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2. 海藻の美味しさを追求するシェフ、シーベジタブル石坂さん

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ICC FUKUOKA 2024のセッション「大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン8)」、全10回の②は、シーベジタブル石坂さんが初登場! 世界的名店Noma出身のシェフの店で料理開発をしていた石坂 秀威さんがシーベジタブルに入社した経緯を“海藻愛”を込めて語ります。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは エッグフォワード です。


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 9F
大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン8)
Supported by エッグフォワード

(スピーカー)

石坂 秀威
シーベジタブル
料理開発担当/シェフ

西井 敏恭
シンクロ
代表取締役

長谷川 誠        
NTTドコモ      
コンシューママーケティング推進担当部長/シニアプロフェッショナル

宮下 拓己
イラルギア合同会社(LURRA°)      
代表社員

山本 典正        
平和酒造
代表取締役社長

(モデレーター)

榊 淳
一休   
代表取締役社長

大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン8)


海藻がつなぐ縁でシーベジタブルへ入社、石坂さん

石坂 秀威さん(以下、石坂) 皆さん、よろしくお願いします。

石坂 秀威と申します。


石坂 秀威
合同会社シーベジタブル
料理開発担当/シェフ

シドニー出身。オーストラリアのU30 料理コンテストで優勝後、2018年東京にオープンしてからわずか1年で2つ星を獲得した『INUA』でスーシェフとして料理開発を担当。 その後シーベジタブルと出会い、自らも海に潜りリサーチしているうちに、”食べる”という視点で海藻の魅力を引き出してみたいと思い入社。これまでに社内のテストキッチンでは100種類以上の海藻と向き合い、料理業界でも知られていない海藻の食材としての可能性を発信してきた。 2023年に行われたnoma Kyotoにも料理開発フェーズから参画。

僕はオーストラリアのメルボルン生まれ、シドニー出身で、東京に引っ越してきたのが約5〜6年前です。

当時は2018年に「INUA (イヌア)」というレストランがオープンして立ち上げに関わっていました。

テストキッチン(料理研究開発)を担当し、僕は本当に天職を見つけたような気持ちだったのですが、残念ながらコロナ禍を生き延びなかったレストランで、閉店してしまいました。

ミシュラン2つ星「INUA」が閉店、KADOKAWA初のレストラン事業(FASHIONSNAP)

コロナ禍での人はみんな人生が変わったと思いますが、僕の一番の変化はシーベジタブルという会社と出会ったことでした。

▶️【速報】「フード & ドリンク アワード」グランプリは、海藻の食文化を世界に発信する「シーベジタブル」(ICC FUKUOKA 2024)

その最初のきっかけとなったのが、INUAの立ち上げの際、食材にする海藻の調達にすごく協力してもらった海藻研究者の新井 章吾さんです。

60代ですが、1年の3分の2はずっと海に潜っているぐらい、海にいる時は多分エラが生えているぐらいの元気の良いおじさんで、彼以上に日本の海域の海藻のことを知っている方はいないと確信しているぐらい詳しい方です。

彼がシーベジタブルの共同代表(友廣 裕一さんと蜂谷 潤さん)に、「今、日本で一番海藻を扱っているレストランの人を紹介するよ」と、つないでくださいました。

2人にINUAのテストキッチンにコロナ禍の休業中に来てもらい、INUAでどのような海藻を使い提供していたか、どのような調味料を作っていたか、全部を熱く語って、試食もしてもらいました。

それに対して向こうもすごく盛り上がって、次に海に潜りに行く時にはぜひ来てよと言われて、その時にご一緒したのですが、料理人として天然の食材が育っているところを見て、すごく興奮しました。

やはり、なかなか海に潜って海藻が生えているところを見る機会がないと思うんですよね。

農家さんの畑に行って、とても美味しいトマトがなっているのを見る機会は、頑張ればいくらでもあると思いますが、海藻はなかなか見られるものではないので、「なるほど、こういう生え方をするんだ」「天然ではこういう色なんだ」と気づきが色々あって、そこですごく魅力を感じました。

INUAの後、またレストランで働くより、海藻に特化した料理研究開発や、シーベジタブルで今生産している海藻や、これから生産していく可能性のある誰も知らない海藻の魅力をに発信して伝えていく取り組みに惹かれて入社しました。

それがもう2年半くらい前ですが、そこから日々色々な海藻を手にして、実際に加工方法や調理方法、実際に今皆さんに知られている食材とどうやって合わせたら最大の美味しさが生まれるかなどを、毎日試行錯誤しています。

海の森を守るため“海藻の新しい食文化”をテストキッチンから発信(料理通信)

西井 非常に珍しいキャリアですよね。

石坂 そうですね(笑)。

西井 レストランのスーフシェフを務めていた方、しかもガチレストランの方が、一企業の中のメニュー開発として、今がっつりやっているというのは。

宮下 R&Dは日本のレストランには全然ない機能なので、本当に僕はずっと石坂さんに勝手に会いたかったので、今日は会えてめちゃくちゃ嬉しいです。

西井 すごいですよね。

オイシックス(オイシックス・ラ・大地)という良い会社もあるのですけれど…

(一同笑)

石坂 そうなんですね(笑)。

 この間、西井さんと食事をしている時に、西井さんがずっと海藻の話をしているのですよ。

西井 そうそう(笑)。

石坂 そうなんですね、ありがとうございます(笑)。

 多分、シーベジタブルの影響ですよ。

西井 いやいや(笑)。

昨日もちょうど友廣さんと一緒に、セッション(ICCサミット FUKUOKA 2024 Session 4F「『食』のビジネスポテンシャル」)で、ずっと海藻の話をしました。

海藻から第二の昆布が現れる?

