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9. 食と飲料の「ペアリング」とは「寄り添う」「ぶつける」「受け渡す」(終)

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ICC FUKUOKA 2024のセッション「大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン8)」、全10回の本編最終回は、変態美食家のハセマコさんが、料理と飲み物の関係「ペアリング」を解説! ペアリングには「寄り添う」「ぶつける」「受け渡す」の3通りがあるという変態美食家の謎の言語化にLURRA°宮下さんは同意! 最後までぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは エッグフォワード です。


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 9F
大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン8)
Supported by エッグフォワード

(スピーカー)

石坂 秀威
シーベジタブル
料理開発担当/シェフ

西井 敏恭
シンクロ
代表取締役

長谷川 誠        
NTTドコモ      
コンシューママーケティング推進担当部長/シニアプロフェッショナル

宮下 拓己
イラルギア合同会社(LURRA°)      
代表社員

山本 典正        
平和酒造
代表取締役社長

(モデレーター)

榊 淳
一休   
代表取締役社長

大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン8)


ハセマコついにペアリングを語る!

長谷川 さらにここから、料理単体ではなくて、飲み物を含めたバランスが非常に重要なので、「ペアリング」について語りたいと思っています。

今まであまりお酒や飲み物の話はしてきませんでしたが、構成の話になるとどうしてもこのペアリングの話を避けては通れないので話をしますと、それぞれの起承転結の料理の流れに従って、縦と横の合わせが必要かなと思っています。

「縦」と言っているものは、料理と飲み物の相性やバランスですね。

要はこの先付けに対してはどんな飲み物が合うのだろうとか、このメインに対してはどんな飲み物が合うのだろうというのが、縦の関係になります。

かたや「横」の関係は、飲み物間でどういうふうに構成していくかもペアリングでは考えなければいけませんが、横の考え方ができていない店が多かったりしますので、どうやってコース全体を考えるかという意味で言うと、ペアリングも非常に横の関係が重要になってきます。

いくら料理に合うといっても、同じ種類のお酒やドリンクばかり飲んでいたら飽きてしまいますし、そこをどうやって連続でつないでいくかというところが、非常に求められる部分かなと思っています。

それでは、最後のコンテンツですけれども、ペアリングを語る上で、僕がどんなことを考えてペアリングを捉えているかについて、最後のフレームワークをご紹介できればと思います。

こちらは何を言っているかわからないと思いますが……

西井 何これ(笑)。

ペアリングは「寄り添う」「ぶつける」「受け渡す」

長谷川 ペアリングは、「寄り添う」と「ぶつける」と「受け渡す」の3つです。

(会場笑)

これがわかる人はめちゃくちゃ高度な食べ手だと思いますが、「寄り添う」は、「イコールのペアリング」という捉え方をしています。

要は相性の良い組み合わせ、これが一番いわゆるペアリングというもので、ありがちなペアリングですけれども、土地を合わせたり、味の方向性を合わせたり、強さを合わせたりというのが、いわゆる寄り添うものになります。

2番目の「ぶつける」は、「足し算のペアリング」と思ってもらえればと思いますが、相反する個性であったり、まるでそのドリンクを調味料のように使うところが、足し算、ぶつけるペアリングになります。

最後の「受け渡す」は、これが一番実体験をしないとわからないと思いますが、「掛け算のペアリング」だと思っておりまして、単体よりも互いに美味しくなります。

逆に言うと、単体では、それほど美味しくないもの同士というか、あえて味を抑えてでも、掛け合わせた時に爆発するような組み合わせをするのが、受け渡すペアリング、掛け算のペアリングかなと思っています。

これも、先ほどの料理の構成の中で、全部が全部「寄り添う」ではないパターンももちろんありますし、全部が全部「受け渡す」パターンは基本的にはかなり難しいのですが、これを1つのお店の1つのコースの中で、料理ごとにどれを選んでいるのかを考えながら、それに対しての自分の食べた時の感覚を磨いていくことが非常に重要です。

この3つのペアリングの考え方を理解すると、どういう狙いで、このお酒をソムリエが選んでくれたのか捉えられると思いますので、最初は何を言っているかわからないと思いますが、お酒を飲む方には非常に重要なお話ですので、ぜひ理解してもらえればと思っております。

宮下 これは僕たちもめちゃくちゃ意識していますね。

長谷川 さすが。

特に「ぶつける」「受け渡す」はソムリエの腕の見せ所というか、寄り添っているだけだと単調になってしまうので、全体の構成の中で、「ぶつける」と「受け渡す」が非常に重要になります。

これらの単語はハセマコ独自なので、なんだこれは?となるのですが、言語化するとこういうイメージかなと思っています。

ノンアルペアリングで満足感は得られるか

西井 ちなみに最近ノンアルペアリングが結構あるのですが、宮下さん、作るのはすごく難しいですか?

宮下 めちゃくちゃ大変ですね。

西井 ですよね?

僕は飲めないから、お酒でこの体験をできないので、ノンアルで頑張ってやっているのですけれど、良い体験をしたことが正直なくて。

宮下 お茶のペアリングって、7杯飲めないじゃないですか。

西井 飲めないです。

宮下 INUAもそうだったと思いますが、うちは全部発酵させたりとかでやることによって複雑味はできるのですけれど、アルコールが持つ香りの抜け感みたいなものを作るのは難しいです。

どんどんで良いものが増えていっているなという印象は、僕も普段お酒を飲まないので、本当に余計に感じますけれども。

石坂 食体験で、正直ノンアルペアリングが、もし良いペアリングだったら、もっと満足感があると思います。

西井 そうですよね。

石坂 せっかくお店に行って、そのお店の個性を味わうという意味で、2つのメニューを同時に味わうという感覚だと思っています。

実際、ドリンクのペアリングも、全店が同じようにやっているわけでもないのですが、ノンアルの場合は、料理人がドリンクペアリングを考えるべきだと思います。

料理と同じように向き合って、そうするからこそ、よりメニューと相性が良いという、自分から作れる流れになるので、まだあまり良いところに出会っていないというのは、すごいもったいないなと、個人的に思いました。

美食に必須なのは「全体最適」

 あの…、皆さんもご予定がありますので、そろそろハセマコさん、最後に締めていただけますか。

長谷川 すみません、もうここでコンテンツは終わりですが、いつも最後に勝手に美食道をまとめています。

今回は、食べログアワード2024の分析と、「構成とは起承転結」という話ですね。

ペアリングは、「寄り添う、ぶつける、受け渡す」の分類でしたが、今回言いたかったまとめとしては、全体最適で考えましょうというところですね。

部分最適で1皿ずつの味とか、あとはお酒が美味しい、料理が美味しいではなくて、食事全体で考えたところから逆算をして、どのような構成、どのようなペアリングを合わせていくと、一番その食べ手にとって嬉しいかというところが実現できると思います。

この「全体最適」が、今回の美食道のまとめになります。

榊 ありがとうございます。

皆さん、お時間が過ぎてしまいましたが、改めて、この美食のメンバーに拍手をお願いします。

今日はどうもありがとうございました。

スピーカー一同 ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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