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【組織の症状⑥】組織がタコツボ化し、部門間で協力するカルチャーがない(麻野×岡島)【K17-9D #7】

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「組織の50人・100人の壁」【K17-9D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その7)は、どんな組織にでも起こる縦割りの問題をいかに乗り越えるかについて議論しました。「社長の言霊」の話も必見です。是非御覧ください。

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ICCカンファレンス KYOTO 2017のダイヤモンド・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。

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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5・6日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 9D
組織の50人・100人の壁
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)

(スピーカー)

麻野 耕司
株式会社リンクアンドモチベーション
執行役員

岡島 悦子
株式会社プロノバ
代表取締役社長

(ナビゲーター)

井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル

「「組織がぶちあたる50人・100人の壁」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】組織がぶちあたる50人・100人の壁【F17-9D #1】

1つ前の記事
【組織の症状⑤】経営の行動指針が緩くて意思決定の指針になっていない(麻野×岡島)【K17-9D #6】

本編

井上 「マネジメント不全症」については、ミドルマネージャーを置くことが大事だというお話でした。

一方で、それぞれのミドルマネージャーの役割を明確にすればするほど、今度はまた別の問題が出てくるということで、次のトピックに移りたいと思います。

症状⑤:“タコツボ病”

岡島 では5つ目の症例ですね。「タコツボ病」。

「縦割り病」とも言いますが、これは全ての企業が背負っている宿命だと思っていて、事業別組織であれ機能別組織であれ起こり得ることだと思いますね。

ですから、部署間の問題なのですが、ただ皆さんも十分にお分かりのように、イノベーションというのはその“三遊間”で起こるんですよね。

私が社外取締役を務めている「セプテーニ」がすごく上手だなと思うのは、ステージに合わせて縦横の仕組みの仕掛けを作り続けているところです。

どうしても縦割りになり易いので、横串を通すプロジェクトや、横串を通す機能や、社長のメッセージや、オフサイト合宿など、とにかく「横を通す」ということをすごく早めからやっています。

そうしていかないと部分最適になっていってしまうので、ここが一番厳しいところだとは思っています。

麻野 先ほどのミドルマネージャーの問題ですが、組織の問題というのは「人」そのものの問題に起因する場合もありますが、「人間」という単語が表す通り、人と人との間に問題があることの方が多いですよね。

経営と現場の間に問題があるので、ミドルマネージャーがそれを繋がなければならないと言う話がありましたが、部門と部門の間にもそれが起きてくるということなんですよね。

井上 なるほど。

岡島 どうしてあそこにばかりリソースがつくのかとか、そういう議論になっていくじゃないですか。

「いい人をこちらから引っぺがしてあちらに持っていってしまった」などという議論になりがちなので、社長はそこをきちんと采配して経営資源の配分を行わなければなりませんが、利益代表の執行役員がいたりすると、それもなかなかできなかったりします。

麻野 なるほど。

部門と部門の仲が悪い場合、どうやってそれを解消していくのですか?

岡島 まず、これは人と人の話なので、仲が悪い部門同士を隣同士にしたりしますね。

そうすると、「あっちも、意外にやってるじゃん」とお互いに見えることがプラスになるのです。

麻野 なるほど。空間的近接は、相手に好意を持つためには有効だと言いますよね。

岡島 あとは、やはり横串のプロジェクトに取り組んでもらっていますね。

50人から100人の場合は取り組むことに反対ですが、働き方改革や、オフィス移転プロジェクトなどの「横串のプロジェクト」をそれぞれから引っ張ってきて、横串を通してもらうといったことをしてもらいます。

新卒がいると同期同士ですごく仲が良いのですが、50人から100人だと新卒採用をやっていないケースもあるので、やはり横の繋がりが少し薄いですね。

組織内を無意識の「士農工商」が巣食う

麻野 意外とそういうことを聞きますよね。

僕がサポートしている会社でも、やはりカスタマーサポート部署のモチベーションクラウドのスコアがすごく低い会社があります。

モチベーションクラウドは組織の健康診断である

それなのにビジネス部署(のスコア)は高いんですよね。

お話を聞いてみると、カスタマーサポートのメンバーの皆さんは、「うちの会社は、ビジネスの会社ですよね。だから僕達は大事にされていないですよ」とおっしゃるのです。

それで、なかなかスコアが上がっていないという状況がありました。

岡島 しかも、組織の中に、目には見えない無意識の「士農工商」が出てくるでしょ。

麻野 はい。

逆に「メルカリ」はシリアルアントレプレナーによる起業なので、そういう横の問題が絶対に出てくると初めから予想して、対応しているところが素晴らしいなと思います。

どちらかというと、やはりいわゆるバリューチェーンの上流工程の方が「上」という風に見られがちになるということで、カスタマーサポートを立ち上げる時に「あなた達が主役です」と明言しています。

井上 素晴らしい。

麻野 「メルカリは営業が1人もいない会社です。顧客にモノを売れるのはあなた達だけ。売り上げを上げているのはあなた達。だからうちの会社の主役はあなた達ですよ」と言っています。

「ビジネスの人達も俺たち(カスタマーサポート)のことを分かってくれている」という気持ちが最初からあるので、カスタマーサポートのセクションのモチベーションスコアもすごく高いんですよね。

