3.マス・マーケティングを行う前にサービスの「背骨」をしっかり考えよう – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

3.マス・マーケティングを行う前にサービスの「背骨」をしっかり考えよう

Pocket

平日 毎朝7時に公式LINE@で新着記事を配信しています。友達申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! Youtubeチャネルの登録はこちらから!

「スマホ・サービスのマーケティング & プロモーションを徹底議論」【K17-3C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その3)は、クラシルとDELISH KITCHENを例に出しながら、スタートアップのブランディング・プロモーション戦略について議論しました。是非御覧ください。

▶ICCパートナーズではオペレーション・ディレクター及びコンテンツ編集チームメンバー(正社員&インターン)の募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 3C
スマホ・サービスのマーケティング & プロモーションを徹底議論
Supported by 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

(スピーカー)

齋藤 太郎
株式会社dof
Founder&CEO/Communication Designer

中村 洋基
PARTY / VALU
Creative Director / Founder

彌野 泰弘
株式会社Bloom&Co.
代表取締役

吉田 大成
株式会社エブリー
代表取締役

(モデレーター)

坂本 達夫
AppLovin
Director Sales, Japan

「スマホ・サービスのマーケティング & プロモーションを徹底議論」の配信済み記事一覧

連載を最初から読みたい方はこちら

最初の記事
1.凄腕マーケター&クリエイティブ・ディレクターが語るスマホ時代のマーケティングとは?

1つ前の記事
2.P&GからDeNAに転職して感じたマーケティングの違いとは?

本編

齋藤 インターネット業界は、中抜けを減らすことによって「早く、便利に、安く」を実現してきて、それによって、多くの人に支持されてきました。

ですので、それまではオフラインのものの代替としてのオンラインがあったと思うのですが、ところが今は早くて、安くて、便利なことが当たり前という状況になってしまって、色々なサービスが横並びになっています。

そうすると、その中で「好かれ」なければなりません。

好かれるためにはどうすればよいかというと、人に好かれるコミュニケーションをしなければなりません。

坂本 そういう意味では、彌野さんが最初におっしゃっていた、「石鹸には機能差がない」という話に近いかもしれませんね。

齋藤 いやもうその通りです。

坂本 他にも同じようなものがある中で、いかにコミュニケーションのところで差別化していくかということですね。

彌野 基本的にはおっしゃる通りで、お客さん側に選択肢が複数出てきて、かつ、その選択肢が似ていると、差別化というのは、マーケティングか、ブランディングによる差別化しかなくなってきます。

ざっくり言うと、マーケティングの差別化というのは、こういうプラスがありますという左脳的な話で、ブランディングの差別化というのは、何となくいい、何となく私はこっちの方が好きという、右脳的なものだとも言えます。(定義次第ですが)

左脳的な部分と右脳的な部分を足し合わせて総合した時にどちらが好まれるかというところなので、割ときちんと整理できるというか、ロジックに落とせるのだと思うんですよね。

坂本 なるほど。

そのように彌野さんがおっしゃっていますが、吉田さんはどうですか。

クラシル vs DELISH KITCHENのブランディング戦略

吉田  (彌野さんが関わった、エブリーの競合である)クラシルのCMはそういうコンセプトだったんですかね(笑)。

株式会社エブリー 代表取締役 吉田 大成氏

彌野 作り方は基本的には全部一緒です。

内容が変わったり、お客さんが変わったり、それぞれのサービスが持つ特徴は違いますが、基本的な考え方は一緒です。

坂本 あれは気持ちいいですよね、確かにね。

彌野 いやあれは、変な言い方ですが、非常にいい試合をしていたと思っています。

(吉田)大成さんのところが木下優樹菜さんを起用してCMを作った時に、「おぉ~これはいいCMが出てきた!」とヒヤヒヤしていました。

僕はデジタル出身ではないマーケターですが、吉田大成さんはデジタル出身の方なのでデジタルに非常に強いのですよ。

双方にそれぞれの強みがあったので、いい試合だったように思います。

吉田 そうでしたね。

僕らのCMのメッセージは、「作りたい!が見つかる」というのがコンセプトになっていて、ほぼ全ての動画はこのコンセプトに基づいて作っています。

これはまさに同じようなサービスがある中での差別化です。

この分野にはクックパッドという存在があります。主婦の方が一番に思いつくのはやはりクックパッドであり、「レシピが探せます、検索できます」と言えばやはりクックパッドです。

そのような状況で僕らは、「作りたい!が見つかる」「探さなくていいよ」ということを打ち出していくことを大事にしながらCMを作ってきました。

一方で、クラシルさんはどういうコンセプトなんでしたっけ?

彌野 何となくイメージ湧きますか?

