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5. 生成AIが効くのは、プロダクティビティかクリエイティビティか

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ICC KYOTO 2023のセッション「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン5)」、全13回の⑤は、AIをデザインツールに落とし込んだ「STUDIO AI」の実演デモからスタート。「もっと大きく」「このサイトを別のサービスサイトに」を、AIはいかに理解して表現するのか? ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは STREET HOLDINGSです。


【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 11C
AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン5)
Supported by STREET HOLDINGS

「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン5)」の配信済み記事一覧


抽象的な指示「もっと大きく」を理解

石井 今できることで言うと、自然言語で指示すれば、自動でデザインをしてくれます。

「もっと大きく」とか、ちょっと抽象的でもできます。

さっき言ったように、ツールの操作が必要なくなります。

こちらは、「ダークなのでもっとポップな印象にして」という、まあまあ抽象的な指示のデモンストレーションです。

黄色をポップな色と多分認識していて、デザインのクオリティがまだまだもうちょっとですが、一応理解はできていますね。

「イメージを変えたら」と指示を出すと変えてくれたり、スタイリングがちょっとポップになりました。

後はレイアウトももちろんできて、「左寄せを全部真ん中寄せに」もできます。

あとは、このサイトをヨセミテ国立公園のサイトにしたいから全部変えてと、指示を出してみます。

尾原 バーニングマンの後ですから、みんなヨセミテに行って、温泉に入るのがパターンですから。

石井 ちょっとタイトルやコピーがショボいですが、認識はして、ヨセミテ国立公園らしくしたり。

尾原 おお。この速度でできると、どんどん試すから、結果として良い結果が出ますよね。

石井 そうなんですよ、ブラッシュアップできます。対話して、どんどん良くできるのが強みです。

尾原 このレスポンスタイムで来たら、どんどん微修正したくなりますよね。

石井 でも、これは僕たちが作りたい「Design × AI」の、まだ本当に初期段階だと思っています。

STUDIO AIの展望で言うと、本当に抽象度の高い、インパクトもそうですが、例えば、「めっちゃ今流行りそうなLPを作って」だけでも、めちゃくちゃそのサービスに適したサービス、トレンドに適したデザインを大量に出してくれて、しかもそこから文句を言えて、もっとこうして、ああしてが言えて作れるものを目指しています。

つまり、トップデザイナーがいつでも横にいるみたいな感じのAIになってくるかなと思っています。

あとは、今はデザイン部分なので、もっと機能面でも高度なタスクができるようにしたいなと思っています。

プロダクティビティとクリエイティビティ

武藤 見ていてすごいなという感想しか持たないベースで質問をさせていただくのですが、AIをクリエイティブなほうに活用することは、多分いろいろな方が検討されている中で、市場がまだどう使うといいかを知らないみたいな段階だと思っています。

つまりユーザーヒアリングやウェブアンケートを実施しても、AIがこうやってくれたらいいのにという、ユーザーの的確に来ない感覚にたどり着かない気がしています。

石井さんのカリスマ性みたいなところで展望を描いて、Product Huntで評価されているイメージなのか…、どういうふうに価値提案を今の形につなげたのかに興味を持っているのですが。

石井 ノーコードを開発した時もそうですが、僕はもともとウェブデザイナーで、そちら側の人間なので、割と自分たちが欲しいものを作っていますね。

確かにユーザーヒアリングしても、ユーザーはあまり答えを知らないので、意見の参考にはしますが、それを全然鵜呑みにはしていません。

こうあるべきだというのと技術的な状況を見て、上手く着地点を探すような感じでやっています。

武藤 そうすると、今後Generative AIをクリエイティブに活用していこうとすると、AIの技術というよりは、その業界の中のエキスパートとしての経験の深さみたいなところが結構重視されてくるのかなといった感覚を持ちます。

特に石井さんのプロダクトを見ていて感じるのですが、その辺りは尾原さんはいかがですか?

尾原 まず大事なことは、サティア・ナデラさんもサンダー・ピチャイさんも、要はマイクロソフトのトップもグーグルのトップも、生成AIは必ずプロダクティビティとクリエイティビティに効きますと言っています。

ただ、ちょうど昨日と今日(2023年9月6〜7日)、Y Combinatorという世界最大のスタートアップを押し出そうというアクセラレータープログラムが開催されて、全部で215社が出て、68社がAIで、生成AIが48社だったので、2割が生成AIを使っています。

残念なことに全てプロダクティビティで、生産性を上げていく、しかもB2Bがほとんどという形です。

さっきおっしゃったように、プロダクティビティにも、クリエイティビティにも使えるはずですが、作る側がエンジニアが多く、コスト削減のほうがインパクトを出しやすい、あとよこしまなことを言うと、その方が会社売却がしやすい。

要は、そこの産業領域の既存の会社に売ってもいいし、マイクロソフトに売ってもいいし、場合によっては、マイクロソフトとセールスフォースを天秤にかけて売ってもいいしというところで、ゴールから逆算すると、たまたまプロダクティビティが来ているだけで、クリエイティビティもいけますよね? 

