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ICC KYOTO 2023のセッション「現場が奮い立つ、一流の事業計画(予算策定)とは?」、全5回の最終回は、計画に対する予実管理について。経営者にとって、予算・計画とは信頼とコミットメントを醸成するツールであり、ビジネスセンスを磨くためのツールというスピーカーたち。経営の目線が上がる学び満載のディスカッションを、最後までぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターは ログラスです。
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【開催情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 4A
現場が奮い立つ、一流の事業計画(予算策定)とは?
Sponsored by ログラス
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予実管理と人事考課
永見 上場企業の場合、社内の予算をどう設定するかだけではなく、社外にどの数字を公表するかというもう一つの方向性が出てきますよね。
マネジメントにおいて、そこは工夫のしがいがあると思います。
平尾 そうですよね。
予実管理において、未達かどうかだけで人事考課が決まらないようにはしており、そこは工夫している点かもしれません。
トップラインと利益の面で、単年成長率をどのくらい上げたかを人事考課の基準にしています。
倉橋 丈さん、各事業部のボトムアップ予算が提出された後、それらの総和に対してどのくらいのバッファを設けるかを決めてから、株式市場にコミットしますよね?
平尾 仰る通り、そのようなプロセスで行っております。
倉橋 ラクスルでは、どうしていますか?
永見 投資家やアナリストとの議論を通じて、社外からの、翌年度の期待値の水準を理解しているので、それを意識しながら社内ガイダンスを作っています。
これは丈さんも同じ意見だと思いますが、下方修正というものが与えるネガティブインパクトが大きすぎると思っています。
トップライン成長率と利益について、下方修正を1回もしくは複数回行う会社に対して、資本市場から受けるネガティブな評価は、回復するのがなかなか大変なのです。
ですから、基本的には目標は達成するという文化ですし、社外に対してもそれをコミットすべきだと考えています。
倉橋 勉強になります!
永見 いえいえ。
最終的に何%で着地させたいか?
布川 WACC(加重平均資本コスト)に影響するという意味で、ガイダンスの予算をきちんと達成するかどうかは大きな話だと思います。
最終的に何%で着地させたいという、経営者としての意思はあるのでしょうか?
ガイダンスの数字を0として、上下何%以内みたいな。
永見 いや、絶えず超えたいです。
布川 とりあえず超えていればもうOKということですか?
永見 できる限り超えたいと思っています。
布川 例えば、30%以上超えていれば、それは逆に「おいおい」となるのではと思いますが…。
永見 期中で超える必要があれば、上方修正すればいいだけですね。
布川 数字がブレたとしても、上方修正である限りは資本市場の評価は変わらないということですね。
永見 本当に精度の高い経営とは、立てた数字に対して達成率100%だと思います。
ただ、期待値マネジメントという点では、下方修正と上方修正の与える影響を比べると、リスクが大きいのは下方修正なので、上方修正をする方がマシだと僕は思っています。
倉橋 未上場の場合、投資家とのコミュニケーションで合意する事業計画、つまり外部向けの事業計画はコンサバであることは絶対に許されません。
ですので、30%以上超えて予算を達成すれば、「すごいね」という評価になると思います。
未上場である限り、上にブレて達成しても、あまり文句は言われない気がします。
永見 未上場の場合、それについて会話する株主や投資家は全員、目に見えていますからね。
上場すると、会ったこともない、会社をBloombergだけでしか評価や判断しない人がたくさんいますので、違う世界が待っています。
倉橋 怖いですね(笑)。
永見 怖いですね(笑)。
布川 丈さん、先ほどの私の質問への回答はいかがでしょう?
平尾 毎年一生懸命、全力を尽くして、力を振り絞っていくのみです。
布川 ありがとうございます。
残り18分なので、一旦ここで中締めとさせていただきます。
予算・計画とは、信頼とコミットメントを醸成するツール
布川 皆さんにとっての予算や計画は、どんな存在なのか、一言、二言で表現するとどうなりますか?