吉田 そうですね、うちとは結構違うなと思いながらやっていました。

その違いが、非常に面白かったなと思いますね。

彌野 クラシルとDELISH KITCHENの今回の戦いは、自分たち、関わっている身としてはある意味ヒヤヒヤでしたが、その戦いを通してネット業界に1つ分かり易い事例ができたなと思っています。

先ほどの石鹸の話と近くて、似たようなサービスが同時期に出てくるという戦いが起こり、そのことがブランディングの話などに真剣に取り組むきっかけになったということです。

マーケティング的差別化というのは、今後何をしなければならないのか、サービス的な差別化だけだとなかなか立ち行かなくなってくるということが明確になったように思います。

実は想像するとそのようなサービスは既に日本にたくさんあって、これとこれ似ているよね、というものがたくさんあります。

それらをどのように差別化するかということが、結構重要視されてくるのではないでしょうか。

齋藤太郎さんも中村洋基さんも色々なプロジェクトで取り組んでいますが、なぜやっているかというと必要になってきているからであって、今後もさらに増えてくるのではないかなと思いますね。

坂本 なるほど。

スタートアップ初期のブランディングをどうする?

坂本 クラシルさんも、(DELISH KITCHENの)エブリーさんも、きちんと資金調達をされて、十分な資金を持っていらっしゃいましたよね。

本当に出たばかり、プロダクトが出たばかりというような会社やサービスでも、皆さんにお願いして、クリエイティブのコンサル段階から作ってもらうというようなことができるかというと・・・できるんですか?

中村 これね、僕もわかんなくて。やりたいんですが。

(会場笑)

普通は、シード期を超えてバナー広告でCPI(Cost Per Install)などのPDCAを回した。いわゆるプロモーションはいったん終えた後で、更なるブランディングやマーケティングをしたいという時に頼まれることが多いのですが、もっと前から携わりたいです。

坂本 フェーズとしては(スタートアップの資金調達の)シリーズA、Bが終わった後くらいから関わられることが現在は多いということですね。

中村 たとえば、VALUという企業を2017年5月31日に立ち上げて、会員数が今10万人くらいです。

これはノンプロモーションです。

(左から2番目)PARTY Creative Director/Founder / VALU 取締役  中村 洋基氏

中村 ノンプロモーションでも毎日、ヤフートピックスなどで炎上騒ぎとかが出ているので、今のところはする必要ないのですが(笑)。

そのような初期の段階で、ブランディングをするにしても、いざ自分のこととなると、何をどうすべきか分からない。そういえば、これほど初期のサービスをお手伝いしたことがなかったなと。皆様にお聞きしたいなと思っていました。

やるべき/やらないことの判断軸となる”背骨”を設定しよう

齋藤 弊社は、いわゆるマスマーケティングに入る手前の支援もやっています。

坂本 そうなんですね。

齋藤 ですから、本当にできたてホヤホヤの会社のブランディングにも結構取り組んでいます。

ソフトバンクのペッパーというロボットを開発した林さんという方が創ったGROOVE Xというロボットの会社があるのですが、そこの企業ビジョン策定なども担当させていただきました。

前回の福岡(ICC FUKUOKA 2017)のセッションの時にもお話ししたのですが、ブランディングというのは、会社が存在する以上は出だしから絶対に必要だと思っています。

「お金が入るとテレビCMを打ちたくなる」dof齋藤氏がスタートアップに鳴らす警鐘

いわゆるプロモーションという販促領域のもの、すなわちどのくらい獲得して売り上げに貢献していくかという話と、企業文化やサービス文化をいかに作っていくという話は、結構ごった煮にされがちで、テレビCMについてもブランディングなのかプロモーションなのか、両者の領域が曖昧になっているところがあると思います。

ブランディングとは、そこで働いている社員が、自分の仕事やサービス、そして会社に誇りを持ち、お客さんやユーザーが、そのブランドと何らかの接点を持っていくための取り組みだと思います。

先ほど話に出たDELISH KITCHENの「作りたい!が見つかる」というのはサービスの「背骨」のような部分だと思うんですよ。

「作りたい!が見つかる」という背骨、つまり軸になる部分を最初に設定しておくと、どのようなインターフェースにしていくかとか、どのような広告の運用をしていくかとか、その後のやるべきこと/やるべきでないことがはっきりしてくると思うので、そこは極めて重要だと思っています。

