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開発集団、ZOZOテクノロジーズが青山のオフィスで挑む新規事業とは?

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ICCサミット FUKUOKA 2019のセッション「我が社のEX(従業員体験)ー オフィスで生み出すコラボレーション体験とは?」で紹介する企業のオフィスを訪問するシリーズ。第8回は、なにかと話題を集めるZOZOの開発部分を支えるZOZOテクノロジーズです。ぜひご覧ください。

▶この記事は ICCサミット FUKUOKA 2019でフロンティアコンサルティングがスポンサーするセッション「我が社のEX(従業員体験)ー オフィスで生み出すコラボレーション体験とは?」で紹介するオフィスのレポートです。

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)の募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18日〜21日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


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1998年の有限会社スタート・トゥデイの設立から2018年創業20周年を迎えた株式会社ZOZOは、現在主要子会社3つを抱えている。そのなかの一つ、同グループの開発を担うのが、株式会社ZOZOテクノロジーズ。Eコマースからロジスティクスに渡るシステム開発、技術開発、R&Dなどの業務を行う。

代表取締役CINO(チーフイノベーションオフィサー)の金山 裕樹さんは、プライベートブランド「ZOZO」発表の1ヵ月前に、ZOZOグループにジョインした。金山さんはファッションコーディネートアプリ「IQON」で知られる株式会社VASILY創業者だが、ZOZOグループにVASILYのメンバーとともに合流した。

このシリーズでは、自社のオフィスを作っている企業からお話をうかがってきたが、自社から、他のカルチャーを持つオフィスへ移転したケースは初。そのオフィスをご案内いただきながら、金山さんにお話を伺った。

エントランスからオフィスを望む。ガラス張りの球面の壁が見える

グループの開発部分を担うZOZOテクノロジーズ

球面ガラス張りの通称「円会議室」での取材

「ZOZOグループは全員、千葉県幕張にいるイメージがあるようですが、ZOZOテクノロジーズの本社はこの青山オフィスです。ZOZOでは、ブランド様への営業やコンサル、マーケティング、CS管理、物流など、コードを書かない知的生産活動をしています。

ZOZOテクノロジーズは、エンジニアの人口密度が高いところに本社を構えようということで、青山になりました。ここにオフィスを構えたのは3年前と聞いています。

ZOZOテクノロジーズだけではなくて、ZOZOのグループ会社、ZOZOUSEDが入っています。2社でこのオフィスを共有していて、ZOZO本体のスタッフ用のテンポラリー席もあります。

お話をうかがった金山さん

採用戦略を考えて、ここを選びました。

働きやすくて、いいオフィスです。緑が多いのもいいですよね。会社に来るとテンションが上がります。幕張のオフィスは緑より、前澤(友作氏・代表取締役社長)所有のアート作品がたくさん置いてあります。

オフィスのいたるところに緑がある。座席は固定だが、青山通りを見下ろす窓際席もある

このオフィスには、コードを書く人間が集まっており、ソフトウェアを中心とした課題解決や事業創出をする集団です。

2018年10月末現在で、ZOZOテクノロジーズには約260人の社員がいて、うち180人以上がエンジニアです。拠点は3箇所あり、ここに100名弱、幕張に約140名、福岡に20名くらいいます」

自分の会社からオフィスを移り、合流しても、金山さんが違和感をもたなかったのは、ZOZOの思想に深く共感したところもあるようだ。

「ZOZOグループの代表、前澤から2018年に創業20周年のタイミングで、ZOZOグループ全体の戦略や、働き方についてメッセージが公表されました。

概要は『楽しく働いて成果を残します。私たちは労働の概念をアップデートします。』というものです。そういった意味で、オフィスに来て働くことが楽しいことでなければいけないし、楽しい場所で働きたいじゃないですか。

そう考えたときに、緑がある、意匠が凝っている、アート作品があるなど、行きたくなるような場としての意味はあるのではと思います。もちろん何をするかも大事ですが、どこで仕事をするかも、人間なので左右するのではと思ってます」

