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8. ハセマコ、新規開拓店と食の「構成」のフレームワークを語る

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ICC FUKUOKA 2024のセッション「大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン8)」、全10回の⑧は、変態美食家のハセマコさんが2023年下半期に訪問した店の中から厳選おすすめ店を発表!今回のお勉強シリーズのテーマは、「構成」。これを理解するよう努めれば料理の楽しみ方がきっと変わるはず。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは エッグフォワード です。


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 9F
大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン8)
Supported by エッグフォワード

(スピーカー)

石坂 秀威
シーベジタブル
料理開発担当/シェフ

西井 敏恭
シンクロ
代表取締役

長谷川 誠        
NTTドコモ      
コンシューママーケティング推進担当部長/シニアプロフェッショナル

宮下 拓己
イラルギア合同会社(LURRA°)      
代表社員

山本 典正        
平和酒造
代表取締役社長

(モデレーター)

榊 淳
一休   
代表取締役社長

大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン8)


ハセマコによる食べログアワード2024のサマリー

長谷川 食べログアワード2024の店の中で、ゴールドが全国に35軒だけあるのですが、それの経年での動きをまとめています。

The Tabelog Award 2024 [食べログ](食べログ)

見ていただくと、下に赤字で書いてありますが、一番の特徴として、コロナになってからずっと東京一極集中という流れが続いていたのが、今回ついに西側が増えました。

それが、非常に大きな動きかなと思っています。

全体で5軒増えたのですが、九州が2軒、関西も2軒増えて、東京はステイなので、増えた分がほぼ丸々西側に行っているのは、象徴的な出来事かなと思っています。

他のエリアはそんなに変化がない中で、千葉にゴールドが1軒出て、ついに東京だけではなく近圏に出てきたのが大きな動きかなと思っています。

アワードのエリア別の分析が、ちょっと細かくて見えにくいのですが、全都道府県にアワード店がどれぐらいあるかまとめました。

前回2023の時点では、食べログでいう4点以上の店が1軒もない県が3つありましたが、今回2つに減っています。

仙台に中華料理屋のクロモリさんがありまして、そこはもともとアワード店でしたが、移転したことによって食べログの点数がリセットされますので、移転後、ようやく4点台に戻ってきたため、宮城には1軒できました。

では、0軒のエリアはどこかというと、高知と沖縄になります。

それぞれ、食べログの百名店では色々な美味しいハンバーガー屋や居酒屋があるのですが、4点以上のお店がない県という意味でいうと、高知と沖縄が弱いと言ったら失礼ではありますが、ない県だということがファクトというところです。

このエリア別の話で言いますと、各都道府県の人口と掛け合わせて分析すると、東京と京都が圧倒的に強いのですが、他のエリアでは、宮崎と石川、秋田、滋賀、福岡がいわゆる美食の県、人口の比率に加えてアワード店が非常に多い県と言えるのかなと思っています。

そういう意味で言うと、福岡も美食としては有名かなと思いますけれども、アワードで見てもいい店が揃っています。

我々の実感としても、秋田、石川、滋賀などは非常にいい店が多い印象ではありますが、データから見ても美食の都道府県と言えるのではないかというところが、今回のまとめになっています。

厳選中の厳選!ハセマコおすすめの店

長谷川 では、おすすめのお店ということで、これはおさらいなので細かくは説明しませんが、せっかく来て頂いている方に対して、美味しいお店の、僕が11,000軒以上行っている答えが書いてあります。

(会場笑)

西井 このリストを僕らは、食べログゴールドではなくて、「ハセマコゴールド」と呼んでいます。

このリストのお店に行って美味しいと、「やっぱりハセマコゴールドは違うな」「食べログゴールドでなくても、ハセマコゴールドはウマいな」と言いながら食べていますね。

長谷川 これはぜひ写真を撮っていただいて、次ですね。

中華、フレンチ・イタリアン・イノベーティブとか、蕎麦、天ぷら、barのジャンルでは、ここが美味しいですよという店ですね。

もちろん、この中には予約困難で何年待ちみたいなお店もあるのですが、逆に比較的今週でも予約が取れるお店もあったりしますので、ぜひ興味のある方は行ってみてもらえればと思います。

