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3. D2C (direct to consumer)ビジネスにおける「原価率」と「LTV」の関係とは?

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「コア・ユーザーのLTVを高めるための秘策とは?」6回シリーズ(その3)では、新規性の高いサービスをユーザー層にいかに届けるか、という議論から、FABRIC TOKYOの急成長の背景に迫ります。LTV向上の要となる「リピート率」を高めるために大切なものとは? ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2018 プラチナ・スポンサーのラクスル様にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2018年9月3〜6日開催
ICCサミット KYOTO 2018
Session 6E
コア・ユーザーのLTVを高めるための秘策とは?
Supported by ラクスル

(スピーカー)

青木 耕平
株式会社クラシコム
代表取締役

榊 淳
株式会社一休
代表取締役社長

西井 敏恭
オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員CMT /
株式会社シンクロ 代表取締役社長

森 雄一郎
株式会社FABRIC TOKYO
代表取締役社長

(モデレーター)

児玉 昇司
ラクサス・テクノロジーズ株式会社
代表取締役社長

▶「コア・ユーザーのLTVを高めるための秘策とは?」の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. コア・ユーザーのLTVを高めるための秘策とは? Oisix、一休、クラシコム、FABRIC TOKYOが徹底議論!

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2. 成長するECサービスは何が違う? Oisix、一休、クラシコム、FABRIC TOKYOの「コアバリュー」を探る

本編

児玉 次の話題に移りたいと思います。

宿泊予約やビジネスウェアの購入などをネットで行うというのは、過去にはなかったことです。

弊社の“ブランドバッグが使い放題”というカバンレンタルビジネスも、なかったものです。

▶参照:月額6,800円、継続率91.6%!「ラクサス」はブランドバッグのレンタルで、新しいシェアリングエコノミーを創る(ICC KYOTO 2017)【文字起こし版】

このように、「あれよりも良い」という置き換え型ではなく市場にないものである新規ビジネスの場合、説明がしにくいと思います。

そんな時、皆さんはマーケットに対してどういう風に説明をされてこられたのでしょうか?

メディアコマースは「お店であることの強調」が重要

青木 私たちのビジネスはもはや、ECや通販だけでは説明しにくい業態になってしまっています。

しかし事業のトップには「店長」というタイトルをつけ、「私たちは道具店です、お店です」と説明をし続けています。

これが我々にとって非常に重要だと思っています。

「私たちはメディアコマースです」として、メディアとして自己紹介しながらコマースの機能もあると説明すると、ほとんどの場合うまくいきません。

なぜなら、人間の本質として「お店で買う」のが当たり前だからです。

お店ではないという自己紹介をすると、「物を買う」という発想につながりません。

我々のサービスは、コンバージョンレートが非常に低いです。

つまり、遊びに来ている人が大半で実態としてはメディアですが、「お店」として自己紹介をしているので、「ここは買う場所だ」という認識を持ってもらうことはできます。

メディアとして発展してくると、クリエイティブ・ディレクターとかエディターとか名乗りたがるのですが、「トップは店長だ、ここはお店だ」と言い続けることも、その事実を浸透させるために重要です。

ですから、メディアコマースを行う場合は「お店である」ことをまず説明して、コマース側からマネタイズを目指さなければいけないと思います。

「ものを売らないお店」で訴求するFABRIC TOKYO

児玉 FABRIC TOKYOは、店舗で採寸してもそこで商品は売っていないのですよね?

 売ってないですね。

我々のお客様には、週5でスーツを着ている方が多いです。

その方々に「オーダーメイドのスーツのお店について、どう思いますか?」と聞くと、「入りづらい」という印象が強いようです。店構えがとても重厚だったりしますよね。

その一方で、ECでオーダーメイドスーツが買えるという考えもなかったりします。

そこで我々は、オンラインで買えること、実際の店舗もオープンな雰囲気で入りやすいことを訴求していました。

しかし最近は、逆説的に「ものを売らないお店」として訴求しており、サイトやプレスリリース上でも「ものが買えません」としています。

「お財布を持ってこなくても、気軽に入れて、楽しめる空間」として認識してもらい、サービスに触れて頂くということを大切にしています。

児玉 お店の存在意義に挑戦する、という感じですね。

 はい、そうですね。

西井 ちなみに、FABRIC TOKYOではどのような広告を行っているのでしょうか?

リアル店舗が1つのメディアになっているのかもしれませんが。

 我々の商材には季節性があり、特に今のような暑い時期はシャツばかりが売れます。

しかしスーツは、広告を見たから購入するような製品ではありません。

お客様の頭の中に「何となく知っているブランド」がずっとあり、購入のタイミングが来た際に選んでもらうという、認知度が重要な商材です。

ですから、認知獲得のための勝ちパターンを探っているところです。

今は、リスティング広告やSEO広告経由のお客様が増えています。

西井 先ほどお見せいただいたグラフの成長は、何が原因だったのでしょうか?

(再掲)

D2Cビジネスにおける原価率とLTVの関係

 成長要因は、3つあります。

1つ目は、店舗が増えたことです。店舗を増やすと、分かりやすくそのエリアのお客様が増えます。

先日 吉祥寺に出店したのですが、それまでいなかった中央線沿いのお客様がきれいに増えました。

おそらく、オンラインマーケティングによってブランドとしては知って頂いていたのかもしれませんが、店舗に行くことができなかった層ではないかと思います。

青木 吉祥寺にあるんですね。

僕は国立に住んでいるので、確かに今吉祥寺に店舗があると聞いて素直に行きたいと思いました(笑)。

 ありがとうございます(笑)。

2つ目はSEOですね。サイトのコンテンツを増やしたのが効いています。

3つ目はまさにLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上です。

一度ご購入いただければ、以降は店舗に行かなくてもオンラインだけで購入可能なので、最近はリピーターのお客様が増えてきているところです。

先ほどのグラフについても、構成比を見るとリピーターの割合がかなり増えていますね。

青木 最初のバーを超えるのは大変だけど、一旦そのバーを超えると、確実に実績が積み上がるという感じですね。

 そうですね。

児玉 お客様がリピートするのは、製品の品質が良いからですよね?

 もちろんです(笑)。

児玉 そうすると原価も決して低くないと思うのですが、単価と原価の関係はどのような感じなのでしょうか?

 単価は45,000円前後で、原価はその半分ほどですね。

児玉 原価が高いと、LTVが高くなるという傾向などはあるものでしょうか?

 我々は、D2Cという領域にカテゴライズされるビジネスです。

D2Cのメリットは原料にお金をかけられるというところです。

つまり中間流通業をはさまず、自分たちがメーカーとなり販売をするので、原価が高くついてもしっかりと利益を残せるのが特徴です。

もう1つのメリットは、工場などの生産者とつながれるので、オリジナル商品を作りやすいことです。

我々は、オリジナル商品とセレクト商品は半々くらいの割合ですが、オリジナル商品を購入したお客様のリピーター転換率の方が圧倒的に高いですね。

(続)

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続きは 4. 通販業で成功する条件は2つ、「粗利が大きいこと」と「購買頻度が高いこと」(クラシコム青木氏) をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/上原 伊織/尾形 佳靖/戸田 秀成/大塚 幸

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