予算を作るのは面倒ですよね、でもみんな作りますよね。
それは何のためなのかを、会場の皆さんに伝えていただけますか?
平尾 IT業界では事業計画不要論もあると思いますが、一人で行う仕事はほとんどないので、事業計画を作った方が、コミュニケーションコストが下がると思っています。
また、1回で終わるのではなく、継続して作っていくことが大事ですし、事業計画を作っていける人材を増やしていきたいと思っています。
じげん出身者の大半は事業計画の経験があるメンバーが多いので、VCの方はぜひ、じげんOB・OG起業家と事業計画の議論を深めていただければ嬉しいです。
予算や計画は、それを作る過程において成長しますし、約束した計画を達成することで信頼が生まれるという、好循環になると思っています。
その好循環を拡大していくことで人間的にすごく成長するのではないか、と自分に言い聞かせています。
布川 約束ということですね。永見さん、いかがでしょうか?
永見 一つにまとまっていないのですが…まず、純粋に思考や、アクションも含めたPDCAの整理につながりますよね。
それが経営者としての質を高めるのかなと思っています。
2つ目としては、丈さんが信頼について言及したように、社内外において信頼とコミットメントを醸成するツールだと思っています。
ですから、きちんと可視化する、数字化することが非常に重要だと思います。
予算・計画とは、ビジネスセンスを磨くためのツール
倉橋 私は、3つあります。
予算を立てている時、その予算を追っている最中、追い終わった後、それぞれに役割があると思っています。
予算を立てる時は、まさに思考の整理に近いのですが、スタートアップでは、それまでの業務の延長ではたどり着けない予算を立てると思うので、そこに到達するにはどうすればいいのか、ワイルドなアイデアを考えるきっかけになると思います。
特にビジネスがある程度伸びてくるとオペレーショナルな仕事が増えてくるので、改善活動はしても何かをガラッと変える改革は、やはり立ち止まって、とんでもないものを目指す状況にならないと、それを議論する機会も持てず、生まれてはこないです。
議論をし、見定めるきっかけになるというのが、1つ目です。
そして予算を追っている間は、予算とは「これがみんなで合意した成功である」という物差しですので、良い状態なのか悪い状態なのかを測るバロメーターになります。
追い終わった後は、予算策定に関わった人のビジネスセンスを磨くためのフィードバックツールになると思っています。
期初はこうだと考えていたが結果的にこうなったという事実から、何を読み間違えたのかを考えると、ビジネスセンスが一段階、研ぎ澄まされると思います。
私はロジカルな人間ではありますが、最終的にはビジネスセンスが結構大事だと考えています。
それを磨くには、予想を立てて実践し、予想が当たったか外れたかを振り返って自分のセンスを修正するしかありません。
そのためには、やりきったと思えるくらいのレベルで予算を立てた方が良いと思います。
布川 ありがとうございます。
ビジネスセンスを磨くためのツールだという言葉は、本当に素敵ですね。
経営管理クラウド「Loglass 経営管理」
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布川 さて、このセッションのスポンサーは、ログラスという会社です。
予算を作ったり、PDCAを回したりするのは結構大変な作業で、ほぼ全ての会社が困っている領域だと思います。
そこで、ログラスは創業4年目でこういう製品を作っています。
40秒ほどの動画です。
今日登壇の3社でも、色々な部署からデータを集めていると思いますが、ログラスを使っていただくと、全国の全拠点にフォーマットや通知が自動で送付されます。
皆さんが普段使っているエクセルやスプレッドシートとログラスのデータベースが自動で繋がり、KPIや財務上の数値を自動で取り込んで統合し、毎月会計システムとも連携するので、予実管理ができるシステムとなっています。
加えて、これらのデータを承認すると自動でデータが統合され、それが経営会議のダッシュボードに置き換わるという世界を目指して、ログラスはプロダクト開発をしています。
稲盛経営の世界観に近いですが、各部門がせめぎ合って予算を作る時に役立つプロダクトです。
