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2. お酒を地域のメディアとして活用する秋田・男鹿「稲とアガベ」岡住さん

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ICC FUKUOKA 2024のセッション「地方創生を実現する新しい「街づくり」とは?」、全6回の②は、稲とアガベの岡住 修兵さんが登場。「お酒は地域のメディア」という考えを実践し、強いプロダクトで人を集め、地元に訪れたくなるような店やホテルを作っています。その取り組みを支えるものとは? ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは プレイドです。


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 7E
地方創生を実現する新しい「街づくり」とは?
Supported by プレイド

(スピーカー)

飯尾 彰浩    
飯尾醸造 五代目当主 / 江戸前シャリ研究所 所長

岡住 修兵    
稲とアガベ
代表取締役

小林 兼    
ファイターズ 
スポーツ&エンターテイメント
執行役員 事業統轄本部 企画統括部長

和田 智行    
小高ワーカーズベース    
代表取締役

(モデレーター)

岩田 真吾    
三星グループ    
代表

各務 亮
電通    
クリエイティブ プロジェクト ディレクター

「地方創生を実現する新しい「街づくり」とは?」の配信済み記事一覧


各務 では、岡住さん、お願いします。

ICC SAKE AWARD初代優勝、稲とアガベ 岡住 修兵さん

岡住 修兵さん(以下、岡住) はい、稲とアガベというクラフト醸造酒の会社を経営している、岡住と申します。よろしくお願いいたします。


岡住 修兵
稲とアガベ株式会社
代表取締役社長

1988年、福岡県北九州市出身。神戸大学経営学部を卒業後、秋田県・新政酒造で酒造りを学ぶ。2021年に秋田県男鹿市に「稲とアガベ醸造所」をオープン。新ジャンルのお酒「クラフトサケ」造りを行うとともに、レストラン「土と風」を経営。2023年春、食品加工所「SANABURI FACTORY」を立ち上げ、廃棄リスクのある酒粕をマヨネーズにする加工生産をスタート。また同年8月一風堂監修レシピのラーメン店おがやを立ち上げる。今後はホテルや蒸留所の建設を予定しており、多くの優良な雇用を創出することを目指す。クラフトサケブリュワリー協会初代会長。

我々は2021年の秋から、旧男鹿駅の駅舎を活用してクラフトサケというものをジャンルごと作って、醸造しています。

クラフトサケは、日本酒の技術をベースに、フルーツやハーブを一緒に発酵させて作る新しいお酒です。

ありがたいことに、ICC SAKE AWARDの初代チャンピオンに選んでいただきました。

【速報】新企画「SAKE AWARD」、初代優勝は秋田・男鹿のクラフトサケ醸造所「稲とアガベ」(ICC KYOTO 2023) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION (industry-co-creation.com)

岩田 おめでとうございます。

(会場拍手)

岡住 今回も出場しており、昨日、予選を2位で通過したので、決勝も頑張りたいです。

岩田 熱燗師を連れてきているのでしたっけ?

岡住 そうです、熱燗DJつけたろうという人がいて、今日は2回つけてもらいます。

審査員の方はぜひ、楽しみにしてください。

お酒の特殊能力を利用して地域を盛り上げる

岡住 我々は、お酒は地域のメディアだと捉えています。

地域の名刺代わりに、日本中、世界中に旅立ってくれる存在だと思っています。

お酒は特殊能力を持っていて、飲んでおいしいと感じると、その場所に行きたくなるのです。

その能力を利用して、地域を盛り上げるのが街づくりのアイデアです。

岩田 お酢には、そういう特殊能力は…?

飯尾 あります、あります。

お酢を作る前にお酒を作るのですが、そのお酒は我々の経営するレストランだけでしか飲めません。

お酢は地域メディアだと、岡住さんのアイデアを使わせてもらいます。

岡住 ぜひ。街づくりは、サービス業を起点にしたものが多いです。

サービス業はボラティリティ(価格変動)が高いので、うまくいくかどうか分からず、赤字を覚悟してのビジネスになりがちです。

僕たちは、強いプロダクトを作って利益を確保した上で、サービス業を展開するという発想で街づくりをしているのがポイントです。

岩田 外からお金を取ってくるということですか?

岡住 今は競争が激しく、街に人を呼び込むのはめちゃくちゃ大変です。

でもお酒は、勝手に日本中、世界中に旅立ってくれます。

お酒を通して男鹿を知ってもらい、「いつか行きたい」と思ってもらえるのです。

その上で、レストラン(土と風)を作ったり、ラーメン屋(おがや)を作ったりするということです。

このような、完全予約制のレストランです。

今回のフード&ドリンクアワードにも出展していますが、酒粕を活用した発酵マヨを作る食品加工場を2023年4月にオープンしました。

酒粕の栄養素はかなり高くてめちゃくちゃ良い素材ですが、秋田県内だけで400トンほど捨てられています。

それはすごく勿体ないと思い、これに何か価値を付与できれば日本酒業界の下支えになると考え、開発したプロダクトです。

一風堂と立ち上げたラーメン屋が行列のできる人気店に

岡住 2023年8月に、ラーメン屋を立ち上げました。

ありがたいことに一風堂さんが手伝ってくれることになり…。

岩田 なぜそうなったのでしょう?

