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7. 数少ない日本の食のスタートアップ、Co-Creationで世界を目指そう!【終】

食関連のビジネスを展開する経営者が集結したICC FUKUOKA 2024のセッション「『食』のビジネスポテンシャル」、全7回の最終回は、日本草木研究所のビジネスポテンシャルについて、登壇者全員で意見交換。シンクロ 西井 敏恭さんは、食のビジネスポテンシャルに非常に可能性を感じたとセッションを振り返ります。協業を呼びかけセッションはお開きに。最後までぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは エッグフォワード です。


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 4F
「食」のビジネスポテンシャル
Supported by エッグフォワード

(スピーカー)

友廣 裕一
シーベジタブル
共同代表

内藤 祥平
日本農業
代表取締役CEO

橋本 舜
ベースフード
CEO

古谷 知華
日本草木研究所(山伏)
代表

(モデレーター)

西井 敏恭
シンクロ
代表取締役

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3社の共通点は市場を作っていく必要があること

西井 なるほど、分かりました。

日本草木研究所シーベジタブルと似ているところもあるかなと思いつつ…日本農業は、ある程度りんごが売れていて美味しいものがあればさらに売れるという話で、ベースフードは市場を作っています。

マーケットイン、プロダクトアウトという言葉でまとめられるかは分かりませんが…日本草木研究所とシーベジタブルは、売れていない市場にプロダクトを浸透させなければいけないということかと思いました。

橋本 海藻と果物とパン、ハーブやスパイスと考えると、それぞれ、もともと市場はあります。

でも僕たちの製品の市場を作っていかなければいけないという点では、全て同じな気がしますね。

西井 なるほど。

やはり市場に受け入れられる方法さえあれば、生産工程は何とか頑張ろうということですかね。

ビジネス課題は、市場の受け入れということでしょうか。

橋本 いや、僕は他の人が作れないほど良いものを作れれば売れる、その方がレバレッジを効かせられると考えています。

西井 収穫に課題はあるかもしれませんが、結局は、そこからどうプロダクトを作るかということになるのでしょうか。

古谷 そうですね。森で色々なものを食べて思うのは、山椒は本当に強いということです。

日本で唯一、世界的に有名なスパイスは山椒だと思っています。

色々食べた後に山椒に戻ると、「山椒、うまっ!」と思わず口に出してしまうくらいです。

これだけ人間がいて、山椒に匹敵する何かが出てきていないのであれば、もうないのではないかという気もしています。

日本草木研究所のビジネスポテンシャルを考える

橋本 山椒が美味しい理由が山椒のある成分だとしたら、その成分のある他の植物を収穫すればいいという考え方もあるかもしれませんね。

古谷 そうですね、植物は地域性も強いので、例えば岐阜県の美味しいものと他の県のものを掛け合わせて品種改良し、群生地を作るという方向性もあるかもしれません。

橋本 どの植物も、系統は似ていますよね。

美味しいのは植物そのものではなく、植物に含まれる成分ですよね。

ですから、どの成分の組み合わせが美味しいのかが分かれば、他にも広げられる気がします。

古谷 なるほど。

西井 ベースフードはまさに、そういうことができる部門を持っているということですか?

橋本 事業が違うのでそこまでではないですが、例えば、JTで香りの研究をしていた方が入社しています。

例えば、ゴーヤの苦味成分を感じる神経と鰹節の香り成分を感じる神経が同じなので、ゴーヤチャンプルに鰹節をかけると苦くなくなるのです。

そういう仕組みが分かれば、勝ちパターンが見えてくるのではと思います。

西井 nomaもそうだと思いますが、世界でも今、科学的に食物を分析、分解してメニュー開発をしているはずです。

そこまで踏み込むことができれば、今の原料をもっと別の方法で使えたり、季節性を持たせたりできるかもしれません。

山椒も、色々な種類がありますよね。

橋本 ワインのペアリングも、マリアージュまでいかなかったとしても、基本的には同じ香り成分のあるものをしていますので、成分と相性には関連性があります。

古谷 品種改良はせず、そのものを最大限美味しく食べるための方法を見つけていくということですか?

橋本 御社の場合、品種改良してしまうと、我々の領域に寄ってきてしまうと思います。

狩猟採取、農業、加工食品というレイヤーがあると思うので、中途半端に改良すると、加工食品になってしまう気がします。

古谷 なるほど。

内藤 胡椒など、今ポピュラーなスパイスの歴史を辿ると、昔、山にあったものを誰かが採って食べたら美味しかったから量産したというものですよね。

古谷 そうですね。

内藤 歴史上、量産化に至ったスパイスで、胡椒はすごく古いですが、最近の新しいものだと何があるのでしょうか?

古谷 台湾のマーガオですね、「馬告」と書きます。

15年ほど前に突如として現れ、今は世界のスパイス会社も扱っていますが、もともとは台湾の少数民族が食べていたものです。

内藤 それは誰が量産化したのでしょうか?

古谷 スパイスの会社が台湾の人を雇って、農園を作って、だと思います。

内藤 色々なスパイスがありますが、何かヒットするものが見つかった時、誰かがマス向けに量産しますよね。

橋本 ただ、やりたいことをやるのがすごく大事だと思うので、そうなったらつまらないのでは?

