配信済み記事一覧


Well-being研究の歴史をざっと概観

石川 せっかくなので、Well-being研究の概観についてお話ししましょうか。

 僕と石川さんが話すと、研究の話っぽくなるのが良くないですよね。

石川 でもまあ、しょうがないですよね(笑)。

 ICCだから、Co-Creationしなければいけないんだけど、大丈夫かな?

(スライドを見て)「ざっと概観」(笑)。

石川 「ざっと概観」です。Well-being研究の歴史は超長いので…。

 知りたいです!

石川 第1世代は、僕は持論の時代と呼んでいますが、哲学者や宗教者、文化人が色々「Well-beingとは何か」と言っていた時代です。

持論とはいえ、数千年の蓄積があるので、何を以って良いとするのかについて、文化的、歴史的に影響を受けてしまっているのです。

第2世代が、データから考える帰納の時代です。

「Well-beingとは何か」という問いは諦めて、誰がWell-beingなのか、Well-beingだという自己申告する人たちは誰なのかという問いになったのです。

 なるほど。

石川 「誰が」Well-beingなのか、つまり、Well-beingである人とそうではない人の違いですね。

そして、「いつ」Well-beingなのかです。

 どんな時に、ですね。

石川 そうです。

これが第2世代で、20世紀以降のことです。

大胆に世界を4つの文化圏に分類したら

石川 今からお見せするのは、第1世代、持論の時代の影響を受けているということです。

何を以って良いとするか、つまりどういう体験に僕らは惹きつけられてしまうのかということですが、今から世界の文化圏を超大胆に、4つに分けます。

それは、ポジティブを好む文化圏と、ネガティブが気になる文化圏。

そしてもう1つの軸は、強い刺激を好む文化圏と、弱い刺激を好む文化圏です。

アメリカは、強いポジティブが好きです。

だから、自己肯定感や夢、スマイルが好きです。

北欧プロテスタント系は、弱いポジティブが好きです。

ご存知か分かりませんが、「ヒュッゲ」という言葉がありますよね。

ヒュッゲは例えば、暖炉の前で、弱いポジティブな刺激を受けるようなことです。

あるいは、スウェーデンには、「3杯目のコーヒーを飲む幸せ」という言葉があります。

面白いですよね。

3杯目のコーヒーも、そういう言葉があるかないかで感じ方が違うはずなのです。

そして日本は、弱いネガティブを好みます。

私たちがいる京都はまさにそうですが、「わびさび」ですね。

日本語には、弱いネガティブを愛でる、良しとする言葉がたくさんあります。

「わびさび」という概念があるからこそ、古いものも良く見えてくるのです。

その概念がないと、汚い古いものにしかならないはずです。

最後に、中東は強いネガティブを好みます。

ポジティブという概念は、中東では嫌われます。

藤本 へー。

石川 ハッピーやポジティブは、避けるべきものなのです。

これらを感じると、神様に対して悪いことをしている気になるのです。

少し前に、アラブ首長国連邦が、幸福担当大臣(ハピネス担当大臣)というものを置きましたが、国民からめちゃくちゃ嫌われました。

「幸福相」と「寛容相」をUAEが新設、ともに女性を起用 2016.2.11(AFP BB News)

(会場笑)

そもそもハッピーってどうなんだ、と。

それで、結局Well-being担当大臣に変わりました。

 すごいことですね、それは(笑)。

石川 実際、中東では、ジハードや、あれだけ厳しい自然環境の中で暮らしていますので、それとどう向き合うのかという点がすごく発達しています。

ですから、世界がどう違うのかとあえて考えると、これらの違いがあります。

20世紀はアメリカの時代、21世紀は日本の時代へ?

石川 このように分けましたが、これらは春夏秋冬のようなものだと僕は思います。

若い時は、強いポジティブが好きなのです。

20世紀がなぜアメリカの時代だったかと考えると、世界人口の平均年齢が低かったからですよね。

今、デザインなども含め、世界が北欧を好きになってきているのは、だんだん中年化してきているからです(笑)。

弱いポジティブが好きになるのです。

「味噌汁が美味いなあ」ということですよ(笑)。

もう少し経つと、21世紀は日本の時代になると思います。

さらに人類の平均年齢が上がると、「目尻のシワが良いなあ」など、弱いネガティブをどう愛せるようになるかという時代になると思うのです。

この点で、日本が世界に提供できるものがすごくあると思っています。

そこからさらにもう少し経つと、強いネガティブをどう愛でるかという中東の時代になります(笑)。

そしてまた、春夏秋冬のように巡っていくのでしょう。

何を以って良いとするのかには文化による差があるので、良い悪いではないのです。

 やはり、時間軸が大事ですよね。 

石川 そうなんです。

強い、弱い、ポジティブ、ネガティブを含めて、「エモーショナルダイバーシティ」と呼ばれます。

強いポジティブだけがWell-beingであるわけではなく、ネガティブも含めた多様な感情があるのです。

萩原 これは、何がきっかけで変化していくのでしょうか?

