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6. 「STUDIO AI」が目指すのは、指示の実行ではなく、願望の実現

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ICC KYOTO 2023のセッション「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン5)」、全13回の⑥は、STUDIO石井さんが、何をイメージしてデザインツールを造っているのか、そのためにどのようなステップが必要かを紹介します。生成AIがただ生産性を上げる自動化ではなく、願望を忠実に実現するためには何が必要か? 登壇者が全員参加で議論します。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは STREET HOLDINGSです。


【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 11C
AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン5)
Supported by STREET HOLDINGS

「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン5)」の配信済み記事一覧


石井 STUDIO AIはどのようなものを作りたいか、わかりやすそうな例をお持ちしました。

僕は、映画『アイアンマン』のジャーヴィスを作りたいなと思っています。

アイアンマンのスーツのデザインは、主人公のトニー・スタークとAIのジャーヴィスが会話しながら設計とデザインをしているんですよ。

尾原 そういうことなんだ!

石井 しかもジャーヴィスはトニー・スタークの趣味もわかっているので、デザインが出来上がってきたら、ちょっと派手過ぎだからとか、アメリカンジョークを言いながらやるのです。

今のはバイクの例でしたが、例えば、「アップル風のサイトがいいのだけど」「アップルとグーグルのいいところを取って、自分のサイトに応用したい」とか言うと作ってくれるみたいなものを作ろうと思っています。

理想を実現する3ステップ

石井 でも、これを実現するには3つのステップがあるかなと思っています。

1つ目が「Direct Instruction(具体的な指示)」で、現段階ですね。

次が「Request」で、要求ベースになってくるかなと思っています。

最後が「Desire」で、完全にやりたいことだけ言えば全部やってくれるような感じです。

具体的な指示では、背景の色のカラーコードを指定したら、さっき言ったようにAIが操作をしてくれます。

でも、それは単に生産性を上げるというか、ただの自動化じゃないですか。

だから正直そんなに意味がないと思っていて、僕たちがやるべきなのはまずはリクエストベースで、できるようにしないとダメです。

尾原 本当にそう!

石井 「サイトをモダンに」とか「もっとキャッチーに」と要求するだけで、何個か提示してくれて選んでチューニングしていくみたいなことをやりたいです。

尾原 これをやるだけで、非常にすそ野が広がりますよね。

石井 ここはだいぶ広がると思っていて、ここが完璧にできれば、ノーコードも何もないと思っています。

3番目の「Desire」に来てしまうと、もうウェブデザイナーみたいな職種も無くなってくるかなと思っています。

クライアント自らが、ただただ言えば全部を作ってくれるので、デザインのセンスやバックグラウンドもそんなにいらないような状況になると思います。

尾原 さっきのトニー・スタークはこんな感じでしたものね。

石井 そうですね。

STUDIOとエクサウィザーズがCo-Creation?

石井 現状の課題で言うと、ステップ1がちょっとできて、ウケはいいのですが、正直実用的ではありません。

あれはGPTでできて、GPTをちょっと使ってみようといってできたのですが、コンセプトはいいとしても、まだまだ正直使えないな、自分でやってしまったほうが速いし、いいものを作れそうだなみたいなところがあります。

ステップ2の完成が必要不可欠で、ステップ2を作るにはAIの言語能力がどんどん上がって、基礎教養みたいなものは上がっているけれど、何がカッコいいデザインかをまだ全然AIが理解していないので、そこを作らなければダメかなと思っています。

それはLLMとは別軸で何かやらなくてはいけないのか、LLMとマルチモーダルの進化によって一気にブレークスルーが起きてできるのか、その狭間で僕たちは今いろいろ実装中です。

尾原 これを石山さんが作るとすると、どう作りますか?

石山 ステップ2は、今の技術の組み合わせで結構いけるんじゃないかと思います。

尾原 いけますよね。

プロンプト入力そのものをファインチューニングしなくても、ある程度RAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)とかでもいけちゃいますよね。

石山 そうですね。さっきReinforcement learning from human feedbackみたいな話がありましたが、デザイナーの人から見た教師データを足していくのか、一般ユーザーから見た教師データを足していくのかとか、その比率みたいなところをどうするのかによっても、結構仕上がってくるAIのセンスが変わってきそうだなと感じましたね。

石井 そこは使う人によって、分けたいじゃないですか。

全部同じものを返してくれるだけでは、結局テンプレートでいいから、そうでないものを作りたいですよね。

そこをどうやるのかなみたいな感じです。

石山 あっ、では、ちょっと出番かもしれないですね(笑)。

尾原 おっ、本当に?(笑)

石山 ご相談いただければと思います。

尾原 ああ、いいつながりになってきましたけれど、リングサイドから追加の質問はどうですか?

都筑 僕はデザイナーではないですが、デザイナーというのは、その人の背景やバックグラウンドといったところを踏まえてデザインが出てきて、お客さんがやっていることと交わって良いデザインになるといったことがあるかなと思っています。

そういったパーソナライズというか、この人がこういうことを言っているからこういうデザイン、みたいな、石井さんが言うモダンと僕が言うモダンはちょっと違うよねみたいな、その辺りを何か考えていらっしゃいますか?