「ハセマコさんの紹介で、という人がやたら来るんだけど」と最近よく言われるのですが、やたら人を送り込んでいる変なやつみたいになっていますが、こういう場で紹介しているおかげかなと思っています。

こちらも、食べログ百名店の答えがここに書いてあります。

(一同笑)

皆さんは苦しみながら、何軒も何軒も行く必要はなくて、各ジャンルのトップ2、トップ3を書いていますので、ぜひ、ここは基本的には予約なしでも行けるお店ばかりですので、ふらりと行けるところに行ってもらえればと思います。

次に、パンやスイーツですね。

これは、スイーツが好きなすがけんさん(菅原 健一さん)が登壇していた時に作ったリストです。

経営者の皆さんは東京の手土産をよくお持ちになると思いますので、手土産についてもリスト化しています。

つい先日、西井さんと榊さんにも、黒松本舗 草月のお菓子を差し上げました。

西井 草月、めちゃくちゃウマかった!

長谷川 さすが、ハセマコという。

西井 マジでさすが!

榊 ビビりますよね。結構びっくりしました。

長谷川 あんな小さなお菓子が、なんであんなに美味しいんだというぐらいの、他とは違うレベルのお菓子かなと思います。

他のお店も、ここに出ているものはめちゃくちゃ美味しいので、受け取ったら驚くこと間違いなしだと思います。

ハセマコが2023下期に開拓した厳選6店

長谷川 おさらいはほどほどにして、今回、2023年の下期で6軒、新しいお店を紹介できればと思っています。

冒頭に申し上げたように、年間1,100店、新規で行っているので、ICCのたびに500〜600軒増えているのですよね。

500〜600軒行った結果、6軒リストアップされるのは、99%の店より美味しかったということになりますので、1%、600分の6という上澄みをぜひご覧いただければと思います。

1軒目は、麺屋 おざわという北海道のラーメン屋です。

麺屋 彩未 (さいみ)という有名なラーメン屋があるのですが、そこのお弟子さんで、すでに師匠を超えているのではないかと個人的には思っています。

ちょっと郊外ですが、めちゃくちゃ美味しいです。

並びますけれど、逆に予約なしでも行けますので、おすすめです。

2軒目は、北海道のパルコ フィエラ (Parco Fiera)というイタリアンで、こちらは、ハムを自家製でたくさん作っていて、料理のコースの流れの中に常にハムとワインがあるという、酒飲みにはたまらないコース構成になっています。

ハムの合間に料理を食べるのか、料理の合間にハムを食べているのかわからないくらい、ひたすらハムを食べています。

西井 絶賛していましたよね。

長谷川 はい。今度西井さんもお店に行きますけれども、西井さんはお酒を飲まないので、どこまでこのお店の良さがわかるかはちょっとあれですが、ぜひ行ってもらえればと思います(笑)。

西井 厳しい(笑)。

長谷川 3軒目は、千葉の中国四川酒家 蔓山 (まんざん)という四川料理屋です。

僕は辛いものが非常に苦手で、じゃあなんでさっき言ったカレーやエスニックに行ってるの?という話ですが、ここは四川料理なのでかなり辛かったのですが、めちゃくちゃ美味しかったのでご紹介しました。

比較的予約が取りやすいと思いますし、リーズナブルなのでおすすめです。

西井 一休.com レストランで予約が取れますよ。

中国四川酒家 蔓山(一休.com レストラン)

榊 ありがとうございます。

長谷川 ハセマコリスト店にめちゃくちゃ営業をかけてますかね?(笑)

西井 絶対にこのリストを見て営業していますよね?