エンジニア集団が新規事業に挑む

さまざまな形の椅子が置いてあるが、同系色のためか統一感がある

ZOZOテクノロジーズはエンジニアが8割というが、現在取り掛かっているのが、プライベートブランド「ZOZO」をテクノロジーの力で変える仕事である。

「プライベートブランドでは、再度、組織の気合いを入れて、どうしたらうまくいくかというのを必死に考えています。そのためにはトップが出ていくしかないという話を前澤としていて、積極的に海外へ行っています。

僕は新規事業、R&Dの代表なので、ZOZOSUITに替わる新しい技術や、コンテナサービスの優秀な人材獲得、海外との連携などのために、ひたすら飛び回っています。大変ですが、僕はバックパッカーだったし、そういうのは好きなので楽しく働けています」

大きな目標達成のために制度を変える

バーカウンター付きキッチン。大きな冷蔵庫もある

事業のほかにも、金山さんが現在奮闘していることがある。働き方の改革である。

「リモートワークを現在導入を検討している段階です。ジョインした当時、フレックス制度は無かったのですが、現在は導入しています。

フレックス制度がなく、リモートワークも行っていないのはなぜ?というのを掘り下げると、我々の部門はロジスティック部門と綿密に連携しているので、システムがトラブルを起こしたときに担当者がいないと、機会損失が大きいという背景がありました。

倉庫の稼働時間に合わせて勤務しているのですが、リモートワークを導入しても機会損失を押さえられるような方法が見つかったため、今はこれを変えようとしています。

我々は大きな目標を掲げてグローバルの事業を進めようとしていて、猛烈にやらないといけない。そのときに、どこで誰と、いつ働くなど自由度が高くないと、労働力が獲得できません。

適正な一人あたりの生産性を獲得するために、リモートワークや裁量労働制などの導入を加速させようとしています」

リフレッシュルームでは、活発なミーティングが行われていた

倉庫との連動面、またグループ内の公平性や、それまでのやり方で年率20%の成長を20年間続けてきたことから、違う制度の導入に抵抗があったのは、想像に難くない。しかし、金山さんはこれからの働き方を見据えてこの判断ををした。

「僕は常に変化し続けるべきだと思っています。今後のことを考えると、9時〜18時固定である必要は必ずしもない。幕張在住のスタッフもいるため、青山にこの時間に出社したくない人もいると思います。

なので、まずは、10〜17時のコアタイムの導入が半年前に始まりました」

個室の会議室も充実。iPadで空き状況が分かるようになっている

一方で、働き方の大きな方向性としては、ZOZOには「ろくじろう」という制度がある。

「もともと前澤が1日8時間労働に疑問を持っていました。人間が本当に集中できるのは3〜4時間程度なので、極限まで労働時間を短縮して6時間にしました。昼食を抜いて6時間働き、そのあとは帰る。そして余暇時間を自分の人生や自己研鑽に使う。効率的に生産性を上げるために6時間働くという考え方です。

『ろくじろう』を申請すると、6時間勤務するけれども、みなし8時間が適用されます。

ただ、我々は軸となる新規事業が新たにひとつ乗っかっている状態です。これは相当な業務量になります。現状それをやれる余裕のある部署は少ないですね。

でも、今後の意思としてはより強力に推進していきたいと思っています。決められた目標や役割を果たしていたら、何時でもいい、どこで何をしてもいいよという性善説に基づいて、働くという労働スタイルに変えたい。今、少しずつ改革しています。

会社の進む方向としては、好きなときに集中して働くライフスタイルを追求していくべきと思っています」

ワークとライフは表裏一体だから楽しむ

働き方の改革を進める一方、大きな目標の陣頭指揮を採る。それでも金山さんからは、面白くてやりがいのある仕事をしているという気持ちや熱意が伝わってくる。

「現在前澤もかなりやる気になっていて、プライベートブランドは、陣頭指揮をとってハンズオンしています。製品は自らすべて着ますし、LPやキャンペーンの一言一句、アウトプットは可能な限り確認するし、そこから指示が出てきます。

もともと細かいことに気づける人ですし、好きなんでしょうね」

前澤さんとグループ会社代表陣はこまめにコミュニケーションを取っているようで、取材当日の朝も、1on1をしていたという。

「IQONのクライアントとしてお世話になっていた期間を含めて、前澤との付き合いは7年くらいになりますが、基本的にはめっちゃ働く人です。ここ最近は特に集中して働いている気がします。