メルカリ、ヤマト運輸提携の舞台裏 – 鍵は「内製カスタマーサポートの強さ」

先々出てくるであろう部門間のコンフリクトを上手く先に潰しているので、「タコツボ病」にならないなという感じはしますよね。

岡島 あなた達が主役ですというメッセージもすごく大事で、経営陣がいかに本気で伝えるかということも大切ですよね。

スターバックスなども本社がすごく小さいですがそれをやっています。

「しらける」ということが組織開発の最大の悪だと思っています。

言葉にはしても心ではそうは思っていないよねとなった途端に、カスタマーサポートの人もきっと「言っているだけだよね」という風になってしまうので、このシェアードバリューというか、理念のようなものを上手く解釈して伝えてあげるという、経営トップのコミュニケーション能力を磨くお手伝いをしています。

「何とメッセージを伝えるつもりなの?」といったことを、すごく嫌がられながらやっているのですが。

麻野 岡島さんのおっしゃる通り、とにかく色々なことをきちんと言語化することが大事なのでしょうね。

50人・100人となると、30人の時のような阿吽の呼吸が通じなくなってくるので、さぼらずにきちんと言語にすることが大事なのかなと思っています。

MBOのような具体的な目標もそうですけれども、カスタマーサポートに対して「売り上げを上げる、最前線の営業はあなたたちです」という役割の期待を言えるかどうかが大事かなと。

“社長の言霊”が社員の行動を変える

岡島 加えて、100人くらいのレベルでは、「社長の言霊」がすごく大事ですね。

私は今「SHOWROOM」をお手伝いしているのですが、どの人も「他者への想像力」という言葉を口にしていますね。

それは前田さんが色々なところで「他者への想像力」について話しているからです。

そういった「社長の言霊」があるからこそ、皆が同じように問いを立てられるのでしょうね。

麻野 いいですね。

井上 社長の言霊。

岡島 社長は普段言っている言霊を「社長スタンプ」にしようといった話もありますよ。

「いいね~!」「最高だよ~!」といったスタンプを必ず返すといったように。

新しいアイディアが出てきたら「最高~!」と返すようなことがすごく重要だよね、と話しながら、この言霊作戦に取り組んでいます。

麻野 先ほど、理念や、行動指針や、ミドルマネージャーの役割や、MBO的な目標や、部署の役割など色々なことを言語化するというのはありましたが、トップの言霊というのは本当に大事だなと思っています。

岡島 麻野さんはいつもどんなことをおっしゃっていますか?

麻野 大事にしていることですか?

やはり、“One for all, All for one“ですね。

岡島 ラグビーっぽいですね。

麻野 弊社の創業者がラグビー部なので。

これには、ものすごくこだわりがあります。

働き方改革なども、全て“One for all, All for one”に当てはめて説明していくのですが、あれは全て“one”寄りだと思うのです。

つまり、残業時間を抑制して、リモートワークや副業などを全て認めるとあるけれど、あれは“all”をセットにして組織のために頑張ることや理念を追求することをしないとダメになるぞと。

岡島 抽象度を上げてそこで喋ることができるという話なので、これを全ての会議室で、あるいは全てのメールで「それってallなの?」と聞かれればOKな訳じゃないですか。

ですから、やはりこういうことが行動指針上、重要になってくるかなと思います。

麻野 そうですよね。

井上 我々のベイン・アンド・カンパニーにも、「True North(他におもねることなく追求し続けること)」という言葉があり、真の北を目指す姿勢でやりましょうということを、皆が言いますね。

岡島 ベインらしいですよね。

井上 言語化する・定義することもすごく大事だと思うのですが、「ルートの法則」というのもあるようですね。

例えば100人にコミュニケーションするならば、ルート100、つまり10回はコミュニケーションしなければならないというのがあるらしくて、先ほどの回数やスタンプの話とも似ていますが、そういうものも必要なのだろうなと感じました。

麻野 あとはやはり、社長が本当に思っているということは大事だなと思っています。

「こう言ったらまとまりそうだから、綺麗な言葉を作りました」では、もう透けて見えるんですよね。

岡島 誰かに作文してもらったなんていうのはもう最悪ですよね。

麻野 「スーパーホテル」は素晴らしい会社で、1円当たりの顧客満足度の調査で帝国ホテルを抜いて、私たちのモチベーションクラウドの調査でも、従業員満足度で1位になるなど、色々な経営賞を獲られているような会社なのですが、理念が「自律型感動人間」というものなのです。

ビデオに出ておられる山本梁介会長に初めてお会いした時、「麻野さん、『自律型感動人間』を見てくれましたか?」と言ってお話されるんですよ。

この考え方が広まったら世の中が良くなると、会長は本気で信じておられます。

ですから、いつもその説明をされていらっしゃいますね。

岡島 5度目!?みたいな。

麻野 はい。

岡島 そういう感じになりますよね。

麻野 会長が本気で信じておられるので、浸透しているんですよ。

岡島 「ルートの法則」のように、何回も言って初めて通じるということだと思うので、最初は「ああ、それ聞いたことあるな」くらいでいいんですよね。

麻野 逆に、トップ自身が信じていて、何回も言いたくなるようなことであること自体が大事なのかもしれません。

(続)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/Froese 祥子

【編集部コメント】

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