 日本の海藻は、やはりスペシャルなのですか?

石坂 そうですね。

 どうスペシャルなのか、教えてください。

石坂 日本の国土の形状は縦長で、もちろんちょっと西に偏るのですが、北海道から沖縄まで島国なので、すごく海岸が長いです。

小さい国ですが、それがすごく特徴的で、Google Mapなどでもっと細かくたどると、すごく湾が多いことがわかります。

海藻はある程度守られている海域でないと栽培することはできないので、湾のようになってるところでは栽培できるし、それ以外の海域も地形によって異なる種類の海藻が生えるものなのです。

西井さんは多分答えを聞いたことがあると思いますが、答えないでくださいね。

日本の海域には何種類の海藻があると思いますか?

西井 それは知ってる、仕事で(笑)。

石坂 ですよね(笑)。

宮下 僕も知っています(笑)。

 10? …50?

石坂 いかがですか?

長谷川 えっ、数百はありそうですけど、実はもっとありますか?

石坂 ありますね。

山本さん、どうですか?

山本 典正さん(以下、山本) えー、300?

石坂 実は1,500種類あります。

1,500種類あるのですが、日本のように海藻を食べる食文化がここまで深く、歴史的にあるものなのに、実際食べられてきた海藻の種類でいうと、今言われたように多分50あるかないかです、縄文時代も含めて。

ではいつ、どこのタイミングで、この1,400何種類をもういいやと思ったのか、ずっと社内でも、僕自身としても疑問を持っています。

日本の食文化は、昆布というすごく大事な柱があって、支えになっています。

宮下 美味しいものの。

石坂 はい。昆布を含めていない純和食、日本料理はないぐらいです。

日本の海域には海藻が1,500種類、でいうと2万種類以上あります。

その中にはあと1種類だけでも、昆布ぐらい世界中の食文化に影響を与え、革命を起こすような海藻があっても全然おかしくないのですよ。

 なるほど!

宮下 確かに!

石坂 それは僕やシーベジタブルでなくても、食いしん坊の人類として探すべきだと思うし、そこに辿り着くまでに、色々なおもしろいものがあると思います。

それはおもしろい食感、おもしろい形状、おもしろい香りであり、色々な海藻があるので、肉や魚、野菜やフルーツなどの他の食材と同じように、向き合って美味しさを見い出すべきだと思いますね。

海藻の逆輸入はもったいない

西井 あといくつか補足というか、僕なりの見解でいうと、そもそも日本人以外あまり海藻を食べていないですよね?

石坂 そうですね。

西井 皆さん知っているかもしれないですが、そもそもグローバルで見ると海藻料理はあまりなくて、海藻を食べるのは日本ぐらいですよね。

ただ、この間プレゼンを聞いたら、グローバルで見ると非常に注目されているらしいです。

海藻の栽培から食の提案まで、海の生態系を育み循環をつくる「シーベジタブル」(ICC FUKUOKA 2024)

海外で海藻を採っている産業が結構今盛り上がっていて、反面日本は下火になっているみたいなところがあります。

山本 海外ですとベジタリアンの潮流もありますし、サステナブルという観点でも海藻はいいですよね。

宮下 フランスで養殖が始まっているとか、そういう話もしていますよね。

石坂 そうですね。

実は、フランス産のワカメもなかなか美味しいです。

ですが、今おっしゃった通り、せっかく日本で海藻を食べる文化があるのに、それを色々な他のものと同じように逆輸入されるのが、一番もったいないなと思っています。

 なるほど。

石坂 僕も一応親は2人とも日本人で、血は純粋に日本人です。

もっとも海外人としての意見で、日本はこの数年、10年そこらで語れるものがどんどん少なくなってきています。

例えば、僕の親の世代だと、これは世界で日本が一番だと言えるものがいくらでもあったと思うのです。

世界中、様々な業界において開発が進み新しいものが生み出されているなか、日本からの新しい開発技術や、製品が少なくなってきました。

海藻に対して、日本がこんなにも素晴らしい文化や技術、知識、歴史があるのに開発を進めず、手放すのはものすごくもったいないと思います。

 ありがとうございます。僕は“海藻熱”を昨日からずっと浴びています。

石坂 (笑)。

西井 昨日の夜に、海藻がいかにすごいかという話をずっとしていたので。

 石坂さん、今日はよろしくお願いします。

石坂 よろしくお願いします。

 ありがとうございます。

では、山本さんお願いします。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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