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ICCサミット FUKUOKA 2020「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン3)」のセッション書き起こし記事を全11回シリーズでお届けします。(その1)は、前回、前々回の振り返りから。教養と科学で「人間の理解」はどこまで深まるのか? ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プラチナ・スポンサーのリンクトイン・ジャパン様にサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2020年2月18〜20日
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 2D
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン3)
Sponsored by リンクトイン・ジャパン
(スピーカー)
石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO
北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員 CDO (Chief Data Officer)
渡邉 康太郎
Takram コンテクストデザイナー /
慶應義塾大学SFC特別招聘教授
(モデレーター)
村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表
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▶「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン3)」の配信済み記事一覧
本編
村上 臣さん(以下、村上) 皆さん、本日はようこそいらっしゃいました!
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村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表
青山学院大学理工学部物理学科卒業。大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。2000年8月、株式会社ピー・アイ・エムとヤフー株式会社の合併に伴いヤフー株式会社入社。2011年に一度退職した後、再び2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。2017年11月に6億1000万人が利用するビジネス特化型ネットワークのリンクトイン(LinkedIn)の日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問も務める。
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会場は、ICCサミットで唯一のオープンスペース会場となるのD会場です。今回もよろしくお願いします!
石川 善樹さん(以下、石川) 最高ですね!
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石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。公益財団法人Wellbeing for Planet Earth代表理事。「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念工学など。近著は、フルライフ(NewsPicks Publishing)、考え続ける力(ちくま新書)など。
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北川 拓也さん(以下、北川) 頑張りますよ!
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北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員CDO(チーフデータオフィサー)グローバルデータ統括部 ディレクター
ハーバード大学で数学と物理学を専攻し、同大学院物理学科博士課程を修了。物性物理の理論物理学者として、『Science』、『Nature Physics』、『Physical Review Letters』などの学術雑誌へ20本以上の論文を出版。その後、楽天でデータサイエンスの組織を立ち上げ、現在は、CDO(チーフデータオフィサー)としてグループ全体のAI・データ戦略の構築と実行を担い、日本だけでなく、アメリカやインド、フランス、シンガポールを含む海外拠点の組織も統括。データに関しては、収集から管理、データサイエンスに関連したプロダクト開発、コンサルティング、プロダクトのセールスまで、あらゆる価値の創造に貢献している。
現在、消費者及び人間行動の理解を目指して科学的なアプローチを加速化させること、さらに、消費者のより深い理解を基にした新たなビジネスの創造に注力している。楽天データマーケティング株式会社では2017年より取締役を兼任。データ基盤作りや科学的な理解に基づく顧客体験の提供、広告事業の立ち上げ、データによるビジネスイノベーションなどを推進している。
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井上 浄さん(以下、井上) こんな開けた場所でセッションしていいんですか?
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井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO
大学院在学中に理工系大学生・大学院生のみでリバネスを設立。博士課程を修了後、北里大学理学部助教および講師、京都大学大学院医学研究科助教を経て、2015年より慶應義塾大学特任准教授(現任)、2018年より熊本大学薬学部先端薬学教授(現任)、慶應義塾大学薬学部客員教授(現任)に就任・兼務。研究開発を行いながら、大学・研究機関との共同研究事業の立ち上げや研究所設立の支援等に携わる研究者。多くのベンチャー企業の立ち上げにも携わり顧問を務める。株式会社ヒューマノーム研究所取締役、経済産業省「未来の教室」とEdTech研究会委員、NEDO技術委員、株式会社メタジェン技術顧問、株式会社サイディン技術顧問、等兼務。
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村上 皆さん、同時に話さないでください!(笑)
▶シーズン1、2の振り返りをスキップして本題から読みたい方は 2.【経営者必読】秦の始皇帝、カエサル、メフメト二世に学ぶ「帝国の作り方」 からお読みください。
「人間を理解するとは何か?」過去2回のおさらい
村上 本セッションは、ICCサミットで一番主語の大きなセッション「人間を理解するとは何か?」のシーズン3です。
会場の皆さんの中で、この大人の教養シリーズ「人間を理解するとは何か?」を初めて聴きに来られた方はいらっしゃいますか?
