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「スマホ・サービスのマーケティング & プロモーションを徹底議論」【K17-3C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その2)は、マーケターの彌野氏が、P&GからDeNAに転職して感じたマーケティングの違いについてお話いただきました。是非御覧ください。
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ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ様に本セッションをサポート頂きました。
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 3C
スマホ・サービスのマーケティング & プロモーションを徹底議論
Supported by 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
(スピーカー)
齋藤 太郎
株式会社dof
Founder&CEO/Communication Designer
中村 洋基
PARTY / VALU
Creative Director / Founder
彌野 泰弘
株式会社Bloom&Co.
代表取締役
吉田 大成
株式会社エブリー
代表取締役
(モデレーター)
坂本 達夫
AppLovin
Director Sales, Japan
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最初の記事
1.凄腕マーケター&クリエイティブ・ディレクターが語るスマホ時代のマーケティングとは?
本編
坂本 今回オーディエンスの方には、いわゆる大企業、大きい企業に勤められている方もいらっしゃれば、少なからず、スタートアップ企業に勤めている、従業員としてなり、投資家としてなり関わっている方がいらっしゃると思います。
まずスタートアップと大企業のマーケティングというような大きな枠組みでお話しさせていただきたいなと思います。
両方で働いたことがある人というのは、それほど多いわけではないように思います。
お互いにいいところ・悪いところ、もしくは向こうはこういうことをやっているのに、こちらは知らなかったり、ということがあるかと思います。
そこで、まず彌野さんにお伺いしたいのですが、まさにP&Gという大きな企業から、インターネット系に行かれて、今はスタートアップのご支援もされています。
マーケティング・プロモーションという文脈で、こういうところが大企業とスタートアップは違うよねとか、こういうところがいいよね・悪いよね、という点はありますか?
P&Gでは「負けないマーケティング」だった
彌野 そうですね、P&Gは消費財メーカーですが、例えば、今、市販されている石鹸というのはもはやどれでもちゃんと洗えるんですよね。
どれでも(汚れは)落ちるので、正直、消費者もそれほどこだわりをもっていません。
そのような中で、どのように自社の商品を優先的に買われるようにするかを考えるのが、恐らく、P&Gのマーケティングの原点です。
彌野 僕はネット業界に来たときに衝撃を覚えたのが利益率の違いです。
利益率50%というようなネット業界と、利益率 数%という消費財メーカーでは、CMに数億円投下する時の緊張感は全然違うわけです。
ですので、ロジックだったりデータをとことん溜めていって、ほぼ失敗しないだろうというところまで追い込んでやるというのがP&Gのマーケティングであり、大企業のマーケティングだと言えます。
大企業と一言で言っても外資と国内ではやり方が違うと思いますし、そして僕にはP&Gについてしか語れませんが、そのように思います。
いいところとしては、やはりノウハウが溜まっていることが挙げられます。
全世界でやっている全カテゴリーのマーケティングの成功事例、失敗事例のノウハウを共有してフレームワーク化しているというところは強い部分かと思います。
一方、「負けないマーケティング」をするので、「攻めのマーケティング」は必ずしも強くありません。
正直それはマーケティング・ディレクターの器量とか性格にも依ります。
言い換えれば、コンスタントに105%に伸ばすようなマーケティングは割と得意ですが、ネット業界やスタートアップ業界のように300%伸ばしますというようなことには必ずしも最適化されているわけではないと思います。
あとは、テンプレート、フォーマットがあるので、それを埋める作業が目的化しがちで、僕なんかもその書類をまとめるのが非常に嫌いだったので辞めたようなところが半分あるのですが(笑)
逆に僕はネット業界に来てからは、大量の書類というのは作ったことがないです。
当時、会議でも、テキストでババっと書いて、それで話ができました。
それで充分でしたし、逆にきれいなパワポ資料を作っている暇があれば、もっと違うことをやれという感じだったと思うんですよね。
スタートアップの良さはやはりスピード感です。
数字がみえる業界のマーケティングはPDCAが高速
彌野 あとは、スタートアップというかインターネット企業の特徴だと思うのですが、数字がとにかく見えます。
消費財メーカーのマーケティングは、ノウハウはあるものの、分析は3ヶ月後、半年後にやります。
たとえば1回キャンペーンに対してその3ヶ月後、半年後に認知度を調査するという形です。
ですのでPDCAのスピードが全然違います。
一方、GREEやDeNAなどの企業では、CMを打つ度に、この時間帯で何GRP(Gross Rating Point)入って、その時に何インストール入った、ゆえに1GRP入ると何インストール入る、それが他のゲームと比べて上なのか下なのかという、全てが分析できます。
マーケティングを担当している身としては怖いですけれどね、”丸裸”なので。何となくで「いい感じでバズッたね」などとは言えないのです。
数字をみて「インストール伸びてないじゃん」と言われかねませんから。
しかしそのような、デジタルならではの数字が見えるというところは大きいと思います。
ベンチャー経営者には領域を超えた提案ができる
坂本 大企業だとなかなか攻めの部分がやりにくいというお話がありました。
中村さんは、もちろん大企業に向けて作ることもあれば、たとえば今お話のあったペイモのように、いわゆる新興企業、スタートアップに向けてクリエイティブを作るようなこともあると思います。
できること/できないことのような点については、やはり違いがありますか?
