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「経絡秘孔を突け!」北斗の拳流プロダクト開発の極意(スマートニュース鈴木健)【SP-DS2 #2】

これまでに配信した、デザインに関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス TOKYO 2016 より「優れたプロダクトの生み出し方」の記事を再編集して9回シリーズでお届けします。

デザイン特集2(その2)は、スマートニュース鈴木さんに自己紹介とプロダクト開発において重要だと思うことについてお話しいただきました。あべし・ひでぶが懐かしい方、ぜひご覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。


登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 4B
「優れたプロダクトの生み出し方」

(スピーカー)
佐々木 大輔
freee株式会社
代表取締役

鈴木 健
スマートニュース株式会社
代表取締役会長 共同CEO

徳生 裕人
グーグル株式会社
製品開発本部長

中村 洋基
PARTY
Creative Director / Founder

(モデレーター)
赤川 隼一
株式会社ディー・エヌ・エー
モバイルソーシャルインキュベーション事業部 シニアマネジャー

「優れたプロダクトの生み出し方」の配信済み記事一覧

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【本編】

赤川 では続いて、鈴木さんよろしくお願いします。

鈴木 健氏(以下、鈴木) スマートニュースの鈴木です。よろしくお願いします。



鈴木 健
スマートニュース株式会社
代表取締役会長 共同CEO
 
1998年慶応義塾大学理工学部物理学科卒業。2009年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。情報処理推進機構において、伝播投資貨幣PICSYが未踏ソフトウェア創造事業に採択、天才プログラマーに認定。著書に『なめらかな社会とその敵』(勁草書房、2013年)。東京財団研究員、国際大学グローバル・コミュニケーションセンター主任研究員など歴任し、現在、東京大学特任研究員。

僕、実は現役で東大の客員研究員を務めていて、本日の会場は母校でもあります。。

今日はどっちの話しようかなと思ったんですけど、やっぱり研究じゃなくてスマートニュースの話をした方がいいですよね(笑)。

赤川 そうですね(笑)。

経絡秘孔(けいらくひこう)を突け

鈴木 本日、プロダクトの話ということで、よくスマートニュースはどうやってプロダクトを創られているんですか、というのを聞かれますが、僕たちも、かなり試行錯誤を重ねている状態で、まだまだ何が大事なのかを考えながらやっているという感じです。

今日はみんなに役に立つことを話すということで、少しずつそういう視点から話したいなと思っています。

スマートニュースは、スマートフォン向けのニュースアプリで、グローバルで1,800万ダウンロードというところまで来ました。

本当に試行錯誤でやっているので、色々大事なことはありますが、その中で1つ挙げるとこの言葉です。

「経絡秘孔(けいらくひこう)」です。お前はもう死んでいる。

編集注: 経絡秘孔(けいらくひこう)は、漫画『北斗の拳』・『蒼天の拳』に登場する架空の人間の急所である。少林寺拳法開祖宗道臣が著作で人間の急所経穴を表現した言葉に由来する。(出所:Wikipedia)

赤川 これ20代の起業家とか分からないかも…

鈴木 すみません、古くて(笑)。

(会場笑)

鈴木 「北斗の拳」という漫画がありまして。

中村 洋基氏(以下、中村) あ、この会場で北斗神拳を知らない方、いらっしゃいますか?(笑)

鈴木 20代の人ついてこれますか。経絡秘孔を突くと、「 あべし、ひでぶ 」と言って死んでいくのです。

僕はよくこの言葉を共同創業者の浜本に言っていて、今でも言っているのが、「それは経絡秘孔を突いているのか?」という話をします。

経絡秘孔を何で突かなきゃいけないかというと、B to BかB to Cかで違うのかもしれないですが、プロダクトはとにかく色んな機能を追加していっても、ほとんど何も効かない。
上手くいかないプロダクトに色々改善を加えても、全く効かないということですね。

僕も何十というプロダクトに今まで関わっていまして、その内うまくいったのはスマートニュース入れて3つくらいですが、何が上手くいって、何が上手くいかないのか(を定義するの)は本当に難しい。

そういう中で、とにかく僕が意識しているのは、それが経絡秘孔を突いているのか、ということです。

スタートアップっていうのは特にリソースが少ないので、色々出来ないんですよね。

僕の共同創業者の浜本は大変優秀なので、色々出来るので、スマートニュースの前にやっていた「Crowsnest」というプロダクトでは、ローンチ直後から1週間に1個ずつ機能を追加していったんですね。
しかし、全く上手くいかないんですね。

それは経絡秘孔を突いていないからだ、と考えました。じゃあ、どこで経絡秘孔を突くべきなのかが大事な訳ですが、スマートニュースの場合、多分いくつかある経絡秘孔の1つがスマートモードと呼ばれている機能でした。

見たことあるかもしれませんが、記事をタップした後に出てくる画面で、スマートモードというところをタップすると、電波が圏外であっても記事が読める、という機能です。圏外やロード時間が遅いという環境であっても、速く読むことが出来るところが、スマートニュースの1つの経絡秘孔だったと思います。

僕はこれに気づいたのは、地下鉄に乗っているときに、なんでみんなスマホでニュースを読まないんだと、怒りにも近いものを感じたんですよね。全然みんな読んでくれない、と。どうしてかと思って隣の人を見たら、スマホでゲームをやっている訳です。

別にこれゲーム会社さんさんをディスっている訳じゃなくて、みんなの様子を見ると、やっぱりゲームをやっている訳ですよ。僕のスマホを見ても、やっぱり僕もゲームやっていたんですね(笑)。

(会場笑)

鈴木 なぜかって言ったら、読みたくても読めないんですよ。いいコンテンツがあるんですけど、読むことが出来ない。ここを解決すればいいんじゃないかという風に思ったんですね。

その後、このスマートモード機能のおかげで、大変な炎上騒ぎなどもあったりして、それを沈静するのにそこ(参加者席)にいらっしゃる藤村さん(藤村厚夫・スマートニュース株式会社 執行役員)のご協力を得たりと、色々とありました。

秘孔を突きすぎたんですね。秘孔を突きすぎて、社会全体に影響を与えてしまうということもある。それぐらいのことをやらないとダメだということなんでしょうけど。

今年の1月にMicrosoftが出したNews Proというアプリが出て、左側にSpeedy Modeっていうのが付いているんですけれど、これは出た瞬間にTechCrunchの本家で叩かれました。なぜかSmartNewsとアイコンの色まで一緒なんですけれど、ある種ユニバーサリティがあるアイディアなんだな、と考えました。

その後、FacebookがInstant Articlesというのを始めたり、次に、GoogleがAMP(Accelerated Mobile Pages)というのを始めたり、スマホで読むと記事読むの遅いよね、読めないよねっていうところにユニバーサリティがあって、ある種の本質や普遍性があるところを突けたんじゃないかな、と思います。

なので、僕は経絡秘孔というのが大事だと思って、日々今でも会社のメンバーに、「それ経絡秘孔突いてるの?」と言っています。

赤川 ありがとうございます。早速深い話が聴けました。どうやって秘孔を見つけるのか、とか色々聞きたいことはありますが、後でまた戻ってきたいと思います。鈴木健さんです。よろしくお願いします。

(続)

続きは 「ミッションをチームで共有する」Google徳生氏が考えるプロダクト開発に大切なこと をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/藤田 温乃

【編集部コメント】

続編(その3)では、グーグル徳生さんに自己紹介とプロダクト開発において重要だと思うことについてお話しいただきました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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