古谷 (笑)

橋本 量産したら面白くないですよね。僕は、量産よりもデータプラットフォームになるのが良いと思っています。

香り成分のデータプラットフォームではなく、Googleマップのようなイメージで、どの地域のどの場所にどの植物が生えているかのデータがあれば、誰でも採取可能になりますよね。

古谷 そうですね。

橋本 そのデータを溜めていくのがいいのではないかと思います。

古谷 沖縄と北海道を除いて、本州の植生は8割が同じです。

マーガオが鹿児島に生えているなど、残り2割の中に面白い地域特性があるので、そのデータをまとめられれば面白いですね。

それを公開してもビジネスにはならなさそうですが。

橋本 公開しなくてもいいのではないですか? 有料で提供するのは良いと思います。

Uber Eatsのように、データを提供して、ギグワーカーに採ってきてもらうイメージです。

西井 食の流行を作るという観点で、ハイエンドを狙う方向はどう考えますか?

橋本 もともとやりたいことをやるという意味では、良いと思います。

超高級店に超希少品種を卸し、むしろマスには売らないことで、「この自生のものはあなたたちにしか売らないので、マス向けの10倍の価格を払ってね」というのが一番正しいのではないでしょうか。

西井 そうですよね。

マス向けにしても、結局生産量の問題があり、コストも低くなってきて、結果的に収穫側の利益が増えないので、ハイエンド向けで良いのではないかと思っていました。

古谷 なるほど。

食に新しい技術をどう掛け合わせるか

西井 ありがとうございます。

残り時間も少ないのでそろそろ締めたいのですが、食のビジネスポテンシャル、いかがでしたか?

聞いていて楽しいですし、めちゃくちゃ可能性を感じますよね。

食は身近なものですし、皆さんも普段スーパーやレストランで触れていると思いますが、当たり前に思っていることでも、掘り起こして言語化してみると、めちゃくちゃ可能性があると感じてもらえたのではないでしょうか。

ただ、残念ながら日本には食のスタートアップはすごく少ないです。

オイシックスでもCVCをしていますが、フードテックファンドはテックの要素があまりないのです。

日本初、オイシックスが「フードテック」専門の投資部門を設立~“食×テクノロジー”分野へ投資、提携することで事業を加速~(PR TIMES) 

食を頑張って作るのですが、そこに新しい技術をどう掛け合わせるかが、僕は結構大事だと思っています。

日本農業とベースフードは、ちょうどそこに取り組んでいてうまいくいっていたので、お呼びしました。

ですので、シーベジタブルと日本草木研究所も、その観点を取り入れれば次の段階に進めるかもしれないなというのが、僕なりの感想です。

橋本 例えば、農業のように「大きい市場」と半導体のように「伸びている市場」を掛け合わせれば、ビジネスは大きくなりますよね。

西井 めちゃくちゃ良いこと言いますね。

橋本 それは、すごくチャンスのある市場だと思います。

食の分野でCo-Creationを!

西井 というわけで、最後に各社一言ずつ、協業したいなどアピールも含め、コメントを頂いて締めたいと思います。

友廣 ありがとうございました、色々と勉強になりました。

僕らは海藻の栽培技術は持っていますが、活用面がまだまだ弱いです。

ヨーロッパでは、食への利用は進んでいませんが、バイオプラスチックや肥料、飼料の原料として使われています。

このあたりには大きな可能性があると思いますが、自分たちだけではそこまで探究できないので、日本がリードしている海藻という分野でもっと色々なパートナーが現れればいいなと思っています。

興味のある方はぜひ、お声がけいただければと思います。

ありがとうございました。

内藤 やはり、どうしたいかなのかなと思いました。

アホっぽいですが、僕は良いスパイスがあるなら、量産したいのです(笑)。

橋本 僕も、加工食品作りたいと思うかも(笑)。

内藤 高密植栽培など、生産性が高くて投資として成り立つ農業を自社で行っています。

また、農業参入に関心のある企業に投資してもらい、我々が開園をして場合によってはオペレーションを回すという、投資先としての農業も扱っており、耕作放棄地という価値を生み出さない土地を、お金を生み出すものに変えていくということを行っています。

そういう形で大企業とも協業していきたいと考えているので、どうぞよろしくお願いいたします。

橋本 僕は新卒でDeNAに入社して4年半の間、色々な事業を行っていましたが、ベースフードを創業して8年なので、完全に食の人です(笑)。

食産業の色々な人とコラボしたいですし、自分たちの経験を掛け合わせることもしたいです。

今日はマニアックなセッションなので参加者も少ないと思っていましたが、楽しめました。

どの産業にも共通する組織やファイナンスがテーマと違い、ここには、食にポテンシャルを感じた参加者しかいないと思っています。

この後の交流も楽しみにしているので、ぜひよろしくお願いします。

古谷 我々もまだ出口が狭いし規模も小さいので、小さいながらも面白い森林資源の活用方法を色々模索できたら面白いと思っています。

その中で食材として活用できそうな植物があれば、日本農業に量産をお願いしたいなと思います(笑)。

(一同笑)

ありがとうございました。

西井 ありがとうございました。

このセッションはこれにて終了とさせていただきます。

一緒に仕事ができる人をお待ちしていますので、名刺交換、お待ちしています。

本日はありがとうございました。

(終)

編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成

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