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6. ディープテックがWell-beingに与える可能性とは【終】

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ICC KYOTO 2022のセッション「Well-being産業の今後」、全6回の最終回は、ウェルビーイングとテクノロジーの深い関係について、リバネス丸 幸弘さんが解説します。一見どうつながるのか?と思うかもしれませんが、読めば納得、世界が広がること間違いなしです。最後までぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2022 プレミアム・スポンサーの住友生命保険にサポート頂きました。

「Well-being産業の今後」の配信済み記事一覧


いかにコミュニティのWell-beingを作るか

石川 コミュニティのWell-beingは、これからすごく課題になると思います。

この間、3年ぶりに開催されたねぶた祭りに行ったのですが、ねぶた祭りはちょうど300年前の1722年に始まったとも言われています。

日本のお祭りの起源を見ると、300年前に始まっているものが多いのです。

なぜかと言うと、江戸時代に話が及ぶのですが、徳川家が行った最大の改革は、当時、村を治めていた武士を村から引き剥がして、都会に住まわせたことです。

突然、農民だけで自治をしなければいけなくなり、結束するためにみんなで祭りを始めたのです。

時代は明治になり、明治政府が最初にしたことは、共同体の解体でした。

当時の小学校の歌でも、「故郷を捨てて都会に出て立身出世を果たせ、故郷に錦を飾れ」というものがほとんどです。

つまり、明治以降、故郷を捨てましょうキャンペーンをずっと行っているのです。

それに対して、東京一極集中ではなく多極化しようというのが、もともとは香川県観音寺市(旧三豊郡)出身の大平(正芳)総理の描いた、田園都市国家構想ですよね。

田園都市国家構想を提唱した大平総理のことを、深く尊敬しているのが岸田総理です。

藤本 だから、「デジタル田園都市国家」なんですね。

石川 そうなんです。今、日本で行っている政策は基本的に、古い政策の焼き直しです。

「ふるさと創生」が「地方創生」になっているし、デジタル田園都市国家構想は大平総理の田園都市国家構想がベースになっています。

藤本 なるほど。

石川 ただ、いずれにせよ、共同体を解体した方が、日本国民であるという意識を植え付けやすかったのです。

日本国民という意識があった方が、戦争時に一致団結できます。

日清・日露戦争で初めて、「日本人である」という意識を持ったという歴史があります。

その中で、どうやってコミュニティに回帰というか、コミュニティのWell-beingを果たしていくかについては、日本のこれからの社会や文化を考える上では、非常に重要なテーマです。

何をしたらいいのか、僕はずっと考えています。

 やはり、テクノロジーが足りないと思います。

藤本 テクノロジーというキーワードが出たところで、丸さんにお話しいただきましょうか。

丸さんが推すWell-being Tech企業6社

 はい、「ウェルビーイングテック(Well-being Tech)」と、わざと書いています。

6社挙げますが、まずカラフルな大腸のイラストのメタジェン

4.「メタジェン」は、「茶色い宝石®」から価値ある情報を取り出し、新たな医療・ヘルスケアの創出を目指す

次に、人とは何かという点では、統合解析をしているヒューマノーム研究所

ヒューマノーム研究所は、“データ駆動型サイエンス”で健康を理解し「人間とは何か」を探究する(ICC FUKUOKA 2019)

それから、イヴケアのサービス(毛髪分析技術を活用した独自のストレス解析技術)のように、自分の状態をサイエンティフィックに知ることがチョイスの源泉になるのではないかと思います。

石川 髪の毛には、色々な情報が詰まっているのですよね。

 そうそう、髪の毛には3カ月分の情報が詰まっているから、それを見ることで次の3カ月に向けたチョイスができるというのも面白いのではと思います。

こういったサービスや情報が当たり前になると思います。

でもこのあたりは、ヘルスケアとして、何となく理解できますよね。

これらは産業の骨格ですが、一つのテクノロジーではダメで、ディープテック、つまり組み合わせていかなければいけなくなります。

その組み合わせは一人一人違っているので、選択肢の幅を広げることで、Well-being産業の裾野を広げる技術となります。

僕は、次に出した3つが好きです。

スライド上で、色がきれいになったでしょ?

藤本 カラフルになりましたね(笑)。

 そう、色が。

今日のテーマは「色」。

色を使うということなのです。

感性や直感や感覚のWell-beingが重要になってきます。

一番左のオリィ研究所はご存知だと思いますが、病気や肢体不自由などの理由でベッド上や車椅子で過ごしている方たちが、オリヒメという白いロボットを通じて活動、社会参画することを実現しています。

オリィ吉藤は、分身ロボット「OriHime」で誰もが社会参加できる世界を目指す(ICC KYOTO 2018)