中村 全然違いますね。
PARTY Creative Director/Founder / VALU 取締役 中村 洋基氏
中村 僕は元々電通で、国内の大企業クライアントが多かったのです。スタートアップのクライアントの仕事をするようになったのは、ICCに参加したり、彌野さんとお会いしてからです。
坂本 割と最近のことなんですね。
中村 はい。マーケティングのクライアントとしても、スタートアップの方がよい部分が多いです。
大企業の場合は、話す相手が広告宣伝部の人。一方スタートアップでは、話す相手が経営者です。
たとえば、与件を考えると、広告宣伝を超えてビジネスの部分に片足突っ込んだようなサービスやプロダクトの提案をしたほうがいい時もあるんです。
そのような時、大企業の広告宣伝部の方の場合は、「それは今回あなたにお願いする内容ではありません。」と言われて終わりです。
ところが経営者の場合は、セクショナリズムの壁などないので、「よく考えてみると、それ本質的じゃない?」というような形で、広告宣伝予算の垣根を越えて成立したりすることが結構あります。
ペイモの動画を見られたことのある方もこの業界には結構いらっしゃると思うのですが、実は動画を2種類つくっています。
有名な、テーブルクロスをバーッと引く動画と……
坂本 1回で全部撮ったというやつですよね。
▶「paymo Table Trick」
中村 実は、あまり露出していませんが、もう少しきちんと機能を紹介している動画もあるんです。
▶
クライアント目線になると「サービスの機能をいかにきちんと小気味よく説明するかというプレゼンテーション」が、まずはじめのニーズ。
その話し合いの中で、「プロモーション用途もいいけど、ブランディングに立脚したものも勝算高いぞ」と思い「こういう企画もあります」と言ったら、(AnyPay株式会社代表取締役)木村さんが「どっちもやりたい」と決断してくれ、両方つくることになりました。
これが普通の大企業の担当部門の方だと「もう予算が決まっていますから、その中で選ばざるを得ませんから」と言われ、普通の、要件を満たした機能紹介動画だけで終わっていたはずです。
それに対して、経営者の目の端がキラッと輝いて、「やりたい。この2つの動画は機能が違い、両方必要だ」と判断することでブレークしたのです。
どんなに僕たちのクリエイティブがよかったとしても、結局はクライアントの器だと思っています。
坂本 なるほど。
「好かれる」ためのコミュニケーションを考える
坂本 今度は、齋藤さんにそうとはいえ大企業のマーケティングから学ぶことなどもあるんじゃないのかというようなお話を伺えればと思います。
もしくは同じように、いやスタートアップのマーケティング・プロモーションの方がおもしろいよ、というような方向でもいいですが、そのような点については何かありますか?
齋藤 僕もスタートアップとも大企業とも仕事をさせていただいていて、彌野さんや中村さんがおっしゃっていたことに近いイメージを持っています。
株式会社dof Founder&CEO/Communication Designer 齋藤 太郎氏
齋藤 やはり意思決定ができる人と直接やるというのは、大企業、スタートアップを問わず、僕らにとっても非常に大事ですし、健やかというか、非常に健康な形で物が言い合える関係が作れるというのはとても大事なことです。
弊社でも、大企業と仕事をする時も、確実に意思決定ができる、社長だったり、マーケティング責任者と出来るだけ直接やるようにはしています。
僕も、スタートアップとのつながりができたのはこの3、4年くらいのことです。
新経済連盟という楽天の三木谷さんが代表理事を務めている経済団体のクリエイティブ・ディレクターに就任したことが契機となったのですが、正直それまでは全くIT業界やスタートアップ業界とは関わりがありませんでした。
それまでは、それこそP&G社などの大手の消費財、トヨタ自動車、資生堂、サントリーのような企業が顧客でした。
街中に並んでいて、ポチっと買うようなものではない製品を好きになってもらうため、車であれば試乗会だとか、家であればモデルルームだとか、あるいはマツモトキヨシの棚だったりとかで手に取ってもらうためのお手伝いをしていました。
新経済連盟には、サイバーエージェントや楽天、GMOインターネットなど、いろいろな会社、言ってみれば、日本のインターネットを作ってきた会社が加盟していました。
インターネット業界は、中抜けを減らすことによって「早く、便利に、安く」を実現してきて、それによって、多くの人に支持されてきました。
ですので、それまではオフラインのものの代替としてのオンラインがあったと思うのですが、ところが今は早くて、安くて、便利なことが当たり前という状況になってしまって、色々なサービスが横並びになっています。
料理の動画サイトも、1社だけではないですよね。
そうすると、その中で「好かれ」なければなりません。
好かれるためにはどうすればよいかというと、人に好かれるコミュニケーションをしなければなりません。
そのためには、「安い、早い、便利」ということ以外の近づき方をしなくてはならなくて、つまり、人間に例えると、モテなくてはならなくなったんですよね。
1つの島に女性がたくさんいて男が1人しかいなかったら絶対にモテるけれども、男が他にも3人も4人も出てきたら、「俺の方が強いんだぞ。俺の方がいい男だぞ。」と差別化していく必要が出てきます。
僕や中村くんのような、人に好かれる戦法をよく知っている人に(スタートアップから)お声が掛かるようになってきたのには、おそらくそのようなことが背景にあるのではないかと思います。
坂本 なるほど。
(右)AppLovin Director Sales, Japan 坂本 達夫氏
坂本 そういう意味では、彌野さんが最初におっしゃっていた、「石鹸には機能差がない」という話に近いかもしれませんね。
齋藤 いやもうその通りです。
坂本 他にも同じようなものがある中で、いかにコミュニケーションのところで差別化していくかということですね。
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続きは マス・マーケティングを行う前にサービスの「背骨」をしっかり考えよう をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/本田 隼輝/鈴木ファストアーベント 理恵
【編集部コメント】
これからの時代、生活に必要な機能を持った商品・サービスが溢れる中で、差別化のためには入り口のコミュニケーションの重要性がさらに高まっていくのではないのでしょうか。(本田)
続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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