先ほど1人あたりのARRや生産性について言及がありました。
ログラスは今、経営管理という領域でサービスを提供していますが、今後は色々な領域でのKPIマネジメント、人員計画、販売計画を含む計画プラットフォームになっていこうと考えており、今日のセッションを開催させていただいています。
布川 実は今、2つ新しいサービスを作っており、初めてこの場でお披露目します。
人員計画領域の新モジュール(Loglass 人員計画)です。
やはり人材コストは非常に重いですよね。1,000人を超えると、人件費だけでものすごいコストです。
各部門の採用枠を集めたり、各部門の人員配置や異動を計画したりを、大半の会社がエクセルかスプレッドシートで行っています。
これは、すごくもったいないと思っています。
SmartHRは人員データベースや配置計画のサポートをしていると思いますが、来年100人採用するというような計画は入ってこないと思います。
ログラスは既存の人事システムからそのようなデータを取得し、ログラス上で人員計画を追加すると、新旧の人員データベースが作られ、採用計画の人件費、さらに賞与、インセンティブ、法定福利費などを自動計算する仕組みです。
シニアマーケターを1人採用すると入力すれば、財務計画に自動反映されます。
6等級のエンジニアを採用すれば月60万円、7等級なら月80万円などの情報を自動でロジック化するので、給与計算システムからデータを取得すると、雇用区分ごとの予実の比較ができます。
1人あたりのARRや営業利益も、このシステム上で出せます。もし興味のある方がいらっしゃれば、会場でログラスのTシャツを着ている人にお声がけいただければと思っております。
議論を終えて
布川 では、今日のセッションのまとめに入っていきましょう。
登壇者の皆様から一言ずつ、予算や事業計画を作ることに関する学び、持ち帰って実践しようと思うことなどを、おうかがいしたいです。
倉橋 個人的な学びの共有をすると、やはり複数の事業を持っていると大変だなと思いました。
今は単一事業がほとんどなので楽しているのだなと感じましたし、先輩方の話を聞いて、多事業化したり上場したりすると大変そうだなと感じたのが、一番の学びです。
ですので、今ヒイヒイ言っていてはいけない、1事業なので予算策定や管理はしっかりしなければいけないと思いました。
ありがとうございました。
学びはたくさんありますが、一つ言うとすれば、予算の水準をどこに置くかは本当にアートだと思ったことです。
各社全然違ったので、話を聞いてすごく勉強になりましたし、自分たちの水準がどうあるべきかについて、改めて考えようと思いました。
ありがとうございました。
平尾 皆さんがどういう風に経営されているのかについて赤裸々に語っていただいたので、面白かったです。
私は事業や経営オタクなので、「Quality Growth」を超える概念を生み出せるように頑張りたいと思っています。
我々はボトムアップで事業計画を描いていますが、M&Aの際も、同等以上の計画を取締役会、投資委員会、執行役員会に提出して、意思決定をしています。
じげんは一年中、事業計画を作り続けている会社なので、このプロセスは止めずにずっと磨いていこうかなと考えています。
また、毎年テーマを決めています。
PMFについて考えたり、顧客志向が大事だとしたり…最近だと生成AIですね。
そういう形で毎年テーマを決めて、マイナーチェンジしながら進化しています。
事業計画をベースに経営をもっと磨いて、こういったセッションに呼んでいただけるように頑張りたいと思います。
今日はありがとうございました。
布川 永見さん、「Quality Growth」という言葉がすごく広まっているので、最後に会場の皆さんに対して、「こういう経営をしていこう」という一言があればお願いします。
永見 特にないですが、海外の投資家も「Quality Growth」という言葉を普通に使います。
アメリカでも企業が実際にこの言葉を使っているかどうかは分かりませんが、投資家が意識しているのであれば、彼らと同じ言葉で語るのは結構大事だと思います。
布川 会場の皆さん、本日はお集まりいただき、ありがとうございました。
登壇者の皆様に拍手をお願いいたします。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成