先ほど出た、Well-beingはつながること、友達がいることが重要である(Part.4参照)というのはすごく分かりやすいと思います。

オリィ研究所は、こういう方々が社会参画してつながることを実現していますが、色や形がすごく重要になります。

これは、ウェブではダメというのが面白い発想であり、人がロボットに憑依して、人が目や顎を使ってそのロボットを動かしていることがポイントです。

目線入力などですね。

このロボットに着せ替えをするのも、面白いらしいですよ。

分身ロボットカフェ DAWN 2021(オリィ研究所)

そして、スライド下側の真ん中にあるtonariは、ある種のどこでもドアを作っている会社です。

例えば、壁の向こうがシンガポールオフィス、手前の壁が自分の家とつながっているなどの状態を、色と什器で表現することで、すごく、つながっている感覚を感じられるのです。

下手したら、壁の向こう側に行けてしまうと思って、子どもが駆け寄ってしまうくらいの、どこでもドアを作れます。

色が合わないとダメなのですが、今度、匂いも合わせようという話が出ています。

扉の向こう側で、人がコーヒーを持ってくると、そのコーヒーの匂いまでするという感じです。

感性の交換になるので、Well-beingの一つになりえると思います。

これは、空間移送という技術です。

5,000kmの距離を超えて瞬時に会える、tonariがシンガポールと東京のインキュベーション施設をつなぐ。(PR TIMES) 

スライドの一番右、3つ目はイノカという、珊瑚の会社です。

世界で初めて、東京の水道水を海水化し、真冬の珊瑚の産卵に成功した会社です。

すごくないですか?

環境移送ベンチャーイノカ、世界初 真冬に水槽内でのサンゴ産卵に成功(PR TIMES) 

石川 すごい。

 すごいんですよ、どんなビジネスになるのか誰も分かりません。

僕にも分からないです。 

でも、美しくないですか?

沖縄の海を再現して家に持ってくるというのが、心の豊かさにつながっていくのではないかと思いますし、これを実現するということはダイバーシティ、多様性を守れます。

例えば、地球がなくなる寸前に、全ての生態系を陸地に一旦移送して保存しておくと、また戻せるのです。

今、その技術開発をしていて、これができると全てのものを月に持っていける可能性も生まれます。

これは「環境移送技術」と呼ばれ、直感や感性を移動させることとつながっており、Well-beingの新しいテクノロジーになるのではないかと思います。

イノカの「環境移送技術」とは何か 〜サンゴベンチャーのその先へ〜(note)

僕が注目しているスライドの下側3つのテクノロジーを合わせると、未来のWell-being産業の何かヒントになるのではないかと思って紹介しました。

これら6つの会社は、投資しておくと確実に伸びますから、2億円ずつくらい投資しておくと200~2,000億円になるのではないかと思います。

この領域は、確実に成長すると思います。

ディープテックがなぜWell-beingにつながるのか

 技術は目の前にあります、ただ、みんな気づいていません。

「つながる」ということがもたらす、幸福の価値。

海と人間はつながっていません。

だから、SDGsにおいて海の価値は低いですが、イノカの技術では、海が家の真ん中に再現できて、センサーが海に散らばっているので、家の中の珊瑚が減れば、それは海の珊瑚も減っているということです。

ですから、地球とつながっている感覚になります。

そうすると、「やばい、直さなきゃ」と思いますよね、それで海に行って何かをする、つまり人の行動パターンが変わってきます。

人の行動パターンとチョイスが変わるというのがWell-beingであるならば、受動的ではなく能動的に変えていくこと、地球とつながっているゆえに行動が変わることがWell-beingになるのではないかと思います。

これが、僕がずっとディープテックに携わっていて、感じていることです。

どれも、まだ実験段階の会社ですが、どれも非常に面白い形になると思います。

以上です。

藤本 これら3つとも、つながる時に、こちらは移動しなくていいのですか?

向こうから来るのですか?

 そういうことです。

移動がなくなると、CO2削減にもなって良いですよね。

移動するという概念があるのは、つながりたいからなのです。

でも、移動しなくてもつながれるという概念はどうですか?

移動しなくても、地球と、珊瑚とつながることができる概念はどうですか?

それが、心の豊かさやその人の行動変容を促す技術になりませんか?

これ、めちゃくちゃ面白い概念ですよね。

今日のテーマは、Well-being産業の未来でした。

スライドの上の3つは、今起こっていることと連携するものですが、下の3つは今後のWell-being産業の方向性になるのではと思います。

僕は専門家ではないので、これについて今日、石川さんに「どう思う?」と聞いてみたかったのです。

石川 個人的には、イノカはめちゃくちゃ面白そうだなと思います。

 面白いですよね。

物事の定着には新しい概念、道具、所作が必要

石川 皆さん、日本人が作って、今、世界中に広がっている、「ネイチャーアクアリウム」というものはご存知ですか?