ですので、弊社ではその辺りのご相談からいただくことが結構多いです。

(左)株式会社dof Founder&CEO/Communication Designer 齋藤 太郎氏

齋藤 経営者と直接向き合って、その人の中から答えを導き出すというのは、弊社が比較的得意なところなのではないかなと思っています。

中村 確かに、お金にはならなくても大事ですね。

スタートアップは1つのプロモーションの失敗が命取りに

中村 スタートアップの文化は、ビジョンやミッションはきちんと持っていることが多いなという印象です。

一方で、「その名前でいいの?」とか、「そのロゴかよ!」というような、to Cで結構進んで行くと後で取り返しのつかないことをやっているケースも少なくないです。

彌野 そうですね、それは本当にその通りです。

以前、齋藤太郎さんとも話していたのですが、僕がスタートアップ業界に来て一番強く思ったことは、P&Gで1つプロモーションがつまずいても致命傷にはなりませんが、スタートアップは1つのプロモーションが命取りになります。

資金調達も人のお金を借りてやっているのですから、何というか、お金に対しての緊張感が非常に高いので、「プロモーションに1円払ったら、やはり2円戻ってこないといけない」という感覚が非常に強いと思うんですよね。

ですので、背骨のところも、この背骨が伝わったらユーザー数が増えるのかとか、この背骨が伝わったら売り上げが上がるのか、リテンションが上がるのか、というようなところがとても大事です。

名前の話も本当にそうで、なぜ名前にこだわるべきかというと、僕も割とこだわる方なのですが、名前というのは一番頻度高く見られる広告なんですよね。

究極的には、その名前を聞いただけで、どのようなことをするサービスか分かったら、広告を打たなくてもどんどん伝わっていくし、広がっていくと思うんです。

確かにスタートアップ業界は、創業者の思いだけで名前を付けているようなところがあって、「これは何ですか…?」みたいなサービスは多いですね。

タグラインを付けて処理したりすることもあります。ある程度お客さんがついてしまったり、その名称でSEOが効き始めてしまったりすると、名前を安易に変えない方がいいというような判断が必要になってきます。

エブリーさんのDELISH KITCHENは、KITCHENとついているし、DELISHでおいしそうと分かるので、そういう意味ではすごく整理されていると思いますね。

坂本 ちなみにDELISH KITCHENの「背骨」になるキーワードは、どれくらいのタイミングで、どのようなプロセスで決められたのでしょうか。

吉田 「作りたい!が見つかる」というのは、テレビCMをやる前に明確に決めようと考えていました。

元々「明日すぐ使えるレシピ」などのコンセプトは既に決まっていたのですが、最後、それをどのように、よりテレビCMに相応しいものに洗練させていくかというところだけを調整したという形です。

坂本 それは社内だけでやられたんですか?それともクリエイティブ・ディレクターと?

吉田 そうですね、最後はクリエイティブの方にも入っていただいて決めました。

ブランディングが売上の向上に繋がったのか?

彌野 ブランドの設計をする時には、やはりブランディングやマーケティングというのはフワッとした言葉なので、解釈が人によってわりと変わってしまいます。

そのブランドを作った時に、

「お客さんがそのブランドがない時よりも振り向いてくれるというか、興味を持ってくれる確率が上がるかどうか」

と、そのブランドが伝わった時と伝わっていない時で、類似するサービスと比較して

「自分たちのサービスや商品が選ばれる可能性が上がるかどうか」

の2点を綿密に見ておく必要があります。

「伝わった。以上」で終わってしまうと売り上げ・利益の向上につながらないと思うんですよね。

ですので、その点は結構明確に調査や分析をやった方がいいです。

株式会社Bloom&Co. 代表取締役 彌野 泰弘氏

彌野 この議論は、調査が重要か否かの議論にも関わってきます。

スティーブ・ジョブズが調査は要らないと言っていたというような話も伝わっていますが、あれは厳密に言うと、「どのような商品が欲しいですか?」という調査は要らないという意味の発言だと思います。

たしかにiPhoneのようなものが、調査のヒアリングから出てくるかどうかといえば、出てきません。

ですが、できあがったプロトタイプを見せて「どう思いますか?」と聞く調査は絶対にやった方がいいと思っています。

できあがったものを見せて誰も反応しない場合は、おそらく売れないんですよね。

ですので、調査を一括りにして要るか要らないか議論するのは止めた方がいいなと、僕はいつも思っています。

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 右脳的感覚に訴えるのがブランディング(PARTY中村) をご覧ください。

平日 毎朝7時に公式LINE@で新着記事を配信しています。友達申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! ICCのYoutubeチャネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/本田 隼輝/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

サービス初期からきちんとコンセプトを定めてブランディングしていくという話はICCにも通ずるところがあると思います。(本田)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

更新情報はFacebookページのフォローをお願い致します。

Pocket

ICCパートナーズ

ICCパートナーズ

ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンス「Industry Co-Creation サミット/ICCサミット」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。