榊 いや、あの…、ちょっとチラ見せしているくらいです。

(一同笑)

長谷川 次は、新潟の割烹 長吉 (ちょうきち)で、ここは鴨料理が名物で、12月、1月、2月くらいに行かないと実力はわからないのですが、ここの鴨がめちゃくちゃ美味しいです。

浅草にすごく有名な鴨料理屋さんがありますが、そこに負けないくらいの素晴らしいクオリティの鴨だと思いますので、ぜひ新潟にお越しの際にはという感じですね。

そして、ずっとお好み焼きをディスってきましたけれども…(※) 

▶編集注:長谷川さんは過去シーズンで、お好み焼きを食べた時のエピソードを語られています。

西井 本当だよね。

長谷川 ついにOKOじゃ(おこじゃ)という、広島のお好み焼きの答えがここに出たかなと思っています。

何がそんなに美味しいかというと、かなり山のほうにあって、町からめちゃくちゃ遠いのですが、山の中で地元のイノシシを使った広島お好み焼き、だから豚玉じゃなくてイノ玉なのですよね。

めちゃくちゃ美味しいので、ぜひおすすめします。

最後は、ピッサヌローク(※閉店、東京の新店舗準備中)で、タイ料理ですね。

これも辛いものが苦手な僕がおすすめするので、そのクオリティはご理解いただけるかなと思いますが、辛いだけではなくて、ワインとのペアリングも素晴らしいので、ぜひというところでご紹介しました。

時間がなさそうなので、どんどんいきたいと思います。

前シーズンのキーワード「構成」を解説

長谷川 冒頭もちょっと言いましたけれども、「技」の分解のおさらいです。

高さ、幅、奥行、構成は、それぞれ1皿ずつで言うと、高さ、幅、奥行の3つで済むのですが、それを例えばコースの10品の中で、どうやって作り上げるかというところが、「構成」という考え方になっています。

これは前回ちょっとお話をして、こんなイメージ図を作ったのですが、本当にイメージなので、何を言っているかわからないと思いますので、今回改めて解説したいと思います。

これは立方体がいっぱい並んでいるように味わっていますよという話ですが、イメージではわかりにくいので、新しいフレームワークを用意してまいりました。

食の「構成」のフレームワークは「起承転結」

長谷川 こちらです。

構成のフレームワークは、皆さんご存知の「起承転結」という、シンプルな四字熟語に集約されると思っています。

「起」はオープニング、「承」はコースの進行で、「転」は箸休め、メイン料理、「結」は締めになります。

この起承転結のコース全体のバランスや、抑揚、流れがめちゃくちゃ重要です。

そのため、うまみが強い皿ばかり出さないことが非常に重要で、1皿ずつ食べて美味しいねではなくて、コース全体を食べた時に、その食事がどれくらい美味しかったか、全体を楽しめたか、が非常に重要になりますので、1皿ずつではなくて起承転結を意識しながら食べていただくといいのではないかと思います。

その具体例ですが、上に「和食の流れ」という、以前これも説明しましたが、非常にざっくりした和食の流れが書いてあります。

7. 本邦初公開!ハセマコ提唱「店のハイプサイクル」「食べ手のキャズム理論」【終】

起承転結で言ったときに、左側の先付けなどが、「起」の部分ですね。

ここでは季節感や温度の管理であったり、食欲を増進させるような効果が非常に重要になります。

「承」は和食で言うと向付の、お刺身であったり、お椀であったり、八寸みたいな、本当にコースの中軸となるような、そのお店の技であったり見せ場を作っていくことが非常に重要です。

「転」は、箸休めとメインになってくるのですが、要はそこまで進んできた料理に対して、一度箸休め、口直しをして、メイン料理をどうやって食べていただくかというところになります。

メインは直球のうまみの強いもののパターンもあれば、変化球もありまして、色々な構成が考えられるかなと思います。

最後の「結」の部分は締めで、いわゆる締めの食事的なものと、デザートになるのですが、ここもどういうふうにコースを締めるかが、非常に重要になっています。

起承転結を意識しながら料理を楽しんでいくと、「ここで、こういう狙いでこの皿が出てきているのね」というふうに食べる側としても理解ができますし、お店側の狙いが非常によくわかりますので、ここはぜひ理解してもらえればなと思います。

逆に言うと、全皿メイン料理のような、ガッツリした脂っこいものが出てくるお店は、1皿ずつ考えると美味しいけれども、コース全体で見た時には飽きたりもたれたり、トータルでの満足度が下がるというのが非常に重要な考え方になりますので、全体をどうやって捉えるかが重要かなと思っています。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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