ほとんどがリピーターの方のようですね。ありがとうございます!
ビジネスカンファレンスなのに「人間」をテーマにしたセッションがシーズン3とはすごいですよね。
▶過去2回の全文書き起こし記事は、以下よりご覧いただけます。
石川 このまま最も長く続いたビジネスカンファレンスのセッションとして……
北川 ギネスに載せたいですね。
(会場笑)
石川 そこまでいきましょう!
井上 いきましょう!
村上 はい。初めての方のために解説いたしますと、本セッションはちょうど1年前のICC FUKUOKA 2019からスタートしました。
ICCサミットでは、その理念にある“Co-Creation”を目指した数多くのセッションがありますが、経営者の方と実際にお話をすると、多くの方が部下のマネジメントや企業内カルチャーをどうするかについて悩まれています。
そういった話をしていると、やはり「人を理解すること」が大事だなと思うわけです。
そこで雅さん(ICC代表小林)に、人に詳しい方々を集めてセッションをしたら面白いのではないかとアイデアを出して実現したのが、この「人間を理解するとは何か?」です。
シーズン1:理解の作法、青春と僕、洛中洛外図、エピゲノム…
村上 早速ですが、簡単にシーズン1と2の振り返りをしたいと思います。
まずはシーズン1です。
北川 懐かしいですね。
村上 善樹さんが「そもそも、理解するとは何か?」をテーマに、学問分野による理解に対するアプローチの違い解説してくれました
▶1. 諸科学は万物をどのように「理解」しているか? 自然科学・社会科学・人文科学で異なる“理解の作法”
自然科学のアプローチは「分解」、社会科学は「近似」で、人文科学は「大元」ということでした。
そして盛り上がったのは、北川さんが解説してくれたグラフです。
▶4.『青春と僕』――楽天CDO・北川拓也は今、科学者として「青春」を理解する
この時のグラフで、一同大興奮しました。北川さん、グラフでは何を証明したんでしたっけ?
北川 「青春」です。「青春」を証明しました!!
(会場笑)
井上 僕は研究者ですが、あれほど興奮する棒グラフは後にも先にも見たことがありません。
村上 あとは善樹さん、スライドの右下の絵巻物ですね。
石川 はい。京都を描いた『洛中洛外図』です。
▶2. 人間を理解するヒントは、京都の『洛中洛外図』にあり!?
村上 これは「京都とは何か」を描いたものですが、肝心の京都の町並みがほとんど見えません。
この『洛中洛外図』を題材に、俯瞰したりズームしたりと、色々な視点を行き来することによる物事の理解を話し合いました。
そしてスライドの左下は、「エピゲノム」です。
▶6. 個人データの蓄積が拓く新学問「ヒューマノーム」は、人間の未来を予測する
シーズン2で間違えて「エビゲノム」と言ってしまったので、反省を込めてエビフライの絵を載せています(笑)。
ちなみに「エピゲノム」とは何か、浄さん今一度解説をいただけますか?