先日前澤から言われたのは『ほんと君はラッキーだね!僕、今めっちゃやる気ある。その時期に一緒にいるのはラッキーだよ』と言っていました(笑)。

あの稀代の経営者が超エネルギッシュに働いているときに、一緒に働けるのはでかいですね、まさにラッキーでした」

働く楽しさを実感している言葉が続く。その気持ちを会社全体に行き渡らせたいと、金山さんは考えている。

「もとの概念としては、『楽しもう』というのが強いですね。たとえば小学校のときのサッカー部の子たちは、練習と決められているからやっているわけではありません。でも、日が暮れるまでボール蹴っている。楽しいからたくさんやった、たくさんやるからうまくなる、うまくなるからもっとやる、という好循環のループです。

そういう好循環をZOZOグループ全体として、働き方として推進したい思いがあります。

ワークライフバランスという言葉がありますが、そういった概念ではなくて、ワークとライフは表裏一体で、くっついているものだと思います。人生を楽しむし、働くのも楽しむという生き方を、ZOZOグループとしては目指しています」

広報の坂井さんも続ける。
「旧VASILYのメンバーもほとんど残っていますし、楽しいから続けているし、客観的に見ても彼らは今が一番楽しそうに見えますね」

今までなかった新しい層から応募が来るように

球面ガラスは会議室だけでなく間仕切りとしても使われている

事業拡大のため、採用は不可欠。最近、応募してくる層に変化がみられるという。

「例えばソフトウェアエンジニア、土日もコードを描いていたり、シンプルにコードを書くのが好きで、たまたま仕事がエンジニアという人は絶対採用します。仕事の時間だけコードを書いているという人は、採用していないです。

最近は、日本発グローバルでチャレンジしたいという方が増えてきました。募集要項でグローバルに向けて挑戦するイメージの打ち出しもしていますが、前澤の月周回計画やバスキアの絵画を購入のニュースあたりから実際に増えてきました。前澤のメディア露出も採用に効いていると思いますね。

ZOZOのことはニュースなどで知っている、ぐらいの人たちです。採用があるのを知ってホームページを見てみると、チャレンジする姿勢に共感して、自分のスキルを使ってグローバルで戦ってみたい感じた、という人が増えています。

スペースXでの英語のスピーチも効いています。前澤は英語を聞くことはできるのですが、話すのはそんなに流暢ではない。本人は否定すると思いますが、おそらくしっかり練習して、全世界に向けたメッセージを語りました。

ZOZO前澤氏の月周回計画記者会見の英語スピーチ

月へ行くというのは個人の活動ですが、チャレンジするという意味では僕も影響を受けました。グループのトップがグローバルにチャレンジする姿は、応募してきてくださる方だけでなく、ちゃんと社内に伝播していると思います」

グループのトップ自らが宣言し、挑戦し、その姿を仲間に見せる。大きなチャレンジへの熱意は伝播する。自分の人生、自分の仕事を、好きになって楽しむ。オフィスはそのためにスイッチが入りやすくなる装置で、機能的かつ心地よい環境であればいい。

球面ガラス張りの会議スペースというZOZOらしい面はあるが、その他は小細工のない、2社ワンフロアにつながったシンプルなオフィス。広々としたデスク、アーロンチェア、立派なキッチン、重量感のある家具にさまざまな形のチェアが並ぶ。業界柄ファッショナブルでもあるが、それよりも高品質かつ必要最低限、でも温かみもあるという印象が強い。

オフィスの仕掛けで人を動かすのではなく、楽しんで働く人たちでオフィスを満たす。主体性を重視するZOZOテクノロジーズが目指す働き方を、このオフィスで見たような気がした。

【ZOZOテクノロジーズ オフィスデータ】

所在地 本社(撮影地)
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5丁目52-2 青山オーバルビル 3F
幕張オフィス
〒261-7116 千葉県千葉市美浜区中瀬2-6-1WBGマリブウエスト15F(受付)16F(オフィス)
福岡オフィス
〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神1−3−38 天神121ビル7階
オフィスフロア平米数 非公開
設立 2017年04月
従業員数 262名(2018年10月末時点)
事業内容 ZOZOグループのサービス開発、新規事業の創出、ZOZO研究所を中心としたR&D

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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