どうですか、石山さんから見て。

石山 まず間違いなくいけると思うんですが、線引きが結構難しいですね。

今回のSTUDIO AIは、プロダクティビティとクリエイティビティで何対何かと言われたら?

尾原 確かに、確かに! いい質問ですね。

石井 プロダクティビティ…、生産性を上げるのは第1段階です。

フェーズを3段階に分けようとしていて、今の段階だと、クリエイティブのインスピレーションとかは正直ないので、生産性じゃないですかね。

でも最終的にはそっちに行きたいなと思っています。

デザイン知識が無くても、コンセプトやアイデアがある人が使えば、どんどん、これもいいね、これもいいじゃない?みたいな、インスピレーションを与えてくれるような存在になりたいなと思います。

西脇 ちょっと観点が違うかもしれないですが、さっきのデモンストレーションは見ていてめちゃくちゃカッコいいじゃないですか。

あれがプロダクティビティに見える理由があって、あれは指示をしているプロンプトを理解して「操作」をしているわけですよね。

その操作を人間がやるのではなくてAIが自動的にやってくれているから、プロダクティビティに見えるのですよね。

だから、そのほうが多分比率が多いのではないでしょうか。

そう考えると、STUDIO AIは、プロンプトを理解して操作を代わりにやってくれますが、操作をやってくれるのが別にSTUDIO AIでなくて、InDesignでもいいし、Photoshopでもいいし、別にPremiereでも、プロンプトを理解して操作を勝手にやってくれればということですよね?

石井 今の状況だと、そうですよね。

尾原 最近読んですごく良かったのは、陸上の為末 大さんの『熟達論:人はいつまでも学び、成長できる』で、センスとはどうやって育つかというと、圧倒的に圧縮経験であるという言い方をしていて、要はいいものを作ってみて、これはダメだ、これはいいというのを圧倒的に繰り返していくことによってわかっていく。

例えば、スティーブ・ジョブズが来日して、アイズナーというデザインのトップと日本のあるホテルに泊まった時に、あそこがダメだよねという箇所があって、そこをせーので指すことにしたのです。

それは、天井の梁に1箇所ちょっとだけあった歪みで、あれがあるおかげでここの居住性を損なっているよねみたいなことをお互い何も言わず、ふっと一緒に指をさせるのです。

つまり、プロダクティビティを上げていくと、「多産多死」ができるようになります。

その中で、100個に1個ものすごいヤバいセンスのものを、何回も何回も経験していくと、だんだん、だんだん自分の中にラーニングが進んで、センスが良くなるみたいなことを言われたりしますけれどもね。

石井 そうですね、それをやりたいです。

尾原 ごめんなさいね、好きなんですよ、こういう話(笑)。

石井 (笑)ありがとうございます。

西脇 好きにしゃべっているなと思って(笑)。

石山 よくChatGPTで俳句を作ったけれども全然クリエイティブじゃないみたいに言う人がいるじゃないですか。

でもその人たちって、プロンプトに入力している内容にそもそも新結合性が無いので、それでは大したものは生まれないのです。

クリエイティビティを求めるとすると、何らかの新結合性が必要だと思いますが、最後クリエイティビティを発揮する時に、デザイナーの中に持つ形になっていくのか、それとも生成AI側が新結合もしてしまう感じなのか、それはどっちを目指すかは、プロダクトによっても結構変わってくるかなと思います。

尾原 多分今言ったことをもう少し解釈すると、クリエイティビティと言われているものは2種類あると思います。

1つは全体の整合性が取れていて、何かカッコいい、おさまりがいいというパターンと、もう1つは新しい、今までにない、これとこれをつなげるとすごい!ヤバい!ってなる新結合という2つのクリエイティビティがあって、石山さんは後者の話を聞いていると思うんですよ。

石井 前者はベースみたいなものですよね。

ベースのデザインのセンスみたいなもので、そこは全然できると思います。

僕らが対応に注力しているのは、後者の新結合、外れ値みたいなユニークなデザイン、いいデザインですよね。

それは対話と、さっき言ったようにいろいろな試行錯誤からようやく生まれると思っているので、前者の先に後者がたまに生まれるみたいな、前者で満足していればそれで全然いいしみたいなことを全部サポートして、アシストしてくれるようなAIを作ろうと思っています。

それに関連して、スライドをお見せしようと思います。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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