Aqua Design Amanoの略であるADAという会社の天野さんが作られたもので、まさにイノカのような世界観を実現した人です。

それまでは、水槽と言うと、魚が主役でした。

でも、「自然から学び、自然を創る。」というコンセプトで、魚ではなく水草を主役にしたのです。

 面白い。

石川 そうすると、水草と一緒に入れるのは、酸素ではなく二酸化炭素です。

ADAは、水草を主役にしてすごく美しい水景を作るのですが、そのファンが世界中にいるわけです。

毎年行われるコンテスト(IAPLC:世界水草レイアウトコンテスト)には、文字通り、世界中から参加者がいます。

「ネイチャーアクアリウム」で調べていただきたいのですが、本当にすごくきれいで、まさにこのスライドのイノカのような感じです。

ブランド力があるので、ネイチャーアクアリウムを作るときのピンセットなどを販売して、すごく儲かっています。

オリィ研究所やイノカがWell-being産業の象徴的なものになっていけばいいなと思う一方、物事が本当に根付く時は、3つの要素が大事だと思っています。

それは、新しい概念、道具、所作です。

ここ京都の例で言うと、わびさびという概念、茶道具、茶を飲む所作です。

これら3つを創り出したのが千 利休ですね。

概念と道具と所作が同時にあると、物事はジワジワと広がっていきやすいのです。

 なるほどね。

石川 概念から入る人、道具から入る人、人それぞれだと思います。

まさにイノカがそうだと思いますが、概念と道具と所作が同時にあると、すごく強いブランド力ができて、広がっていくのだと思います。

 珊瑚も面白いですよ。

アクアリストは、色で珊瑚の健康状態が分かるらしいのです。

入ってきた時に、直感的に海とつながって、珊瑚の状態から海の状態も分かるのは、色からなのです。

藤本 カラフルな方が良いということですか?

 カラフルかどうかよりも、色合いですかね、色の深みというか。

そのことが僕にとっては、すごく印象的でした。

石川 顔色を見る、というのもそうですよね。

 そうそう、「今日、顔色悪いんじゃない?」と、何かを見ているんですよね。

色そのものを見ているわけではないのでしょうが、色を見ているのです。

石川 状態を見ている。

 今日のキーワードである感性や感覚、直感が今後、数値ではなく、まあ、数値を変換してもいいのですが、色で表現されるような世界観が出てくると、Well-being産業がもう一歩進むのではないかと思っています。

例えば、つながりの色や健康状態の色などに面白がってわざと取り組んでみると、世界が広がる気がします。

今後も深めていきたいWell-being産業への問い

藤本 そろそろ終了の時間です。

今日はWell-being産業がどんな感じかというのがテーマでした。

結論は出ていませんが、結構良い問いがたくさん出たと思っています。

これまでWell-being産業を数字で考えてばかりいましたが、丸さんがおっしゃるように、色で考えたらいいのではないかということ。

 あと、「高める」という言葉が嫌いです。

藤本 そうですね、高めるではなく「深める」ですね。

 そうそう。

藤本 PREVENTのサービスもそうですが、何かを高くしていくのではなく、それぞれの状況に応じて、「最高」ではなく「最適」な状態に深めていく、ということですね。

あるいは、コミュニティにおいてつながりを生んでいくことですね。

これらに、Well-being産業の未来があるような気がしました。

これらの問いはなかなか難しいですが、今後も、高めるのではなく「深めて」いきたいと思います。

 はい。

藤本 では最後に、今後のWell-being産業について、もしくは今日の感想でも、一言ずついただけますか。

石川 藤本さん、というか住友生命には期待しています!

やはり、儲かってくれないと産業自体が存続しないので、Well-being as a Serviceは是非、象徴的なサービスになってほしいと思っています。

藤本 「色合い」「深める」「つながる」で、頑張っていきたいと思います。

ありがとうございます。

萩原 ありがとうございます。

今日この会場で私が一番得をしたのではないかと思えるくらい、非常に学びを得ました。

うちの会社もそうですが、ヘルスケアの会社には特に医療専門職の方が多いです。

医療専門職の方はどうしても、「健康が良い、健康であるべきだ、健康でないのは悪いことだ」という考えが強い人の集団なのですが、Well-beingを考える時、そうではないですよね。

我々が目指していくべき方向性を、「そうではないよな」と思いつつ、うまく言語化できていなかったのですが、今日、高めるではなく「深める」であるなど、色々なキーワードを頂けたので、我々もWell-being産業を牽引する一助となれればと思いました。

ありがとうございました。

 僕が一番Well-beingから遠かったと思いますが、今日面白かったのは、やはりテクノロジーが必要で、テクノロジーを作って、それを使いこなして、新しい概念で世の中をもっと良くしていくことが重要だけれど、それにまだ気づいていない、使いこなせていない人類がいるということです。

石川さんがそう言っていたと思います(Part.2参照)。

「Well-being Tech」という言い方が良いかどうかは別にして、すごく複合的なテクノロジーの集合体を作っていかないと達成できないと思ったので、是非、住友生命は利益を投資いただいて、次の段階を一緒に作れたらと思います。

藤本 そうですね。

是非一緒に、Well-being産業を盛り上げていきたいと思います。

本日はありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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