石川 色々な理由があると思います、例えば、年齢や気候条件もあると思うし…。

 世界情勢もありますね。

石川 そうですね。

「自分はとても幸福だ」と感じている人の特徴

石川 次に第二世代ですが、データから帰納的に何が分かったかについてですが、これは象徴的な、「VERY HAPPY PEOPLE」という論文です。

Diener, E. and Seligman, M. E. P. : Very happy people. Psychological Science 13(1): 81–84, 2002. 

 本当にこんな論文があるんですか?

石川 あるんですよ。

著者はエド・ディーナーとマーティン・セリグマンという、まさにWell-being研究の創始者みたいな人たちです。

「幸せですか?」という問いをしたとき、Very unhappyからVery happyまで選択肢があるとして、Very happyに丸をつける人たちがいます。

その人たちの特徴を調べると、結論は、その人たちにはよい友達がいたのです。

データから帰納的に導いていくと、重要な条件が2つあります。

1つは選択肢と自己決定、もう1つはよい友達がいるかどうかです。

それこそ、好きな人と一緒であれば、砂を掘って埋めるという行為だけでも楽しいはずです(笑)。

人間のユーザーエクスペリエンスは、誰と一緒かということが極めて重要です。

これは、ライフエクスペリエンスでも同様です。

どういう友達がよい友達かと言うと、自分が困った時に手助けをしてくれそうな友達です。

調子が良い時にはみんな寄ってきますよね、でも疲れた時や苦しい時に一緒にいてくれるのがよい友達です。

Well-beingは高めるものでなく深めるもの

石川 そして第3世代の今、まさに演繹の時代が到来しています。

いかなる原理で脳は情報処理をするのかについて、注目されているのが自由エネルギー原理(脳の情報処理に関する統一原理)です。

脳は、外部環境と内臓を含めた体の内部環境を処理していますが、長い目で見た時に、「最高」ではなく「最適な」情報処理とは何か?というのが、今追求されている問いです。

僕が今所属しているWell-being for Planet Earthは公益財団ですが、自由エネルギー原理を中心とした色々な調査研究に助成しています。

 だから僕も呼ばれたんですね、自然科学者ですから。

石川 そうなんですよ。

最高というのは、高い=良いという暗黙のバイアスがかかった考え方です。

でも日本人は、高さを良しとするのではなく、奥深さを良しとしてきました。

ですから、Well-beingも、高めるものなのか?という問いがあり、Well-beingは深めるものではないかと日本人は考えやすいかもしれません。

藤本 深めるもの、ね。

石川 そういう考え方もあるのです。

 長期的に、最適な、というのは、まさにその通りですね。

石川 まさに、そういうことです。

 「最高」じゃなくてもよくて、「最適」なわけですね。

石川 ざっとWell-being研究の歴史を概観すると、こういう形になっています。

 僕は今日、少し頭が良くなりましたよ。本当に。

石川 自分で言うのもなんですが、見事なまとめです(笑)。

(会場笑)

 本当に、よくできています。

萩原 頷きしかなかったですね(笑)。

 これ、Well-being研究の第一人者から教わりました、と言ってどこかで話します。

面白いですね、なるほどね。

藤本 日本的な、奥深さを探るようなWell-being産業みたいなものが今後出てくるということですかね。

 だからやっぱり、「色」だなと思ってしまいました。

藤本 奥、ということは、ディープテックですかね。

 ディープテックは間違いないですよ。

藤本 面白いですね。

Well-being産業というと、どうしてもアメリカの後追いのようなイメージがあったのですが、そうではないのですね。

石川 そうではないです、やはり奥深さを探っていくということですね。

奥村さんという苗字の人を見たら、尊敬してしまいます。

代々、奥にいたんだろうなって(笑)。

(一同笑)

藤本 奥が大事ということですね。

石川 日本では、奥の反対の概念が「口」です。入口、玄関口などです。

Well-beingの口から入っていって、奥深さをいかに体感できるか、というのがWell-being as a Serviceなのだろうなと思っています。

藤本 なるほど、そのあたりは後で深掘りをしていきたいと思います。

せっかくなので今日は、Well-being産業のど真ん中にいるPREVENTさんからお話を頂きたいと思います。

石川 残り30分です。

藤本 では萩原さん、お願いします。

萩原 ありがとうございます。

(続)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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