井上 エピゲノムとは、僕らのゲノムに存在する遺伝子が実際に発現するかしないかを決める、複雑なシステムです。
例えば一卵性双生児は、同じゲノム、遺伝子を持っていますが「全く一緒」かというと、そうではないですよね。
その違いの一部は、その人が育った環境に影響を受けた「エピゲノム」によって規定されているといわれています。
▶5. 人間の理解における「FACTFULNESS」とは? 変わりゆく“常識”をアップデートせよ
村上 ありがとうございます。
シーズン1はざっくり言うと上記のようなお話で、一言でまとめると「青春はあった」と。僕たちはまだ青春の中にあると分かり「良かった、良かった」と話をしました。
(会場笑)
シーズン2:マインドフルネス、円相、マティス、湯野浜ヒューマノーム…
村上 そして前回シーズン2の振り返りです。
春光院の副住職を務める川上(全龍)隆史さんの解説で、仏教的な観念から人間を理解しようとしました。
サンスクリット語の「स्मृति」は、スピーカーの皆さんはもう読めますよね。
石川 当然読めます、「サティ」です。
(会場笑)
村上 サティという言葉は「Mindfulness」の元となった言葉でもあり、21世紀に爆発的に広がっていきました。
そのような言語のグローバル化が、人間の理解に密接に関わるのではという議論でした。
▶2. 言語のグローバル化が「人間の理解」を加速する〜マインドフルネスの概念を例に
そして右上の図は、石清水八幡宮の珍しいおみくじ「平(たいら)」の説明です。
吉と凶を行ったり来たりしたときの真ん中が「平」です。
良い・悪いではなく、「平穏無事」が一番いいのではないか? まさに“Well-being”のような話でした。
▶3.「平穏無事が最善なり」京都・石清水八幡宮の世にも珍しいおみくじとは
さらに、北川さんからアートの観点でマティスの絵を解説してもらいました。
▶7. 自己と外界を隔てるバウンダリーの消失が「Well-being」をもたらす?
この辺りから、「東洋」と「西洋」の違いの話題も出てきました。
スライド右下の「円相」は、“人間の真ん中は空っぽである”という東洋の概念です。
西洋には“神が創りし給う人間”の概念があり、「人間はこうありなさい」「正義とはこうです」と信じるアプローチをとる傾向にあります。西洋哲学も同じロジックですね。
その西洋には、円相のような「自分というものがない」という概念がないので、そもそも人間に対する理解に東洋と西洋とで差があるのではという話でした。
そして、真ん中のグラフが衝撃のグラフです。
井上 美しいですよね。
湯野浜ヒューマノームという研究で、一人ひとりのデータを全部集めて1つにまとめようと思ったら、全部散らばってしまうという結果になりました。
シーズン2で最終的に分かったのは、「みんなちがって、みんないい」ということです。
▶8.「みんなちがって、みんないい」を科学する〜湯野浜ヒューマノームの事例
村上 そうでしたね。
ただそれは結論かどうかというとそうではない気がしていて、結局最後の振り返りでは「僕たちは何も分からない」に行きつきました。
(会場笑)
一瞬分かったと思いましたが、「人間を理解するのは、こんなにも難しい」と。
我々人類は、実に4,000年ぐらいにわたってこのテーマを議論しています。
まさに「みんなちがって、みんないい」で、一人ひとりの違いからお互いを知ること、己を知ることは大事で、それを思考し続けることが何より大事だとの結論になりました。
▶9. 現代人が今取り組むべき「理解する」という行為の本質【終】
そして最終的には、北川さん、「動的平衡」にいきつきましたね。
北川 そうですね。僕の博士論文のテーマです(笑)。
村上 ちなみにこのセッションの登壇者は、Ph.D.ホルダー(※)が3人いて 、大変インテリジェンスの高いセッションです。
▶︎編集注:石川さんはハーバード大学公衆衛生大学院修了後に自治医科大学で、井上さんは東京薬科大学大学院薬学研究科で、北川さんはハーバード大学院物理学科で博士号の学位(Doctor of Philosophy:Ph.D.)を取得されています。
石川 このセッションは情報量が多いですね!
村上 まだ開始10分もたっていません。そして、シーズン3は、まだ始まってもいません(笑)。
発見を積み重ね、理解し続けよう。シーズン3開始!
村上 結局……浄さん、これですよね? 「さぁ研究だ!!」と。
井上 その通りです。やはり研究をし続けなければいけません。
「謎の部分を解いていく」これこそが「人間」ではないでしょうか?
村上 そうですね。ちょっとずつではあるけれども、理解をしていくことが大事です。
登壇者も成長しないとシリーズは続きませんので、今回も我々の理解がどれくらい進んだのか、発見を積み重ねて、さらに皆さんと一緒に理解し続けようとする「研究し続ける姿勢」をお見せできればと思います。
(続)
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続きは 2.【経営者必読】秦の始皇帝、カエサル、メフメト二世に学ぶ「帝国の作り方」 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/小林 弘美/戸田 秀成
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