石井 そこをやりたいので、石山さんにご相談したい感じです。

モダンの意味合いが人によって全然違いますよね。

そこの正解をバシッと一発で出せたら最高なんですが。

都筑 結構入力が必要というか、この人は誰?みたいなところを知らないと…

石井 そこをやってもいいけれど、どうなんですかね。

ジャーヴィスみたいな感じで、白人のデザインを全部理解してチューニングしたものが付くようなイメージです。

カスタマイズされたデザインのSiriがあるような感じになるといいなと思っています。

都筑 そうですよね、僕のSiri、みたいな。

STUDIO AIの学習データのソースは?

西脇 さっきからめちゃくちゃ興味があるから、すごく質問したいのですが、さらに、ステップ2や3になると、学習させるのに他のサイトとか使うんですか?

ベタな質問ですが、これは結構気になるじゃないですか。

答えづらいかもしれませんが、そういうことはやるのですか?

要は、さっき少しお話しなさったのは、自分たちの会社の中のデザインや、自分たちの会社のデザインセンスは使います、と。

でもステップ2とか3に行ってしまったら、多分もっと世の中のことを理解しないと叶えられないですよね。

その時に、どう学習するのかが知りたいです。

石井 だからこそ僕たちは今ノーコードでやっていて、ウェブの公開数をKPIにして、幅広いサイトで使われて、そうすればそこで表面的なデータではなくて、どんなサイトが人気かとか、どのボタンが押されているのかもわかるんですよ。自社で全部ホスティングしているので。

尾原 今回のY Combinatorで1つ出てきた傾向でいうと、僕が勝手にクローズ・エクスパーティースエコシステムと言っているのですが、要はAIになる前の事例で言うと、弁護士ドットコムさんがわかりやすいと思っています。

弁護士ドットコムさんは、あれだけの弁護士のエキスパートの方が25万件も質問に対して答えて、月300円払って会員になっている人だけが回答を見られるのがUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)としてのモデルになっています。

なぜ弁護士の方が質問の回答を書くかと言うと、結局回答を書くことによって、この人はこういうことに強い弁護士なんだとか、奈良県で1位なんだということがわかって、依頼が来るわけですよね。

それと同じで、STUDIOにデザイナーが教師データとして入れていって、結果的に自分がカッコいいというので選ばれるようになってくると、100円や1,000円で、その素材を使えるのだったら、どんどん買うようになるじゃないですか。

そうすると、ここにデータを預けると、ちゃんと結果的に儲かるから、どんどんいいデザイナーであるほどデータを預けようとします。

あとは、タグが付いていくので、「あっ、自分はこういう人からカッコいいと選ばれるんだ」ということがデザイナー側にフィードバックされて、自分の勝ち筋はこっちだみたいなことがわかります、

むしろ希少なデータを提供する側が、自分がどこに選ばれて、どこを尖らせればいいかみたいなことがわかる形が、Y Combinatorでも営業マンのB2B SaaSで1つ出ていたり、結構そのタイプが増えてきたと思います。

石井 今でもそれはできて、例えば、テンプレートを販売するマーケットプレイスなども、ほぼ同じようなことです。

尾原 そこにAIを掛け算することで、エキスパートもユーザーもAIを育て合うみたいな、そういうともにAIを作ろう、Co-Creation AIみたいな、そういう感じなのかなと。

石井 学習させるデータで言うと、僕たちはだからこそ最初からプロのデザイナーを狙っていて、素人が適当に作ったデザインをめちゃくちゃホスティングしていっても、質の悪い、ゴミデータではないけれども、そっちになってしまうので、プロのデザイナーが満足したアウトプットだけをたくさん集めて、そこで学習させようと思っています。

尾原 というふうに、プロダクティビティとして誰もがセンスのいいものを作っていくことを続けていくと、結果的に試行錯誤が楽しくなるから、それによって新しいことがやりたくなって、新結合としてのクリエイティビティみたいなものも入ってきます。

そうすると、ダイレクトに指示を与えるところから、こういう感じがいいなという要求に変わるし、最後はもう願望を言うだけでできるようになります。

石井 そうですね。僕はデザインもプログラミングもやっていたので、僕の中で壁はなかったのです。

作りたいなと思って、自分で手を動かして作れたのですが、みんながみんなそうではないので、その壁をなくすものを全員に提供してあげたら、僕が考えられないようなアイデアとかも、全人類がどんどん考え出して、より良いものが生まれるのではないかと思って、STUDIOをやっていますね。

尾原 STUDIO AIは、ウェイティングリストはまだ受け付けているのですか?

石井 はい、受け付けています。でも本当に地道に開放しているので。 

尾原 というわけで、ぜひ皆さん、使ってみたい方、ウェイティングリストに申し込んでいただいて。

石井さん、ありがとうございました。

(会場拍手)

先ほど、石井さんの事業を広げるアイデアは僕の出番ですねみたいなことを石山さんがおっしゃっていました。

次に、ワークフローやプラットフォームなど、より広い範囲でどうやっていくか、ぜひエクサウィザーズ石山さん、よろしくお願いします。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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