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3. 知的障害のある作家のアートを展開する「ヘラルボニー」のビジネスモデル

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ICC FUKUOKA 2023のセッション「ビジネスモデルのケーススタディ(シーズン2) – ライフスタイルブランドを創る」、全6回の③は、知的障害のある作家のアート作品をIP展開するヘラルボニー 松田 崇弥さんが登場。事業のきっかけや幅広くコラボレーションをする理由とは? ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください

本セッションのオフィシャルサポーターは ノバセル です。


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 12D 
ビジネスモデルのケーススタディ(シーズン2) – ライフスタイルブランドを創る
Supported by ノバセル

「ビジネスモデルのケーススタディ(シーズン2) – ライフスタイルブランドを創る」の配信済み記事一覧


ヘラルボニー創業のきっかけ

松田 はい、ヘラルボニーという会社の代表、松田 崇弥と申します。


松田 崇弥
株式会社ヘラルボニー
代表取締役社長

代表取締役社長。小山薫堂が率いる企画会社オレンジ・アンド・パートナーズ、プランナーを経て独立。4歳上の兄・翔太が小学校時代に記していた謎の言葉「ヘラルボニー」を社名に、双子の松田文登と共にヘラルボニーを設立。異彩を、放て。をミッションに掲げる福祉実験ユニットを通じて、福祉領域のアップデートに挑む。ヘラルボニーのクリエイティブを統括。東京都在住。双子の弟。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。著書『異彩を、放て。「ヘラルボニー」が福祉×アートで世界を変える』

私は、小山 薫堂さんのくまモンの会社で働いていたことがあります。

「to C」のブランドビジネスだと言われることがありますが、実際、ヘラルボニーが行っているのは「IP(知的財産)」のビジネスです。

知的障害のある方のアートの著作権管理を軸に、B2B、B2Cを展開しています。

実は双子(※兄は文登さん)で会社を経営しており、もう1人似たような顔がICCサミットにも来ています(笑)。

4つ上の兄が重度の知的障害を伴う自閉症だったことも、創業のきっかけでした。

兄が「かわいそう」と言われたり、双子は「兄の分まで一生懸命生きろ」と親戚に言われたり、勝手にかわいそうバイアスがかかったり、バカにされる対象になったりしていることが、昔から気持ち悪いと思っていました。

それで、30歳くらいになるまでには、福祉領域で起業したいと考えていましたが、結果的に、4年前、27歳の時にヘラルボニーを創業しました。

日本では、51.9%の人が障害のある人と触れ合ったことがないと回答します、これは先進国では第1位です。

障害者の社会参加促進等に関する国際比較調査の概要(内閣府)

兄はこだわりが強く、カメラを向けられるとピースをしなければいけないというこだわりを持っていて、カメラが向けられなくなると、真顔に戻ります。

ヘラルボニーという会社名は、兄が小学校の時、色々な自由帳に大量に書いていた謎の言葉です。

Sanuの商標の話(Part.1参照)がありましたが、これほど商標の取りやすい言葉はないと…(笑)。

菅原 そこまで思い入れのない決め方をしたのですか(笑)?

松田 いや、思い入れはありますよ(笑)。

兄にヘラルボニーの意味を聞いても「分からない」と言っていますが、何かしら意味があったのだろうと思い、それをそのまま会社名にしました。

会社のミッションは、「異彩を、放て。」です。

文化庁と厚生労働省が補助金を出していることもあり、今、日本全国の福祉施設でのアート活動が爆発的に増加しています。

それを、資本主義と密接に結びつけていこうと思っています。

字と字をつなげるというこだわりのある作家や、ボールペンでひたすら黒丸を塗る作家など、強烈なこだわりがパターン化するので柄になるのが特徴であり、それがライフスタイルブランドとの相性が良いのではないかという仮説から事業を始めました。

今は、153名の知的障害のある作家と契約しており、2,000点以上のアートデータの著作権管理をしています。

そのアートデータが、B2CでもB2Bでも展開されていくというビジネスモデル構造になっています。

さまざまな企業とコラボ

松田 店舗には、障害や福祉と書いているわけではありません。

お客様がイタリアや北欧のブランドだと思われているところに、「これは実は知的障害のある人が描いたものだ」と伝えることで、障害者へのイメージを変えることにチャレンジしています。

最近はライセンスコラボをしており、ディズニーと共同プロジェクトで「Disney|HERALBONY」というブランドをローンチして、今年ディズ二ーが100周年ということもあるので、これから百貨でのポップアップ出店の展開も予定しています。

「才能は、披露してはじめて、才能になる。」と思っているので、私たちが契約する場合、世の中に出たこともなく、値段もついたことのない処女作を契約することが多いです。

親が落書きだと思っていたものが、100万、200万円で売れることで、イメージがすごく変わっていくのではないかと思っています。

お皿や化粧品、缶詰から、ホテルのスイートルームのデザイン、建設現場、駅や電車、成田空港の第3ターミナルなどでアートを展開することを、ヘラルボニーが担当しています。

駅ではJRや、丸井グループに投資いただいていることもあり、エポスカードを活用して、使えば使うほど作家にお金が落ちる仕組みを作っています。

【丸井グループ×ヘラルボニー】利用額の0.1%を福祉を支える力に変えるヘラルボニーエポスカード誕生。(ヘラルボニー)

色々な企業と連携することで、レバレッジを効かせることにもチャレンジしています。

最近嬉しかったのは、パラリンピック閉会式のプロジェクションマッピングを担当させてもらえたことです。

パラ閉会式 作品彩る プロジェクションマッピングに採用 るんびにい美術館アーティスト【花巻】(岩手日日新聞社)

日本スタートアップ大賞もいただきました。 

【受賞】日本スタートアップ大賞 2022(ヘラルボニー)

支援、貢献という文脈ではなく、「かっこいい」「素敵」と思ってもらって尊敬を生み出せることが、ブランドの持つ力だと思っています。

そういう話ができることを、今日は楽しみにしています。

ありがとうございます。

菅原 ありがとうございます。

ソーシャルグッド・カタパルトに登壇する事業のような、社会的に意味を持つ事業を、しっかりとビジネスに変えていく能力は大事ですよね。

社会を変えるために、経営者たれ。ソーシャル・アントレプレナーが背負う新たな覚悟

例えばコーヒー豆も、フェアトレードだから買ってもらう、ブランドや販路を見つけ、消費者に欲しいと思ってもらえるところから始めることが大事です。

素晴らしいですね。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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