岡住 プロダクトのおかげです。

僕たちはホップを使ったどぶろくを作っていますが、一風堂の創業者の河原(成美)さんが、イベントがきっかけでそれを飲んでくれたのです。

めちゃくちゃ美味しいからと、すぐに経営陣に「この酒をフランスの全店舗に」と電話をしたのです。

その当時在庫がなかったので、「在庫はないのですが、ラーメン屋をやりたいです」と話すと、当時CSOだった山根(智之)さんが手伝ってくれることになりまして。

山根さんはその後社長になり、それで、社長案件で男鹿のラーメン屋をプロデュースするプロジェクトがスタートした、という感じです(笑)。

岩田 やばいですね。偶然を味方にするパワーもあるということですね。

岡住 会った人全員が街づくり要員だと思っていますので、面白い人がいれば、絶対に巻き込むようにしています。

岩田 それはすごく重要ですね。

岡住 それでできたのが、男鹿塩らーめんです。

これを投入した結果、行列ができるラーメン屋になりました。

岩田 本当だ。

岡住 以前は全く人が歩いていなかった通りに立ち上げたのに、行列ができて嬉しいです。

1年以内にジン製造の拠点を作ったり、今年秋には古い建物を改装したホテルをオープンしたりする予定です。

今は、電車でレストランに来たお客様が秋田市に宿泊している状況だからです。

それに先行して、簡易宿を稼働させます。

ICC運営スタッフの荒木 珠里亜さんが、立ち上げに一生懸命取り組んでくれています。

岩田 何の縁もないのに、男鹿に移住する…。

岡住 そうです。

岩田 新しい動きですよね。

岡住 年内にスナック、2年後にはオーベルジュを作ります。

このように、爆速でこの2年、プロダクトを起点にサービス業を展開してきました。

岩田 ちなみに、飯尾さんはもともと京丹後のご出身で5代目ですが、岡住さんのご出身は?

岡住 福岡県北九州市です。

岩田 大学は?

岡住 神戸です。

岩田 少しずつ北上し、東京を飛ばして秋田に行ったという、よそ者の街づくりプレイヤーなのですよね。

岡住 そうですね。

岩田 話を聞いていて、やたら開発をしていて、不動産にも手を出していると感じます。

それに関わる費用はどうしているのですか?

岡住 全てデットです、これも僕らの事業の特徴ですね。

ありがたいことに、創業期に無担保で、金利0.3%で2億円を借りられました。

岩田 0.3%は良いですね。

岡住 農業従事者として、利率の良い農業系の公庫資金を活用しています。

岩田 そういうことですか。

岡住 公庫資金で、銀行と協調して頂いています。

まだ1円も返していない状態ですが、もう1億円貸していただきました。

まだ返していないのですが、今年さらに2億ほど貸していただけそうです。

岩田 毎月返済ではないのでしょうか?

岡住 利子は乗りますが、元本保証期間が結構長めの資金なので、まだ1円も返していません。

岩田 今、金融のプロが計算し始めたぞ(笑)。

余談ですが、このセッションにはVCなど、街づくりをしているプレイヤー以外も参加して、こうすれば経済が回るという話もしたいと僕は思っています。

ですので、こういうお金のトピックも出たということを、ぜひ周りの方にもシェアしてください。

強いプロダクトと、もともと持つ魅力を掛け合わせる

各務 よく、京都は使える資産がたくさんあるから良いよねと言われます。

しかし、他の多くの地域では、自分たちの資そ産なんてない、何が資産なのだろうかと迷ってしまうと思います。

男鹿は必ずしも恵まれている地域ではないにもかかわらず、このような取り組みができたアイデアは皆さんのヒントになると思うので、ぜひ教えてください。

岡住 ありがとうございます。それはもう本当に、プロダクトだと思います。

強いプロダクトさえ作れれば、それがアイコンになっていきます。

そのプロダクトと、男鹿がもともと持っている魅力を掛け合わせました。

例えば、良い景観の場所、なまはげという文化などです。

なまはげを起点にすると、これまでにもうやり尽くされています。

でも、新しいプロダクトを作ってなまはげと掛け合わせれば、相乗効果でさらに強くなります。

ですので僕は、プロダクト起点という考え方を常に提唱しています。

飯尾 生酒となまはげとか?

岡住 (笑)、それ作りましょうか。

飯尾 火入れしていない、みたいな。

岡住 確かに(笑)。

各務 ありがとうございます。

(続)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成

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